久しぶりに夢を見た。あの時のことを引きずっているのは分かっている。けれど吹っ切れたと思っていた、だがそんなことは全く無いと本当 は心のどこかで思っていたのだろう。だからこんな夢を見るんだ。
なぁ
そんな顔をして……まだ俺が許せないのか?…………いや、許せなくて当たり前か。だけど、俺だって救えなかったことは後悔している。だが、万が一にも無理だろう?ただの子供がナイフを持った男に立ち向かって、それで……母さんを助けられたのか?無理だ。いくら才能があろうと、技術が無ければ意味がない。
そうだろう鈴?
分かっていないのは俺だと?やめてくれ。例え夢でもそんなことを言うのは。あぁそうさ俺は分かって無い。だからお前から逃げた。お前のその言葉から、お前のその視線から。そうしなければ押し潰されそうだった。回りの励ましや慰みでおれ自身が。
何でだろうな鈴?
逃げたのに結局俺は武偵になった。理由?………認めたくは無いものだが、俺は守れなかったのを、助けられなかったことを他の誰かで代替えしようとしているのかも知れない。けどさぁ、みんなといて、笑って、泣いて、同じ日を生きてきたあいつ等はやっぱり大切な仲間なんだ。それはさ、絶対に偽物じゃ無いって言い切れる。お前が許せなくてもそれぐらいはいいよな?
なぁ鈴?
最後に彼女に問いかけて夢が終わる。 人の夢とかいて儚い。その通り、この夢は俺の儚い願いなのだろ う。そして、起きたときにはきっと忘れているだろう。だとしたら 久しぶりに見たのは気のせいで、いつも見ているのかもしれない。 でも『この夢を見た』ことを覚えているのは、俺が不安なときだ。
なら俺は何が不安なのだろうか?いや、怖いのかもしれないな
「ん………んん~…朝……か」
否。朝日が窓から差し込むことの無いこの部屋では、枕元のデジタル時計が表示する時間が朝を知らせてくれる。ここは『伊・U』本拠地・ ボストーク号内の俺に割り振られた部屋。 アラームが鳴る前に起きたので切っておいて、ベットから出て歯を 磨き、着替えをすませておいて、部屋で待機しておく。教授からなにやら話があるらしいが、詳しくは知らずに起きたら着替えて部屋にいろとのこと。
(…………不安なんだろうか?おれは)
あの夢を思い出し、ふとそんなことを考えるがそんな問いに答えはなく、ただ頭のなかに浮かんでは消える。自問自答……らしくないことをしているが、この夢をみると大抵そうなる。それに今回は理子のこともある。
(大丈夫………俺は俺らしく)
そう言い聞かせたところで部屋のドアをノックする音が聞こえて、 そのあと理子がドアの向こうから声をかける。いつもならノックもせずに入ってくるのだが。
「あぁ今行く」
出る前に軽く服装を整えて部屋を出ていく。一瞬だけ数日いただけのその部屋を見回して。 部屋を出ると、理子だけでなくジャンヌもいた。行こうと短く言っ た声に同じように短くあぁと返して、二人の背中についていく。
本当は何となく今日の用件に心当たりがある。 今日はあのデジタル時計の通りなら、始業式の一週間前。つまりそろそろ俺は武偵校に帰らなければならない。あの人が簡単に返さないだろうが。ふとそこで俺は自分の考えに疑問を持つ。
(あれ?おかしいな。俺は帰りたかったハズなのに、何で惜しいように感じるんだ?)
いや……本音を言えば俺は、ここでの風当たりはきつかったが、理子やジャンヌ。それに教授の口添えで、それなりに……いや、結構。
(楽しかったのか…俺は)
そう楽しかった。キンジや武藤と過ごすのも悪くなかったが、ここで目の前の二人と共に過ごした時間も、変えがたいものだ。それが、その時間がもう無いことに、後ろ髪を引かれるのだろう。このあと教授に会うであろうが、そこでここに居たいと言えばいさせてくれるだろうが、それはできないよな。
俺は武偵だから……
自室から少し歩き、三度目になるあの部屋へと通され、俺は目の前に立つ教授と話をしている。出来れば理子とジャンヌは退室させてほしかったが、彼が話を聞くようにと残した。
「さて君には二つの選択肢がある。一つはこれまで通り武偵校に戻り、過ごす。残りはここに残ると言う選択肢。そこの二人は後者の方が喜ぶと思うが……君は前者だろうね」
「うん……まぁ…一応は」
「その言い方は多少は心残りがあると?」
あぁゆっぱりそんな風に見えるのか。 残る選択肢は、出来ればなんとかして彼に塞いで欲しかったのだが、彼にそうする気があるのかは定かではない上、後ろの二人からは戻るとの話が始まってから刺さるような視線を感じる。
「無い………といえば嘘になる。立ち位置や風当たりを考えなければ、基本自由で過ごしやすかった。けど、俺は武偵だ。帰るところがある」
「そうか。なら仕方あるまい。それでは君にはそれ相応の施しをしなければならないわけだ……」
そう言うと彼はジャケットの内に手を入れて何か取り出すと、その手には小型拳銃『デリンジャー』があり、さらにそれを俺に向けてきた。
「?!どう言うことだ!理子?ジャンヌ?」
振り返り後ろにいる二人に問いかけたが、二人は俯き、顔を伺えない。 前に視線を戻し、教授の目を覗き込んでしまい、そうすると視界がグラリと歪んで体勢を崩して片膝を着いてしまう。
(な!視界だけでなくて、気分も悪くなってきた。なんなんだよ…………全く)
なぜに俺はこうも倒れるようなことばかりあるんだ?しかしその責任と言うか、原因は自分にある。さて次に目が覚めるのは病院のベッドの上かな?
