そんなこんなで勉強会も終了。
その後も明久は勉強し……地獄を行ったり来たりしながら頑張っていたようだ。
「今何で言い直したの!?」
「ツッコミが入れられる余裕があるなら大丈夫そうだな」
「大丈夫じゃないよ! 全然大丈夫じゃないよ!!」
そういういわけで今日はテスト当日だ。
「お約束だと思うから訊いておこうか。
明久、調子はどうだ?」
「う~ん……昔の姫路さんに手作りのお弁当を突きつけられているような心理状態って言えば伝わるかな?」
「なるほど。絶体絶命か」
「そうそう、まさにそんな感じ」
「……それ、かなり危ないんじゃないか?」
「そうだね♪」
「笑顔で答えるな!!
ったく、テスト開始までまだ時間がある。少しは休んでおけ」
「え? 直前まで詰め込め……とかじゃなくて?」
「たとえ知識があっても、それを支える体力が無くっちゃ意味が無い。
本当に直前に危うい所を見直すくらいはしておいた方が良いが……まだ早い」
「そうか……分かった。それじゃあ休むよ!」
「ああ。頑張れよ」
「うん!」
今回の明久のテストの目標点は確か1180点ほど。
以前確認した時は1080点だったが、その後完全に無失点とはいかなかったようだ。
平均点で言うと118点。
猛勉強の成果か大体の科目は100点に迫るくらいには鍛えられた上に、暗記要素が多めの化学、暗記の塊でしかない日本史や世界史はかなり高い点が取れるようになっている。
保体も暗記の塊な上に康太という優秀な指導役が居たわけだが……歴史ほどは点数は上がらなかったようだ。
それでも他の科目よりは高くなったが。
本人は『参考書があればもっと点数が増えたんだ!!』とかほざいていたが、多分結果は変わらなかったと思う。
明久の場合は理論的に問題を解かせるより力技でがむしゃらに勉強した方が効果が高いだろうという雄二の判断は正しかったようだ。
明久……お前やればできるんだよな。
……さて、人事は尽くした。
後は天命を待つのみだ。
……テスト最終日……
定期試験は振り分け試験と違い、普通の高校と同じく一週間ほどの日程で行われる。
そして今日がそのテストの最終日になるわけだが……
「明久。調子はどうだ?」
「うん! バッチリだよ!!」
「お、良い返事だな。初日の絶体絶命っぷりが嘘みたいだな」
「まあね! これも手伝ってくれた皆のおかげだよ!!
これであの奇天烈な姉さんとはおさらばさ!!」
「……ちなみに、これまでの獲得点は?」
「え? 正確な点数はまだ帰って来てないから分からないけど……最後の世界史のテストも入れれば間違いなく1200点を越えるよ!!」
「そうか。頑張れよ」
「うん!!」
……そして一時間後……
「どうだった明久?」
「あれだけやったんだから、当然上手く行ったよな?」
僕と雄二が明久に話しかける。
「ああ、うん。大体上手くいったよ」
「……何か、歯切れが悪いな」
「まさか、前より悪かったって事は無いだろうな?」
「えっと、今までで一番良くできたよ?」
「それなら良かったじゃないか」
「よし、今日は打ち上げだな!!」
「そ、そうだね! アハハハハ!!」
……翌週、帰ってきた明久の答案の一番上には、こんな事が書いてあった……
クラス 紀元前
学生番号 334年
氏名 アレクサンドロス大王
……と。