VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた   作:七斗七

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三期生対抗体力バトル3

 第二回戦・ましろんVS.ちゃみちゃん。

 実況は光ちゃん。審判兼実況サポート役はましろんの代わりに私が務めることになった。

 

「手を組んで」

「ふふっ、僕は運に恵まれたようだ」

「わ、私だって腕相撲くらい出来るんだから!」

 

 ましろんがちゃみちゃんに煽りを入れている。これはましろんが勝つ気がするなー。

 

「ヨーイ……スタート!」

「「っ!」」

 

 私の掛け声で、両者共に力を込める。

 そしてましろんが優勢に……ってあれ?

 

「ふぐ、んぐぐぐぐぐぅ!」

「あ、あら?」

 

 なんか、やけに拮抗しているような……。

 いや、むしろ必死な表情なのはましろんの方で、ちゃみちゃんは今の状況に困惑気味?

 

「?? よいしょ」

「あ゛っ!」

 

 不思議そうにしながらもそのままちゃみちゃんが本気の力を込めると、ずるずるとましろんの腕が後方に傾いていき――

 

「……勝者、ちゃみちゃん!」

「や、やったぁ!」

 

 そのまま当然のように勝敗がついたのだった。

 

「ジーーーーーーー」

 

 喜ぶちゃみちゃんとは対照的に、気まずそうにいそいそとポジションから離れるましろんを凝視する。

 

「…………なに?」

「僕は運に恵まれたようだ、でしたっけ? ぷぷぷ」

「僕が今穿いてるパンツその口に突っ込むよ」

「エエェッ!? エ゛ッ!? エッ!? エ゛エ゛エェ!?!?」

「ふっ」

「ちゃみちゃんすごい! 全然運動も出来るじゃんか!」

「ありがとう光ちゃん! 全部最下位になるかもとか思ってたから嬉しいわ! このまま優勝まで行っちゃおうかしら!」

「お、言ったなぁ? じゃあ次は超全力の光が相手になるからよろしくね!」

「ぁ…………」

 

コメント

:ちゃみちゃまに懸賞金 ¥30000

:パンツの詳細お願いします

:ちょっと発想がフェチ気味なのは絵描き故か……

:淡雪ちゃんの反応が童貞っぽいwww

:ちゃみちゃん無意識に最強の相手煽ってて草

:早くパンツ突っ込め。あと創作でよく見る『○○だが、それはまた別のお話である』もそれを見せろ

 

 調子に乗ると痛い目に遭うことが証明された戦いであった。 

 

 尚、ましろんにからかわれた恥は、次戦の三位決定戦で手の感触を楽しみながら圧倒して返してやった。ふふん。

 

 

 

 

 決勝戦・光ちゃんVS.ちゃみちゃん。

 審判兼実況サポートはましろん、実況は私だ。

 試合前に軽くましろんと雑談を交わす。

 

「むぅ、一回戦から光ちゃん優勝はまずいですね……」

「確かにちゃみちゃんが筋力で勝てるとは思えないもんね、僕も出来ることなら総合優勝したいし……そうだ! ねぇあわちゃん」

「はい?」

「ちょっといいこと考えたから聞いて」

 

 ましろんが耳元で何か囁いてくる。

 

「……っ! な、なるほど! それいけるかも!」

「でしょ?」

「2人共何してるのー? こっちはもう準備出来てるよー!!」

「おっとごめんごめん、それじゃあ手を組んで」

 

 ましろんが試合開始を告げる前に、私はとある位置に可能な限り自然に移動する。

 

「ヨーイ……スタート!」

「うりゃあああぁぁ!!」

「くぅ……」

 

 勝負が始まると同時にちゃみちゃんが押され始める。ここまでは失礼ながら予想通り。

 だがここで私が動く! さっき移動していた場所はちゃみちゃんの隣! そしていざ狙うのはちゃみちゃんの耳元!

 

「がんばれ♡ がんばれ♡」

「はああぁん!?!?」

「おおっと! ここであわちゃんがちゃみちゃんの耳元で甘い声を出し始めた!」

「え、ええぇ!?!?」

 

 そう、これがましろんから伝えられた名案! ちゃみちゃんの性癖刺激作戦だ!

