バカ達と双子と学園生活   作:天星

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10 場所

「……以上が学園長室であった事だ」

「なるほどね」

 ずいぶんと早い宣戦布告だなぁ……テスト開始まで大体1週間程度だから、開戦(テスト終了)まで2週間近くあるぞ。

「まあ大したことではないな」

「……言われてみればそれもそうか。

 別に戦争を挑まれたわけでもないし」

 戦争を挑まれたなら対応に追われるが、今回は別のクラスが勝手に戦争を始めただけだ。

 ……まぁ、今学期中にAクラスに挑む事はできなくなったが……2学期に仕掛ければ良いだろう。

 しっかし、あの根本に先手を取られるとはな。

「それより、面白い事言ってたな。システムのリセット?」

「ああ。そうそう。確かコレに詳細が……」

 そう言いながら渡されたのは一枚のプリントだ。

 えっと……何々?

 

[ 定期試験、及び特別な行事前の試験召喚戦争の禁止について ]

 

 どうやら延々と新しい校則について書いてあるようだ。

 定期テストだけじゃなくて清涼祭や体育祭の前も不可? まあ当然ではあるな。

 一番下に今回に限る特例としてシステムリセットについて書いてある。

 

[ システムリセットについて

 

 ・今回に限り、生徒の不満を和らげる為、試験召喚システムの一部のリセットを行う。

 ・召喚獣の装備に対してリセットを行い、期末試験の点数を参照して装備が決定される。

 ・召喚獣が保有する『腕輪』についてはリセットは行わずそのままとする。

 ・なお、意見・要望がある場合は各クラスの代表を通すこと            ]

 

「……なるほど」

 システムを完全にリセットするなら腕輪もリセットされるのかと思ったが、装備だけか。

 っていうか、最後の一文……

「要するに、何か言われたくなかったら各クラスできっちり説き伏せてくれって事か」

 代表がクラスの連中からの信用を失うってのはかなり痛手だからな。

 不満をぶつける為の窓口の係なんていうヘイトが集まる役職はできれば早々に終わらせたい。

「そうなるな。

 そういうわけだから軽く演説してくるわ」

「おう。頑張れ~」

 

 

  ……数分後……

 

 

 演説に特に問題は無く、生徒から不満の声が上がる事はなかった。

 まぁ、F教室ならともかくC教室を使ってるからな。もともとそこまでの不満は無かったようだ。

「で、えっと……何の話だっけか?」

「明久(仮)に地獄を見せてやろうという話だ」

「言い方が怖いよ!! っていうか今カッコカリって付けなかった!?」

「何言ってる。カッコカリカッコトジだ」

「どっちも変わんないよ!!」

 地獄も(仮)も事実だから仕方ない。

「そうだったな。そういう意味では今回の件は良かったな。

 勉強のメリットが一つ増えた」

「確かにそうだね。木刀だと攻撃を受け止める時になんか削れる気がするからね……」

「う~ん……金属製の装備が欲しいか」

 召喚獣の操作が上手い明久は相手の攻撃を躱すだけでなく武器で受け止める事も結構多いので武器の強度は結構重要になる。

 良い点を取ってもらわないと困る理由が増えたな。

「でもって、ここに居る連中は全員参加なんだが……良い場所は無いか?」

「全員っていうと、ひいふうみぃ……」

「7人だ」

「……多いな」

「ああ」

「……じゃあ、親が家に居ない明久の家は……」

「雄二、女子を連れていってこれ以上減点されたら僕が見るのは地獄じゃなくて転生した後の世界になるよ」

「そうだな。言ってみただけだ」

 広さという意味では結構良い場所なんだよな。

 明久の一人暮らしだったから『家の人に迷惑が~』みたいな事も無かったし。

 ん~……それじゃあ……

「秀吉の家はどうだ?」

「うぅむ……さすがにいきなりはマズいのじゃ」

「康太」

「…………親も居るし、兄弟も居る。そんなに広いスペースは取れない」

「島田は?」

「え? 葉月が居るからちょっと邪魔になっちゃうかな~?」

「姫路」

「え、えっと、男子を家に連れてくるのはちょっと……親に何て言われるか分からないので」

 う~む……こうやって考えると明久の一人暮らしってかなり有用だったんだな。

 自由に使える場所ってのはなくなってみるまで気づかないもんなんだな。

 

「じゃあ俺の家にするか。ちょうどお袋も温泉旅行に行ってるし」

「なんだ。良い場所があるじゃないか」

 最初から言ってくれりゃ良かったのに。

「7人だと少々手狭かもしれんがな。他に良い場所が無ければ仕方ないだろう」

「他に意見は無いか?」

 みんなに視線を投げかけてから少し待つ。

「……決まりのようだな。

 じゃ、放課後は雄二の家で勉強会って事で」


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