境界線上の守り刀   作:陽紅

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三章 決戦前の支度場 【直前】

 

 

 時間は一気に飛んで、放課後。緊急事態と言うこともあり、時間短縮で進められた一日の授業はすべて終わり……放課後とは言えないような早い時間、再び一同は集まっていた。

 空を割り、去って行く艦は清武田のもの。義経と佐藤兄弟らが乗船している。見送りを、それに合わせて意識を戦時のものへと切り替えようと言うのだろう。

 

 

 

 ――それを遠目に、酒井は若干顔をしかめつつ、静かにつぶやいた。

 

 

「やり切れないねぇ本当……あの若さであれだけの覚悟を背負っているなんて。――それにあんな覚悟を背負って、彼は武蔵に……止水に会いに武蔵まで来たのか」

 

「先程の義頼様ですか。――以上」

 

 

 傍に立つ武蔵の言葉に酒井は返さず……湯飲みの茶をひと啜りした。

 

 そのまま沈黙を肯定とし、視線も移さない。

 

 

 

「止水には……まあ、内緒なんだろうね。あいつが知ったら、絶対止める。何が何でも……それこそ力に訴え、刀を抜いてでも……止水は義頼君を止める」

 

「だからこそ、酒井様に直接話を持ってきたのでしょう。――以上。……それで、どうなさるおつもりですか? ――以上」

 

 

 湯飲みの中の、多少減った茶を見つめ――次いで、少し仰け反るように、空を。

 

 

 

「俺、止水に恨まれないかなぁ……?」

 

 

 

 ――それだけが、酒井の作業の手を減速させる要因だった。

 

 

 

***

 

 

 

「むむむ、むむむーむむむむいむめめもみーんむめーま?」

 

「なに言ってるのか分からないからスルーするね?」

 

 

 

 

 鎖蓑虫。

 

 

 ――そろそろ、その単語で検索すれば『=止水』となっていそうなくらいに馴染んでいるその姿。それに加えて、今回は結構真面目な猿轡を咬まされているようで、彼の発しただろう言葉はほぼ押し殺されたマ行のみのセリフとなっている。

 

 ちなみに、目覚まし絶叫のほぼ直後から止水は銀鎖によって鎖蓑虫になっている。運搬はネイト――が諸々の理由で固辞したので、ペルソナ君が担当していた。朝からなので当然授業中も蓑虫状態である。御高説の際にはオリオトライに椅子代わりにされたこと以外特に何事もなく。

 

 

(……俺、そんなに変なこと言ったかなぁ……)

 

 

 

 ……ジャラリ、と。

 そんな事を仰向けの状態で、空を眺めながら考える。ただ十五分、一国と一人で戦うと言っただけなにのに――と本気で思っているあたり、彼も処置無し側の人間だ。

 

 

 

 先の英国――アルマダ海戦で何もできなかったから、という思いがない……わけでは、ない。

 

 海戦の最後に王賜剣・一型とド派手な決戦をしたにも関わらず『何も出来なかった』の自己評価には他方から色々と物申されるかもしれないが、『武蔵の守り刀として』――という止水の立場から見れば、彼は実際何もしていない。

 

 ――武蔵がアルマダ海戦で生き残れたのは、一重に、アデーレを筆頭にした面々が死力を尽くしてくれたからだ。

 

 

 だからこそ止水は、次の戦では己が前面に立って戦う必要があると考えた。守り戦う、それは他でもない自分の役目なのだ。アルマダでの傷が癒え切っていない武蔵を、守る。

 

 そう心に決めて、やって来た強国との戦――それも武蔵の『外』が戦場になるのだという。止水は被害云々を気にすることなく…気兼ねなく全力で戦うことができる。

 

 

 その上、十五分――義経が何故その条件を出したか定かではないが、それだけ守って凌げばいいのだ。大勢で出るよりも止水一人の方が撤退も手早く確実に済むだろう。

 

 

 

 ……などなど、止水も珍しく……本当に珍しく、色々と考えたのだ。

 

