VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた 作:七斗七
『あっ、淡雪ちゃん! ねぇねぇ聞いて! 私ね、エーライちゃんの女になったの!』
『ちゃみ先輩!?』
今度は手が凄まじい速さで動く。その様はスマホ版
コメント
<心音淡雪>:母乳プレイの予約入れてもいいですか?
:先見の明やめろ
:既に孕んでるの前提になってて草
:火の玉ストレートの次は変化球とか懐かしのロビカスかよ
<彩ましろ>:あわちゃんかシュワちゃんか分からないけど、とりあえず落ち着いてー落ち着いてー
「は!?」
そ、そうだ、今日の私は見守る立場のはず! なぜ酔ってもいない状態なのに思考を放棄して下ネタを言っているんだ私は!
あまりに予想外の出来事が起きるとシュワの人格に逃げる癖があることを最近やっと自分でも自覚してきたからな、気を付けなければ。
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<祭屋光>:ちゃみちゃんエーライちゃんの女になったの? どゆこと?
あ、光ちゃんまでいる。三期生勢揃いだ。やっぱり皆ちゃみちゃんのこと気になっていたんだなぁ。
『あの、女になったうんぬんは誤解と言うか……ちゃみ先輩、ちゃんと皆にも経緯を説明してほしいのですよ~』
『そうね……きっかけは皆で監禁人狼をやったときよ』
ちゃみちゃんはまるで大切な思い出を噛みしめるかのように話しはじめる。
『エーライちゃんと人狼になって……結果は負けちゃったけど、エーライちゃんがこんなポンコツな私にも大事な仲間という立場を最後の最後まで貫いてくれたのが、すごく嬉しかったの』
なるほど、ここまでは完璧に理解できるな。これがきっかけになってちゃみちゃんが勇気を出してオフコラボに誘ったことに感動したからこそ私もここにいるのだ。
『それでね、なぜかその人狼コラボの後もずっとエーライちゃんのことを考えると胸の高鳴りが収まらなかったの。最初はオフコラボの緊張でドキドキしているのかと思ったけど……実は今日エーライちゃんと会ったときに一悶着あって、その時気づいちゃった』
『あ、あれも話すのですよ?』
『当然よ! あのね、エーライちゃん私の家の場所が分からないと思って、最寄りの駅で待ち合わせして家まで案内することになっていたの。でも私遅れたらいけないと考え込みすぎて、予定の時刻よりかなり早く着いちゃったのね。だから駅前で棒立ちしながら待ってたんだけど……暇してるのかと思われたのか男の人からナンパされちゃって……』
ああぁ……すっごい鮮明に光景が頭に浮かぶなぁ……。ちゃみちゃん一見大人っぽいようでかなり隙だらけだから、ナンパ以外でも声かけられること多そうだ。
『いつも私こういうのは全力で走って逃げだすんだけど、その時はエーライちゃんがもうすぐ到着するはずだからその場を離れるわけにもいかなくて、もう私混乱のあまりキョドりにキョドりまくり……男の人もその様子を見て押し切ればいけると感じたのか更にグイグイくるしで、頭が真っ白になっちゃったの』
『あ、あの~、もう大体オチが想像できている方が大半だと思うのでもうやめにしないですよ~?』
『なに言ってるのここからが本番なんじゃない! 皆聞いて聞いて! そんなときにね、一人の女性がすっと来てね、私の手を引き体を胸に抱きしめてこう言ったの――』
『あっ、あっ、おおおお前ら全員耳切り落とせ! 組長命令じゃあああぁぁ!』
『「ごめん、その子私の女だから」ってね!』
『あああああああぁぁーー!! 言ってない! そんな気持ち悪いほどかっこつけた声で言ってない!』
『言ってたわよ! なんなら今のより何千倍もかっこよかったわ!』
ふむふむ、つまりはこういうことだな?
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<心音淡雪>:私とストゼロとの出会いと似たようなものですね!
:は?
<彩ましろ>:は?
:お前ストゼロなのに場を氷結させてどうすんだよ
:ストゼロなのにってなんだ笑
:エーライちゃんちょっと組長出てて草
<心音淡雪>:今日はお酒飲んでないのに……
:飲んでなくてあの発言の方がやばいんだよなぁ
『もうね、その時気づいちゃったの。私のこの胸のドキドキはエーライちゃんの女になりたかったからだったんだって』
『今思うと駅で待ち合わせにしたのが最大の過ち……位置情報送ってもらうとかでどうにかしておけばここまでちゃみ先輩がおかしくなることもなかったかもしれないのですよ……』
『うふふ、エーライちゃんがナンパから助けてくれたのが私とか、きっとこれは運命ね』
『いやいや、待ち合わせ場所での出来事だったし、あんなキョドキョドしてる人ちゃみ先輩ぐらいしかいないので一目で分かったのですよ……』
『んんんん~むぎゅうううううぅぅぅ!!』
『だ、誰か助けてほしいのですよ~』
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:かわいい
:チョロインちゃみちゃま
:いや、これは組長がかっこよすぎただけだ
:実際同じシチュエーションに遇ったら惚れる気しかしない
<祭屋光>:つまりあれだよね! もっと仲良くなったってことだよね!
『そういうこと~』
『いやいや、それにしたって距離感バグりすぎですよ! 人見知りの人が初対面でする距離感じゃないですよ~!』
『確かにそれはそうね……なんというか、エーライちゃんなら受け止めてくれるって安心感があるのよ。だから普段人に触れていない人肌恋しさが爆発しているのかもしれないわ』
『そんなだからちょろいって言われるんですよ~』
『……抱きついたらだめなの?』
『ぅぅ……そんな目で見られても……まぁ抱きつくくらいならいいのですよ』
『やったぁ!』
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:相性がよかったんかな
:エーライちゃん組長なだけあって器が大きいからな
:エーライちゃんのカリスマがバレつつあって嬉しい
:組長って将来刺されてそうだよね、色んな意味で
<心音淡雪>:結婚したのか? 私以外のヤツと……
<彩ましろ>:あわちゃんは最初は安心感があっても段々身の危険を感じてくるからじゃない?
<心音淡雪>:酷い!
『あのですね、ちゃみ先輩が勝手に言っているだけで私は結婚以前に恋人にもしたつもりはないのですよ!』
『うんうん、それでいいのよ。私はエーライちゃんの舎弟とか側近とかマイクとかそういう立ち位置でいいのよ』
『また変なこと言い出してる……マイクは本格的に意味が分からないし……も~! 前置きが長い! そろそろ本題のASMR配信に入るのですよ~!』
そう言って無理やり会話の流れを変えるエーライちゃん。
でも……こんな状況でまともな配信なんてできるのだろうか……?
心音淡雪Twitterアカウント↓
https://twitter.com/kokoroneawayuki
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