IS~インフィニット・ストラトス~  電子の妖精   作:ポコ

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 遅くなりました。ektra2からは2か月半。本編46話からは4か月以上経ってしまいました。待ってくれてた方は申し訳ないです。話がひと段落ついたので、ついついネギまやTOAの方に意識が向いてしまい。

 本作の箒の扱いについて少し思うところがあったので、箒アンチ系のタグを外しました。別に現時点ではアンチという程じゃないと思いますし。ただの原作通りの箒。で、活動報告の方に今後の箒の扱いについて書いたんで、気になる方はそっちを見て下さい。


第47話 愛称呼びって恥ずかしいです

 こんにちは、ルリです。以前から随分と間が空いてしまいましたね。作者はバカなんで、適当に長い目で見てあげて下さい。ただ、催促はした方が良いかもしれません。気が付くとあちこちに目移りしてるバカなので。最近はメタルマックス3や艦こればかり……けふん。今は関係ないですね。

 デュノアさんのお話は前回でほぼ終わったので、今回からはタッグマッチです。私のパートナーは誰になるんでしょうか。まぁ、皆さんだいたい予想は付いてると思うけど……じゃあ、本編です。

 

 

 ――――――――――

 

 

 ――side ルリ――

 

 

 デュノアさんの問題についての話し合い……話し合い? が、済んだ翌日の朝。何故か部屋まで呼びにきた一夏さんとデュノアさんと一緒に教室まで行くことになりました。お姉ちゃんは日直らしく、私が着替え終わる頃には先に行っちゃいました。……別に寂しくなんかないし。そこまで子供じゃないです。

 

「じゃあデュノアさんは、トーナメントが終わるくらいまでは男装で過ごすんですね」

「うん。篠ノ之博士がなんとかしてくれるって言っても、色々と手続きがあるんだって」

 

 2人が態々部屋まで呼びにきたのは、昨日の話の顛末を教えに来てくれたみたいです。一夏さんの部屋でのお話の後、妙に良い笑顔の楯無さんに「それじゃあ善は急げよね!」って言われ、襟を掴まれてどこかに連行されていったから、少し気になってたし有難いです。何故かお母さんも付いて行ったし……2人ともどこか草臥れてるのを見たら、だいたい何があったかは想像がつくけど。

 私のどこか憐れむような視線に気付いたのか、一夏さんが苦笑いしながら昨日何があったかを教えてくれました。いえ、別にそこまで知りたいわけじゃないんだけど。

 

「あの後、楯無さんが俺達を引きずりながら束さんに千冬姉に連絡するよう言ってさぁ……そしたら何でか理事長室まで連れて行かれて」

「あ、もう良いです。大体わかりましたから」

「最後まで聞いてくれよ!?」

「疲れそうな話だからイヤです」

「いや、そうだけどさぁ……」

 

 どうせ千冬姉さんに散々怒られた上に、お母さんにからかわれまくったんだろうし。で、理事長とも話をつけて、これからの事を纏めたんでしょ。理事長がどんな人かは知らないけど、お母さんや千冬姉さんに主導権を握られたらどうしようもないだろうし。

 

「あはは……一夏もホシノさんには頭が上がらないんだね」

「ルリに頭が上がる奴なんていないだろ。 シャルだってきっとそうなるさ……!」

「あー……まぁ、そうかもね」

「……何だか不本意な扱いをされてる気がします」

 

 その言い方だと、まるで私が暴君みたいに聞こえちゃうじゃないですか。まったく、失礼な。……って、あれ?

 

「一夏さん。シャルって誰ですか?」

「ん? あぁ、シャルロ……シャルルの愛称だよ。まだシャルロットって呼んだらダメだし、シャルルは偽名だからあまり呼ばれたくないらしいし、デュノアなんてのも他人行儀だろ?

 だからシャルって呼ぶ事にしたんだ。これならシャルルでもシャルロットでも付けれる愛称だから人前で呼んでも平気だし、シャルロットも気に入ってくれたからな!」

「……へぇー」

 

 気に入ってくれた、ですか。愛称自体が嬉しかったのか、それとも一夏さんが付けてくれた愛称だから嬉しかったのか、どっちかな。

 そう思ってデュノアさんの方へ眼を向けると、視線の意味に気付いたのか頬を赤く染めて焦ったようにオドオドし始めた。これはもう確定。……デュノア社の人達は、デュノアさんがスパイをやれると本気で思ってたのかな。

 

「……な、何かなホシノさん?」

「いえ、別に。ただ、また誰かさんの鈍感対策会議を開かなきゃと思っただけです」

「え。その誰かさんって……」

「さぁ、誰でしょう? 別に誰かさんの事が好きじゃない人なら、関係ない話です」

「う、うぅ~!」

「ん? 2人で何の話してるんだ?」

「な、何でもないよっ!」

 

 私の返答に不満げなデュノアさんだったけど、一夏さんが話に入ってくると慌てて話を逸らしました。箒さんに強力なライバルが出来ちゃった……どうなるかな?

