艦娘の思い、艦娘の願い   作:銀匙

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エピローグ:彼誰時の涙

その日。

「・・んー?」

提督は自室で寝ていたが、物音がしたような気がして目が覚めた。

まだカーテンの隙間から光すら差し込んで来ないので、夜中だなとぼんやり思った。

再び寝ようと布団の中でまどろんでいると、置き時計の鐘が3時を告げた。

皆の修復作業も終わり、夜戦も無く、とても静かな時間。

なにせ周囲に何も無い島ゆえに、鎮守府が静まればあとはひたすらに静かなのである。

旧鎮守府ならば野生動物がちらほら歩いていたのだが。

 

「・・・」

提督はむくりと身を起こした。

たまに、こうして夜中に目覚める事がある。

何か気になってた場合は特に多い。

そこまで考えて、そりゃそうだなと提督は溜息をついた。

もう1ヶ月近く、気の休まらない日々が続いてきたのだ。

大反撃というか、鎮守府防衛戦というか、総力戦というか。

一体何なんだという程に、好戦的な深海棲艦が連日群れをなして攻めてくる事態が続いていた。

鎮守府に来ようとする定期船は次々と沈められたし、通信は今も妨害されたままだ。

他の鎮守府の支援攻撃部隊も、最近はとんと見ていない。

なにせ水平線を埋め尽くすほどの敵意を持った深海棲艦を毎日相手にしているのだ。

過去の鬼姫討伐なんて比較にもならない。こんな事態聞いた事もない。

 

毎日長門達が説得工作を続け、応じた子達にも協力してもらい、新たに襲いかかって来る者達の説得にあたっている。

戦いは敵が防衛ラインを割り込み、専守防衛隊がやむを得ないと判断した場合のみだ。

それでも連日苛烈極まりない戦闘が続いている。

元々近海域に住んでいた深海棲艦達は全員鎮守府に匿った。

それでも今居る子達の相当な割合が、今回襲い掛かってきた深海棲艦達で占められていた。

必要性と本人の希望により、深海棲艦のままの者、艦娘に戻った者、ごちゃ混ぜだ。

安全を考えて島の地下を深く掘って皆の住まいを構築しているが、パーソナルスペースは狭い。

昔の寮のようだと教育方の妙高は笑っていた。

一方で、給糧方の間宮と調達方のビスマルクはうんざりした顔をしていたな。

・・それもそうか。

なにせ人事方の扶桑が一昨日、所属数が15万を超えたと報告してきたからな。

薄々感じてるんだけど、もう鎮守府って規模じゃない気がする・・

 

提督は目を瞑って考えた。

もし東雲組が居なかったら、

もし戦いのみに明け暮れていたら、

もし最上達が艦娘化装置を作っていなかったら、

もし皆が自ら考え、独自に動いてくれなかったら、

もし日向と北方棲姫による強行補給隊が居なかったら、

もし工廠長達が大深度地下の建造技術を持っていなかったら、

もし鳳翔さんとレ級隊が率いる鎮守府専守防衛部隊が居なかったら。

 

この鎮守府は一体何度滅ぼされていただろう。

 

提督は顔を上げ、カーテンの隙間からそっと窓の外を見た。

目の前に広がる海は真っ暗だった。

夜戦のない海は本当に久しぶり、いや、砲撃音が絶える事自体久しぶりだ。

静かな海って良いね・・ほんとに。

提督はややあってから、

「ん、お手洗いでも行ってくるか・・」

そういって、ガバリと布団から出た。

 

用を済ませて廊下を歩いていると、窓ガラス越しにチラリと光が見えた気がした。

目を凝らしてみると、ずっと先にある波止場の端で何か黒い影が見えた、気がした。

「・・・」

その時どうして鳳翔か長門を招集しなかったのか、問われた提督は解らないと答えた。

「まぁ、寝ぼけてたんだと思うよ」

それが結論だった。

 

「やっぱり夜中は寒いなぁ・・」

寝間着にガウンを羽織った提督は、ふるるっと震えつつ波止場に向かっていた。

手には布の袋が1つ。足元は星明りで辛うじて見えた。

波止場の先に目を凝らすと、その先に何か居るのは解る。

だが、真夜中のうえ・・

「そっか、今日は新月か。どうりで暗い訳だ」

そう言いながら歩いていった。

 

