1人と1匹   作:takoyaki

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百八十九話です。


バトルです!



てなわけでどうぞ


泣きっ面に盾

「ホームズ!!ホームズ!!」

ローズの必死の叫びにも関わらず、ホームズが動く気配はない。

「そんな………」

「……()

自分のせいで壊滅的まで行ったホームズとの関係。

ようやく戻ったと思った矢先に起こった出来事にローズは、頭が真っ白になっていた。

「……(ーズ)!」

視界が狭まり何も聞こえない。

「ローズ!!」

突然ローズの両頬をレイアが両手で挟んだ。

狭まった視界が一気に開けた。

「レイア………」

「立って!」

「ホームズが……ホームズが………!!」

「このままじゃローズが死んじゃうでしょ!!」

レイアに一喝され、ローズの瞳に光が灯る。

「全部後だよ、ローズ」

ローズは、涙を無理矢理拭き取ると小さく頷く。

「…………分かった」

ローズが刀を引き抜き、マクスウェルに斬りかかる。

だが、盾に阻まれ進まない。

「だったら!!」

距離を取り刀を交差させる。

「省略!レイ!!」

光の雨がマクスウェルに降り注ぐ。

「……フン」

マクスウェルは、鼻で笑うと光の雨を盾で吹き飛ばす。

「まだまだ!」

ローズは、再び刀を合わせる。

「省略!ディバインストリーク!!」

放たれる光の大砲。

ホームズを苦しめたその術は、全てマクスウェルに降り注ぐ。

だが、マクスウェルには傷一つつかない。

「嘘でしょ。盾だけじゃ防げないはずよ……」

マクスウェルの周りに何か透明な壁が張られている。

「何……あれ?」

「恐らくマナの障壁でしょう………」

つまり盾とマナの障壁によりローズの攻撃が、届いていないのだ。

「ヨルさえいれば………」

「無いものねだったしかたねーぞ、ローズ!!」

アルヴィンのリリアル・オーブから光が一筋伸び、ローズのリリアル・オーブと繋がった。

「なるほど。そういうことね」

「そういうこった!」

アルヴィンは、大剣を振るう。

「ガードブレイカー!!」

アルヴィンのリンクサポートのガードブレイカーが発動する。

がんっという激しい音が鳴り響く。

だが、アルヴィンの大剣は、マクスウェルのマナの障壁を壊せなかった。

障壁を崩せなかった大剣は、刃こぼれを起こして弾き返された。

「嘘だろ………」

アルヴィンが驚いていると盾が襲いかかる。

「蒼破・追連!!」

ローズから放たれた蒼い斬撃が盾を弾き飛ばす。

「「ハァアアア!!」」

ジュードとレイアがアルヴィンとローズに気を取られているマクスウェルの後ろから攻撃を仕掛ける。

たが、それでも二人の攻撃は通らない。

「小賢しい!!」

そう言って二人の前に火の玉を用意する。

「レイア!ジュード!」

「フレアボム」

ローズの叫びを無視して火の玉は、破裂した。

「うぁあっ!」

「キャアっ!!」

爆発に巻き込まれた二人は、地面に投げ出される。

「ブラッディティム!!」

「ダイダルウェイブ!!」

エリーゼの精霊術とローエンの精霊が二つ同時にミュゼに放たれた。

ローエンは、僅かな期待を込めて目の前のマクスウェルを見る。

だが、マクスウェルには傷一つ付いていない。

「それが、お前たちの精霊術か?」

マクスウェルは、両手を広げ、両人差し指と両親指を合わせ、菱形を作る。

「ならば見せてやろう。精霊術とはこういうものだ」

込められるマナ。

温度は上がっていくがそれと同時にローズに寒気が走る。

「んなもの!発動させるわけないでしょ!!」

ローズが、腰に刀を納め一気に駆け出し、勢いそのままに抜刀する。

抜刀された刀は、障壁とぶつかり合いキンという甲高い音共に真っ二つに折れ、空を舞う。

「嘘でしょ………」

ありえない光景にローズは、思わず息を飲む。

「レイジングサン」

マクスウェルの厳かな声と共に真っ赤に燃え盛る球体が現れた。

それはまさに太陽と呼ぶに相応しい姿だ。

「ローズ!!」

ジュードがローズを抱えて後ろに下がる。

ローズがいた場所に落ちた太陽は、あたりに炎の波を広げていく。

「皆さん!私の周りに!」

