VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた   作:七斗七

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ライブオンオールスターコラボ・監禁人狼6

「エーライちゃん、そういえば一回目の議論の最後にシオン先輩がこれで全員場所報告した? って聞いた時、ちゃみちゃんが報告してないはずなのに真っ先に肯定してたよね? あれ、ちゃみちゃんを隠したんじゃないかな?」

「そんなわけないのですよ! あれは本当に気づいていなかっただけで……というか、ましろ先輩だって気づいていなかったじゃないですか! それに、さっきからいかにも自分はプレイヤー側みたいに言ってますけど、私は未だに死体発見者なうえに誰かを率先して吊ろうとしてるましろ先輩が一番怪しいと思うのですよ!」

「でもさっきちゃみちゃんは死体をスルーしたみたいだよ?」

「そんなのその時はまだ死体すらなくて、ついさっきネコマ先輩を殺したましろ先輩が、人数を減らすために自分で通報した可能性だって大いにあるのですよ!」

「そ、そうよ! 私がセクター4に行ったときは死体なんてなかったわ!」

 

エーライちゃんの反撃に便乗するちゃみちゃん、ふむ……。

 

「それに私も事実シオン先輩や聖先輩と行動をずっと共にしていたわけで、私がもし人狼ならそんな真似しないのですよ~! ねぇ二期生の先輩方!?」

「……どう思う、シオン?」

「うーん……確かにエーライちゃんは怪しいけど、やっぱりそれらしい挙動はなかったような気がするんだよねぇ」

 

お? まさかの逆転あるか?

 

「なるほどね。本当に頭いいね、エーライちゃん」

「この僕っ娘先輩はまだそんなこと言ってからにぃ! 往生際が悪いのですよ!」

「でもその頭の良さで疑惑が確信に変わったよ、やっぱりエーライちゃんは人狼だ」

 

そうとも一瞬思えた場面だったが――ましろんはこの状況で勝ちを断言した。

 

「まず、一番最初にやられた晴先輩だけど、これはエーライちゃんが殺った可能性が限りなく高い」

「な、なぜなのですよ!?」

「晴先輩はまず間違いなくこのゲームに強い。ちゃみちゃんがどれだけ喋らなくても恐らく見抜かれる。ちゃみちゃん一人ならこれに気づかずあっけなくやられていたはずだ。だから疑われてもいい覚悟で強引に一番の危険分子を排除した。問題はその後、流石にちゃみちゃんにここまでの才能があることはエーライちゃんも知らなかったと思うから、せめて気づかれないように妨害しながら喋る側と徹底的に殺す側に完璧に分かれた。晴先輩を殺って強く疑われている時点で怪しい行動をとるのは危険であり、ちゃみちゃん一人になれば勝ち目はなくなる。だって人数が減れば減るほど議論パートでちゃみちゃんが気づかれる可能性も高くなるからね」

「ましろ先輩、流石に深読みしすぎなのですよ……私そんなに頭回らないのですよ……」

「そう? だってこの状況、もしちゃみちゃんの存在に気づかずに僕が吊られてたら、ある程度分断したところで、詰めとばかりにエーライちゃんがキルに参加。ちゃみちゃんと合流してダブルキルを2回で勝ちだったじゃん。まぁ光ちゃんを甘く見たせいで今ピンチみたいだけど」

「ふふん!」

 

光ちゃんがドヤっとした声をあげる、やっぱり光ちゃんは天然だけど同時に特異な才能があるよね。

 

「まぁつまり僕がなにを言いたいのかと言うと、このゲーム――エーライちゃんによる全力ちゃみちゃん介護プレイだったってことなんだよ!」

『全力ちゃみちゃん介護プレイ!?』

「――ふふふふふっ、その私は今全力羞恥プレイを味わっているわよ? ましろちゃん、後でお仕置きだから覚悟しておきなさい」

「え、僕なにされるの?」

「今度会ったとき常時私の耳元で喋ってもらうわ!! 中性的ボーイッシュボイスたまんねええぇぇぅひひひひひうぴょぴょぴょ!!」

「たまれ」

「ねぇねぇちゃみちゃん! 私は?」

「酒カス女の臭そうな脳死ふにゃふにゃボイスたまんねぇええええぇぇ!!」

「ましろん、この耳に性器が付いてる女吊るわ」

「落ち着いてシュワちゃん、多分今のはちゃみちゃんなりの褒め言葉だよ。ちょっと正直すぎただけで」

「むぅ! 私の息臭くないもん! ラベンダーの香り!」

「それトイレの匂いでもあるよ」

「間違えた、じゃあストゼロの香り!」

「おとなしくレモンの香りとか言えばいいのになんで加工した……いや実際今はストゼロの香りなのかもしれないけど……ってあれ? 今日は何味飲んでるっけ?」

「全部混ぜたど?」

「絶対臭いじゃん」

「く、臭くないわい! これ実質フルーツオレみたいなところあるからね? 実際の味は本当にフルーツコレ? って言いたくなったけど!」

「やかましいわ」

「それにねそれにね、ちゃんと口臭対策もばっちりなんだよ! 私主食がフリスクみたいなところあるからね? お茶碗いっぱいに白米に見せかけてフリスクよそってから食べてるからね私」

「どこからよそってるのそれ?」

「ツッコミどころそこなの?」

 

本当にちゃんと匂い関連は気を使ってるからね!? これでも若々しい女の子だからね!?

 

「って時間やべぇ!?」

 

ましろんとの会話が楽しいからってこんなことやってる場合じゃない、もう議論の残り時間ギリギリだ!

 

「よし、ここで一人は吊るべきでしょ。せめてちゃみちゃんかエーライちゃんのどちらかは絶対。それで終わらなかったら容赦なく僕を吊ってもいいよ、なんならこの2人の間で吊ってもいい。絶対にそれで勝てると確信してるから。今一番ダメなのはちゃみちゃんとエーライちゃんを両方生かすこと」

『………………』

 

その言葉を最後にましろんはちゃみちゃんに投票する。

……うん、私も決まった。

いざボタンを投票ボタンを押す。入れたのは――ちゃみちゃんだ。

 

「そんなあああぁぁぁぁ……」

 

悲痛な声と共に画面に表示される【柳瀬ちゃみ・死亡】の文字。他の参加者の投票もちゃみちゃんに集中していた。限りなくクロに近いほど怪しかったからこれは仕方ないな……。

議論は終わり、キャラクターの操作がセクター5から開始される。

でもこれ……ほぼ勝負は付いたんじゃないかな? だってもう一人の人狼エーライちゃんでしょ。

ましろんの推理もあるし、やはりあそこでちゃみちゃんを庇ったのはまずかった。仲間ですと自白しているようなものだ。

エーライちゃんが生き残るには、そのシーンでちゃみちゃんを完全に切るべきだった。非情かもしれないが、騙すことが勝ちにつながるゲームなのだ。

今後、恐らくエーライちゃんは徹底マークされるだろう。いや、議論が終わったばかりだからルール上クールタイムを挟んでいるが、押せるようになったらすぐに招集ボタンを押して吊るべきか?

操作が可能になるまでそんなことを考えていた――その時だった。

いざ動けるようになったその瞬間、エーライちゃんは何の迷いもなくましろんの側へと走っていき。

そして生存者みんながいる目の前で――殺害した。

 

「えーーーーーーーーーー!?!?」

 

誰が通報ボタンを押したかも分からないが画面が議論パートに再び移行する。

 

「う゛う゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!! ちゃみ先輩のがだぎいいいいいぃぃぃぃ!!」

『えーーーーーーーーー!?!?』

 

な、泣いてるーーーー!?!?

 

 




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