 

「なぁシャル。何でルリの事をホシノさんって呼んでるんだ?」

「え? いきなりどうしたの一夏」

「いや、最初はあまり話したことがないからだと思ってたけどさ。昨日から結構話してるし、今だってなんか仲良さそうにしてたじゃんか。なのに、何でまだ苗字呼びなんだろうなーって」

「え、えっと……」

 

 いきなりの一夏さんの発言に、また落ち着きがなくなったデュノアさん。私をチラチラ見るのは止めて欲しいんだけど……まぁいっか。

 

「別にルリで良いですよ」

「え……い、良いの?」

「はい。デュノアさんにはお母さんが迷惑をかけたみたいですし、これからも色々とありそうですから」

「迷惑なんてそんな! ボクの方こそ、ホシノさんにも篠ノ之博士にも助けてもらってばかりで……!」

「ルリで良いです。それにデュノアさんの事については、お母さんが自発的にした事ですから、気にしないで良いです」

「でも、ボクの我儘で余計な手間をかけさせちゃったし……」

 

 デュノアさん、まだ昨日のネガティブ思考が残ってるみたいです……ちょっとイライラしてきました。いくらなんでも引きずりすぎ。

 

「デュノアさん。いい加減にして下さい。私もお母さんも、勿論一夏さんや楯無さんだって、自分がしたい事をしただけです」

「う……でも…」

「ルリの言う通りだ。シャルはもっと前向きに行こうぜ!」

「一夏…………うん、ありがとう。ホ……ルリもありがとうね」

 

 一夏さんにも言われて、ようやく少し落ち着いたみたい。やっぱし好きな人からの言葉だと違うのかな。

 

「はい。デュノアさんが元気になれたなら良かったです」

「うん!」

「あれ。ルリはシャルの事を名前で呼ばないのか?」

「……はい?」

「あ、ホントだね。ボクだけ名前で呼ばせてルリは呼んでくれないなんて、酷いと思うな」

「え、だって今はデュノアさんを名前で呼んだらダメじゃないですか」

 

 2人とも何を言ってるんだろ。一夏さんがさっき自分で言った事なのに。

 私の怪訝そうな目線を意にも介さず、2人は顔を見合わせると、妙に良い笑顔で私に向き直りました。何だか嫌な予感が……。

 

「ああ。だから、ルリも俺みたいに『シャル』って呼んだらいいだろ?」

「うん。ボクもルリにそう呼んで貰えたら嬉しいな」

「…………え」

 

 ………………シャルって呼んで欲しい? え、えっと、という事はつまり……。

 

「……愛称呼びですか?」

「おう!」

「うん!」

 

 愛称呼び……初めてです。ちょっと緊張するし、恥ずかしいからあまり呼びたくないけど。デュノアさんは今は名前じゃ呼べないし……。

 

「……デュノアさんを名前で呼んでも良くなったら名前で呼ぶっていうのは」

「「ダメ(だ)」」

 

 笑顔で断られていまいました……言うしかないかな。

 

「じゃあ、その……」

「うん!」

 

 なんでそんなに嬉しそうに待ち構えてるんだろ。そんな顔されたら、呼ぶしかなくなっちゃいます。

 

「……シャル、さん」

「「…………」」

 

 やっぱり恥ずかしい……慣れない事はするもんじゃないです。今、絶対に顔が赤くなっちゃってると思う。

 というか、何で2人とも何も言わないんだろ。恥ずかしいのを我慢して呼んだのに、何も反応が無いとか失礼すぎ――――。

 

「可愛いぃ~!」

「っ!?」

 

 い、いきなりシャルさんに抱き着かれた? 何でこうなったの!?

 突然の事に戸惑いを隠せず、思わず一夏さんに助けを求めようと……。

 

「くそっ……何で俺には良い愛称が無いんだ!」

 

 あ、ダメですこれ。何でかシャルさんを悔しそうに見つめてます。愛称呼びだけで何でこんな大騒ぎになるんだろ。

 

 結局シャルさんに抱きしめられたまま、教室まで運ばれちゃいました。その様子を見てクラスの人達が羨ましそうな目で私達を見てきたり、意味はよく分からないけど「ホシノさんが織斑君からデュノア君を寝取った!?」なんて言う人もいたり……うちのクラスは騒がしすぎです。千冬姉さんが騒いでる人達を鎮圧するまで、この騒ぎは収まりませんでした……バカばっか。

 

 

 ――――――――

 

 

――side 千冬――

 

 

