VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた   作:七斗七

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あわましお泊りコラボ1

♪――――♪(スマホの着信音)

 

「やほやほー。ましろんですよー」

「あ、もしもーし! 淡雪です!」

 

本日の私は昼過ぎからましろんと通話をしていた。とは言っても配信をしているわけではない。次のコラボについての打ち合わせが本題だ。

 

「いやぁさっきラーメン食べに行ってさ、お腹いっぱいで立ち上がれないよ。あわちゃん何か食べた?」

「さっき起きました」

「おい」

「いやぁ、だって昨日は割と遅くまでワルクラ配信してたのでちょっとくらいいいかなぁと……」

「あんまり夜更かしが過ぎると体調にもよくないから程々にね。あと今すぐ何かお腹に入れなさい」

「え~あんまりお腹空いてない……」

「だ~め」

「はーい」

 

お互いVTuber活動初期からのコラボ常連だからもう何度目かも分からない打ち合わせだ。もう二人そろって堅さの欠片も感じない自然体で会話している。

なんかましろんの声は落ち着くんだよね。最近は特に、ついつい長電話になってしまいがちだ。私の口調も淡雪が丁寧な言葉遣いの設定なのでそれを順守しているが、どうしてもふとした瞬間にフランクさが垣間見える。

とりあえず最優先で決めなきゃいけないことだけ片付けないとだめなので、本当は朝食用に買っておいたパンをかじりながら本題に入る。

現状コラボすることは決まっているが何をしようかまでは決まってない状況だ。

 

「今度のコラボどうしましょう? ましろんやりたいこととかあります?」

「ん~……あ、実はそろそろあわちゃんの新衣装を用意したいって運営さんから言われてるんだよね」

「え!? まじですか!?」

「うん。僕もそろそろ描きたいと思ってたから期待してて。まぁまだ服のイメージも決まってない段階だけどね」

「やったー!」

 

VTuberにとって衣装が増えるのは仮〇ライダーにとってのフォームが増えるのと同等の効力を発揮する。とてつもない戦闘力upだ。

 

「あーでもこれはコラボの内容にはならないか。話それちゃってごめんね」

「いやいや、ましろんから今の報告があっただけで私は今日からハッピーですよ」

 

……ん? ちょっと待てよ? もしかするといいアイデアが浮かんだかもしれない。私のイラストレーターとしてのママがましろんだからこそ成り立つ企画――

 

「ねぇねぇましろん。その新衣装のアイデア出し、コラボ配信でやってみません?」

「お? ほーほーなるほど……」

「ほら、リスナーさんからの反応とかを見ながらファッションの傾向とかアクセサリーとか決めるのも面白いかと思いまして」

「ふむふむ、確かに斬新な企画だね」

「あ、勿論ましろんがそういった作業を見せたくないんだったら全然やめますよ?」

「んーいいんじゃないかな? 面白そうだし。なんでもやってみるのが大切だしね。実際に配信中に出た案がそのまま採用になるかは分からないけど、リスナーさんも喜んでくれそうだしね」

「お、それじゃあやっちゃいますか?」

「そうだね、でも一つ条件いいかな?」

「条件?」

「うん。せっかくだからあわちゃんとオフコラボしたいなーって。あわちゃんって一人暮らしだよね? お泊りとか行ってもいい?」

「お、おふまりですと!?」

「混ざって新しい言葉生み出してるよー」

 

実は私たちあわましコンビはライブスタートの時の一度を除いてまだオフで会ったことがない。

ましろんが実家暮らしで家が遠かったのが主な理由なのだが、まさかこの瞬間が来てしまうとは……

ああやばい。あれだけリラックスして話してたのにいきなり緊張してきた。

 

「イラスト用の機材は僕が持っていくから、どうかな?」

「も、勿論大丈夫ですよ! でもオフコラボしたいってましろんから言ってくれるなんて、ちょっと意外ですね」

「あーそれねー。なんか最近あわちゃんいろんな人とオフでコラボしてるじゃーん。ちょっとコラボ相手が羨ましいなーって思ってね」

 

なんだこやつかわいいかよ。

普段クールなましろんが稀に私にさらすベタ甘、もう泊まるどころか家に住んでくれ。

 

「この機会に僕のあわちゃんなんだぞーって主張してやろうかと思ってね」

「っ!?!?」

「なーんてね」

 

あかん、クール系小悪魔ボクッ娘の破壊力はアルマゲドン級だ。危うく私の頭の中マゲドンになりかけた。

ましろんはほんとにこういうギャップの使い方が上手いんだよなぁ。どこまでが本音か分からないこの妖艶さがまぁたまらん。貢ぎたい。今度スパチャしよ。

何をするかが決まった後はコラボ当日の時間や持ち物などを詳細に決めていく。

 

「当日はあわちゃんお酒飲む?」

「えっと、コラボの日は休肝日の予定だからこのままでいこうかな」

「オーケー」

 

更に言えば、無いとは思うけど酔っ払ってリアルましろんに何かいけないことをやらかしたら目も当てられないからな……

その後しばらく他のライバーの話題などの雑談を挟んだのち、通話は終了となった。

 

「よし、んじゃそんな感じでよろしく。またねー」

「はーい!」

 

さて、ましろんをむかえる為に早いうちから色々準備しないと!




ライバー紹介ページに四期生を追加しました。

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