VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた   作:七斗七

152 / 334
聖様の収益化よさらば!!

さて、とりあえずチャットで……いや、心配だし一度通話をかけてみるか、もし出なかったらチャットで送ればいい。

通話開始のボタンをタッチし、コールが流れる中応答を待つ。

だがしばらく待ってみても無機質なコールが鳴り響くだけで変化はなし。

これは出れない感じかな……今は諦めるか……。

そう思い、通話終了を押そうとした――丁度その時だった。

 

「……あ、もしもし?」

「もしもし、淡雪君かい?」

 

間一髪のところで通話に気づいてくれたみたいだ、スピーカーからいつものキザったらしい聖様の声が聞こえてくる。

 

「いきなりかけてくるなんてどうしたんだい? 聖様に会いたくなっちゃった? ホテル代込み155円でどうだい?」

「嫌です」

「流石の聖様も大赤字なのに即拒否られるとは思わなかったよ」

「というか赤字ならホテル代込みって言い方なんかおかしくないですか? この言い方だと最大でも155円で使えるホテルがあることになりますよ」

「あるよ」

「まじで?」

「聖様の部屋」 

「事故物件じゃないですか」

「ははっ、確かに聖様の匂いが染みついているから常にお股がビショビショに事故っちゃう物件かもね」

「バルサン焚かないと」

「せめてファブ〇ーズとかにしないかい?」

 

いつもと何も変わらない様子で下ネタトークを展開してくる聖様。

んーなんか収益化のことそこまで気にしてなさそう? ただの杞憂だったのかな?

……いや、まだ判断するには早計か、一度しっかりと収益化のことを話してみよう。

 

「もうこんなトークしてたら私たちだときりがないので、本題入っていいですか?」

「収益化が剥奪されたことだろう? 大丈夫、分かっているよ。ついさっきにはシオン君からも同じ件で通話が来たよ」

「あー、まぁそれしかないだろって感じですから分かりますよね」

 

ちょっと困っているような声でシオン先輩にめちゃくちゃ心配されたことを聖様は話してくれた、恐らく表情も苦笑いを浮かべているだろう。

シオン先輩は聖様と特に仲がいい上に世話焼きだからな、相当焦っていたようだ。

 

「最終的には『収益化が戻るまでママが精いっぱいお世話してあげないと』とかマジトーンで言い始めたから適当な理由付けて通話を切っちゃったよ」

「ここぞとばかりに言いそうですねぇ……まぁ心配しているのも事実だと思うので、後でちゃんと話してあげるんですよ?」

「そうだね、心配かけちゃったからなぁ」

 

うーんと唸りながらまた困ったような声になる聖様。

……うん、やっぱり本人もからっきし気にしていないってわけじゃあなさそうだな。

 

「それで、私からも一応質問ですけど、金銭面は大丈夫ですか? レズビアン風俗で使い果たしたりしてません?」

「それは問題ないよ、君達の体で妄想しているから性欲解消はたださ! お世話になっております」

「お世話したくありません、妄想分のお金払ってください」

「あ、あれ? もしかして聖様が収益化剥奪されたこと忘れちゃったのかな? 二重人格なのかい?」

「そうですよ」

「そういえば君は本当にそうだったね」

「いやまぁそんな冗談は……はぁ、なんだか聖様と話していると緊張感が抜けてしまいます」

「気を許してくれている証拠だね、その調子でお股もゆるゆるになってくれたら嬉しいな。ちなみに聖様は常にお汁が溢れて止まらないくらいお股ゆるゆるだよ」

「老人ですか?」

「尿漏れの話じゃないよ?」

 

はぁ、このまま話しているのも悪くないけど話の進展がないのも困ったものだな。

なんか聖様からガンガンに話してくれる雰囲気ではないし、こちらから色々聞いてみますか。

 