 まったく、こっちは昨日からデュノアの編入手続のやり直しで忙しいというのに、この馬鹿共は……。まぁ、デュノアがルリを抱きしめてきたというなら、騒ぐのも仕方のない事かもしれんが。……一夏もその場にいたというし、後で何があったかを問い詰めなければ。

 

「さてと、だ。授業の前に重要な報せがある」

 

 私が一言そう言い放つと、先程までの浮ついた雰囲気は鳴りを潜め、全員が私の言葉を一言も聞き漏らすまいと真剣な表情になった。うむ、私のクラスなのだから、これくらいはやってもらわねばな。

 

「その重要な報せとは――――学年別トーナメントについてだ」

 

 続く私の言葉に、生徒達の反応は少々分かれた。より真剣な目つきになった者達は、全力でトーナメントに挑むつもりの者達だな。逆に気を抜いた者達は整備課志望の者達か、どうせ勝ち進めるわけがないと諦めている者達か。

 特に気になる反応の者は……ウチの駄弟は周囲の雰囲気が変わった事に戸惑うだけのようだが。ルリは――――何か妙に真剣な表情だな。トーナメントで勝ち進みたいのか? ルリが戦闘に興味があるとは思えんが……まぁ良い。後で聞くとしよう。布仏はいつも通りの飄々とした雰囲気で、よく分からん。更識姉によると、あのような態度でも、本人は真剣そのものという事がよくあるらしいからな。

 さて、最も気になるのは篠ノ之だな。何があったかはしらんが、トーナメントの話題を出した途端に何とも言えん表情になった。何か思うところがあるのだろうが、どうしたものか……まぁ危うい雰囲気ではないし、問題は起こさんだろう。

 

「今年の学年別トーナメントは例年通り1対1の予定だったのだが。今年は2人も男子が入学してくるというイレギュラーがあった。その男子があっさり負けては色々と問題があるのでな。と、別に男子を勝たせろというわけではないから早とちりするなよ?」

 

 私の言葉をそのまま受け取ったのか、少し雰囲気が暗くなってしまった。まぁ、今の言い方ではそう取られても仕方ないか。

 

「無論、トーナメントに勝つ為に今まで努力し続けた生徒が居る事は知っている。だが、男性装者が1回戦負けなどされるのも困る。そこで私達教師陣と生徒会で考えたのが、トーナメントを2対2での戦いにする事――――つまり、タッグマッチだ」

 

 タッグマッチという言葉に戸惑う者達が多いが、気にせず説明を続ける。

 

「トーナメントまでまだ数週間ある。その間にパートナーを見つけ、訓練機を借りての練習、作戦の打ち合わせ、親交を深めてパートナーの癖を把握する等、タッグとしての練度を上げろ。

 ……何故タッグマッチで男性装者が有利になるのか、と思う者もいるだろう。タッグを組むにあたって、一つだけ条件がある。“男性装者は専用機持ちと組む事”だ。つまり織斑とデュノアはルリ、ラウラ、オルコット2組の凰、4組の更識以外と組むことは認められん。と、貴様ら2人で組むのは有効だ。貴様らも一応専用機持ちだからな」

 

 そう言い終わると、一拍の間が空いてから、教室内に専用機持ち以外の生徒たちの絶叫が響き渡った。まぁ、こうなるのは分かり切っていたが。

 

「静まれッッ!!」

 

 一喝すると、途端に静まり返る生徒達。が、その顔には見るからに不満が浮かんでいる。

 

「貴重な7人の専用機持ちのうち、最低でも2人と組めなくなるのだから不満が出るのは当然だろう。が、これはもう政府に通達し、確定した事だ。いくら不満があろうと、変更は出来ん。

 ……このような男性装者に有利な条件になった事は、すまないと思っている。だが、これはタッグマッチだ。パートナーとの連携次第で、機体性能の差などいくらでも覆せる。やる気のある者は、助言が欲しければ放課後でも早朝でも私か山田先生に聞きに来い。勝てる訳がないと思っている馬鹿共は、諦めて何もせずに棄権でも1回戦敗退でもしていろ。無論、そのような馬鹿はこのクラスにはいないと思うがな」

 

 そう言いながら口角を釣り上げると、先程まで不満だらけだった者達も真剣な表情になり、やる気になったようだ。ふふ、こうでなくてはな。今年のタッグマッチは、面白い事になりそうだ。生徒たちに激励を送りSHRを追えると、私は良い気分で教室を後にした。

 

 ……それはそれとして、ルリは大丈夫だろうか? ルリは参加しなくても良いと言いたかったが、生徒達の手前そのような事を言うわけにもいかんし……ううむ、心配だ。




ちとキリが悪いですが、パートナー探しで話が長くなりそうだったんで今回はここまで。書き方忘れてるなぁ……ルリの地の文が相変わらず難しい。
さて、ルリのパートナーは誰にしようかな、と……いえ、決めてますよ?

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