そして願わくば、今より、ほんの少しでも、誰かを守れるようになりたい。
理子の事をぼやける視界に捉えながら、そう心で言い切ったところ で意識がプツンと糸のように切れた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
私は床に倒れてしまった、愛しい彼の髪をそっと撫でる。
少し強ばった、男の子らしい髪。
良かったのかなこれで
ゆーくんが望むならそうしたいけど、これからゆーくんには辛い思 いをしてもらうことになる。
そうしたら私はどうなるんだろう。
あの時みたいに私を、また受け入れてくれるだろうか?
それとも犯罪者だと拒絶されるだろうか?
考えたら拒絶されるのはやっぱり嫌だな。
だって私は天川悠が好きだから。
誰かに渡す気も、譲るつもりもない。
彼が私を救ってくれた。彼がいてくれるなら、私はもうなにも怖くない。
けれどやっぱり出来れば、無いことだろうと分かっていたけど、本音を言えばここに、『伊・U』に残って欲しかったな。
次に目が覚めたときに、彼はどうするんだろう?
やっぱり敵………なのかな?
それだったら私は…………
私はもう一度だけ彼の髪を撫でて、手を離す。
その瞬間に不安が立ち込めてくるが、ぐっと抑えて彼から離れる。
次に目が覚めたとき。彼は私を受け入れてくれた事を忘れているが、きっと大丈夫。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
黒い空間に浮かんでいる感覚がする。 なにもない場所で、一人でただなにもしないで。
(ここはどこだろうか?どこでもないのだろうか?それともただの夢?)
そう思い、夢だと確信する。 こんな不可思議なことがあるハズもなく、ならばこれは夢だろう。 その瞬間に今度は浮上していく感覚になる。
(覚めるのか夢から……)
黒い空間を上がっていき、次第に光が見えてくる。だがその光は、 まるで天川悠にとっては自分の黒い、負の部分を浮かび上がらせる光のように思えた。そして、闇が終わりゆっくりと目を開けると、 白の天井。それからだんだん意識がはっきりして、自分がどういう 状態かを確認する。
(多分ここは病院で、人工呼吸機までつけられてるし、他にも色々と専門じゃないから分からないが。こんなになるまで、俺は何をしてたんだっけ?それに……)
こんなにも重々しい状態て、不思議なことに体の痛みが一つもないことに違和感を感じていると。病室の扉が勢いよく開き、誰かが入ってくる。
「はぁ…はぁ…悠?!」
「騒々しいぞキンジ?」
「当たり前だろうが!いままで……どこにいるか分からなくて俺は」
「おい大の男が泣くなよ。それより俺はあまり覚えて無いが、何があったんだ?」
「覚えたいのか……そうか…どうせすぐわかるし話しておくか」
そう言うとキンジは、話始めた。12月24日に船が沈み、それに乗っていた俺ともう一人の武偵がいて、もう一人はキンジの兄でありその人は死んでしまい、俺は長い間行方不明でみんなほぼ死んでしまったと思ったらしいが、キンジが今日の朝ポストを確認すると 差出人不明で俺がこの病院に居るとの内容が書かれた手紙と、関係者を示すカードキーが入っていたらしい。そのカードがなければこの部屋を受付で聞いても答えてもらえず、入室にも使うために入れない。つまり俺の生存が隠されていたと言うことだ。不気味だが、今は泣いている親友をなだめるのが先かな?
長かった。
三千文字もあると見直しがしんどいです。
実は私はスマホを基本操作端末にしているので、どこでもかけるんですが
見にくいので、なかなか終わらない。
なので、所々に半角スペースやらなんやらありますが、何ら意味はなく見逃しですので。
話は変わって待ちに待ったデート・ア・ライブのアニメが春期に放送!!
嫁は狂三様です。面白いので、原作知らなくても楽しめると思います。
でもこのままだと、ヴァイス辺りでTCGになりそうな………
それでも買いますが、ゲームも発売日が決定しているので、予約しなきゃ……
でも家から出たくない。桜も咲いたのに寒い日は寒い。
まだ炬燵にこもってます。
あぁwindows8欲しいな、炬燵でへたっても簡単に操作できるし楽だし、綺麗だし。
これじゃただのねだりだな。
さて次出すのはアリアかデートか。要望あればそちら優先で出します。ではまた次回。