VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた 作:七斗七
『匡さん? どうしたの? 大丈夫?』
『……大丈夫だ、少し喉が乾燥してな』
『そっか。ちなみに匡ちゃんはこれについてどう思う?』
案の定匡ちゃんは先生に咳き込みを触れられ、そこを捕まえたとばかりにましろんが追撃した。
『ど、どう、とは?』
『例えばほら、やりたいとか思う?』
『や、やややややややるわけないではないか!?!?』
『ほー?』
『あらら?』
「あーこれは完全に匡ちゃんきょどってますね。顔真っ赤なんでしょうね。リスナーさん? 今晩のおかずは、どうやら決まったみたいですね?」
コメント
:昭和の料理番組みたいな言い回しになってて草
:リスナーのおかずの為に後輩にも容赦なくセクハラする、この命を懸けたおもてなしは一流シェフですわ
:どれだけ人気になってもギリギリを攻め続ける精神は尊敬する
:多分清楚よりデーモンコアって名乗った方がいいと思う
:匡ちゃんピンチだ……
『そんなにやりたくないの? 緊張するとかかな?』
『き、緊張というかだな、わわわわわ私が参加することなど偉大なる宮内家の一員としてだな!』
『でも匡ちゃん、もし今後運営さんからお願いされたらどうするの?』
『お願いされる!?』
『ほら、これも考え方次第では僕らライブオンライバーの仕事でしょ?』
『仕事!? ライブオンのライバーって仕事の一環でそんなことまでお願いされるのか!? なんてことだ……つまり所属している身の責任として宮内もやらないと……そんな……』
『『……ッッ』』
あ、今ましろんと先生が笑い堪えたな、これもう十中八九匡ちゃんが少数派って気づいてるんだろうなぁ。
今まではましろんが匡ちゃんを問い詰めていたが、バトンタッチとばかりに次は先生が質問を投げかけ始めた。
『まぁまぁ、もし厳しいなら運営さんも調整してくれるんじゃないかしら? でも、そんなに嫌なの?』
『嫌というかだな! あ、ありえないだろうこんなの……』
『じゃあ興味はない?』
『ぇ?』
『実際にやるかは今も分からない話だから一旦置いておいて、想像するくらいなら誰しもするでしょう?』
『そ、想像……』
『あら、したことないの?』
『ぇぁ…………せ、先生はあるのか?』
『あるわよ?』
『そ、そうなのか?』
『ええ! 先生でもあるんだからありふれたものなのよ! で、どう? 興味ある?』
『……………………興味だけなら…………ぁる……かも』
ピピピッ! ピピピッ! ピピピッ!
「そっかぁ興味あるかぁ! ちなみにその興味って、もっと詳しく言うとどんな部分に好奇心を刺激されたのかな?」
『そ、それは……って、あ、あれ? シュワちゃん先輩?』
『シュワちゃん。タイマー鳴ってるの聴こえてるよ』
「いま止めた。さて話し合いを続けようか」
『え? え? ど、どういうことだ?』
『匡さん、もう終わりよ。時間制限が来たわ』
『あ、ああ!! おいシュワちゃん先輩! 何しれっと会話に交ざった上に時間延ばしてる! ルール違反であるぞ!!』
おっといけない。GMとして時間終了を告げなければいけない思いと、でもまだ話し合いを続けてほしい思いが混ざった結果、私自身がアラームを鳴らしながら話し合いに参加するという行動をとってしまったようだ。
コメント
:匡ちゃんエッ
:へぇ興味あるんだぁ(ニチャア)
:シュワちゃんはいつも通り最低だが、匡ちゃんも度を越えたムッツリだよな……
:割と自爆気味だったと思う
:時間とは残酷である
:GMが参加は熱い展開
:これは、ゲームであってねセクハラではない(言い訳)
この後、話し合いが終わったので投票の時間になり、当たり前のように匡ちゃんが吊られた。
ただ、このゲームの結果はこれで終わらないのではないかと私は睨んでいた。
なぜかというと、人狼だった匡ちゃんから見て、多数派のお題『ライブイベント』を特定できたのではないかと思ったのだ。特に『某先輩が開いた』はかなり大きなヒントで、ましろんの明確なプレミだ。これは逆転ルールのない他の人狼ではミスになりにくい要素、恐らくワード人狼への不慣れが故だろう。これをヒントに匡ちゃんが当てることが出来れば見事逆転勝利となる。
というわけで匡ちゃんの答えは――
『ぇ…………ぁ……R18配信?』
「嘘でしょ……」
どうやら脳内ピンク一色だったようだ……。
さてさて、これで私のGMは終わりだから交代! 次が最後のゲームだ! そう思ったのだが……。
『シュワちゃん先輩』
「ん?」
『覚悟しておけよ貴様、いつかこの雪辱晴らすからな?』
「誠に申し訳ございません」
終わり際、匡ちゃんに圧を掛けられてしまった……後が怖いぜ……。