 

「そ、そんなのありなの!?」

「ありなんじゃないかな。だってほら、あわちゃん実況してるだけだし」

「がんばれ♡ ちゃみちゃん押されてるぞ♡ 押しかえせ♡ がんばれ♡」

「た、確かに実況かも……あ、でも、中立的じゃないのはダメじゃないかな!」

「いや、あれは耳元で言ってるだけで、応援は光ちゃんにも言ってるから」

「そーだったのか!!」

 

 ましろんの雑過ぎる強硬論に簡単に屈した光ちゃん。こんなにいい子なのにどうして私の時はあんなだったの……。

 

「がんばれ♡ がんばれ♡」

「はぁ、はぁ、はあぁぁ!!」

「うおぉぉ!? なんだこの力!?」

「ちゃみちゃん持ち返したぞ♡ あと半分♡」

 

 あれだけ押されていたちゃみちゃんが驚異の底力で押し返し始める!

 ……計画通りだけど、荒い呼吸と血走った目は気にしないことにしよう、うん。

 

コメント

:出たな淡雪ちゃんの秘義覚醒開花

:なんだこの展開……

:力は筋力<性欲なの流石ライブオン

:やっぱり人間じゃねぇだろこいつら

:にんげんっていいなからギリ範囲外判定されそう

:実況とは

:あわちゃんそんなエッな声出せたんだね

:普通にいい声でイライラしそう

 

 …………あの、最初は勢いで気にならなかったけど、なんか続けてたらぁそのぉ……段々恥ずかしくなってきたんですけど。何してんだ私……。

 羞恥の念に駆られ、助けを求めるようにましろんに視線を向ける。

 

「ん? どうしたのあわちゃん? 応援してあげないとちゃみちゃん負けちゃうよ?(にやにや)」

 

 こ、こいつぅ!? 私への更なる仕返しも計算済みか!?!?

 くっ、やめたいけど、ここまでやって作戦失敗も納得がいかない。あと少しでちゃみちゃんの勝ちだし、ラストスパートやってやる!

 

「がんばれ♡ がんばれ♡」

「はぁ、はぁ!」

「くぅぅきっつぅ!!」

 

 もうちょっと!

 

「がんばれ♡ がんばれ♡」

「はぁ、はぁ、はぁ!」

「くはっ、光が……負けそうだなんてぇ!」

 

 よし! あとほんの少し! これで終わりだぁ!

 

「いけ!♡ いっけぇ!♡」

「はああぁぁぁぁんんん(ビクビク)!!!!」

「「「え?」」」

 

 最後に私が渾身の応援をすると、ちゃみちゃんは極限まで伸ばされたゴムが弾かれたかのように、押していたはずの光ちゃんに瞬殺されたのだった。

 突っ伏したままビクビクと震えているちゃみちゃんを除き、困惑が場を支配する。

 

「え、あれ? あっ、しょ、勝者! 光ちゃん!」

「はぇ? 勝てた?」

「……………………」

 

 未だ困惑を隠せない2人を尻目に、段々と状況を理解してきた私は、無言のままちゃみちゃんの両肩に手を添える。

 そして思いっきりその体を揺さぶった!!

 

「おいぃー!! 何土壇場で力抜いてんですか!! あとちょっとで勝てたのにぃ!!」

「だ、だって、ぜぇ、はぁ、あ、あんなにエッチな応援されたら負けるしかないでしょ!!」

「意味分からんこと言うなぁ!! 私の恥を返せえええええぇぇぇーーーー!!!!」 

 

コメント

:大草原 ¥10000

:本当になんだこの展開……

:毎度エロを笑いで隠してくるスタイルやめろ

:ちゃみちゃん相変わらずで安心した

:淡雪ちゃんの応援ボイス販売待ってます!

:すみません、パンツの詳細まだですか? 

:腕相撲だけでこれだけ盛り上がれるの尊い

 

 最終的に腕相撲は、1位・光ちゃん、2位・ちゃみちゃん、3位・私、4位・ましろんの結果で終わったのだった……。


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