VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた 作:七斗七
「はいはい! それじゃあ本格的に2人の子供がどういう子になるか創造(想像)してみようか! えっと、淡雪ちゃんと有素ちゃんの子だから名前は……うーん難しいな……安直だけど『有雪ちゃん』でいこうか」
「ふむ…………おや……? この組み合わせ、名前だけじゃなくその他も難しくないかい?」
「これってやつが思いつかないぞ!」
「私も思いました……そもそも私のあわとシュワの二つの要素はどうすんだって話になりますし……」
「はい! 私は思いついたのであります!」
いきなり躓いてしまいそうになった私達だったが、ここで真っ先に手を挙げたのは、意外にもさっきまで取り乱し続けていた有素ちゃんだった。
「まず外見でありますが、雪の姫のような儚くも美しい、紫の瞳がミステリアスに輝く美女なのであります!」
「…………にゃにゃ、それで性格の方は決まってるのか?」
「はいであります! 普段は清楚で控えめな性格なのでありますが、実は裏ではストゼロと女が大好きで下ネタも躊躇しないという二面性を兼ね備えているのであります!」
「私そのものじゃねーか」
そのツッコミの入りの滑らかさたるや、まるで川の流れのようだった。
「有素ちゃん、これ私と君の子供なんだよ? なんで私のクローン作ろうとしてんの!」
「そんなことはないのであります。瞳は私と同じ色なのであります」
「それは私の色でもあるんだよ! 有素ちゃんが運営さんにお願いしてまで私の瞳の色と同じにしてもらったこと知ってるんだからな! もうこの子に有素ちゃんの要素ないから!」
「そんなこと言われましても……淡雪殿に負担がないと分かった以上、私の遺伝子は淡雪殿の遺伝子と出会った瞬間即敗北を認めるので、あらゆる面で私の要素が発現することはありえないのであります」
「このクソザコ遺伝子が! もっと後世への執着を見せろよ!」
コメント
:wwwwwww
:実質無性生殖で草
:この女本当に人間卒業してんな
:……え? じゃあ有素ちゃんの体がもつ限り淡雪ちゃんは増え続けることも可能ってこと?
:恐るべきVTuber達計画始まったな
:毎年ライブオンの新期生に心音淡雪がいる未来想像して笑った
:急に数年デビューが止まったかと思ったら次の新期生枠全て使って同時デビューとかしそう ¥880
:会社の将来安泰じゃん
:この女……カオス過ぎる!!
再びツッコミに終始してしまい息切れ状態の私なのだが、それでも有素ちゃんは真剣にこれが正しいと思っているようだった。
「だって、世界の為を思えば淡雪殿は遺伝子の一欠片でも多く存在しているべきなのであります。もしその一端を担えるのであれば、それこそが私の幸せなのであります!」
「いや私が困るんだって! 毎日自分の知らないところで自分がやらかしてるなんて生き地獄だから!」
「あわ殿とシュワ殿のコラボが実現できた日には、私は歓喜のあまり体の穴という穴から体液をぶちまけるのであります!」
「それは尚更だめだろ! 絶対コラボNGだわ!」
必死に説得しても、こんな意味不明なことなのに正しさを全く疑っていない有素ちゃん。こ、この子なんでこんなに意志は強いんだよ!
だが、そんな私を見かねてか、先輩たちが助け舟を出してくれた。
「まぁまぁ有素ちゃん、私は2人の特徴を受け継いだ子が見たいな。ママのことを想って、ね?」
「う…………でも…………」
「聖様からもお願いするよ。このままシオンが欲求不満のままだと、恋人が永遠に魂〇ルフランを歌う末期ママになってしまう」
「それにな、有素ちゃんのご両親のことを考えたら、引き継いだ遺伝子を後世に残すのも、一種の親孝行ってやつなんじゃないか?」
「ぅぅぅ…………それを言われてしまうと…………やむなし、淡雪殿の繁殖は諦めるのであります……」
「繁殖って言うな!」
シオンママと聖様で揺さぶり、最後にネコマ先輩の発言が決め手になったのか、悪あがきを残しつつもようやく有素ちゃんが納得してくれた、ありがてぇ……。
それにしても、イジるつもりがいつの間にかやり返されてしまったな……こんな状況でも油断ならない、流石は有素ちゃんだ。勘弁してください……。
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