木下優子が、屋上で明久に告白していた時、それを影から見ていた人物が一人……
……剣side……
「ぜぇ、はぁ、ま、間に合った」
FFF団の戦闘能力はバカにできないなぁ……
あいつら相手に奥の手を使う羽目になるとは。
……しかし、ようやっとと言うべきか、木下姉が明久に告白か。
演技という名目とはいえ、一回告白させてみたのが効いたかな?
要因は他にもいくつかあるかもしれんが。
「……さて、荒れるなぁ……」
本人に悪気は無かったんだろうが……だからこそ厄介だ。
明久が無駄にフラグを立てたのは明久の責任ではあるが、その明久と木下姉がくっつくように手を回したのは僕だ。僕に可能な限りでフォローしないとな。
……まぁ、その辺を考えるのは後で良いや。
今は……
「ようお二人さん! おめでとう!」
「「っ!?」」
「そんな驚くなよ二人共」
「い、いいいいいつから居たのよ!?」
「安心しろ、ついさっき来た所だ」
「っていうかFFF団はどうしたの!?
いくら剣でも早すぎない!?」
「そんな事はどうでもいい。
それより、そろそろプロモーションビデオの撮影が終わる時刻だぞ?
あんまり秀吉を待たせると入れ替わりがバレるかもしれんぞ」
「え、もうそんな時間?」
「ああ。行ってこい」
「そうね。じゃ、吉井くん、また今度ね」
「うん!」
駆け足で屋上の扉を抜け、階段を降りていく木下姉。
後ろ姿だけでも幸せそうなオーラが見える。
……バレないと良いが……
「……明久、一つ質問がある」
「何?」
「お前、来年はどのクラスを目指すんだ?」
「……え?」
「木下姉と違うクラスで不満が無いのかと訊いているんだ」
「それは……確かに嫌だけど……」
「ならAクラスを目指せ。
木下姉なら風邪をこじらせでもしない限り来年もAクラスだろうからな」
「いやいやいやいや、僕なんかがAクラスに入れるわけ無いじゃんか」
「やる前から諦めるなよ。日本史に限った話ではあるが、お前はAクラスに届きそうな実力を持ってるんだからな」
「それはそうかもしれないけど……」
「……やるかやらないかはお前次第だ。健闘を祈る。
じゃ、教室に戻るぞ」
「……そうだね」
関係を築くという事は結構な労力がかかるが、それを維持する事にも同じくらいの労力がかかる。
明久がAクラスを目指す、木下姉と同じクラスになる努力を始めてくれれば、二人の関係はより堅固なものとなるだろうな。
二人の物語がどう動くのか。楽しみだ。