VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた 作:七斗七
「三期生対抗体力バトル!!!!」
「イェーーーーーイ!!!!」
「お酒なんて飲んでいるわけないので運動は問題ありません!」
「私ね、争いごとは良くないと思うの」
「はい、テンションマックスの光ちゃん、コンプラが気になる清楚系のあわちゃん、世論を盾に身を守ろうとするちゃみちゃん、それぞれ愉快な自己紹介ありがとう、競技者兼司会進行の彩ましろです」
コメント
:三期生の完全オフじゃないですか!!!!
:イェーーーーーイ!!!!
:あわちゃん、何を焦っているのかな?
:ちゃみちゃんが運動するのほぼ見たことないはずなのに最下位の姿が見える不思議
:カオス挨拶ノルマ達成 ¥3333
はい! というわけで今回は三期生全員集まってのオフコラボとなります!
うんうん、やっぱりこうやって同じ空間で過ごすと、生の空気感があっていいものだね。オンラインはすごく便利だけど、絶対にオフでしか出ない空気感ってものがあるんだよなぁ。
ほら! 匂いだってなんか女の子って感じするから! いつもの匂いとは大違い!
やべ、今『いつも』って思った時にストゼロの匂い浮かんでたわ。私にとってデフォルトの匂いストゼロになってるわ。
ダメだダメだ、今日は清楚で酒の匂いなんて一切無しで行くんだ! なんたって今日の企画は――
「企画説明ー。今日はせっかくオフで集まったということで、皆で健康的な運動を楽しみましょう」
「光が提案したんだよ!」
「私は反対したのよ?」
「僕が言えた話でもないけど、ちゃみちゃんはもっと運動した方がいいよ」
「ぅぅぅ……反論できない」
「あわちゃんもね」
「私は何も言ってないです……」
い、今もたまーにリ〇グフィットはやってるから……たまーに……。
「説明続けるね。今回、皆には運営さんに選んでもらった各運動競技でバトルをしてもらいます。各競技同一で1位には10、2位には5、3位には3、4位には0ポイントが与えられ、点数を競い合います」
「はいはい!」
「はい、なんですかあわちゃん?」
「これ絶対罰ゲームとかあるやつでしょ! ちゃみちゃんの言う通りバトルとかやめて、運動は強度を自分に合わせて楽しむのが一番だと思います!」
「配信の為です」
「……………………」
「あれ? 黙っちゃった」
「光ちゃん、あれがライバー業に人生を懸けた者の姿よ」
ワタシ リスナーサン タノシマセル。
「とも思ったんだけど、罰ゲームは光ちゃんがわざと負ける危険性を考えて、運営さんとの協議の結果、無しとなりました」
「え、本当ですか?」
「や、やったぁ!」
「ッ!? そ、その手があったかぁっていやいや、勝負は真剣じゃないとな、うん!」
意外にも優しい展開が来て困惑気味ながらも喜ぶ私とちゃみちゃん。
でもね、光ちゃんはなんで感心しそうになってるの? 昔はそんな子じゃ無かったでしょ? 変わらず純真でいい子ではあるけど、迷惑掛けずに得られる快楽の為なら変な知恵が働くようになってきてて最近私直視出来ないよ?
返せ! 以前の快楽なんて言葉知らなそうな光ちゃんを返せ!
返せよ私ぃ!! うわああああああああああ!!!!
「なので罰ゲームはありませんが、代わりにポイント1位の総合優勝者には一つ、同期になんでも言うことを聞かせる権利をプレゼントします」
「「「!?」」」
は、はああああぁぁぁ!?!?!?!?
「ちょっと待てぇ! それじゃあ意味無いですから! 光ちゃんはそもそもフィジカル強者なんだから優勝しちゃいますって! 絶対勝者とは思えないなっさけないマゾ懇願してきますって!」
「大変よ! 光ちゃんが準備運動し始めたわ!」
「それはさっきみんなでやったでしょうが! ましろん、今からでも遅くない、考え直しましょう!」
「配信の為です」
「それなら仕方ないか」
「淡雪ちゃん、私は尊敬するわよ」
Vが運動だけで魅せるって難しいもんね、うんうん(泣)。
少なくとも光ちゃんには絶対に負けられなくなってしまった……。
コメント
:健康的な運動になる気配0で草
:負ける為に戦う女
:かっけぇ、ザ・ボスかな?
:ド・エムだよ
:ストゼロ無くても配信者魂は常にガンギマりなの推せる ¥22000
「はぁ、運動は自信ないんだけどなぁ……」
「大丈夫ですよちゃみちゃん。運動とはいえ、ここは体育館ではなくただのスタジオですから。それに健康的な運動って名目で運営さんにお願いしたので、あまりにもきつかったり変だったりな種目は来ないと思います」
「そうだといいけど……」
そう、今回の会場は走り回れる程広いわけではない。私があまり嫌がっていなかったのも、恐らく激しい運動は来ないだろうと睨んでいるからだ(光ちゃんのせいでそうもいかなくなったけどね……)。
ちょっと裏事情になると、運動とVTuberってあんまり相性が良くないから、せめて違和感を減らす為に走り回るのはやめようという方針もあったようだ。
「よし、それじゃあ皆準備はいいかな? 早速第一競技を発表するよ。僕もまだ知らないから、運営さんから競技が書かれた紙を貰う流れだね。あっ、ありがとうございます」
さぁいよいよだ。ましろんが運営さんから渡された紙を広げる――