 しかし、説明の機会は今の所ない。見送りつつ、六護式仏蘭西との抗争に向けたあれやこれを話し合う正純やネシンバラを見ることしかできないのだ。

 

 

 

 

「むむむもんまぁ……」

 

「これだもんなぁ、って言ったさね今。――まあ、しょうがないさ止めの字。アンタの日頃の行いってヤツさ」

 

 

 そう苦笑してキセルをひと吹きするのは、鎖蓑虫の腹に腰を下ろしている直政だ。……銀鎖に直接は流石に痛い上に(銀鎖に対して)気が引けるので、一声掛けてその場所だけ意図的に空けさせているのだが。

 

 

「……しかし止めの字、これ腹筋か? ボコボコした鉄板に座ってるとしか思えないんだけど」

「むう?」

 

 

 硬さが鎖と大差がない。温度差が人肌か金属かの違いだけだ。

 

 鍛えた――鍛え抜いてなお、更に。その結果なのだろう。英国でのあらましを聞くところ、二万五千を超える刀の重量負荷を己に課しているという。

 

 

(……ふむ)

 

 

 

 ふと気になり通神を開く。検索と、傍らには計算の表示枠だ。

 

 

 検索の結果、平均的な刀の重量は1〜1.5kgらしい。止水の所有する刀は短い短刀や脇差、長大な大太刀もあるが、この際は省くとして。

 

 単純計算で、 1.5 掛ける事の 25000。

 

 

 

「……あれ?」

 

「んーふふ? なおんふ」

 

 

 

 簡単な計算だ。それも計算機を使っているのだから、 間違えようがない。これで間違えていたら、相当な赤っ恥ものである。

 

 ――だからこそ、直政は率直な疑問を抱いた。

 

 

 ……計算が、合わないのである。

 

 

 

「……おい止めの字。アンタ、まさかまだなんか」

 

 

 

 隠してるんじゃないだろうね? ――そう、問いかけようとして。

 

 

 

 

「おお、なんじゃなんじゃ雁首揃えおって。ワシの見送りか? 愛いやつらよのぅ。そんなにワシの事が好きかそーかそーか」

 

 

 

 やってきた義経によって、その問いかけは食われた。

 

 

 

***

 

 

 

「「「いや、別に」」」

 

「なんじゃとぉー!?」

 

 

 自然に問われ、だからこそ自然に(武蔵流に)答え……武蔵の芸風に未だ慣れない義経が猛って――ようやく思う、あれ? というその疑問。

 

 

 ――なぜ、武蔵(ここ)にいる?

 

 猛り怒る彼女を見て、そして、集まって見送っていた清武田の仙雲艦を見る。術式によって集めた雲を艦とする、孫悟空の筋斗雲をそのままイメージしてもらえれば問題ないだろう。清武田の誇る高速艦だ。

 

 つい先ほどまで彼女はその艦上にいた。……確かに、乗艦していたはずなのだ。だが、なのに義経はいま目の前にいる。

 

 目測でも仙雲艦と武蔵との間は優に100メートル以上は離れており、今も少しずつだが遠ざかっていた。

 

 

 向こうの艦上では、小さくなってもわかりやすい佐藤兄弟がなにやら叫び、必死の全身ジェスチャーで義経に何かを伝えようとしていて――右の佐藤の拳が左の佐藤の顔面を強打して、取っ組み合いを始めている。

 

 

 

「跳んで、きたのか。この距離を……」

 

「当たり前じゃろ。オンシにはワシに翼でもあるよーに見えるのか?」

 

 

 あるように見えないから驚いているんだ、と正純が半眼で見返す。

 

 源 義経――数あるかの武将の伝説の中で、こと、跳躍に関する物が一つある。

 

 

「八艘跳び、か」

 

 

 天狗の逸話と共に語られるその跳躍。船上での戦の折、義経が難を逃れる際に見せたという大跳躍である。現代においては八艘どころの距離ではないが、『()()の間を跳んだ』ということに変わりはないだろう。

