だって……制服姿や私服姿のマテリアルズのカードとか、すずかのバリアジャケット姿のカードとかが可愛すぎて、ついカードを集めるのに夢中になってしまうんです。あれは可愛くてハマる。
とりあえず更新が遅れてしまい申し訳ありませんでした。
感想お待ちしております。
「ヒーマーだーよー!」
「レヴィ、その台詞もう五回目だぞ。まぁ、確かにヒマだがな」
「お二人とも、接客以外にもちゃんと仕事はあるのですよ? それを差し引いてもヒマですが……」
喫茶店・翠屋は今日も通常営業……なのだが、今日は朝から客足が悪い。現在の時間はお昼過ぎ…いつもなら結構混むような時間帯なのに、今日の来店者は先ほどのお客さんを含めて数人だけだ。娘たちもヒマを持て余している。
「みんな、確かに今日はいつもに比べたらかなりヒマだけど、ちゃんと接客できるようにはしておいてね」
「「「はーい」」」
あまりにヒマ過ぎるためか、娘達の返事も心なしか篭ってない。
「それにしても、今日は本当に客足が悪いな」
こんなことが今までに一度もなかったわけではない。時折今日みたいに突然客足が悪くなることは多々あった。
だけど……こういう時って、何だか嫌な予感がするんだよね。会いたくない奴に会ったりとか……ま、僕の予想はあまり当たった事がないからアテにはしてないけどね。
何て思っていると……
カランコローン
と、来客を伝えるベルが鳴り響いた。
ほら、やっぱり僕の予感なんて気のせいだったんだ。
そう思いながら、僕は入り口の方へ視線を向ける……が…
「いらっしゃいま──ゲッ!!?」
その来客を見た瞬間、僕はついそんな声を出してしまった。何故なら……
「客に対する第一声が〝ゲッ〟とは……この商売は向いていないんじゃないか? フェレットモドキ」
来客して来たのは……僕の天敵であり、悪友でもある男……クロノ・ハラオウンだった。
「……久しぶりだね、クロノ」
「あぁ……実際に会うのは2年ぶりだな。フェイトから話は聞いていたが、本当に喫茶店を営業しているとはな」
「まぁね。でも今はこの仕事の方が楽しいから、後悔はしてないよ」
「……そうか」
「それで?一体何の用?」
「おいおい、僕は一応客なんだがな」
「……みたいだね。どうぞ、空いてるお席に」
クロノの服装は普通の管理局員の制服……こいつは基本的に仕事につく時はバリアジャケットを纏ってるから、今は休憩中なんだろう。
そんな事を考えている間に、クロノは僕の目の前のカウンター席へと腰を降ろした。
「改めて…久しぶりだな、フェレットモドキ」
「ハハッ……君は相変わらずだね、この腹黒提督」
「いやいやお前こそ、相変わらず幸薄そうな顔で安心したよ、フェレットモドキ」
「そう言う君は相変わらず仕事一筋で頑張っているのかい? たまにはエイミィさんの所に帰ってあげたら? でないと愛想尽かされるよ? 君みたいな真っ黒クロスケ提督が結婚できるチャンスなんて二度とないかもしれないんだから」
「結婚経験のない君に言われたくないんだがな。あぁすまない、結婚できないの間違いだったか? だったら今度いいペットショップを紹介してやろう。そこで好みのフェレットを選んでくるといい」
「あはは、心配には及ばないよ。今の僕には愛する娘達がいるからね。あの子達と過ごしているだけで僕は幸せなのさ。まぁ、妻も子供もほったらかしにして仕事に生きている薄情者のススワタリ提督には理解できないかもしれないけどね」
「そうか、それはよかった。せいぜい『お父さん獣臭い』と言われないように気をつけるんだな」
「ご忠告ありがとう、ゴキブリ提督」
「「ハハハハハ……!!!」」
表情だけは爽やかに笑ってはいるが、傍から見たら僕達はさぞかし険悪なムードを醸し出している事だろう。その証拠に、僕とクロノの額には赤い十字路が浮かんでいる。
「……スゴイですね、笑顔で罵り合っていますよあの2人」
「……言葉の節々に物凄い毒が散りばめられておるな」
「……あんなおとーさん見た事ないよね」
ヒソヒソと話をしているけど、まる聞こえだよ娘たち。
「あの子たちがフェイトが言っていたお前の娘か。確かに、あの3人の子供の頃にそっくりだな」
「まぁね」
そう言ってクロノがうちの3人娘に視線を移すと、シュテルがクロノに歩み寄り、自己紹介を始めた。
「初めまして。シュテル・スクライアと申します」
「ボクはレヴィ・スクライアだよ」
「ディアーチェ・スクライアだ。よろしく頼む」
シュテルの自己紹介を皮切りに、レヴィとディアーチェも自己紹介をした。
「あぁ、よろしく。僕はクロノ・ハラオウン。時空管理局で提督を務めている」
それに答えるように、クロノも自己紹介を返した。