「・・・やぁ、良い星空だね」

「!?」

提督が声をかけると、「それ」は傍まで来た提督に気づきつつも硬直している気がした。

なにせ星明かりしかない真夜中、塊としてそこにあるという以上は良く見えないのである。

後に、そもそもどうして提督棟から見えたんだと長門に訊ねられても、提督は肩をすくめるばかり。

常夜灯さえも消えている真の闇。

後で考えれば、幾ら真夜中でもこんなに暗いのはおかしかったのである。

 

「それ」が全く警戒を解いてない気配を察した提督は

「私はなんだか目が覚めちゃってね。寝る前に淹れた温い茶しか無いんだが、一緒にどう?」

と言いながら手に持った袋を揺らした。

数秒の沈黙の後、「それ」は答えた。

「・・オ前ハ、私ガ誰ダカ解ッテイルノカ?」

「いや。でも・・解らないといけないかい?」

「ナニ?」

「私はもう人間でも無ければ艦娘でもなく、その昔、ここへ島流しされた身だ」

「・・・」

「私が何者ですらないんだから、別に君が何者でも良いんだよ」

「・・ソウ、カ」

「私が今興味があるのは、用意すべきコップは1つか2つかって事なんだけど・・」

「・・・」

しばらく沈黙した「それ」は諦めたような声で言った。

「モラオウ、カ」

「よし。ちょっと待ってね」

そう言うと提督は、袋から魔法瓶とコップを取り出した。

「おっ熱い。古い魔法瓶だがなかなか捨てたもんじゃないね。火傷に気を付けて。ここに置くよ」

「・・アリガトウ」

「うん」

 

ズズズズズ・・・ズズッ

ハァー

 