 

 ――似たようなことを時折している身内がいなければ、正純たちはもっと驚いていたのだろう。……教導院前の長い階段で人外跳躍を日頃から見ているし、何人かはその背に乗って運搬されたこともあるので、『こいつも同類か』という感想くらいしか抱いていなかった。

 

 

「たまに着地ミスって誰ぞの何処ぞに膝とか突くが、結構便利でなぁこれが」

 

 

 ……気づけば、梅組の面々は正純から距離を取るようにしてジリジリと離れている。逃げたと思うか任されたと思うのかは、それぞれの度量次第だろう。――不機嫌そうな正純が何方であるかは、敢えて言及はしないでおくとして。

 

 

(まあ、面識あるの私くらいだしな……)

 

 

 昨日はもう何人か一緒にいたが、全裸なバカは文明的な会話が出来るとは思えない。現在鎖蓑虫になっているバカは現在発言の自由を封じている。ナルゼは……我関せずで高速のペン捌きでネームを切っている。視線が義経・正純・止水を順に何度か往復しているので、あとで問い詰めるとしよう。

 

 

「……去り際に、何か用か? 義経公」

 

「うむ。そうじゃ……いやなに、大した用ではないんじゃがな? 二つ三つ、ふと思ったのよ。まず――ワシ、オンシの名前を聞いとらんなぁ、と」

 

 

 

 

あさま『今の一言で、昨日の非公式会談がどれだけ野生なものだったかわかる気がしますねぇ……』

 

賢姉様『フフフ、そもそも総長兼生徒会長に相手の総長兼生徒会長の頭の上にコカーン乗せろって指示した副会長がいるのよ? 自己紹介よりもコカーン。淫らよ素敵……!』

 

 

 アレはバカがやったことだ……! と言い返したいが、それもあとだと正純は心を落ち着かせる。――思い返せば、確かに名乗っていない。義経も正純も情報としては知っているが、正純のほうは名乗っていなかった。

 

 ……名乗らずは、確かに無礼だ。

 

 

 

「……昨夜は失礼した。義経公。武蔵アリアダスト教導院生徒会副会長、本多 正純だ」

 

「うむ。その名、確かに受け取った。……で、一個聞きたいんじゃがの。あれは、オンシら誰かの趣味か? それとも、止水の趣向か?」

 

 

 あれ、と言いつつ義経が指さしたのは、ペルソナ君に運送されて距離をとった鎖蓑虫だ。おそらく運搬側のうっかりなのだろう、頭が下になったので蓑虫がもがいている。

 

 

「……あれは、まあ、当人の意思ではない。このあとの六護式仏蘭西との抗争で、『一人で戦う』とかバカ言い出したのでな」

 

「あー、その辺も桜枴(あの阿呆)と同じかぁ――血は争えんのぅ」

 

 

 今度は義経が半眼になる。その様はどう見ても呆れていて――だが、その呆れの中に僅かだが……嬉しそうなものがあるのを正純は見ていた。

 

 

(好き、だったのかな。その時の、桜枴という守り刀のことが……)

 

 

 無粋な思考だ、と正純は思う。だが、義経は一族の子孫にだけ継承されるという心刀を渡されているのだ。

 

 ――邪推するな、というのが無理な話だろう。

 

 

 

「……羨ましいの。ワシぁ終ぞ、あの阿呆と轡を並べることができんかった。

 

 ――大体早えんじゃよあの阿呆。それに戦場での嗅覚がもう獣超えてケダモノでの? 奇襲に大慌てで戦支度しておったら『おわっちょるぞー』と敵軍張っ倒して大将鹵獲しておってのう」

 

 

 一同の視線が止水に殺到する。頭を正位置に戻されてホッとしているところへ、まさかの追撃だ。

 

 ブンブンと唯一動く首を振って必死に否定する。それ俺じゃない俺のご先祖、と声が出せたなら張り上げていたに違いない。

 

