美少女戦士セーラームーン☆太陽の戦士   作:Doc Kinoko

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【act.042】銀色の月

 

太古の昔、神々が引き離した二人で一人の存在…

聖地エリュシオンの『光の巫女=ラー』

宇宙を彷徨う漆黒の乙女『カオスの子=ガイア』

光のカオスと闇のカオスの中で、再び巡り合った彼女たち。引き裂かれた光と闇が交わる時、神々の理すら超越する力が目覚める。

 

『原始神々の星=太陽』を守護にもつ

『光と闇の戦士=セーラー・アテナ』

 

カオスに包まれた地球の空を、太陽の光で真っ二つに切り裂いたセーラー・アテナの力によって消滅した、光のカオスと闇のカオス。地球に再び、澄み渡る青空が広がる。

 

東の空に昇る太陽を背に佇むセーラー・アテナ。

その脇にいくつも散らばる、仲間たちのスターシード。

 

「さあ…。この者たちを救うのは、あなたよ。ネオ・クィーン・セレニティ…いえ…セーラームーンッ!!」

 

セーラー・アテナの呼びかけに、瞳を曇らせたネオ・クィーン・セレニティ。唇をかみ締め、脚はがくがくと震えている。

 

「ダメなの…。私…変身できないの…。もう…みんなを救えない…」

 

頬を流れるひとすじの涙が、太陽の光に輝く。

泣き崩れるネオ・クィーン・セレニティにゆっくりと歩み寄り、彼女の身体を抱きしめたセーラー・アテナ。

 

金色の闘衣…暖かい光。

 

「大丈夫よ。あなたにならできるわ。いいえ…あなたにしかできないの。私と、ここに散らばるスターシードたちの輝きが、あなたに力を貸すわ。みんな、あなたを信じてる。

女王だからじゃない。セーラームーンだからじゃない。みんな、あなたのことが大好きだ…って。

ほら…。心の中に聴こえるでしょう?新しいあなたの輝き…」

 

 

…女王だからじゃない…セーラームーンだからじゃない…

 

 

「…っ?!…だから…だからなの…?だから…変身できなかったの…?」

 

今ならわかる。

 

なぜ変身できなかったのか。

 

「みんなは…いつも私のそばにいてくれたのに…信じてあげられなかったのは…私…?」

 

 

女王であるが故の孤独

皆を守らねば…と言う自責

いつの間にか忘れていた

私たちは…仲間だと言うことを…

女王だからじゃない…

戦士だからじゃない…

私は…私…

皆が愛してくれた私は…戦士でも…女王でもない…私自身だったのに…

感じる…みんなの力…こんなにも…こんなにも…強い輝き…

 

 

セーラー・アテナに導かれた、ネオ・クィーン・セレニティの新たな輝き。瞳を大きく見開き、瞬きすることも、息をすることも忘れた彼女の胸の奥深くに目覚める、新しいスペル…。

 

 

…コスモス・クリスタル…

 

 

「…お母様…っ!?…まさか…パワーアップするの…?」

 

金色の光に抱きしめられる母の姿を、瞳に焼き付けるセーラー・テラ。

 

「セーラー・テラッ!俺たちの輝きを…セレニティにっ!!」

 

キング・エンディミオンの声。

 

お互いの瞳に強く頷いた父と娘から放たれる、高らかなスペルアウトが、ネオ・クィーン・セレニティの身体を優しく包む。

 

テラ・クリスタル・パワーッ!!

 

ゴールデン・クリスタル・パワーッ!!

 

「…スモールレディッ…エンディミオンッ…!!」

 

二人から放たれる2色の輝きが、ネオ・クィーン・セレニティから流れる涙を掻き消す。

 

「さあ、ネオ・クィーン・セレニティ…。私たち、太陽系のすべての輝き…あなたに預けるわ!」

 

セーラー・アテナの美しい声。

 

高鳴る鼓動。

 

感じる…太陽系に輝く…すべての星たちの輝き。

 

今ならわかる…スペルアウトは…ひとつ…

 

 

 

シルバー・ムーン・コスモス・クリスタル・パワー・メイクアップッ!!

 

 

 

青く澄み渡る空を貫く、ネオ・クィーン・セレニティの高らかなスペルアウト。

その身体から放たれる、銀色の光の柱が、銀河を駆け抜ける。

銀色のドレス、クリスタルのハイヒールのつま先から、無数のダイヤモンドのように巻き上がる輝きの嵐。

 

澄み渡る空にその身を預け、銀色の輝きの中で美しく舞う。

 

『感じる…みんなの輝き…

マーキュリー、マーズ、ジュピター、ヴィーナス…

いつだって…私のそばにいてくれた…

ウラヌス、ネプチューン、プルート、サターン…

いつだって…私を導いてくれた…

セレス、パラス、ジュノー、ベスタ

いつだって…私に夢を与えてくれた…

エンディミオン、スモールレディ…

いつだって…私を愛してくれた…

そして…

ラー、ガイア、アテナ…

こんなにも無力な私に…力をくれた…

みんな…ありがとう…

さあ…一緒に…帰りましょう… 』

 

生まれ変わったネオ・クィーン・セレニティの銀水晶から放たれる、すべてのスターシードの輝きを、静的な『コスモス』へと変える、究極の再生エネルギー

 

 

『ラムダ・パワー』

 

 

傷ついた大地へ、静かに降り注ぐ銀色の輝き。

ゆっくり、ゆっくりと再生されるすべての生命が、大地に輝きを取り戻す神秘の光景。

 

引き裂かれた大地が、そこに倒れる数万の民が、闇に消えたクリスタルパレスが、ゆっくり、ゆっくりとその姿を取り戻す。

 

「これが…ラムダ・パワー…。目覚めたのか…セーラー・コスモス…」

 

キング・エンディミオンが呟いた、ネオ・クィーン・セレニティの新しい戦士の名。

 

宇宙最強の戦士=セーラームーンの究極の姿。

 

『セーラー・コスモス』

 

「もうすぐ…もうすぐよ…またみんなに…会える…」

 

呟いたセーラー・コスモスが、無数の輝きを宿した両手を、天高く掲げ最後の輝きを放つ。

 

 

シルバー・ムーン・コスモス・クリスタル・パワーッ!!

 

 

青く澄み渡る空に、いくつも輝く仲間たちのスターシード。

セーラー・コスモスから放たれる無数の光の粒の中で、ゆっくりとそのカタチを結ぶ。

 

… … …

 

太陽系4戦士たち。

 

外部太陽系4戦士たち。

 

太陽系小惑星4戦士たち。

 

キンモクスターのプリンセス・火球とセーラー・スター・ライツ。

 

カオスにその身体を溶かされた、愛すべき大切な仲間たちが、帰ってくる。

 

その光景を見つめる、眼下に広がる数万の民たちの歓喜の声が、鳴り止むことはない。

 

いくつもの星の輝きが甦る空。

 

どこまでも青く、澄み渡る空に輝く、たくさんの生命。

 

東の空から昇る太陽が、その輝きを讃え、その傍らで静かに微笑む…銀色の月。

 

「新しい…宇宙の夜明けのようだね…セレニティ」

 

呟いたキング・エンディミオンの瞳からこぼれ落ちる涙に、銀色の月が輝く…。




次のお話が最終話となります。ここまでお付き合い下さった皆様、本当にありがとうございます。最後までお付き合い頂けますことを、心からお祈り申し上げます☆月の光は愛のメッセージ☆なんつてw

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