提督と「それ」が茶を啜ったのと、吐息を吐き出したのがピッタリ同じだったので、二人はふっと笑った。

「新月の夜は暗いけど、星は良く見えるね」

「・・アァ」

「何か考え事をしてたのかい?」

「・・何故ソウ思ウ」

「こんな所で真夜中にじっと動かないなんて、一人になりたいか考え事をしたいか、でしょ」

「・・・」

「んー、静かな時間も良いね。毎日騒がしいとこういう静けさは天国だね」

「ソウダナ。毎日毎日考エ、命ジ、マタ考エル」

「でもまぁ、今も酷いけど、昔も酷かったなあ」

「昔?」

「あぁ。大本営で働いてた時は職場で寝泊りするくらい忙殺されていたのを思い出すよ」

「・・大本営、カ」

「うん。一番忙しかったのは事故調査委員会の頃だったなぁ」

「・・ドンナ事故ヲ、調査シタンダ?」

「一番多かったのは鎮守府がやらかした艦娘轟沈事故。他にも兵装の暴発事故とか、まぁ、そういう類だね」

「・・大本営内ヲ調ベタリハシナカッタノカ?」

「たとえば?」

「ソウダナ・・881研トカ」

「キングオブ伏魔殿、通称ヤバイ研か。確かに叩けば埃どころじゃ済まなそうだね」

「・・アア」

「そういえば大本営内の調査命令って出なかったな。よく考えれば突っ込み処満載なんだが」

「調ベテナイノナラ・・」

「うん」

「・・881研ノ過去、ソレモ、最初ノ頃ヲ調ベルト良イ」

「初代、昆柊所長の時代とかって事かぁ・・」

提督がそう言った途端、ぐにゃりと星空が歪んだ。

いや、正確には「それ」が放つ凄まじい殺気が周囲の空気を歪ませたのである。

「それ」は低い声になると、言った。

「・・ソウダ・・ソイツノ・・事ダ」

だが、提督は周囲の変化に気付く事は無かった。

何故なら目を瞑って一生懸命思い出そうとしていたからである。

「あれ、うーん。えーとね、えーと、ここまで出かかってる記憶があるんだけど・・・」

「・・何ヲダ」

「あー・・・」

もどかしそうに提督は眉をひそめながら、コップから次の一口を啜った時、

「あっ!思い出した!」

と叫んだので、「それ」はびくりとして、殺気を放つ事を止めた。

「ナ、ナンダ。急ニ大声ヲ出スナ」

「ごめんごめん。あれは読もうと思ったら止められたんだよ」

「何ヲ読モウトシタンダ」

「昆柊実験全記録という古くて分厚い資料。相談役があんな怖い顔をしたのは初めて見たよ」

「・・・」

「特別機密事項は大将以外知ってはならない、と仰ってたなあ」

「・・知リタイカ?」

「何か知ってるの?」

「アァ。一部、ナ」

「んー・・」

提督はそう言って考えこんだあと、

「貴方が言っても良いなら。でも辛くなるなら言わなくて良いよ」

と返した。

「知リタインジャナイノカ?」

「知りたいけど、貴方の気持ちはそれ以上に大事にしたいからね」

「・・」

「言葉にするのは結構しんどい事だよ。言ってスッキリすること、逆に落ち込む事、両方ある」

「・・」

「だから、貴方の思う通りにして良いよ」

「それ」はしばらく黙った後、言った。

「デハ、言ウ」

「・・解った。あ、お茶のおかわりは?」

「頂ク」

「ん・・」

 

数十分の後。

 

