ISの世界に来た名無しがペロちゃんと命名されてから頑張る話 作:いつのせキノン
2ヶ月ぶりですが駄文をお楽しみ下さいな。
ん? クオリティ? 君は一体何を期待しているのかね?
上空を飛び回る白い影。『
眼前に迫る、自分と同じような白い影の、騎士。『白式』と呼ばれるISを纏った彼、織斑一夏は己の得物、雪片弐型を振りぬき、一閃の元に『
これがこの夏起きた大きな事件の顛末である。
と言うのも昨日までのお話。
ペロちゃんです。
「これで晴れて織斑君達は英雄になれた訳だ。めでたしめでたし」
なんだけど、
「……俺を褒めてくれるのは束さんとくーちゃんだけだよ」
真夏の空の元、2回目の海水浴に来ている。が、俺は今回泳ぐことはない。もう海の中はこりごりだ、というのもあるけど、それより怪我の具合がちょっとアレ。
米国の最新鋭潜水艦と水中格闘で頑張った俺だったが残念ながら魚雷に当たって突破されてしもうた。死にはしなかったがズタボロでひいこら言いながら日本に帰投し、しかし俺に関する情報から病院に行く訳にはいかないので応急処置して今日は休んでる。ちょっと戦闘はキツいっす。
今頃はIS学園も撤収準備中だろう。さて無事に事件は収束したのか。その辺りは束さん曰くもう大丈夫とのこと。米国の上層部は今頃かなり荒れてる頃合いらしいが、うんまぁ関わりたくないのでスルー。ここで首突っ込んでややこしいことは起こさないのが身のためだ。身勝手だろうが俺だって面倒事は好きじゃない。
遠目で2人がきゃいきゃい遊んでいるのを見送っていると、ふとパラソルの下に誰か来た。
「派手にやったな」
「いやぁ、それほどでも」
「褒めてない」
「まぁそうカッカするなって、M」
頭上から俺を覗き込むのは髪をポニーテールにした水着姿のM。いいやはや、スラリとしててスポーツ選手みたいだ。しかし競泳水着とはこれまたマニアを呼び込みそうな……」
「全部声に出てるぞこの変態」
「ぐほっ」
腹踏まれた……。
「昨日の騒ぎで世界中がてんやわんやだ。表には出ていないがお前の存在が危険なものとして知れ渡っている。無論、どこも正体までは見えていないがな。事実を知るのは
「困ったねぇ。で、それは上層部にリークした?」
「いや。スコールがブロックしている。多分独占したいんだろうな」
そりゃそうだ。頷いてみる。これ程美味しい事実はないだろうし、多分これからもそれを大いに活用してくるだろう。
「で、今回の訪問はその為か?」
「それは、まぁなくはない。それよりは休暇の方がメインだ。
「でもMってどう見ても未成年なのにお仕事してていいの?」
「そこは情報操作だ。政府騙す程度、どうということはない。更識も活動は積極的じゃないからな」
便利なモンだ。まぁ裏稼業なら大体はそうだろうな。俺だって偽情報のオンパレードだし。
「そう言えば、オータムは?」
「……今思ったんだが、私はアイツとセットじゃないからな?」
「え、そうなの? 俺てっきりコンビ組んでるのかと。漫才でM-1目指したりしない?」
「誰がアイツとやるか!?」
「いいコンビだと思うんだけどなー」
「いいか、私はアイツがドの付くほど嫌いだ。生意気言ってやれ指示に従えパンかって来い焼きそばパンだ云々……地上でしかロクな戦力にならない奴に従う理由がわからん」
「それ100%私怨だよね?」
オータムもなんでそんな低レベルな要求を……。
「パンと言えば何が好き?」
「藪から棒に話題を振るな。でもそうだな、クロワッサンが好きだ」
「無難やね」
「そういうお前は何が好きなんだ?」
「メロンパン一択。特に中にメロン味のクリームが入ってるとなお良しだな」
「甘すぎる。控えめでこそ牛乳に合う」
「ごめん牛乳は腹が痛くなるから飲まない主義」
「何ッ……」
「なんでそんなに衝撃受けてんの?」
「牛乳はいいぞ。背が伸びる」
「根拠は?」
「……口コミ」
「信憑性無さすぎ」
「くっ……しかし書き込みはいっぱいあったぞ」
「カルシウムだけじゃダメだよ。肉食え肉。タンパク質が1番の成長の元だ。食って運動して筋トレ、これに限る。あとは睡眠時間な。夜10時までには寝るのが良い。成長ホルモンが出る時間帯は深夜だ。つっても裏稼業じゃ寝る時間はまちまちか」
