VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた 作:七斗七
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:最推しが決定しました。ありがとうございます。
:今なら厨二すら微笑ましく思える
:もうニッコニコや
『これでよし。あと一個くらいなら質問返す時間あるよ! くーれ!』
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:あと一個……悩むな
:まだ謎は尽きないからな、重要な場面だ
:俺に任せろ、全てを丸裸にしてやる
:お? お手並み拝見といこうか
:やるんだな!? 今……! ここで!
:ああ!! 勝負は今!! ここで決める!! 血液型はなに型ですか?
:その手引っ込めろ
:ほら、でっけぇ銃持ってきたぞ、咥えろよ
:世界一ドキドキするはい、あーん誕生の瞬間である
:誰でも思いつく質問で草
:これは半端なクソ野郎ですわ
:メンタルが鎧の巨人
コメ欄にリスナーじゃないくラ〇ナーがいるんだけど……。
『血液型? むふー! なに型だと思うー? 当ててみ当ててみ?』
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:ダガーちゃんが楽しそうだから許した
:B型っぽい気がするけど、なぜか定着してるあの性格診断マジで当てにならんからな……
:還ちゃんとかならBBA型って分かるんだけどな
:おーおーキレる声が聞こえてくる
:あれ? 記憶喪失なのに自分の血液型分かるの?
――その鋭いコメントの指摘を見たとき、私たちは揃って「「「あ」」」と声を漏らしてしまった。
「た、確かに……知ってたらおかしい……これまずいんじゃ……?」
「いやいや、流石に初配信からそんなミスはしないだろ、ちゃみちゃんじゃあるまいし」
「言い返したいけど言い返せないわ……」
「そうですよね、大丈夫ですよね! ……あれ? でもゆうてさっきからキャラがブレッブレだったような?」
私がそう言った後、改めてダガーちゃんを見てみると――
『お、え、ああ!? あ、ちがっ、やば、あっ』
いかにも分かりやすい反応を見せていたのだった。
うそでしょ……。
いやいや、先輩がそんな態度でどうする! ちゃんと応援してあげなければ! 頑張って! まだ立て直せるよ!
『……どうしよ』
小声でどうしよはもう投了なんよ……。
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:草
:まさかダガーちゃん、記憶が!?
:記憶喪失キャラが初登場からすぐ記憶取り戻すとか斬新すぎるだろ
:ガバが過ぎる
:どうすんのこれ……? とりあえずおめでとうって言えばいいのか?
『い、いや! 戻ってねーし! 今のは普通なら分かることだから流れで言っちゃっただけで、ぜんっぜん記憶戻ってねーから! あー! よく考えたら全く思い出せないわ! ほんと俺って誰なんだろ! くっ、思い出そうとすると頭が! 血液型ってなんなんだ」
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:お、おう……
:冷や汗だらっだらなのが声から伝わるの草
:さっき記憶の旅人とか言ってたのにここで否定しちゃだめなんよ
:厨二病キャラだったってこともう忘れそう
:〇型以前に血液型の意味から忘れてるのか……
:記憶喪失じゃないという記憶を喪失しているだけだから問題なし
:天才現る
:バベルギヌス的新生じゃん
:コペルニクス的転回な、厨二乙
:正しく読める時点で厨二なんだよなぁ
:コペルニクス的転回じゃん
『今のは忘れろ! いーな! 忘れたって言え!』
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:俺たちを記憶喪失にしていくのか……
:wwwwww
:忘れた! ほら皆も!
:きれいさっぱり忘れました!
:ここはどこ? 私はセフ〇ロス?
:鏡見てこい
:0% 0% 0% こんな時の為にスーパーデラックスになっておいてよかったわ
:貴方は忘れたかもしれませんが僕はそれでトラウマを思い出しました
:ダガーちゃんがやっとどんな子なのか理解できた気がする
:ラ〇ナーニキが奇しくも有言実行で謎を解き明かしてて草
:俺にはもうなにが正しいことなのか分からん
「これもうどうすんの? ネコマ的には好みの展開だったけど……」
「どうするもこうするも、言い分的に記憶喪失で続けるんでしょうね……キャラ的に……」
「まぁまぁ、新人さんなんだから優しく見守ってあげましょう。完璧じゃないからこそ生まれるかわいさだってあるわ。……自分を棚に上げたわけじゃないわよ?」
「今回はなにも言ってないど」
でも確かにそうだな、ちゃみちゃんの言う通りだ。今だからこそリラックスして配信している私たちだが、それは積み上げてきた経験の賜物であり、最初からできる方がおかしいのである。
……だけど、私がキャラ的にって言ったのはそれだけが理由じゃないんだよな。
なぜだろうか、このダガーちゃんは今のミスも含めて、一見言動がバラバラだったように見えるが、同時にそこになにか不思議な一貫性のようなものをここにきて私は感じ取っていた。
バラバラと一貫で矛盾しているのは自分でも分かっているんだけど……んー? やっぱりバラバラであって完全にバラバラではない、バラけたパーツを繋いでいる要素がある気がする。