VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた 作:七斗七
「あはあああぁぁぁああ! 聖とネコマーの子供だって! バーマンちゃんの誕生だあ!!」
「バーマンってなんですか?」
「ビルマの聖猫って呼ばれてる猫の種類だよ! 2人の子にピッタリでしょ!」
「やけに凝ってる……さては前から2人の子として妄想したことありますね?」
「シュワちゃん。君のような勘のいいガキは合成だよ」
「この後確かに合成されますけどね……」
「あはぁ♡」
夢のような企画だとでも思っているのだろうか、なんだか恍惚として声さえ漏らし始めたシオンママ。
「なんで……なんで毎回こうなるんだ……」
それとは対照的に、ネコマ先輩は悲壮感を漂わせている。
なんだかこんな役回りが増えたよねネコマ先輩……クソゲー&クソ映画に触れ過ぎて、本人にも何かデバフのようなものが掛かってしまったのだろうか……。
「ふぅ、種付け完了っと」
「種付けどころかもう産んでんだよ!」
「ママはコウノトリさんに感謝を捧げます……」
「コウノトリ仕事し過ぎだろ! こちとら速達頼んだ覚えないぞ!」
コメント
:百 合 の 間 に 引 き 摺 り 込 ま れ る 猫
:バーマンちゃんデビューおめでとう!
:コウノトリ「産地直送でお届けします!」
:産地に直送してどうする!
:ホラー企画なんだよなぁ
さて、それで生まれたはいいが……。
「あの、ここからは何をするんですか?」
「ちゃんと考えてるよ! 名前は決まったから、ここからはこのバーマンちゃんの外見、性格を決めていくよ!」
「なるほど、じゃあ外見から行きますか」
進行役が暴走しそうになった時はすっと進行をカバーする、私も慣れたものだ。
……なんで進行役が暴走することが度々起こるんですかねぇこの箱は……まぁいいや。
「もう聖とシオンが乗り気なら気にするだけ無駄と思うか……」
ネコマ先輩も先程の私と同じ開き直りに至ったのか、気を取り直し、企画に立ち返ってくれた。やはり優しいネコさんだ……。
「それで外見だっけか? こっちが色々小柄で聖が色々でかいから、混ざれば丁度いい感じになるんじゃないか?」
「正統派な美少女が生まれる気がするよ! あぁ、育てたい……」
「普段は普通だけど、興奮すると猫耳と尻尾が出てしまうことにしよう。おぉおぉ、結構いい感じじゃないか!」
「我が子に興奮はしないでくださいね聖様。有素ちゃんはどう思いますか?」
「……………………」
「有素ちゃん?」
「……やばい」
「やばい? あ、外見が良すぎてってこと?」
まぁネコマ先輩も聖様も中身はアレでも外見はいいから、ここは外さないか。外見はライブオンが唯一王道を守っている点と言ってもいいからね。
……その分。
「次は性格……ですね。ここが決まれば自然と趣味も出てくる気がします……」
自然とこの点が問題になるわけなのだが……。
「性格……ネコマーの性格と言えば……」
「……クソゲーとクソ映画好きだな」
「それと聖の性格は……」
「性欲だね」
「それをミックスするとなると……」
……………………。
「スカ〇ロ好き?」
「やめましょうか!」
私は謎の義務感に触発され、そう言ってシオン先輩を遮っていた。
コメント
:wwwwwwww
:おいーーーーー!!!!
:アウトー!
:それは完全に一線越えてるから!
:ナイスセーブシュワちゃん
「にゃ、ネコマも賛成だぞ」
「まぁこれは仕方ないね」
「えー? なんでよー! こうなるでしょー?」
「なんでよーじゃないですよ! シオンママだってそれで話題広げたらやばいの分かるでしょ!? お食事中の方だっているかもしれないし、私だってストゼロ飲んでんですよ!」
「まぁそうだけど……私は、生まれるものは全て祝福してあげたい……」
コメント
:シオンママが言峰〇礼みたいなこと言ってる……
:誰か気絶するくらい辛い麻婆豆腐持ってきてー!
:ライブオン×ライブオン=放送禁止
:普段のライブオンもお食事中に見るもんじゃないけどね……
「せめてもう少し! もう少しマイルドに行きましょう!」
「マイルドかぁ……じゃあゲームと映画要素に寄せてみる?」
「お、いいじゃないですか! それで行きましょう! ほら、クソを下じゃ無くてダメって意味に繋げる感じで!」
えっと、つまり性欲×クソゲー&クソ映画ってことになるから……。
……………………。
「低品質なエロゲ&エロ動画フェチ?」
「ちょっと待ちましょうか!」
まぁそうなるかも知れないけども!
「だってこうなるじゃん!」
「まぁそうなんですけど! でもこれは業が深過ぎますって……」
「一体どういった点に興奮を覚えるのだろうね……素人感とかとも別なんだろうし……ネコマ君は分かるかい?」
「ネコマもクソな要素に性的興奮を覚えるわけではないから知らんぞ……」
「ほら! 両親も困ってますし!」
「親は私だよ」
「へ? でも聖様とネコマ先輩の子供だし……」
「でもこの企画考えたのは私だよね? 子供欲しがったのは私だよね? だからこの企画で生まれた子供は強制的にこのシオンママが保護します」
「強制的な保護はただの誘拐なんですよ」
コメント
:ライブオンの子だなぁ
:何もツボを分かってない制作人に無知シチュしてんじゃ?
:シオンママ……どうしてこんなになるまで放っておいたんだ!?
:誘拐も一線越えてるから!
:どんだけ線越えるんだよ横断歩道じゃねぇんだぞ
「えへへ、手が掛かりそうないい子だぁ……」
「もう終わりでいいよな? なんか疲れたぞ……ふにゃぁ……」
……まぁシオンママが満足気だからいいのかな……。ネコマ先輩はお疲れ様です……しばらくの間負担を掛けないようにしてあげよう……。
えっと、改めて、1人目の子のプロフィールを纏めるとこうなるかな。
名前・バーマン
外見・正統派美少女(興奮すると猫娘化属性有)
性格・低品質なエロゲ&エロ動画フェチ
まとめ・正統派美少女(笑)
「すごい子が産まれてしまいましたが、シオンママ、そろそろ次のペアに……ってあれ?」
シオンママに企画を進めるよう催促しようと思ったのだが……。
「有素ちゃん、そういえばさっきからやけに静かだけど大丈夫?」
企画のカオスに呑まれてしまい注意が向かなかったが、さっきから有素ちゃんの口数が少ないような気がする。
さっきまだ冷静さを保っていた時に話題を振った時も、なんからしくない反応してたんだよな。
……あれ? 返事が無いぞ?
自惚れてるみたいで癪だが、私の呼びかけに有素ちゃんが反応しないなんて珍しい。
先輩方も気がかりになったようで、皆で名前を呼ぶ。だが反応無し……リスナーさんも含めていよいよ心配になってきている。
何かトラブルだろうか? いよいよそんな不安が頭をよぎった時、ようやく有素ちゃんは反応を見せてくれた。
だが――
「ほ、本当にペアになれてしまった……」
それは、いつものはつらつとした有素ちゃんとは違い、今にも消えそうな弱弱しい声だった。
まるで、前にオフでお泊りした時に、素顔を見せてくれて恥ずかしがっていたあの時のような――
今月14日に、YouTubeの方でファンタジア文庫大感謝祭があるようでして、そこにぶいでんの特番も予定されているそうです。
大感謝祭の開始が12時丁度(正午)で、ぶいでんの出番は12時15分くらいからです。大感謝祭、よろしければお楽しみください。