「ハラオウン? ファミリーネームがレヴィのオリジナル…フェイトと同じですね」
「当然だ、フェイトは僕の義妹だからな」
「じゃあ、クロのんはボクのオリジナルのへいとのお兄ちゃんなんだね!」
「そういうことになるな。っというかレヴィ、クロのんって何だ? 後へいとじゃなくてフェイトだ」
「我は良いと思うぞ、クロのん」
「2人が失礼なことを言って申し訳ありません、クロのんさん」
「待ってくれ、その名前で定着させないでくれないか?」
「ぷっ……クロのん…ククク……!!」
「おい笑うな、フェレットモドキ」
ダ…ダメだ……クロのん……ちょっとツボに入っちゃった。
「ゴメンゴメン……それで、注文はどうする?」
「コーヒーをもらえるか? 砂糖とミルクはなしで」
「種類は?」
「任せる」
クロノの注文を聞いて、さっそくコーヒーを淹れ始める。
その間一瞬だけコーヒーに何か入れてやろうかと思ったけど、今はお客さんだという事を思い出して踏み止まった。
「はい、お待たせ」
「ありがとう」
コーヒーを淹れたカップをクロノの前に置くと、クロノはさっそく淹れたてのコーヒーにゆっくりと口をつけた。
「うん……美味いな」
「だろ?」
「最初に言った言葉は撤回しよう。中々喫茶店の仕事が板についているじゃないか」
「上から目線なのがイラッとくるけど、まぁその褒め言葉は受け取っておくよ」
伊達に約2年もあの人たちの所で修行してないからね。タンピングとか苦労したなぁ。
「その様子だと、もう無限書庫に戻るつもりはないようだな」
「当然だよ。今は娘達と過ごせる今の仕事がすごく楽しいんだから」
「だが、お前が辞めてからの2年間、無限書庫の稼働率は著しく低下しているのも事実だがな」
「だったら新しい司書を入れるか、司書達の探索魔法のスキルを上げるか、資料請求の数を減らせばいいじゃないか。どうせまた無茶な量の資料を請求しているんだろ?」
「……そこを突かれると返す言葉もないな」
僕が無限書庫で働いていた頃からそうだった。クロノは通常よりも遥かに多い資料を請求して来て、そのせいで何人もの司書が倒れたほどだ。
まぁ、僕がクロノの請求を全部引き受けることで解決したけどさ。
「あの…お父様」
「ん? 何? シュテル」
「無限書庫……とは何ですか?」
ああ、そっか。この子達はミッドに来てまだ2年だし、管理局とかの仕事も大雑把にしか説明してないからどういう施設があるのかよく知らないんだっけ。管理局に興味がない…というのも理由の1つかもしれないけど。
「無限書庫っていうのは2年前まで僕が勤めていた管理局の本局の施設でね、管理局の管理を受けている世界の書籍や情報の全てがストックされている次元世界最大のアナログデータベースなんだ。『無限』の名の通り、書物は日々増え続けているんだよ。簡単に言えば、次元世界最大の図書館と言った所だね」
と…ここまで説明して気づく。シュテルの目がこれでもかというほどキラキラしている事に。
「無限の本がある図書館……行ってみたいです」
「あんまりオススメはしないけどね」
探せばどんな情報もちゃんと出てくる場所だけど、その探すのが一苦労……という程度の苦労じゃ済まない場所でもあるからね。
「それにしてもユーノ、娘3人を男手一つで育てるのは結構大変じゃないか?」
「んー…まぁ大変だなって思う時もあるけど、この子達の可愛い笑顔を見るだけでそんな考え吹っ飛んじゃうんだよね~♪」
「親バカだな……顔がかなり緩んでるぞ?」
おっといけない……娘の前でだらしない顔をするのはよくないね。
「お前は結婚とかは考えていないのか? 母親がいるだけで、子育てはかなり楽になると思うぞ?」
「嫌味かこの既婚者め。でもまぁクロノの言うことには一理あるけど、今はこの子達を育てるだけで手一杯だからね。恋愛とかそう言うのに構っている余裕はないよ」
それに、今の僕は恋愛感情と言うのがよくわからない……小さい頃からなのは達と一緒にいたせいかな?
「でも、ボク達にとっておかーさんみたいな人はいるよ!!」
「なに?」
「ぶほっ!?」
レヴィの発言にクロノは興味を持ち、僕は口に含んでいたコーヒーを噴出してしまった。シュテルがそれを丁寧に拭いてくれているけど、今はそれどころじゃない!!
「誰だそれは?」
「えっとねー……名前は──むぐっ」
「はーいレヴィ、余計なこと言わないの」
「むーむー!」
僕はすぐさま余計なことを喋ろうとするレヴィの口を手で塞いだ。
口を塞がれて暴れるレヴィだけど、もしクロノに『あの人』の事を聞かれたら、嬉々としてコイツはそれをネタにからかって来るだろう。それならまだフェレットモドキって言われた方がマシだ!!
