緋弾のアリア~理念の刃~   作:サカズキ

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今期のアニメも、ほぼ終わり。
それにしては、来期はあまり期待できなさそう……

とりあえず、作者が頑張ったIS<インフィニット・ストラトス>は見る
ゲームはとりあえず給料出てから財布と相談します。


自分を偽り続ければ、いずれ本当の自分を忘れてしまう

キリキリとした自分でも説明できない感情を抱えたまま、俺の日常は過ぎていく。

この先にさらなる痛みを抱えることに成るとも知らないず、ただ変わることがないと信じて……

 

 

 

 

武偵高・女子寮 夜

 

俺は妹の鈴にメールで大事な話があるといわれて、ここに来たが、部屋に入るとなぜか押し倒される。しかもその相手は、あの日以来接触のなかった、理子にだ。

 

「何でお前が?」

 

「そんなこと、どうでもいいじゃん?……ねぇ、理子と一緒になろ?」

 

「は?」

 

どういう意味だ?一緒って、まさかそういう意味なのか?

いやいや、まてまて。いきなり現れて、それは…………いや、それこそ理子ならありえるか?

 

「……ゆーくん」

 

われに返ると、理子の唇が俺のそれに触れそうに成っている。たとえ押し倒されていようと、根本的な力でいえば、俺のほうが上。押しのけようとすれば、簡単にできる。なのにしないのは、おれがそうなること望んでいるからなのか?

そうしてる間にも彼女は目を瞑り唇を近づけ。そして

 

「ッ!?」

 

俺は彼女の行為を受け入れた。触れ合った唇には熱が広がる。

心地いい感触。それが一番の感想だった。このままずっとこのままでもいい、と思うほどに。

 

「ぷは」

 

「ん」

 

彼女と俺の離れた唇を、唾液に糸がまだ繋いでいる。

それが、官能的な雰囲気を二人の間に漂う。そんな中でも彼女は、微笑むんでいるだけだ。

 

「なんで、お前は……」

 

「理子、イ・U 退学になったの。理由は……まぁいいか。でね、そしたら理子には頼れるの、ゆーくんだけなの。だから」

 

「だから、体を使って誘惑すると?見損なったぞ、理子」

 

「こんなのするのはゆーくんだけだよ?ほかの男子なんて、モヤシと変わらないもん」

 

モヤシは万能野菜なんだぞ。馬鹿にしてはいけません。そんなことより、こんなことしてたらそのうち、あの赤い女の子がまた。

 

「ちょっと理子!な、な、なにやってんのよ!?」

 

ドア蹴破って入ってきたアリアと、その後ろに頭を抱えたキンジ。

 

「何って、ナニだよ」

 

「理子あんたねぇぇぇぇぇ!!!」

 

「あはは!せっかくゆーくんと楽しい時間だったのに、邪魔が入ったね。それじゃまたね~」

 

そういって、宙に何か放り出す

 

「時計?」

 

よくあるアンティークの懐中時計だ。それ爆ぜた瞬間、部屋は閃光により一面白へと変わる。俺達は途端に目を瞑ったが、そのせいで目を開けたときに理子の姿はなく。

 

「扉ではないなら……」

 

ドアの開閉音がしなかったので、ベランダから外を見回す。

 

「下じゃないなら……上か!」

 

そういって上お見上げると、ワイヤーか何かで屋上に上がっていく理子がいた。

 

「理子のやつ、ここで捕まえてやるわ」

 

屋上にいることが分かったアリアは、そのまま部屋をでて非常階段を使い屋上に行く。その後をキンジと俺が付いていく。アリアがドアを蹴破り、屋上に着くと律儀に理子はそこにいた。

 

「峰・理子・リュパン四世。逮捕して、ママの冤罪を冤罪を晴らさせてやるわ!!」

 

アリアはバッチリ戦う気だが、俺は最近戦い続きで色々と参っている。

ここは、援護にまわ……

 

「アル=カタで行くわ。悠は前衛。あたしとキンジで援護するわ」

 

「はぁ~。分かりました」

 

アル=カタ。ありていに言えば、拳の代わりに、銃弾を打撃に使う戦闘方式。俺はこれが結構苦手。父親にも切断のほうが合っているといわれるくらいだ。

 

「ゆーくんが相手?ま、いいけど。その代わり、負けたら理子のものになってね」

 

「断る。第一俺は……」

 

言いかけて止めた。こんなところで言うこともない。目の前の、相手に集中しなければ。

 

ハンドガンの扱いだけたら、理子のほうが上だ。その差を埋めるのは、他でもない技術。

俺達は、互いに二丁拳銃の戦闘スタイル。相手の残弾数何かも覚えておかなければならない。それに、他にも試さなければ。

互いの距離は数メートル。一回の行動でつめられる距離だ。雲に覆われた月が、顔を出したとき俺は地面を蹴る。ほぼ同時に理子も駆け出す。そのせいで、俺達は一秒もせずに詰め寄る。