 

 その様子に笑みを浮かべ、一頻り笑い――そのまま、眉が八の字の山を描く。

 

 

 

 

「まあ、そして……幾度も幾度も、ワシは守られた。……奴の刀、心刀とは知らんかったが……あれは、交換させられたんじゃ。ワシの持っとった『今剣(いまのつるぎ)』とのぉ」

 

 

 懐古に目を細める義経の言葉に――息を飲む音が、数人分。

 

 

銀 狼『今剣……たしか、義経公が自刃の際に用いた短刀、ですわよね……?』

 

未熟者『Jud. 偶然かどうかはわからないけど、義経公の"守り刀"だよ。……義経公の命を絶つ守り刀と自分の刀を交換した……させたってことは……。

 

 ――ごめん。ちょっと、言葉でないや』

 

 

 

 ネシンバラはその意味を理解し――身体を震わせ、そして、心を奮わせた。

 

 

 想像は容易くできる。きっと、その桜枴という一刀は笑っていたのだろう。笑いながら刀を奪い、笑いながら刀を置いていったのだ。

 

 そして、きっと今も、笑っているはずだ。

 

 

 ――史実では頼朝に疎まれた義経はその最期、妻子と共に自刃する。だが、自刃に使われるはずだった今剣はすり替えられて、その再現を果たさなかった。

 そして、時が流れ――重奏統合。あの日、義経は一族の招集を行い、結果、義経は守られた。

 

 

 一人の守り刀の男が守り抜いた……守りきった、一人の命。

 

 それが語る。自分が成したかった……けれど成せなかったことを。

 

 

()()を行かせろ正純。此奴らはな、縛ろう縛ろうとするだけ無茶になって無理に走る。じゃから逆に、突っ走らせよ。そんで後に続いて行けば良い」

 

 

 視線が止水、そして止水を持つペルソナ君に集中する。二人揃って首をかしげるところを眺め、一同は苦笑を浮かべた。

 

 

「……一応その意見は覚えておこう。望むものが見れるかどうかはわからないが――相応に期待をしていてくれ」

 

「うむ。見物させてもらおうかの。――っと、いかん。一つ目に時間をかけすぎたわ。二つ目と三つ目を一緒に言うから忘れるでないぞ?」

 

 

 仙雲艦との距離がそろそろ二百メートルに近づいてきているのを確認し、義経は少し焦ったように言葉を早めた。

 

 

「末世――公主隠しと、そこに現れる二境紋……ほれ、武蔵ではなんぞ、エロマークの書き損じって言われとるやつじゃ」

 

「言ってないからな? 言っているのは武蔵じゃなくて武蔵にいる馬鹿とその姉だからな? そこのところを勘違いしないでくれ頼むから――って言うか誰だそんな報告した奴!」

 

 

 正純は睨むと雲の上の仙人二人がドタバタと隠れていた。近場では狂人姉弟がハイタッチをしつつ「どうだ!」と言わんばかりのドヤ顔をしているのがまた腹立たしい。

 

 

「クフフ! とうとう世界がこの私に準じてきたわね! そうよエロマークは世界共通! くっくっく、ど、どうせ公主隠しだってホラーじゃなくてエロいことやろうとして人に見られて恥ずかしがって雲隠れしてるだけなんだから! つまり浅間みたいな優柔不断ムッツリエロスが次のターゲットよ!」

 

「だ、誰が優柔不断ですか!? ……あ、違う誰がムッツリエロスですか!? そういうなら喜美こそ狙われてるんじゃないで――」

 

「きこえなーい! わたしは何もきこえなーい!! ……止水のおバカ! ちょっと鎖広げなさい私も入るから! ホラはやく!?」

 

 

 ペルソナ君が喜美の勢いに驚いて止水を手放し、支えを失った止水はそのまま倒れて顔面を強打。そこに喜美が馬乗りになるまでがワンセット。

 

 

 

