それだけです。
では、本編どうぞ!
◇
「さぁ~て。お注射ですよ」
チクリと喉に何かが刺さる感覚がする。理子の持つ注射器の針が刺さったのだ。
「く!」
何かが入ってくる感覚。中身を全て注入し終えると、注射器の放り投げる。
「これで完了」
理子に腕を離されたが、自力でたてずに床に這いつくばるようになる。
「悠!」
「理子!悠に何をしたの!」
「あはは!だからいったよ?悠には全てを思い出してもらう。ちょーと副作用で体が暫く動かないけど」
二丁拳銃をすでに抜いているが、俺がいるのが心配なのか、動かないアリア。
「何アリア?来いよ?別に悠を盾にしたりはしないから」
舌打ちをするが、それでもアリアは理子に向かう。ガバメントの総弾数は8の二倍の計十六発。対して理子の構えるはワルサーP99これも十六発なのだが。
「お前だけが二丁拳銃だと思うな!!」
そうだ。理子も二丁拳銃なのだ。これで計三十六発になる。少しずつ思い出してきた。理子のことを。
アリアは理子の二丁拳銃を見ても止まることなく、接近する。そこからは撃ち合いだ。武偵高の制服は防弾製のため銃弾は打撃武器となる。
その上武偵法9条。武偵はいかなる状況においても、その武偵活動中に人を殺害してはならない。
それを守るため、アリアは理子の頭部を狙えない。理子はアリアに合わせるように頭部を狙わない。
「くっ!やめろ、理子!アリア!」
その時、アリアのガバメントが弾切れをおこし、アリアは両脇で理子両腕をつかみ、抱き合うような形に。
「キンジ!」
そう呼ばれると同時に、キンジは手のひらでバタフライ・ナイフを開き、理子に向かって構える。
「そこまでだ理子!」
ゆっくりと近づこうとするキンジ。
「ふふ。こんなので理子を捕まえた気でいるの?あは、ははは!本物の双剣双銃はこんなものじゃない!」
進もうとしていたキンジの足が止まる。それもそうだ、俺が『イー・U』でもあまり見なかった理子の『本物』の双剣双銃。髪を自在に動かして、背後に持っていたナイフをつかみそして。
「!」
アリアに襲いかかる。
「きゃぁ!」
一撃目はなんとかかわすが、もうひとつのツーサイドアップの髪が、さらに別のナイフを使いアリアを切りつける。
「あはははは!弱い!弱すぎるよアリア!パートナもいない。力もろくに使えない。これなら勝てる!もう、失わないですむんだ!全部あるべき形に戻るんだ!」
体がまだ動かない。いや、頭が動かない。この場を逃げ出さなくては、アリアもキンジも死んでしまう。俺はなんとか動く腕をこしにのばして、持っていたスモークグレネードをピンを抜いて、放り投げた。床につくとすぐに爆発し、バーが煙で一杯になる。
「キンジ!アリアを担いで、この場を離れろ!」
「な!?お前も………………」
「いいから行け!」
声のみであるが、指示を送る。一回舌打ちのような音がしたが、すぐに足跡が離れていったので聞いてくれたのだろう。さて、俺はこれからどうするか。
「あ~あ。逃げちゃった。ま、狭いしすぐに見つけるけど。それより、こっちだよね?」
晴れかけた煙の中から、理子が姿を見せる。
「このままゆーくんとゆっくりお話ししたいけど、二人を追わないと行けないから、我慢してね?」
「く!理子………………」
すぐに終わらせるから。その一言が最後に聞いた言葉。そのあとは一瞬の痛みと共に、気を失った。
◇
夢を見ているようだ。なぜわかるのか?それは俺にとって、一番願った世界。現実でない世界だからだ。
「悪い理子待たせた」
「ぶぅ~遅いぞ!」
理子と待ち合わせしいる俺。相変わらず、理子は赤を基調にしたゴスロリの私服だ。そのあと向かうのは、ショピングモール。ただ普通にデートしている。それは心から望んでいる光景。
「それじゃ、そろそろ行くか?」
「う、うん」
日も傾き始めたころ、夢のなかの俺と理子はその場を離れる。答えた理子の顔には、少し緊張があるようだ。そして二人が向かったのは。
「どうぞ。あがって?」
「お、お邪魔しま~す」
俺の家だ。理子はまだ少し緊張気味に家に入り、リビングに向かうとそこには、親父がソファに座ってビールを飲んでいた。それに死んだ母さんがいて、食事の用意をしている。今夜のは少し豪勢な感じがするな。
「あら、その子が悠くんの彼女?」
「は、はい!峰理子って言います。よろしくお願いします。お義母さま!」
「うん。かわいい子じゃないか?守ってやれよ悠?」
「ありがとうございます。お義父さま」
そこに二階から、今しがた下りてきた妹の鈴音が。
「あ、理子ねぇいらっしゃい」
「おい、鈴!先に俺へのお帰りは?」
「あ、ごめん。兄さんいたんだ?」
鈴がそう言うと、俺以外のみんなから笑い声が漏れる。楽しい日常。この日はきっと初めて理子を家に呼んだんだろう。楽しそうだ。いや、楽しいだろうな。家族であんな風に、過ごせるのならば。俺にとっては、もう…………望むことさえ憚られる夢だろう。
◇
その後。目覚めたのはまたも病院のベッドだ。すでに看護婦さんや、先生の何人かと顔見知りになってしまった。目覚めてからは、すぐに退院して、今は自室に帰ってきた。
「思い…………だした。全部」
部屋に戻ると、ソファに腰掛けて、自分の記憶を巡る。イー・Uのことを。
「理子…………ジャンヌ」
彼女たちの事は思い出せる。でも、肝心なやつらのボスが誰なのか、はっきり分からない。
「……………それは、大事なことなのか?」
大事だろう。いや、アリアにとっては大事だろうが、俺にとってはそっちよりも、理子のことだ。彼女は俺をイー・Uにつれていくこともできた。なのに、俺が発見されたのは、客室のベッドらしい。
「俺を助けた………のか?いや、そんなことをするメリットが………」
混乱のなかで、必死にもがき。答えを得ようとするが、見つからない。誰でもない、自分の事なのに。
「やっぱり、理子に直接聞くか?」
と、シリアスに考えていると。上の部屋から物音が。俺の上に棲んでいるのは、キンジだ。
「…………答は、出ない。でも、それでも前には進んでいくんだ」
ある人の口癖を呟きながら、気持ちを切り替えるために、俺は我が親友の様子を見にいくことにした。
『武偵殺し』編、完!!
やっとおわたぁ!
久方ぶりのパート終了。お疲れさまです。と自分に言ってみたり。
次回からは、原作二巻に入ります。
ようやく、ジャンヌさん再登場の予感!
はたして!悠とジャンヌは刃を交えるのでしょうか!?
それは、次回から始まる話で
それでは、また次回