緋弾のアリア~理念の刃~   作:サカズキ

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短いです。
それだけです。


では、本編どうぞ!


バスジャックとかハイジャックとか、好きで巻き込まれる訳じゃない『下』

「さぁ~て。お注射ですよ」

 

チクリと喉に何かが刺さる感覚がする。理子の持つ注射器の針が刺さったのだ。

 

「く!」

 

何かが入ってくる感覚。中身を全て注入し終えると、注射器の放り投げる。

 

「これで完了」

 

理子に腕を離されたが、自力でたてずに床に這いつくばるようになる。

 

「悠!」

 

「理子!悠に何をしたの!」

 

「あはは!だからいったよ?悠には全てを思い出してもらう。ちょーと副作用で体が暫く動かないけど」

 

二丁拳銃をすでに抜いているが、俺がいるのが心配なのか、動かないアリア。

 

「何アリア?来いよ?別に悠を盾にしたりはしないから」

 

舌打ちをするが、それでもアリアは理子に向かう。ガバメントの総弾数は8の二倍の計十六発。対して理子の構えるはワルサーP99これも十六発なのだが。

 

「お前だけが二丁拳銃だと思うな!!」

 

そうだ。理子も二丁拳銃なのだ。これで計三十六発になる。少しずつ思い出してきた。理子のことを。

アリアは理子の二丁拳銃を見ても止まることなく、接近する。そこからは撃ち合いだ。武偵高の制服は防弾製のため銃弾は打撃武器となる。

その上武偵法9条。武偵はいかなる状況においても、その武偵活動中に人を殺害してはならない。

それを守るため、アリアは理子の頭部を狙えない。理子はアリアに合わせるように頭部を狙わない。

 

「くっ!やめろ、理子!アリア!」

 

その時、アリアのガバメントが弾切れをおこし、アリアは両脇で理子両腕をつかみ、抱き合うような形に。

 

「キンジ!」

 

そう呼ばれると同時に、キンジは手のひらでバタフライ・ナイフを開き、理子に向かって構える。

 

「そこまでだ理子!」

 

ゆっくりと近づこうとするキンジ。

 

「ふふ。こんなので理子を捕まえた気でいるの?あは、ははは!本物の双剣双銃はこんなものじゃない!」

 

進もうとしていたキンジの足が止まる。それもそうだ、俺が『イー・U』でもあまり見なかった理子の『本物』の双剣双銃。髪を自在に動かして、背後に持っていたナイフをつかみそして。

 

「!」

 

アリアに襲いかかる。

 

「きゃぁ!」

 

一撃目はなんとかかわすが、もうひとつのツーサイドアップの髪が、さらに別のナイフを使いアリアを切りつける。

 

「あはははは!弱い!弱すぎるよアリア!パートナもいない。力もろくに使えない。これなら勝てる!もう、失わないですむんだ!全部あるべき形に戻るんだ!」

 

体がまだ動かない。いや、頭が動かない。この場を逃げ出さなくては、アリアもキンジも死んでしまう。俺はなんとか動く腕をこしにのばして、持っていたスモークグレネードをピンを抜いて、放り投げた。床につくとすぐに爆発し、バーが煙で一杯になる。

 

「キンジ!アリアを担いで、この場を離れろ!」

 

「な!?お前も………………」

 

「いいから行け!」

 

声のみであるが、指示を送る。一回舌打ちのような音がしたが、すぐに足跡が離れていったので聞いてくれたのだろう。さて、俺はこれからどうするか。

 

「あ~あ。逃げちゃった。ま、狭いしすぐに見つけるけど。それより、こっちだよね?」

 

晴れかけた煙の中から、理子が姿を見せる。

 

「このままゆーくんとゆっくりお話ししたいけど、二人を追わないと行けないから、我慢してね?」

 

「く!理子………………」

 

すぐに終わらせるから。その一言が最後に聞いた言葉。そのあとは一瞬の痛みと共に、気を失った。

 

 

 

 

 

夢を見ているようだ。なぜわかるのか?それは俺にとって、一番願った世界。現実でない世界だからだ。

 

「悪い理子待たせた」

 

「ぶぅ~遅いぞ!」

 

理子と待ち合わせしいる俺。相変わらず、理子は赤を基調にしたゴスロリの私服だ。そのあと向かうのは、ショピングモール。ただ普通にデートしている。それは心から望んでいる光景。

 

「それじゃ、そろそろ行くか?」

 

「う、うん」

 

日も傾き始めたころ、夢のなかの俺と理子はその場を離れる。答えた理子の顔には、少し緊張があるようだ。そして二人が向かったのは。

 

「どうぞ。あがって?」

 

「お、お邪魔しま~す」

 

俺の家だ。理子はまだ少し緊張気味に家に入り、リビングに向かうとそこには、親父がソファに座ってビールを飲んでいた。それに死んだ母さんがいて、食事の用意をしている。今夜のは少し豪勢な感じがするな。

 

「あら、その子が悠くんの彼女?」

 

「は、はい!峰理子って言います。よろしくお願いします。お義母さま!」

 

「うん。かわいい子じゃないか?守ってやれよ悠?」

 

「ありがとうございます。お義父さま」

 

そこに二階から、今しがた下りてきた妹の鈴音が。

 

「あ、理子ねぇいらっしゃい」

 

「おい、鈴!先に俺へのお帰りは?」

 

「あ、ごめん。兄さんいたんだ?」

 

鈴がそう言うと、俺以外のみんなから笑い声が漏れる。楽しい日常。この日はきっと初めて理子を家に呼んだんだろう。楽しそうだ。いや、楽しいだろうな。家族であんな風に、過ごせるのならば。俺にとっては、もう…………望むことさえ憚られる夢だろう。

 

 

 

その後。目覚めたのはまたも病院のベッドだ。すでに看護婦さんや、先生の何人かと顔見知りになってしまった。目覚めてからは、すぐに退院して、今は自室に帰ってきた。

 

「思い…………だした。全部」

 

部屋に戻ると、ソファに腰掛けて、自分の記憶を巡る。イー・Uのことを。

 

「理子…………ジャンヌ」

 

彼女たちの事は思い出せる。でも、肝心なやつらのボスが誰なのか、はっきり分からない。

 

「……………それは、大事なことなのか?」

 

 

大事だろう。いや、アリアにとっては大事だろうが、俺にとってはそっちよりも、理子のことだ。彼女は俺をイー・Uにつれていくこともできた。なのに、俺が発見されたのは、客室のベッドらしい。

 

「俺を助けた………のか?いや、そんなことをするメリットが………」

 

混乱のなかで、必死にもがき。答えを得ようとするが、見つからない。誰でもない、自分の事なのに。

 

「やっぱり、理子に直接聞くか?」

 

と、シリアスに考えていると。上の部屋から物音が。俺の上に棲んでいるのは、キンジだ。

 

「…………答は、出ない。でも、それでも前には進んでいくんだ」

 

ある人の口癖を呟きながら、気持ちを切り替えるために、俺は我が親友の様子を見にいくことにした。




『武偵殺し』編、完!!

やっとおわたぁ!
久方ぶりのパート終了。お疲れさまです。と自分に言ってみたり。

次回からは、原作二巻に入ります。
ようやく、ジャンヌさん再登場の予感!
はたして!悠とジャンヌは刃を交えるのでしょうか!?

それは、次回から始まる話で
それでは、また次回

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