「……人型の騒音共は無視して、何を教えてくれるんだ? ……いや、どんな情報でもほとんど無知の私達には有り難いことなんだが」

 

「需要と供給が整っておるのぅ。――さて、テキトーなりにワシが個人的に調べたモノのなかに、いくつか見知ったものがあるんじゃ。

 

 ――ハーメルン。笛吹き男は知っておろう?」

 

 

 正純が横目の視線をネシンバラに送る。送られた側は小さく頷き、全員へ情報を共有するために表示枠を開いた。

 

 

 

未熟者『――さて、何から説明すればいいかな』

 

俺  『わかりやすく』

マル画『三行かつ』

眼 鏡『愛を込めてね?』

 

 

 最後のはどうだろうと正純が思う中、目の前の義経が背を向け、咳払い一つ。

 

 

 

「――通りませ 通りませ

 行かば 何処が細道なれば

 天神元へと 至る細道

 御意見御無用 通れぬとても

 

 魂八つの 御祝いに

 両の御力 納めに参ず

 

 行きはよいなぎ 帰りはこわき

 我が中こわきの 通しかな――。

 

 ……分かるか? 誰かは知らんが極東中に広め、しかし多様にアレンジされたこの歌の意味。これを笛吹き男が奏でたと考えよ」

 

 

 謡い、歌い終えて、問う。

 

 

「ハーメルンの笛吹き男と、公主隠しが同一だと言うのかい?」

 

「違うじゃろうのぅ。じゃが、しかし限りなく近似じゃ。――ハーメルンと同様の事件で連れ去られかけた子供らは、皆こう言っておる」

 

 

 『霧の中、真っ直ぐな道が続いていて、怖くなって帰ってきた』

 

 

「真っ直ぐな、道……?」

 

「Tes. あるじゃろう? エロマークの書き損じにも……円を貫く一本線が。あれがもし道だどするなら、色々と説明がつく。古来より、神隠しには『道』と『導き手』はセットだったからのぅ」

 

「……つまり、義経公。貴女はまさか、こう言いたいのか? 『公主隠しは怪奇現象などではなく、意志ある何者かによって行われている』と」

 

 

 呼吸が浅く……鼓動が早くなる。義経が言う通りならば、正純の母は、何者かに連れ去られたということになる。

 

 拳が作られ、硬く握られる。――振り返って背を見せている義経は、それを見ることはなかった。

 

 

「少なくとも公主隠しは無差別ではない。地方かなにかわからんが、ある程度の基準がある様じゃから、何かしらの意思はあるじゃろ」

 

 

 そして。

 

 

「おそらく、この件に関して解を得たか、限りなく真実に近付いておったのが、三河で盛大にやらかしおった松平の小僧よ。

 奴が今際の際に世界へと存在を明告した守り刀の一族も、なんらかの形で関わっているじゃろう。……でなければ、世界各国に狙えと言わんばかりのあのセリフに説明がつかん」

 

「……それを、唯一の血縁者である止水が何も知らない、というのが……やるせない事この上ないな」

 

 

 三河、英国と――守り刀が重要な手掛かりであるという情報を掴んでいるのに、それが何なのかがわからない。それが、なんとも歯痒かった。

 

 燻りに顔を歪める正純だが、その燻りこそ義経は望んでいた。まだ燃えていないが、十分に燃え盛り大火となる種火がそこにはあったから。

 

 

「カカ。まあ、その辺も追々わかってこよう。そして、その追々のためにもまずはこの大戦……

 

 

 

 ――生き延びてみよ、武蔵の小童ども!

 

 

 

 

 

 

 ――そうして、時計の針は止まらず進み――その時は刻一刻と近付いていく。

 

 

 

 武蔵勢、約七百名。

 

 六護式仏蘭西勢、約三千名。

 

 

 人数的戦力差およそ四倍弱、兵器的戦力差に至っては数十倍にもなるだろう。

 

 

 

 

 ――誰も知らない、大きな分岐点となる大戦の開幕は――目前に迫っていた。

 

 

 

 

 




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