「何を言う。仕事のない日はちゃんと9時に寝てるぞ。朝6時起きだ」
どうだ、とドヤ顔してる。可愛い。
「偉いなぁ、Mは。よしよーし」
「あっ、頭を撫でるな……!!」
「バッキャロウ!! 妹ポジの子がそういう雰囲気出したら褒めるの一択だろうが!!」
「誰が妹ポジだ!?」
「でも妹でしょ? ちーちゃんさんと織斑君の」
「うっ」
「実際あれだろ、Mって身体年齢まだ中学生くらいだろ。妹じゃん。ってか俺より年下だったら妹だろ。くーちゃんは良い妹だぞぉ」
「妹自慢するな。って言うか全世界の妹認定された奴が可哀想だから今の発言は撤回しろ。あと私を今すぐ妹の枠から外せ」
「無理なこったパンナコッタ。スコールさんくらいになったら認めてやらんでもない」
「無理だろうけどなみたいな表情で言うのはヤメロ」
おや、顔に出てた。こりゃ失敬、と言ってから体を起こして近くのクーラーボックスを取って開けて冷えたジュースを1本出してMに手渡す。謝罪の代わりみたいなもんだ。俺はビールでも。
「そうだ、たこ焼きでも食う?」
と、さっき買ってきたたこ焼きを開ける。
「そしてこんなところに
「ッ」
つまんでMに見せたのは細い針。起き上がった時に俺の背中に刺さった代物。
「ま、待て、それは私の指示じゃないぞ」
「知ってる。どうやら誰かさんが勝手にやらかしたみたいだねェ」
多分針先に毒が塗られてた。まぁ全部体内で処理したから問題ないけど。困ったもんだよ、全く。休暇なんだからゆっくり休ませてくれても良いじゃん。
「ねぇ、M?」
「あ、あぁ…………全くだ……」
「因みにその人は今海岸線を西に逃走したよ。追っかけないの?」
「既に特定済みだ。我々も一枚岩で動いている訳じゃないから、そう言った輩は常にリストアップされている」
しかし今回ばかりは意見が割れたみたいだ。大変だね。
「なぁ、M。今
「言うと思うのか?」
「いんや、思わん。言ってくれたら儲けもんだなぁくらいにしか思ってないし。まぁでもスコール派も分裂が始まったらしいじゃない。んで、スコール派以外も大分動きが活発化してきた」
「……否定はしない。お前達のたった1日の出来事が随分と影響しているんだ」
「謝らねぇぞぉ、俺らは」
「今更だな」
「情報は色々入ってきてんだ」
「そうだよちーちゃん似の彼女~」
気付けば束さんがくーちゃんを連れて戻って来てた。Mが身構えて立ち上がろうとするがそれやりも速く束さんが肩を掴んで自分の足の上に無理矢理座らせた。
「くっ、離せ……!!」
「まーまージュースでもリラックスしなよー。束さんとお話しましょ」
逃れようと身を捩るが、侮ることなかれ、束さんから逃れられることなどできる筈がない。
しばらくして諦めたのか脱力。警戒は解かないまま素直に話する体勢になってくれた。
「いやぁ、ちーちゃんをこんな風に撫で撫でしてみたかったけど、まさか夢が叶うとはねぇ、夢は捨てないでとっとくものだねぇ」
「用件は何だ、私は忙しい」
「束さん、M休暇消化してるから暇だって」
「おい!!」
「そーかいそーかいそりゃ重畳だね。ではまず1つ。本当の名前、教えて? Mってコードネームでしょ」
「……見当はついてるんじゃないか?」
「実は全く。調べようと思えばいつでも調べれたけど、構ってる暇もなくてね」
「フン……自分で調べろ」
「あ、束さん、Mの本名織斑マドカですって」
「おい」
「ほいほいじゃあまどっち」
「おい!!」
「「何?」」
「勝手に話を進めるな!!」
「「えー」」
束さんとシンクロした。多分思考回路的にペース握ってないと都合が悪いって考えてるからだ。
「まどっちさー、うちに来ない? そんなヘンテコなナノマシン入れられて窮屈でしょ。束さんならナノマシン取り除いてー、目的もある程度融通は効くようにしてあげるよ」
「よっ、ふとっぱrいでででででで!?」
「デブっつった?」
「言ってない!! 束さんは充分、世界一宇宙一でっす!! あと脇腹痛いんで離して!!」
