実は先日、とあるマンガをパラパラと読んでいると……
「あれ? この話……子育て日記でやったら面白そうじゃね?」
と思い、さっそくオマージュしてみました。パクリではありません、オマージュです。
いざ書いてみるとトントン拍子で執筆が進み、若干短いですが楽しく書けました。
これからもたまに番外編と称してギャグ回を書いてみるのもいいかもしれませんね。
元ネタは分かる人には分かると思います。
感想お待ちしております。
どうもこんにちは、私はシュテル・スクライア。スクライア一家の4人姉妹の次女で、お父様が経営している喫茶店『翠屋・ミッドチルダ店』でウェイトレスをしております。
好きな物は可愛いもので、趣味は勉強です。
しかし……実は私にはお父様にも内緒にしている密かな趣味がもう1つあります。
それは『人間観察』です。
初めは喫茶店に来店してきてくださるお客様方を眺めているだけだったのですが、その内お客様の人間性や色々な事が見え隠れする事に面白さを感じまして、気がつけば私の趣味の1つになっていました。
そして今回……そんな私の人間観察記録の1ページを皆さんにご覧頂きましょう。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「と言うワケでやって来ました時空管理局」
「イエーイ!!」
「……………」
「……(オロオロ)」
おや? レヴィと違ってテンションが低いですねディアーチェ。ユーリも状況についていけずにオロオロしておりますが、そこがまた可愛らしいです。
「シュテルよ……何ゆえ我らがうぬの企画に付き合わねばならんのだ?」
「よろしいではありませんか。レヴィとユーリは乗り気ですよ?」
「よく分かんないけどね!!」
「わ…私もシュテルのお役に立てるのなら……」
「ハァ……仕方あるまい」
話が早くて助かります。
「して、なぜ時空管理局などに来たのだ? と言うより勝手に中に入ってよいのか?」
「それは今回の観察対象がここの部隊に所属する局員だからです。そして中に入れるのはギャグ補正というものです」
「……シュテルよ、今回が番外編でギャグ回だからといって、メタな発言が許されるわけではないのだぞ」
それもそうですね、以後気をつけます。
「それではさっそく始めましょう。ディアーチェとレヴィは私と一緒に解説役をお願いします」
「解説ってどーするの?」
「そうですね……取りあえず思った事をバンバン口に出していただければ十分です」
「りょーかーい!!!」
「仕方ない…承ったぞ」
「あの……私は何をすれば?」
「ユーリはナレーション役をお願いします。この台本通りに話を進めていけば大丈夫ですから」
「ナ…ナレーションですか……私に勤まるでしょうか?」
「大丈夫です。この話の元ネタのナレーションも貴女と同じ声を──」
「待てシュテル!! メタな発言はやめろとさっき言ったばかりだぞ!!!」
失礼しました。何でもありません。
「とりあえずお願いします。ユーリならきっとできるハズです」
「わ…わかりましたっ!! がんばりマス!!!」
気合を入れているユーリも可愛いですね。さて、では話も纏まった事ですし……
「始めましょう…人間観察を……」
◆◇◆◇◆◇◆◇
ナレーション:ユーリ・スクライア
時空管理局・武装隊。
戦闘が見込まれる事態が発生した場合、前線の戦闘員として出動する戦闘専門の魔導師が所属する部隊。ここで働く人たちは次元世界の平和を守る為、日夜厳しい訓練に明け暮れています。
ここで登場したのは武装隊に所属する新人の男の人『局員A』
例にもれず次元世界平和の為に情熱を燃やし、日々訓練に明け暮れる新人さんです。
しかし!!! そんな彼の日々の中に、とある変化が訪れたのです!!!
その原因となるのがこの人……『高町なのは』!!!
『私のオリジナルですね』
武装隊の戦技教導官を勤め、魔導師ランク・空戦S+。『エースオブエース』や『誰もが認める無敵のエース』…さらには『管理局の白い悪魔』や『砲撃魔王』など、局内のみだけでなくミッドでも有名な方です。
『最後の呼び名2つ酷いな』
『そう? 強くてスゴくてカッコイイじゃん!!!』
観察を続けていると、この方は大変モテている事がよく分かります。
キリっとしつつもどこか幼さを残した顔立ち。完璧といってもいいプロポーション。誰に対しても分け隔てなく優しく、自分に対してはとても謙虚。教導では中々厳しいが、それでも確実に強くなれるプログラムを組んでいる。
確かにモテる要素の多い方です。しかし一番の理由は──
「高町教導官、お疲れさまです!!」
「うん、お疲れ様ー。今日の動きすごくよかったよ」
「あ…ありがとうございます!!」
「明日もその調子でがんばろうね♪(ニコッ)」
「…………///」
ものすごく……可愛い所です。
『やりますね』
『やるな』
『なにが?』
私にもよく分からないのですが……
『2人はまだ知らなくていいことですよ。それからユーリ、今はまだナレーション中ですから』
あっ!! ごめんなさい!! えっと……コホン…
高町なのは……無意識ながらも実に罪作りな女性です。
それでは、そんな罪作りな女性の日常を覗いてみましょう。
「あ、A君おつかれさま~♪」
「あ、お疲れ様です!!」
「今日を乗り切ったら、明日から3連休だから、午後からも頑張ろうね!」
「は…はい!!!」
『休憩室で2人っきりですね……』
『局員A、これはチャンスか?』
『よくわかんないけど、ガンバレ局員A!!』
『いえ、ナノハは一見ぼんやりしているように見えて実はかなりの鉄壁ですよ。ほら見てください、そう言っている間にも……』
「そう言えば、高町教導官には娘さんがいらっしゃいましたよね?」
「そうだよ。養子だけどね」
「では連休中は、娘さんとどこかに出かけられるのですか?」
「んー……この前友達と一緒に旅行に行ったばっかりだから今回はないかな~」
『連休の予定を聞いてますね』
『スキあらば旅行に誘う気であろうが……さて、そう上手くいくかな?』
『……というかディアーチェ、嫌々だった割にはノリノリで解説してくれていますね』
『今のところレヴィがまったく役に立っておらんからな』
『また旅行行きたいな~』
生まれてこのかた彼女なし。顔も並…家柄も並…今まで女性と会話した記憶は総合しても1時間にも満たないほど女性に対してかなりの奥手。そんな局員Aさんの決死の会話。
『ヒドイ設定だな、局員A』
「A君は連休中、どこかに行くの?」
「え?」
『おっとこれはチャンスです。「旅行に行くんですけど、よければ一緒にどうですか?」で一気にゴールを決められますよ』
『さぁ局員A悩んでいる!!! 決めるか…!? 決められるか!!?』
『急にスイッチが入ったな、レヴィよ』
「あ…あの実は……!!」
『行ったーーー!!!!』
「じ…実は旅行に行くんですけど、よければ一緒に──」
ピピピピピピピ!!!
