横浜・中華街
すっかりお馴染みの店で、悠はキンジへの報告&報酬を行っていた。
「そう言うわけで、理子に怪しいところはなかった」
「そうか、ま、取り越し苦労だったわけだ」
キンジはそう言うと、食べかけだったラーメンをまたすすり出した。逆に悠はあまり食が進まない。
(すまんキンジ。まだ、お前にはまだ相談できない)
二人は食べ終わり、店を出てそのまま寮に帰ろうとしたそんな時に。
♪~~~♪~~~~
機械的な音楽が流れると、悠はポケットから携帯を取り出して出る。
「はい、もしもし。父さん、どうした?」
『あぁ!悠、来週の土曜日大丈夫か?』
父親からだった。と言っても、ディスプレイに相手の名前が出るからわかるんだが。
「大丈夫だけど、何かあったか?」
悠の父が連絡するときは、急ぎで本当に何か大変な事か起きてるときなので、悠も真剣な顔になる。
『こっちで今、俺の担当とは違う件があってな。それをお前に解決してほしいんだ』
「それは構わないが……いまどこだ?」
「あぁ、そういえば言って無かったな。今イギリス、ロンドンにいる」
「は?………………………」
悠は数秒停止してから。
「はーーーーーーーーー?」
悠はこれまで、少なくともキンジが見たことのない、かなり驚いた顔をしている。
『でかい声を出すな』
「イギリスに?……なんで?」
『まぁいろいろあってだな………』
父は今回のいきさつを話した。イギリスの友人に頼まれたこと、数日前に担当地区で違う事件が起き、人手が足らずに なかなか解決しないことなど。
「乗り物が苦手なお前には悪いが、飛行機のチケットを送ってある。土曜日から出来れば一週間での解決を頼む」
「一週間…………か」
悠は電話越しに考える。無理ではないが、かなりのハイペースでの作業が求められる。
『無理なら最悪、断っても良いんだが』
「いや、やらせてもらうよ。でも出来れば、パートナーが欲しい」
『おぉー!そうか!』
父はオーバーぎみに喜んでいるようだ。かなり悩みだったのだろうか。
『あぁそうだ。パートナーだが既にこっちであてがある』
「あて?」
『大丈夫だ。かなりの武偵で、ランクはお前と同じ、Sランクだ』
「Sランク武偵か。それなら一週間で終わりそうだな(俺の出る幕もなければいいが)」
『ん?なんか言ったか?』
「いやなにも。それじゃ来週に」
父が電話越しに短く応答して、通話を切る。すると隣で終始聞いていたキンジが聞いてきた。
「イギリスに行くのか?大変だなお前も」
「他人事みたいに言うな」
悠は多少疲れた顔をしながら寮へと帰った。
一週間後 イギリス・ロンドン
悠は苦手な飛行機(エンジンつきなら何でも駄目だが)に乗り、ここ、ロンドンまでやって来たが………
「まずい、道に迷った………」
そう、迷子になった。空港まで父が迎えに来てくれる予定だったが、担当の事件が動き出したと言うことで駆り出され仕方な いので、一応貰っておいた地図で目的地に向かったんだが。
「全文英語。しかも走り書き」
悠は英語は可もなく不可もなくだが、ここまで来るとさすがに読めない。だから読める単語単語で来たのだが、それが裏目に 出てこの状況。
「こんなになるんだったら、日本語訳載ってるやつ買えばよかった」
「………………落ち込んでてもしょうがない。何とかこの地図を読みとくか」
それから数時間、迷いに迷い何とか目的地についた。さすがに父もその頃には既に仕事も一段落し、到着していた。
「まぁ、遅れたのは、地図を渡した俺にも責任があるが」
「悪かった。父さん、早めに上がったんだろ」
部屋で待ってる間に、同じような会話を続けていたが、ドアをノックする音で遮られる。
「おっと、来たようだ」
父は座っていたソファーから立ち上がり、ドアを開ける。その間に悠も身だしなみをととのえる。父と初老の方が会話してい たが一旦やめ、悠のそばへ来る。その後ろに誰かついてきているが、先に初老の方と挨拶する。
「初めまして、Mr.悠。私はジョルド・H・ギルバートと言います。宜しく」
握手を求めてきたので悠はジョルド氏に自己紹介をする。すると次に後ろにいた人の紹介をした。
「彼女の名は、神崎・H・アリア。今回の件。ジャック・ザ・リッパー事件で君のパートナーだ」
そこには小柄な赤い髪の少女がいた。
アリア出てきました。
次回は二人で事件を追いかけます。
解決まではいかないと思います。
あくまで事件に遭遇まで。
ではまた次回で