「おい、そんなに恥ずかしがることないだろうユーノ。僕とお前の仲じゃないか」
「なに今更友情的な雰囲気出して人のプライベートを聞き出そうとしてるんだよ!」
油断も隙もないなコイツは!
「冗談だ。人様のプライベートを無闇矢鱈に聞き出す趣味はないからな」
そう言って引き下がるクロノ。よかった、とりあえず一安心だ。
「そう言えば、お父様はその方と口付けをしていましたね」
「ちょっ!! シュテル!!!?」
と思ったら意外な伏兵が!!! まさかシュテルにバラされるなんて思ってもみなかったよ!!
「ち…違う!! アレは不意打ちでやられただけで僕の意志じゃない!! っというか、そもそも頬にやられたんだから厳密には口付けじゃない!!」
僕は今何を口走っているんだろう? 動揺し過ぎて何だか取り返しのつかないことを喋っている気がする。
そんな事を思っていると、不意にクロノが僕の肩をポンっと叩いてきた。
「すまない、前言撤回だ。もう少し詳しく教えてくれ」
「なにいい歳して人の色恋沙汰に興味持ってんだよこの腹黒提督ー!!!」
結局この話題が終わったのは、今から数時間の事であった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「はー……あの腹黒め。何だか今日はいつも以上に疲れた気がするよ」
いつもとちょっと違った営業を終えた夜、僕は倒れこむようにして自室のベッドに寝転がる。
因みにあの後、人の秘密を暴露するような悪い子2人には〝オヤツ抜きの刑〟を執行してあげた。まぁ2人ともちゃんと反省しているようだったから、結局オヤツは上げたんだけどね。
Prrrrrr!!
「!」
すると…突然僕の部屋に鳴り響く電子音。
その正体は、次元世界と次元世界を越えて連絡を取り合える通信機だった。まぁ見た目はただの電話だけどね。
「はい、もしもし?」
《やぁユーノ君、久しぶりだね。私だよ》
この声はもしかして……
「グランツさん!」
電話の相手は『エルトリア』と呼ばれる管理外世界の研究者……『グランツ・フローリアン』さんだった。
彼とは地球に居た頃……まぁお互いに色々とトラブルに巻き込まれてその際に知り合った仲だ。
「お久しぶりですグランツさん。アミタとキリエも元気ですか?」
《もちろん、娘2人も元気だよ。ただ、アミタはともかくキリエは少々難しい年頃なのかな……家ではあんまり話してくれないんだ》
「こちらの世界で言えば、中学生の高学年くらい……いわゆる思春期ですからね。確かに難しい年頃かもしれませんね」
《そういうユーノ君のところの3人娘はどうだい? みんな元気でやっているかな?》
「もちろんですよ。シュテルもレヴィもディアーチェも、みんな元気でやってますよ」
《そうかい。それはよかった》
とまぁ、ここまでの会話で分かるように…グランツさんにも『アミティエ』と『キリエ』という2人の娘がいる。僕は1度しか会った事はないが、2人ともとても可愛い女の子だ。
同じ娘を持つ者同士、グランツさんとはとても気が合う。
《そうそう、それとこの間アミタが私にクッキーを焼いてくれてね。それに話を聞けばキリエも一緒になって作ってくれたと言うんだ。あれを口に含んだときは最高の至福というのを実感したよ》
「あ~分かります。娘が自分の為に作ってくれたモノって何であれ嬉しいですよね。そう言えば僕もこの前、お昼寝をしてるシュテルの頬を軽く突いてみたら、あの子寝惚けて僕の指を『あむっ』て咥えちゃったんですよ。普段クールなシュテルとのギャップがすごく可愛かったです♪」
だからこのような親バカトークが始まるのも必然といえば必然だね。
《それを言えばうちのキリエだって最近趣味でガーデニングを──》
「でしたらうちのレヴィとディアーチェも──」
とりあえず…この親バカトークがあと1時間ほど続いたという事だけ記しておくとする。
閑話休題
「ところでグランツさん、僕に何か用事があって連絡してきたんじゃないんですか?」
《はっ!? そうだった、娘の自慢話ですっかり忘れていたよ》
僕の指摘に思い出したように声を上げるグランツさん。まぁ正直僕も思いっきり話に夢中になってたから強くは言えないんだけどね。
《んんっ……さて、ここからはちょっとマジメな話だよユーノ君》
と…グランツさんが咳払いと共に声がマジメなトーンに変わったのを聞いて、僕も表情を引き締める。
《単刀直入に言うよ……ユーノ君》
「はい」
そう言って少し間を置いたあと……グランツさんは意を決したように言い放った。
《娘をもう1人持つ気はないかね?》
「……は?」
つづく
どうもZEROです。
前書きに記載したように、現在自分はリリなのinnocentにハマっております。
グランツさんの登場は完全にその影響です。近々アミタとキリエも出す予定です。
前作ではここからGOD編に突入したのですが、リメイク版ではその話は無しにします。
当小説の時間軸はVividですが、物語はIFのものだと思っておいてください。
次回もどうぞよろしくお願いします。