バカ達と双子と学園生活   作:天星

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21 告白と隠蔽と

 風呂を終えて、今日はもう休む事になった。

 女子と男子に分かれてそれぞれの部屋で布団の準備をする。

 ……さて、彼ら彼女らは一体どんな話をしていたのか。

 

 

  ……優子side……

 

 

 今日は良い日だったな。久しぶりに明久くんとまともに話せたし。

 空凪くん曰く『付き合ってるのがバレたら明久が血祭りにされる』とかいう事で周囲には関係を隠してるわけだけど……まどろっこしいなぁ。

 っていうか、このメンバーの中でならバレても良いんじゃないかな? どうなんだろう?

 

 

「それじゃあ、もう寝ましょうか」

 全員が布団を敷き終えた所で姫路さんが言う。

「いーや、寝かせないヨ?」

 それに対して愛子が何かを企んでいるような様子で返答する。

「……愛子、何するの?」

「こういう時はコイバナって相場が決まってるでしょ!」

 決まってるのかなぁ……?

 話せる事なんてそんなに無いんだけどなぁ。

「……私は雄二のお嫁さんになる。絶対なる!!」

「ああ、うん、そうダネ~」

「私は秀吉くんが大好き!」

「光、それも知ってる」

 このヒト達の関係は少なくとも私たちの間では周知の事実だ。

 今更言われなくても分かってる。

「うぅ~、良いなぁ。2人には堂々と『好きだ!』って言える人が居て」

「島田さんには居ないのカナ?」

「一応気になる人は居るけど……恋愛って言うより単に信頼しているっていうか……

 あと、ウチの事は美波って呼び捨てで良いわよ」

「おっけ~。ボクも愛子で良いからね」

「わかったわ」

「それで美波、その信頼してる人って誰なのカナ~?」

「え? えっと、ぱ、パス!」

「え~? しょうがないなぁ……

 それじゃあ、姫路さんは?」

「あ、えっと、私も瑞希で良いですよ?」

「分かった。で?」

「い、言わなきゃダメですかね?」

「当然! 代表や光も言ったんだから!!」

 あの2人をカウントするのは卑怯なんじゃないかなぁ……?

「好きな人は居るのかな? さっきの反応だと、当然居るよネ」

「は、はい。居ます。居ますけど……だ、誰にも言わないで下さいね?」

「もちろんだよ! ここに居るメンバーだけの秘密だよ!」

「うぅぅぅ……それじゃあ言いますよ?

 私が好きなのは……

 

 ……吉井明久くんです」

 

「「……えっ?」」

「あれ? どうしました?」

「い、いや、なんでも無いヨ? ね、優子!」

「え、ええ。何でも、無い、わ」

「???」

 

 姫路さんは明久くんの事が好き……?

 じゃあ、もしかして私は……

 明久くんを横から奪い取ってしまっていた……?

 

「そ、それより、愛子ちゃんはどうなんですか?」

「え? ぼ、ボク? と、特に無いかなぁ……」

「じゃあ、木下さん、優子ちゃんは?」

「え、えっと……」

 ど、どうしよう? 言うべき? ここで言ってしまって良いの!?

「……と、特には無い……かなぁ……」

 

 言えなかった。

 ここで言うべきだったのかもしれない。

 けど、私には言えなかった。

 だって、明久くんの名前を出した時の姫路さんの顔は、とても嬉しそうだったから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……一方その頃……

 

 

「クックックッ、迷っているようだな明久」

(今僕達がやっている麻雀は3対1で得点を競う変則マッチ。

 そして現在の点差は61900点勝ちのオーラス、そして親は剣じゃない。これなら役満を和了られない限り大丈夫!!)

(相手はあの剣だからな。ドジんなよ明久!)

(分かってるって! 秀吉、剣の手の得点は?)

 

 剣の背後に立っている秀吉が明久たちにサインを送る。

 

(う~む……清一色(チンイツ)なので待ちが分かりにくいのじゃが、役満でない事は確かじゃ!)

(よし、それなら……)

「これでどうだ!!」

 

 明久が勢いよく牌(の代わりのカード)を場に叩きつける。

 

「ふむ、それで和了ったら僕の負けだ」

「でしょう?」

「だから……カン!」

「っ!!」

 

「もう一つカンだ。

 そして更にカン!!」

 

 剣が連続でカードを引いていく。

 そして……

 

「ツモ。嶺上開花(リンシャンカイホウ)混一色(ホンイツ)対々和(トイトイ)三暗刻(サンアンコ)三槓子(サンカンツ)(ナン)

 これで10翻。

 そして……康太。槓ドラを捲ってくれ

 大明槓の分は飛ばして」

「…………(ペー)(トン)

「では、ドラ3。数え役満は32000点。

 僕の勝ちだ」

「うぁぁぁぁああああ!!!」

「むぅぅ、済まぬ」

「仕方ないさ。相手が悪かった……」

 

 

 ……片方の部屋の空気が若干シリアスでも、勝手に楽しくやっていたようだ。

 

 ※ 麻雀のルールが分からない人は剣くんがまたとんでもない事やってるんだな~くらいの解釈で大丈夫です。


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