「よくできましたー、あとは空気読もうね」
解せぬ。
いいもん。俺くーちゃんと焼きそば食べてるもん。
「で、どうだいまどっち。見返りとか条件も何もないよ?」
「…………断らせてもらう」
「その心は?」
「ここでイエスと言ったところで私は息絶える。まだ目的も達成できていないというのに死ぬのは御免だ」
「別にそのくらいどうとでもなるんだけどなー」
「っ、とにかく、断る!!」
「ふーん。それがまどっちの答えなんだね。なんだー、せっかくIS1つ分くらい考えてあげたのに」
「……どういうことだ」
「どうもなにも言葉のままさ。君達ISが欲しいんでしょ? まどっちの為なら1つ作るのもやぶさかじゃないなーって思っただけ。あ、ペロちゃんビール頂戴」
ほいほい。いやー、焼きそば美味しい。
「これ以上引っ掻き回すのは止めてほしいのだが?」
「今更知ったこっちゃないねぇ。こちとらISを作っただけなのに皆勝手に走り出して、そのクセ悪いのは束さんだって身勝手な言い訳ばっかするんだもん。束さんはね、聖人君子じゃないんだよ。ねー、くーちゃん」
「全く、その通りかと。ですよね、お兄様」
「んー? まーそうなんじゃない」
「んふふ、ね? そういうことだよ、まどっち」
小悪魔な笑みを浮かべて懐のMをもぎゅーっと抱きしめてる。ああ、何と羨ましい……。だってさ、Mの後頭部にさ、あのたわわなスイカの身がさ……アカン、息子に悪い。
「……ISに関しては諦める。私は
「おや、そうなの?」
「そうだ。私にはまだやることがある」
「それは、束さんの元じゃできないこと?」
「ああ」
即答。Mの真剣な表情を横目で見ると、本当に入れ込んでるんだなぁと思う。
と、不意に脳内でアラームが。ISに直接連絡が入ってきた。
『おい』
不機嫌そうな声音。一発でわかる、オータムだ。いや着信時に相手の名前表示されるけどね。
で、どうしたよ?
『Mを勝手に連れ出すんじゃねぇぞ』
いやいや、誤解を招くような発言は良くないぞ。束さんは勧誘してるだけだ。
『だからそういうのを止めろっつってんだ。ソイツがいなくなると、スコールが困る』
遠回しな言い方だねぇ。
『あ゛ぁ?』
そう怒るなって。
「ペロちゃん、通話中?」
「イエース。Mの相棒から」
『誰が相棒だ』
「勝手に相棒にするな、虫唾が走る」
「あっはっはっはっ!! 2人してツンツンしてんじゃねーの。あれだろ、仲間と離れ離れになるのが嫌なんだって素直に言っちゃえよー」
「『誰が仲間なモンか!?」』
とか言っちゃって、息ピッタリじゃないの。
「束さん、今回は免じてやってくれないか。俺からも頼むわ」
「んー……まぁ無理矢理やってもあれだしね。ここはペロちゃんに免じてまどっちの件は水に流しちゃおう。あ、でも気が変わったらいつ来ても良いからね。ペロちゃんから伝えてくれれば万事OK」
『2度と勧誘なんかすんな』
一方的に切られた。何度か呼び掛けてみたが反応はなし。居留守だなこりゃ。
「……私は帰る」
「おろ、もうか?」
「お前に接触できただけで海に来た甲斐はあった。それだけで充分だ」
「やだ俺に会いに来てくれたなんて嬉しい……!!」
「気色悪いわ!! とにかく、私は帰るからな!! ついてきたらストーカーで警察に訴えてやるからな!!」
フンッ、とちょっとご立腹な様子でMは束さんの腕をゆるりと抜け出して帰っていった。
「いやー可愛いねぇ、まどっち。あんなにぷりぷり怒っちゃって」
「照れ隠しだろー照れ隠し。素直になればええのになぁ」
「ペロちゃんは開けっ広げにしすぎな気もするけどねぇ~」
「束さんには言われたくないなぁ」
「ほう?」
「お2人共どっこいどっこいですよ」
「「あい」」
くーちゃんに言われちゃ反論不可能じゃね。
よーし、ビールもう一本空けちゃろ。
チャンチャン(めでたしめでたし)
どこがって言われそう。米国の方に謝罪。まぁギャグ&コメディなんでゆるーく流してくだせぇ。
次回は何するんだろ。取り敢えず夏休み編入りましょーか。
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