 

「…………」

 

何も言わず、俺はただ理子の体めがけて銃の引き金を引く。弾丸をかわし、お返しとばかりの理子俺を撃つ。

 

「…………っ!」

 

反射的によけようとしたが、完全には無理なようで、俺のわき腹を掠め痛みが走る。

 

「ゆーくんは、そんなものじゃないでしょ。ほら、理子をもっと楽しませてよ」

 

本気を出せば、理子を捕まえることはたやすい。だが、このあいだのジャンヌの時以来。力を使いのが、怖くてたまらなくなる。

 

「俺は……俺は……」

 

そんな俺を見ながら、理子は笑う。

 

「ふふふ、苦しいの分かるよ。怖いんだよね。自分が血に染まるのが。でもそうしないと、守れない。お母さんみたいに」

 

「お前本当に何しにきた?その様子から、本気じゃないのは分かる。そして、始めはアリアと戦う気だったのだろ?その目的は?」

 

「さすがゆーくん!鋭い。逃げてる様にも見えるけど」

 

そのオチャラけた顔面に風穴開けてやろうか!?と、口走りそうだったが口をつむいだ。

 

「私はね、司法取引によってここにいるのです」

 

「は!?それってどういうことよ」

 

アリアが怒号を発するが、理子は気にせずにつづける。

 

「この間の件は取引が成立しているのです。だから、ゆーくんたちが理子を捕まえると、不当逮捕になるのです」

 

ビシッと指差して宣言する理子。それに反発するように、今度はアリアが指を差す。

 

「それでも、ママの冤罪とは別件。法廷に証人として出て、証言してもらわ。「いいよ~」もし駄目なら……へ?」

 

「いいって。証言してあげる。アリアお母さんのこと、大事なんだもんね。理子もねお母様のことだから……ごめん。ごめんね」

 

そんなこと言いって泣き出した理子。それを信じたらしいアリアは、必死にあやそうとしている。何やってんだ。それより目的を聞いていなかった。と思うと理子がポツリポツリと話しだす。

 

「理子ね、みんなのせいでイ・ウーを退学になって、その上負けたからって宝物をブラド(・・・)に奪われたの」

 

『ブラド』その単語に少し反応した。誰かに、言われた。「ブラドという名を聞いたら、何があっても理子の味方でいてくれ」と。誰かは忘れたが。

 

「理子をたすけて。ブラドから宝物を取り返したいのお願い……たすけて」

 

「……理子」

 

「たすけてといわれも、どうするんだよ」

 

そう言うと、涙を流した瞳を手の甲で拭い。

 

「ねぇみんな」

 

理子は屈託のない笑顔に変わり、こんなことを言った。

 

「理子と一緒に、ドロボーしよ?」

 

 

 

その後、アリアにいろいろ聞かれたが、その話はまぁしなくてもいいだろう。

ちなみに、女子寮のあの部屋にアリアが来たかといえば、鈴は女子寮三階が住居なので、おかしいと思ったから連絡しといただけだ。予想よりは、早かったが。

 

 

後日

 

武偵少年法というものにより、未成年犯罪者の個人情報の開示は禁じられている。それのおかげで、武偵高で、理子が犯罪者だと知るのは、俺・キンジ・アリアと本人を入れてもごく一部。もちろん、俺達も口外は禁じられている。ということは、今日から学校に復帰した理子は、自然と溶け込んでいる。話に聞くに、アメリカに極秘任務に行っており、帰ってきたのは昨日のという事にしてあるらしい。

 

「逞しいというか、計算高いというか……」

 

クラスメイトと会話している彼女を見ながら、俺はつぶやいた。

 

「なんだよ。久しぶりに会ってその言い草は」

 

聞こえていたらしい武藤が話しかけていた。

 

「別に俺は、理子と付き合っているわけではない。それに俺は」

 

そういった感情はないといいつつ、記憶が戻っているので、イー・ウーに居たときに言った事を思い出すと、違うとは言い切れない。

 

「…………」

 

彼女の姿を見ながら、俺はどう思っているのか考えていた。

 

 

放課後は気分転換に町へ散歩に出た。ここのところ、嫌なことばかり起こる。それを一時でも忘れるためだったのに。

 

「結局考えてる……」

 

頭にあるのは、ジャンヌと戦ったときの自分。あの時俺は、力に魅入られていた。いや、違う俺は。

 

「ゆーくん!!」

 

考え事をしていると、後ろから誰かに抱きつかれた。こんな呼び方するのは一人しかいない、

 

「いきなり抱きつくな。離れろ、理子」

 

「えぇ、ちょっとくらいいいじゃん。久しぶりなんだし。それとも理子と一緒にいるの嫌?」

 

後ろにいるので、顔は伺えない。声も消え入りそうではあるが、演技かもしれない。でもその聞き方はずるい。

 

「一緒にいるのは、まぁ嫌…………じゃない」

 