ローエンの指示で皆はローエンの周りに集まる。

「ダイダルウェブ!!」

ローエンを中心に水が渦を巻く。

アルヴィンは、銃と大剣を合体させ、水に突っ込む。

「ちょっと冷たいけど我慢しろよ!」

その言葉と共に大剣が冷気を纏う。

「守護氷槍陣!!」

水を凍らせ炎を纏う盾とする。

氷と炎のぶつかり合い。

氷は一瞬で水蒸気となって消えた。

威力は、衰えた。

だが、炎まだ健在だ。

「守護方陣」

地面に刀を突き立てローズが光の陣を展開させる。

なんとか、五人を囲うことは出来た。

だが、炎は迫り来る。

「─────んぐぐぐぐぐ!」

歯を食いしばり耐え続けるが、炎の勢いは、止まらない。

そして遂にローズの守護方陣が破られた。

「!!」

迫り来る炎に面々は、飲まれた。

マクスウェルは、鼻で笑うとその場をくるりと踵を返す。

「何がおかしいの?」

炎が消えて現れたのは、ローズ達だ。

マクスウェルは、振り返る。

「…………マジックガードか………」

納得したようにマクスウェルは、呟く。

「えぇ。ローズさんとアルヴィンさんの時間稼ぎのお陰でなんとか間に合いました」

ローエンの言葉と同時にエリーゼの精霊術が完成し、火傷を癒していく。

ローズは、その黒い瞳を鋭くすると両手を合わせる。

「獅子戦哮・氷牙!!」

ローズから放たれた氷の獅子が、マクスウェルに向かって齧りつく。

しかし、これも攻撃が通らない。

「いい加減に出てこいってのよ、この引きこもり………」

ローズは、忌々しそうに睨みつける。

このマナの障壁もヨルが入ればどうということは、なかったのだろう。

ローズは、ホームズの方に向きそうな視線を堪える。

ジュードは、マクスウェルを見据える。

「まだやるのか………」

「当然だよ」

「……人間というのは、本当に愚かだな」

マクスウェルの言葉にジュードは、目を鋭くする。

「ミラとホームズを歯車と呼び、人の命を駒のように使うあなたなんかに……!」

ジュードは、拳を固めマナの障壁を殴り付ける。

「人間を語る資格なんてない!!」

マナの障壁とジュードの拳がぶつかり合う。

響き渡る轟音。

だが、やはり障壁は通らない。

「みんな……悩んで、迷って、それでも前に進んでいるんだ!!それをあなたなんかが馬鹿にする資格なんてない!!」

ジュードの言葉を聞いたマクスウェルは、フンと鼻で笑う。

「あれだけ長い期間シャドウもどきといながら殺せなかったお前達が、よく言う」

「もどきって言わないでください!!」

『ヨルはヨルだよー!!』

エリーゼの杖からマナの球が飛ばす。

だが、マナの障壁はそれを通さない。

マクスウェルは、エリーゼ達の言葉を鼻で笑うと両手の人差し指と親指を合わせてひし形ののぞき窓のようなを物を作る。

「実際に何度もお前たちは、あのエレンピオス人とシャドウもどき(ヽヽヽ)を追い詰めている」

展開されるマナの量にジュード達は思わず身構える。

「それだけのチャンスがおまえたちには、ありながら一度も有効に使えなかった」

その言葉が出た瞬間、ローズの拳が握り締められる。

「そして、挙句私に勝てると思っている。これを愚かと呼ばずに何と呼ぶ!」

マクスウェルから展開されるマナは、時計の文字盤と針をかたどる。

「アレは…………!」

 

 

 

 

 

─────『最強の精霊術?んなもの一つしかねーよ』──────

 

 

 

 

ローズの脳裏にマーロウの言葉が蘇る。

────『まあ、天才や秀才程度じゃ使えない代物だけどな』────

 

 

 

 

 

 

 

天才や秀才程度では使えない精霊術。

だが、目の前にいるモノは、それら全てを超越した存在だ。

「ヤバイ!みんな!アレは………」

ローズの言葉にマクスウェルは、淡々と口を開く。

遅い(丶丶丶)

時計の針がⅫの文字で止まる。

 

 

 

 










ゲーム上だと厄介な技程度ですが、実際これを使われればどうしようもないです。
どこぞの三部のラスボスの能力ですからね。



では、また百九十話で( ´ ▽ ` )ノ

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