「それで、重要な点として、収益化剥奪の直接的な原因って分かりますか?」

「うーん、それがだね、ちょっと聖様も困っているんだよ」

「というと?」

「センシティブ判定に引っかかったのは分かっているんだけど、一応どこから見てもアウトな物はやってないつもりなんだよ。でも言い方を変えるとやっていることが全てグレーゾーン過ぎて原因が暗中模索状態なのさ」

「確かに。息をするようにラインの上で反復横跳びしてますからね貴方」

「うええぇぇん……そのせいで聖様汚されちゃったよぉ」

「むしろ汚した側がなにを言っているのか」

「えーとだね、そんなわけでね、なぜ収益化が剥奪されたのかを追求したら最終的には聖様だからという結論に辿り着くわけだよ」

「どうしようもねぇな」

 

でもそうか、原因が分からないとなると明快な解決案を出すのは少し厳しいかもしれないなぁ。

これは困った……。

 

「前にやったasmrとかがまずかったんじゃないかみたいな予想は付くんだけどね。ラインに触れていそうなアーカイブは消すことになるかもね」

「まぁ現状それが一番ですかね、あとは今後は言動に節度を持つこと!」

「まぁ今までよりは気を付けるけど……それでも聖様は聖様だよ、何も変わらないさ」

「頑固ですね……いや聖様らしいと言えばらしいですけど」

「それにね、正直なことを言ってしまうと収益化が止まったこと自体は大して気にしていないんだよ」

「そうなんですか?」

「だって聖様だよ? むしろなんで今まで収益化通ってたの?」

「自分で言いますそれ? 全く、ライブオンには確信犯が多すぎるんですよ」

「ブーメランって知っているかい?」

 

なんだかんだ言いつつ心配していたのは事実だから、大きく気にしていないことには安心したけど……。

 

「収益化が止まったこと自体は気にしていないってことは……それ以外で気になっていることがあるんですか?」

 

さっきの言い方、ちょっと引っかかる言い方だったんだよな。

 

「……まぁ人間色々あるさ」

「濁した」

「あははっ、淡雪君も収益化剥奪されてみれば分かるかもよ?」

「自分から罠に飛び込むのは勘弁ですね」

「そうか、でも本当に気を付けるんだよ? 君だって割と危うい配信しているだろう?」

「そうですねぇ、身近な人がやられちゃうと自分も例外じゃないと実感しましたから肝に銘じておきますよ。でも今は人の心配より自分の心配してください」

「承知した。あ、すまないがそろそろ用事の時間がやってきてしまったようだ、残念だが愛の秘め事はここまでのようだ」

「愛の欠片もなかった気がしますが……分かりました、突然通話しちゃってすみませんでした」

「いやいや、聖様も淡雪君の声が聴けてとっても嬉しかったよ、明日も配信かい?」

「いえ、明日は光ちゃんとデートですね」

「なんと羨ましい! 目一杯楽しんでおいで、でも避妊はちゃんとするんだよ? それじゃあね、愛しているよ」

 

そんな逆に白けることを言い残して通話から去っていった聖様。

うーん……まぁメンタル面の心配は大丈夫そうだったから通話をかけた目的は達成できたかもしれないけど……。

なーんかうやむやにされちゃったなぁ……。

まぁ本人が話したくないのならそれでいいし、話したくなったのならその時真摯に相談に乗るとしよう。

聖様ってただのセクシャルおバカだと思っていたけど、意外と謎が多い秘密主義な人物なのかも知れないなぁ。




心音淡雪Twitterアカウント↓
https://twitter.com/kokoroneawayuki

活動報告にてマシュマロとリクエスト募集中です!
本編に出てくるライバーに質問したいことなどあれば、活動報告『マシュマロ募集』のコメント欄に、やってもらいたいことや見たいシチュエーションがあれば『リクエスト募集』のコメント欄に書き込んでくだされば、本編にて採用されます!
よろしければ是非書き込んでみて下さい!


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。