美少女戦士セーラームーン☆太陽の戦士 作:Doc Kinoko
太古の昔、神々が引き離した二人で一人の存在…
聖地エリュシオンの『光の巫女=ラー』
宇宙を彷徨う漆黒の乙女『カオスの子=ガイア』
光のカオスと闇のカオスの中で、再び巡り合った彼女たち。引き裂かれた光と闇が交わる時、神々の理すら超越する力が目覚める。
『原始神々の星=太陽』を守護にもつ
『光と闇の戦士=セーラー・アテナ』
カオスに包まれた地球の空を、太陽の光で真っ二つに切り裂いたセーラー・アテナの力によって消滅した、光のカオスと闇のカオス。地球に再び、澄み渡る青空が広がる。
東の空に昇る太陽を背に佇むセーラー・アテナ。
その脇にいくつも散らばる、仲間たちのスターシード。
「さあ…。この者たちを救うのは、あなたよ。ネオ・クィーン・セレニティ…いえ…セーラームーンッ!!」
セーラー・アテナの呼びかけに、瞳を曇らせたネオ・クィーン・セレニティ。唇をかみ締め、脚はがくがくと震えている。
「ダメなの…。私…変身できないの…。もう…みんなを救えない…」
頬を流れるひとすじの涙が、太陽の光に輝く。
泣き崩れるネオ・クィーン・セレニティにゆっくりと歩み寄り、彼女の身体を抱きしめたセーラー・アテナ。
金色の闘衣…暖かい光。
「大丈夫よ。あなたにならできるわ。いいえ…あなたにしかできないの。私と、ここに散らばるスターシードたちの輝きが、あなたに力を貸すわ。みんな、あなたを信じてる。
女王だからじゃない。セーラームーンだからじゃない。みんな、あなたのことが大好きだ…って。
ほら…。心の中に聴こえるでしょう?新しいあなたの輝き…」
…女王だからじゃない…セーラームーンだからじゃない…
「…っ?!…だから…だからなの…?だから…変身できなかったの…?」
今ならわかる。
なぜ変身できなかったのか。
「みんなは…いつも私のそばにいてくれたのに…信じてあげられなかったのは…私…?」
…
女王であるが故の孤独
皆を守らねば…と言う自責
いつの間にか忘れていた
私たちは…仲間だと言うことを…
女王だからじゃない…
戦士だからじゃない…
私は…私…
皆が愛してくれた私は…戦士でも…女王でもない…私自身だったのに…
感じる…みんなの力…こんなにも…こんなにも…強い輝き…
…
セーラー・アテナに導かれた、ネオ・クィーン・セレニティの新たな輝き。瞳を大きく見開き、瞬きすることも、息をすることも忘れた彼女の胸の奥深くに目覚める、新しいスペル…。
…コスモス・クリスタル…
「…お母様…っ!?…まさか…パワーアップするの…?」
金色の光に抱きしめられる母の姿を、瞳に焼き付けるセーラー・テラ。
「セーラー・テラッ!俺たちの輝きを…セレニティにっ!!」
キング・エンディミオンの声。
お互いの瞳に強く頷いた父と娘から放たれる、高らかなスペルアウトが、ネオ・クィーン・セレニティの身体を優しく包む。
テラ・クリスタル・パワーッ!!
ゴールデン・クリスタル・パワーッ!!
「…スモールレディッ…エンディミオンッ…!!」
二人から放たれる2色の輝きが、ネオ・クィーン・セレニティから流れる涙を掻き消す。
「さあ、ネオ・クィーン・セレニティ…。私たち、太陽系のすべての輝き…あなたに預けるわ!」
セーラー・アテナの美しい声。
高鳴る鼓動。
感じる…太陽系に輝く…すべての星たちの輝き。
今ならわかる…スペルアウトは…ひとつ…
シルバー・ムーン・コスモス・クリスタル・パワー・メイクアップッ!!
青く澄み渡る空を貫く、ネオ・クィーン・セレニティの高らかなスペルアウト。
その身体から放たれる、銀色の光の柱が、銀河を駆け抜ける。
銀色のドレス、クリスタルのハイヒールのつま先から、無数のダイヤモンドのように巻き上がる輝きの嵐。
澄み渡る空にその身を預け、銀色の輝きの中で美しく舞う。
『感じる…みんなの輝き…
マーキュリー、マーズ、ジュピター、ヴィーナス…
いつだって…私のそばにいてくれた…
ウラヌス、ネプチューン、プルート、サターン…
いつだって…私を導いてくれた…
セレス、パラス、ジュノー、ベスタ
いつだって…私に夢を与えてくれた…
エンディミオン、スモールレディ…
いつだって…私を愛してくれた…
そして…
ラー、ガイア、アテナ…
こんなにも無力な私に…力をくれた…
みんな…ありがとう…
さあ…一緒に…帰りましょう… 』
生まれ変わったネオ・クィーン・セレニティの銀水晶から放たれる、すべてのスターシードの輝きを、静的な『コスモス』へと変える、究極の再生エネルギー
『ラムダ・パワー』
傷ついた大地へ、静かに降り注ぐ銀色の輝き。
ゆっくり、ゆっくりと再生されるすべての生命が、大地に輝きを取り戻す神秘の光景。
引き裂かれた大地が、そこに倒れる数万の民が、闇に消えたクリスタルパレスが、ゆっくり、ゆっくりとその姿を取り戻す。
「これが…ラムダ・パワー…。目覚めたのか…セーラー・コスモス…」
キング・エンディミオンが呟いた、ネオ・クィーン・セレニティの新しい戦士の名。
宇宙最強の戦士=セーラームーンの究極の姿。
『セーラー・コスモス』
「もうすぐ…もうすぐよ…またみんなに…会える…」
呟いたセーラー・コスモスが、無数の輝きを宿した両手を、天高く掲げ最後の輝きを放つ。
シルバー・ムーン・コスモス・クリスタル・パワーッ!!
青く澄み渡る空に、いくつも輝く仲間たちのスターシード。
セーラー・コスモスから放たれる無数の光の粒の中で、ゆっくりとそのカタチを結ぶ。
… … …
太陽系4戦士たち。
外部太陽系4戦士たち。
太陽系小惑星4戦士たち。
キンモクスターのプリンセス・火球とセーラー・スター・ライツ。
カオスにその身体を溶かされた、愛すべき大切な仲間たちが、帰ってくる。
その光景を見つめる、眼下に広がる数万の民たちの歓喜の声が、鳴り止むことはない。
いくつもの星の輝きが甦る空。
どこまでも青く、澄み渡る空に輝く、たくさんの生命。
東の空から昇る太陽が、その輝きを讃え、その傍らで静かに微笑む…銀色の月。
「新しい…宇宙の夜明けのようだね…セレニティ」
呟いたキング・エンディミオンの瞳からこぼれ落ちる涙に、銀色の月が輝く…。
次のお話が最終話となります。ここまでお付き合い下さった皆様、本当にありがとうございます。最後までお付き合い頂けますことを、心からお祈り申し上げます☆月の光は愛のメッセージ☆なんつてw