「ソシテ私ハ、気付イタラ無人島ニ打チ上ゲラレテイタ。海藻ガ酷ク絡ンデイタ」

「・・」

「直前ノ記憶ガ全然ナカッタカラ、最初ハ遭難シタンダト思ッタ」

「・・」

「何日モ飲マズ食ワズデ過ゴシタノニ腹ハ空カナイシ、海水ニ浸カレバ元気ニナレタ。不思議ダッタ」

「・・」

「コレガ所長ノ言ウ、「強化実験」ノ成果ナノカッテ思ッタ」

「・・」

「ダカラ嬉シカッタ。研究ガ上手ク行ッタ、所長ノ言ウ通リニシテ良カッタト」

「・・」

「ダガ、タマタマ入ッタ洞穴ノ中デ、私ハ水溜リニ映ル今ノ自分ヲ見テ、アマリニ恐ロシクテ叫ンダ」

「・・」

「ソシテ理解シタ。私ハ遭難シタンジャナク、散々実験サレタ挙句ニ捨テラレタンダト」

「・・」

「最初ハ悲シカッタ。何日モ泣イタ。自分ノ姿ヲ見タクナイカラ海ノ底ニ潜ッタンダ」

「・・」

「ソシテ次第ニ、生キタママ捨テラレタ事ニ腹ガ立ッテ来タ」

「・・」

「ダカラ、ダカラ私ハ、復讐スル事ニシタ。沈ンデイタ装置ヲ蘇ラセ、仲間ヲ探シタンダ」

「・・あぁ、そうか」

「ウン?」

「貴方の言ってる事は、概ね反対勢力の主張と符合するんだよ」

「・・私ガ、ソイツラノ言ウ事ヲ、鵜呑ミニシテルトデモ?」

「逆。貴方が反対勢力にその情報を提供したのかなと思って」

「・・私ガ人間ニ打チ明ケタノハ、コレガ初メテダ。アァ、モウ人間デハナカッタカ」

「まぁそうだね。んー、そうなるとどうしてだろう・・」

「私以外ニモ実験室ニ集メラレテイタ孤児ハ居ル。誰カガ言ッタノカモシレナイナ」

提督はふんと鼻を鳴らすと、

「いずれにせよ、昆柊所長ってのは畜生以下の外道というか、悪魔だな。反吐が出る」

「・・・」

「その話を聞いて、よく解った」

「何ガダ」

「艦娘の建造、修理、そして解体。それらの装置をどうして大本営が作れたのかって事さ」

「・・・」

「やはり人体実験をしていたんだね・・膨大な数の孤児を使って」

「私ハ、率先シテ実験台ニナッタヨウナ物ダガナ。信奉シテイタカラ、何モ疑ワナカッタ」

「そして、その実験の果てに艦娘が誕生した」

「ソウダ。ダカラ艦娘モ憎イ」

「当然だね。やるべき事をやってない。最初に君達を治療し、死んだ子を弔うべきだ」

「それ」はじっと沈黙した後に呟いた。

「オ前ハ、ツクヅク変ワッタ奴ダナ」

提督はガリガリと頭をかいた。

「んー、もう何十年と言われ続けてるんだけど、どういう事なんだい?教えてくれないか」

「ククククク・・良ク言ワレルカ。ソウダロウナ」

「一人で納得してないで教えてくれよ」

「解ッタ解ッタ。私ハオ前ト話シテルウチニ、オ前ガ敵カ味方カ解ラナクナッテキタ。ソウイウコトダ」

「よく解らないけど・・会話をするのに敵か味方か区別する必要があるの?」

「イ、イヤ、ダッテ敵ヲ利スル情報ヲ話ス事ハ無イジャナイカ」

「敵味方に分けて対応しようとするから色々しんどいんだよ。話せる相手なら敵味方なんてどうでも良いよ」

「それ」は深い溜息を吐きつつ呟いた。

「ダカラ送リ込ンダ3兵団ガ誰モ帰ッテコナイノカ。大惨敗ノ挙句ニ奇襲マデ失敗トハナ・・」

「え?何か言ったかい?」

「・・イヤ」

 

その時、水平線の彼方が微かに明るくなってきた。

明け方と呼ぶには余りにも暗過ぎる、彼誰時と呼ばれる時間。

近くに居る人の顔が解らず、「彼は誰?」という時。

 

「モウイイ・・オ前ニ構ウノハ止メル」

「えっ?」

「今夜ダッテ、散々時間ヲカケ、武器ガ暴発スル罠ヲ仕掛ケタノニ、何一ツ持ッテコナイナンテ・・」

「・・・」

「コッチハ今カ今カト待チ構エテタノニ、スタコラ歩イテ来テ茶ヲ渡サレタンダゾ。全ク酷イ肩スカシダ」

提督は、自分を「それ」がジトリと睨み付けたような気がしたのだが、

「敵だと認識しなければ、こんな寝間着に武器なんてつけてこないよ」

と、肩をすくめた。

再び「それ」は深い溜息を吐いた。

自分が仕掛けた罠のせいで兵装は置いて来ざるを得なかったし、武装した部下も遙か沖の海中だ。

通信は自分達がジャミングしている。

何もかもが裏目に出てるじゃないか。

そもそも、この信じられない顛末を、この後部下に一体何て説明すれば良いんだ。

「私ノ負ケダ。ココニ深海棲艦ノ大群ガ来ル事ハ今後無イト思ッテ良イ」

そして音も無く海に浮かぶと、振り向きながら言った。

「・・普通ニ話ガ出来タノハ、久シブリデ・・ソノ、楽シカッタ。礼ヲ言ウ」

「また来れば良いよ。ケーキでも食べながら話そうよ」

「オ前ダッテ私ノ姿ヲ見レバ恐レ戦ク。自分ダッテ二度ト見タクナイ姿ナノダカラ」

「東雲達に何か出来ないか相談してみるよ。そんな事言わずまたおいでよ」

「東雲トハ誰ダ?」

「元建造妖精だったけど鎮守府から焼け出され、誰かからレシピをもらって深海棲艦を作っていた子だよ」

「・・良イ事ヲ教エテヤル」

「?」

「轟沈シタ艦娘ヲ深海棲艦ニスルレシピハ、私ガ書イタンダ」

「それ」はニヤリと笑った。さすがに提督は怒るだろう、と。

さぁ、せめて気分だけでも害するが良い!

だが、帰ってきた言葉は

「凄いね!」

であり、提督は目をキラキラさせたのである。

「それ」はがくっとつんのめった。

「ハァ!?何ガ!何ガ凄イトイウンダ!」

「だってそのレシピが無ければ私は何人かの娘達と再会出来なかったよ!」

「エ・・ア・・ソ、ソウカ・・」

「再び会えたのは貴方のおかげだよ!ありがとう!」

「・・ウ、ウゥ」

もう嫌だ、この提督。

「またおいでよ!皆で貴方を元に戻す方法を考えよう!な!」

ゆっくりと空が薄青色に変わり始め、次第に世界に色が蘇り始めていた。

「それ」は肩を落とすと、俯いたまま首を振り、

「オ前ト話シテルト戦意ガ削ガレル。核兵器ヨリ恐ロシイナ」

そしてくるりと背を向けながら続けた。

「・・終戦マデ生キ延ビロ、提督」

「終戦は、何を以って達成されるんだい?昆柊前所長はもう死んだし・・」

「それ」はガバリと振り返り、勢い良く提督の肩を掴んだ。

「ナッ!?ナニッ!?昆柊ガ死ンダダト!?元帥会ノ黒幕トシテ君臨シテルンジャ・・」

提督は肩をすくめた。

「それは2ヶ月前までだよ。コンクリ壁と10tダンプの間で車ごと潰されたら不老長寿でも生き残る術は無いね」

「それ」は提督の言葉を聞くと、がくりとうなだれた。

「ソ、ソンナ・・ソンナ・・」

この作戦開始前に、全て終わっていたというのか?

