バカ達と双子と学園生活   作:天星

129 / 243
Pleyback ~start~
True or False


 期末テストが終わって、大体半月くらい経った頃の話だ。

 

 

 学校の屋上で少女は少年に向かってこう言った。

 

 

 

 

 

「あなたは、嘘を吐きましたね?」

 

 

 

 

 

 少年には嘘を吐いたという自覚は無かった。

 

 だが、念のために記憶を検めてみた。

 

 

 ……さて、彼は嘘を吐いたのか、それとも吐かなかったのか。

 

 吐いたのなら、いつ、どこで、何を、どのように?

 

 彼の記憶に、答えはあるのだろうか……?

 

 

 

 

  …………………………

 

 

 

 

 ……剣side……

 

 テストが終わって数日後の昼休みの話だ。

 本来なら期末が終わったらすぐに夏休みなんだが……Fクラスは試召戦争で授業をかなり潰してるから夏休みの前に補習が入る。

 しっかし、ちゃんとしたカーテンのある教室で良かった。F教室のままだったら日光がガンガン当たって熱中症で倒れる人が続出したんじゃないか?

 いや、鉄人先生もそんくらいは気を遣うか。席順を変えて安全地帯に女子を送って危険地帯には生命力の高そうな生徒を……

 ……アレ? カーテン付けるだけで良くね?

 まあ話を戻そうか。昼休みに入った後、僕は姫路と話していた。

 

「で、テストが終わったわけだが……お前はどうするんだ?」

「う、うぅ……行かなきゃダメなんですかね?」

「好きにすれば良いさ。後悔しないならな」

「うぅぅぅぅぅ~~~…………」

 

 話の内容は至ってシンプルだ。

 『姫路瑞希は吉井明久に告白するのか否か』

 ああ、何かの秘密をカミングアウトするとかじゃなくて、一般的な(恋愛的な)意味での告白な。

 ……いや、これも秘密の公開に当たるか。

 いやいや、言葉の定義はどうでもいい。

 

「……ど、どうしても行かなきゃダメですか?」

「いやだから、好きにすれば良いさ。後悔しないなら」

 

 仮に、仮に姫路が明久に告白した場合、僕は既に結果を知っている。

 ……いや、未来の事を『知っている』と言い切ってしまうのは傲慢か。正確には『限りなく正確に予測できる』だな。

 

「で、でも、告白してふ、振られたりしたら……」

「だったらどうした。諦めるしかないだろう」

「……あの、ここって普通勇気付けてくれる所じゃないですか?」

「僕は根拠の無い言葉で相手をおだてるような事はしない主義だからな」

 

 そう、姫路はほぼ間違いなく振られるだろう。

 理由は単純。

 

 吉井明久は既に木下優子を選んでいるから。

 

 そして、付け加えるなら……

 

 吉井明久の姫路瑞希に対する言わば『憧憬』のような感情は『恋愛』にはならなかった。

 

 ……たった、それだけの話だ。

 ……そして、補足として……いや、これは蛇足か? まあいい。

 

 その恋愛の結末は僕が歪め、導いたものだ。

 

 この物語は既に『終わっている』

 故に僕はこれ以上干渉するつもりもないし、干渉させるつもりもない。

 ……だが、干渉を受けないのは不可能だ。

 だから僕はその干渉を最小限にする。

 ……それだけだ。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。