「あ、休憩時間終わりだね。先に戻って待ってるから、早めに来てねー」
「……………」
『外されたーーー!!! キーパーナイスセーブ!!! 局員A残念!!!』
『やはりナノハは天然の鉄壁ですね』
『おい、途中からサッカーの解説のようになっておるがいいのか? この状態で進むのか?』
『しかし局員Aもこのままでは諦めきれないでしょう』
『1度火がついちゃったら中々収まらないからね。訓練後の後半戦に期待だね』
そして迎えました後半戦…キックオフです。
「お疲れさまです高町教導官。あの、今日の自分の動きは……?」
「うん、気になるところはいくつかあったけど、結構いい動きだったよ」
『後半戦、まずは教導の話から入りましたね。これはいいパス回しです』
「そ…その気になるところの話、よければ食堂で詳しく聞かせていただけないですか!?」
「え?」
『おっとこれはさすがに見え見え。このパスは通らないだろうねー』
「うん♪いいよ!」
『いや通った!!? 通ったぞ!!!』
『これは面白い展開です』
それから約十数分……局員Aさんは食堂にて彼女に見惚れながらも懸命に教導の話を聞いていました。
「キミの欠点はこんなところかな? これを克服したらきっともっと強くなれるよ」
「あ、ありがとうございます教導官」
『夜中の食堂、周囲には特に他の局員はいないという絶好のチャンスです』
『局員A、さっきの奇跡のパスを活かしきれるか……?』
『今更だが……我らはこれを一体どこから見ているのだ?』
『『気にしたら負けです(だよ)』』
「あ、何か飲みますか? 俺奢りますよ!」
「え? いいの? ありがとー♪」
『さぁセンターラインを越えました。局員A、ここからどう出るのでしょうか?』
「ねえA君」
「はい?」
「A君は……優しいね」
「!!」
「キミみたいに優しい人を教え子に持って、私は嬉しいよ♪」
「!!!!」
『おおっとついにゴール前までキターーーー!!! キーパーと1対1だーー!!!』
『さぁ局員A、ここで勝負に出るのでしょうか?』
『出るだろうな、ここで出なければ男ではないぞ局員A』
「あ…あの、高町教導官!!! 実は俺──!!」
『行ったーー!! シュートだーー!!!』
「俺…高町教導官の事が──」
ピリリリリリ!!
「あれ? こんな時間に通信連絡──あっ!! ユーノ君からだ♪ ちょっとゴメンね!!」
「──!!?」
『あーっと!! ディフェンダー戻ってきてたー!!! 思わぬ伏兵の登場に局員A呆然自失ーー!!!』
『これは痛いですね』
『あぁ、最後のチャンスを失ったな』
「うん…うん……え? 新作ケーキの試食!? ホントに!? わかった!! じゃあ明日ヴィヴィオと一緒にそっちに行くねー♪ うん、バイバーイ♪」
「…………」
「あ、ゴメンねお話の途中で!! 何の話だったっけ?」
「い…いえ……あの、それより…ずいぶん親しそうでしたけど、今のは?」
「え? ああ、ユーノ君のこと? ユーノ君は友達だよ~」
「そ…そうなんですか」
『おっとしかし、局員Aの目にはまだ闘志が宿っている!!!』
『ここから巻き返しなるのでしょうか?』
「あ、でも……」
「え?」
「少しだけ……特別な友達……かな///」
「(ガーーン!!!)」
「あ、もうこんな時間。帰って夕飯の支度しないと……それじゃあA君、また連休明けにね!」
「……はい……お疲れさまでした……」
『あーっとここで試合終了~!!!』
『カウンターからの見事な切り替えしでしたね』
『あぁ、1度油断させておいてそこから間髪いれずにトドメを刺す……実に見事であった』
『おっと局員A、がっくりと膝をついて泣いている!!』
『それはそうでしょうね』
『最後の最後に物凄い心の傷を負わされたからな』
『それではこの辺で実況を終了したいと思います。本日はどうもありがとうございました』
『『ありがとうございましたー!』』
◆◇◆◇◆◇◆◇
「みなさんお疲れ様です」
実況終了後……私たちは自室にてジュース片手に労を労います。
「あう~…緊張しましたが、何とか噛まずに言えましたぁ~」
「話の内容はよくわかんなかったけど、楽しかった~♪」
「我はほとんどヤケクソだったがな。して、シュテルよ……今回の人間観察の結果はどうだったのだ?」
「決まってます、今回の人間観察の結果……それは──」
―観察結果―
このように…我らがお父様は、今も昔もエースオブエースを影から支え守っている!!!
「結局、父様の話だったのですね」
「なんだこの話」
終わり