言った瞬間に、理子は抱きつくのをやめて、俺の前に回りそのまま手を引かれる。

 

「じゃあ、久しぶりに理子とお買い物しよ。たくさん買いたいものがあるんだ」

 

「お、おい!?」

 

そのまま俺は理子の買い物に付き合わされた。終始彼女は笑顔のままだった。そんな彼女との時間が心地いいと感じる俺がいる。それは、何物にも変えがたいものだ。だが、そんな中でもいや。理子といるからこそ感じるしこりのようなものがある。それが何なのかも、本当は気づいている。

 

 

 

 

 

                       『代替』

 

 

 

 

俺は彼女を、自分でさえ知らぬ間に代わりにしているのだ。亡き母の。彼女の好意は、本当にうれしい。俺だって男。女性にそう言う風に見られて嬉しくないわけがない。ただ、それをいいことに俺は、理子を守れなかった母の代わりにしようとしている。理子を守ることで、母を守れなかったことに対して罪滅ぼしをしようとしている。だが、それが分かってながらも、自分の中のそれを取り除けない。これに気が付いたとき、初めて鈴の言っていた「変わらない」の意味が分かった。俺は結局あの日から、一歩も進んでなんかなかった。

いままで、鈴のほうが母のことを引きずっているかと思っていたが、本当にあの日に囚われているのは俺のほうだったのだ。もう自分がぐちゃぐちゃだ。

 

 

 

翌日。武偵高では中間試験が行われた。もちろん受けたが、その記憶がほとんどない。自分で言うのも考え物だが、最近はボケッとしすぎている。こんなことじゃ、鈴や杏子に笑われてしまう。

俺は軽く鼻で笑って、手元の試験時間割表を確認する。時間割では、生物学のテスト。その後体力テストになっている。ちなみに強襲科(アサルト)の女子と男子のテストは所々別なのでアリアは今いない。

試験会場の情報科棟にある大視聴覚室に向かう。扉を開くと、数名の生徒。しかも女子多し。別に嬉しい訳ではない。とりあえず、席を探す。知り合いがいたわけでもなく、女子ばかりなので一番後ろに座る。

試験そのものは簡単で、DVDを見てから、問題の空欄を埋めるいわゆる虫食い問題を解く。記憶能力が秀でておかしくなければ、正解率九割は硬いだろう。

 

「…………」

 

カリカリ。カリカリ。

映像を見終わり、問題を解きにかかる。気をつけてさえいれば、簡単だ。早々に解き終わり、解答用紙を裏向きにして、ボーとしているとなにやら足元に(うごめ)くものが。影に目を凝らすと、そこにいたのは理子だった。

 

「…………」

 

ここは無視しよう。試験中だし。第一、探偵科(インケスタ)の生物学は次のはずなのにここにいるのか。

 

「…………」

 

声に出さないが、理子は口を動かして何かを伝える。

 

(そのまま、じっとしててね?)

 

なまじ読唇術なんか使えるせいで、なにを言おうとしてるかは伝わったが、その理子は、ひょっこり俺の脚の間に体を滑り込ませた。机の前の部分は板が張られているので、この状況でも、教卓にいる先生には見えない。

理子の手が少しずつ俺に近づく。最初はひざをなでるように。次に太もも。その内側。その先にまで手が伸びかける。

下を向きながら、喋らないようにして伝える。

 

(やめろ理子。それ以上は……)

 

それを確認した彼女は、微笑んだだけで手をどけようとはしない。むしろ彼女は積極的に手を伸ばしたようにみえる。理子は俺の脚の付け根部分を撫で回している。俺はそれを受けて、どうするか迷ってしまった。望めば、期待通りにしてくれるだろう。だが、状況が状況。すぐにばれる。

 

(く!)

 

下腹部に血が集まる感覚。このままではまずい。

 

「何をしているのですか、天川君?」

 

声をかけられる。気が付くと、俺の隣に試験監督の小夜鳴先生が。

 

「…………」

 

そして気が付くと、机の下にいたはずの理子がいつの間にか扉を開けて外に出て行くところだった。出て行く前に俺に敬礼しながら。

その後俺は、小夜鳴先生に説教のついでに後日他の科の追加試験にプラス、強襲科棟の清掃を命じられた。




ここまで書いていてなんですが、じつはこれの更新日前日まで原作三巻がなくなっていたんです。
未読や、資料の本を置いている(正しくは、文字通り積んでいる)所になく、Orz←この状態になりました。

で、そのあたりの本を整理していたら、近くに置いてあった教科書に紛れ込んでいた。そこに原作のほうは置いた記憶がないので、考えられるのは、かばんに入れておいて、教科書と一緒に出したときに置いた。くらいだろうか。
ここにきて己の惰性にかなり心が砕かれた。


何やってんだという、読者の心が分かるようです……



そんなわけで、『緋弾のアリア』執筆再開。感想待ってます。
それでは、また、次回

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