なんて・・なんて身勝手な・・私が今まで生きてきた意味は・・

 

その時、暗闇に慣れた提督の目にうっすらと、「それ」が見えた。

全身、錆びた機械と肉体がつぎはぎだらけに縫い合わされたその姿を。

だが提督は、その瞳から零れ落ちる涙に、心を見出した。

そう。人が人である唯一の理由である、「心の存在」を。

提督は頷きながら言った。

「戦いを止めて、うちに来ないかい?」

「・・」

「私にはもう貴方の姿が見えてるけど」

「!!!」

顔を手で覆い隠そうとする「それ」に、提督はにこりと笑った。

「大丈夫。ほら、逃げたりしてないでしょ」

「ソンナ・・簡単ナ事ジャ・・ナイ」

「難しく考えたってどうせ同じだって。始めなきゃ始まらないよ?」

「それ」は目を瞑り、額に手をやった。

クソッ、提督を罠に嵌めて殺すつもりだったのに。

クソッ、こっちが提督の罠にどっぷり嵌ってるじゃないか。

クソッ、罠だ、罠に決まってる。

クソッ、解ってるのにどうしてこんなに動揺してるんだ!私は!

こんな戯言に!こんな絵空事に!こんな綺麗事に!

捨てた筈の希望にまだ縋りたいのか、私は!

「それ」は罠のスイッチを切り、リモコンを海に投げ捨てると、ずぶりと海に潜航しつつ言った。

「帰ル」

「またおいで!新月の午前3時頃!ここで待ってるからね!」

ブクブクという水泡がすっかり消えた時、水平線から太陽が顔を覗かせた。

 

「いつか、いつか暁の水平線を一緒に見よう・・な?」

 

提督はそう、海面に向かって呟いた。

 

今からずっと先の未来。

深海棲艦との戦いが突如として終了する、半年前の出来事であった。

 




終劇、です。

エピローグにつきましては本当に迷いました。
迷って迷って、結局、提督の走っていく道の果てに何があるのかという事を示すのが、皆様が色々想像出来て楽しいかなという結論に達しましたので、こんな話と致しました。

この小説では、深海棲艦は実に多様です。
大きく分けると厭戦派と好戦派、元艦娘と元人間で分かれます。
最初に提督と会話したヲ級は厭戦派の元艦娘(蒼龍)ですし、エピローグで記したのは好戦派の元人間で、かつ、そもそも深海棲艦という概念を生む事になった初代881研の犠牲者です。
この二人は深海棲艦の中でも対極に位置するといっても良いわけです。

深海棲艦がどうしてあんな外見をし、何故謎に包まれているのか。
そして翻って、艦娘とはそういえばなんなんだろう。
どうして、どうやって、生まれたのだろう。
なぜ唯一深海棲艦に対抗出来るのだろう。
それらを説明をする為に考え続けた私の結論がこれでした。

また、本話まで記した後、話が全く書けなくなりました。
前回、書ききったと申し上げたのはそういう事なんです。
ですから、恒例の自爆フラグを立てていないのです。
いや、過去も立てるつもりなかったんですけど、今回ばかりはリクエスト頂いてもお応え出来そうに無いので。


さてさて。
毎朝6時が恒例となっていた物語ですが、お別れの時間です。
長らくお付き合い頂きましたことに、深く感謝致します。
実に思い出深い1年を経験させて頂きました。
特に評価10累計ランキングにて最高9位を頂けた事。
これは間違いなく皆様のお力によるものですから、最高の報酬でした。

ありがとうございました。
優しい言葉をかけてくださった皆様に良き事がありますように。
それでは。

2015/3/4 銀匙

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