ISの世界に来た名無しがペロちゃんと命名されてから頑張る話   作:いつのせキノン

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タイトル通り、大改稿すぺしゃる~な置き換え。最新話じゃないです。割り込み投稿って奴です。
ツイッターでギャグにするとか言ってたけどギャグは無理だったのでいつも通りな雰囲気に。これでええねん。


ペロちゃん「以前ここは『めくるめく』なんてタイトルだったけど日曜日は天気が良かったのでシリアスをぶち壊してやった」

 どうもこうも、世界はどうやら世界水準を格段に押し上げつつあるらしい。

 

 海の中からこんにちはー、ペロちゃんだよ。今は米国の特殊部隊の潜水艦が出て行くのを妨害してる。

 

 いつもは遮断しているISの稼働パルスを全開にばら撒いて気を引きつつ海中を動き回る。やはり水の存在が邪魔なもので中々速くは動けないのが難点かな。

 敵潜水艦は俺が知る丸っこい物ではなく、流線型を描きつつも上部に飛行甲板を備えた潜水空母らしい。滑走路を背負ってる訳だからやはり大きいんだけど、予想以上に動きが機敏だ。やはり電磁推進装置を備えているらしく、更にはキャビテーション航行を行って水との摩擦を極限まで減らしているみたいだ。ISばかりが注目されている世界だけど、その科学技術力は俺がいた世界からすれば充分に高い水準に纏まっているだろう。

 潜水空母が回頭して行こうとするその先に素早く移動しスイッチング式の爆弾――――爆雷をばら撒き爆破。爆破に巻き込まれる訳にはいかないと潜水艦は直ちに停止し再び回頭する。さっきからこの繰り返しばっかだ。敵さんからの攻撃は無し。ちょっと味気ないと思ったのは内緒だ。

 なんて思っていたら向こうに動きが見えた。艦首の魚雷発射管に注水が開始されすぐさま魚雷が4つ射出されこちらに向かってくる。予想以上に速く動いていることから従来のスクリュー推進ではなく、これもまた電磁推進式の物。コストはバカ高くなるはずだがそれを容赦なく使ってくるとはね……横に動いてみるものの魚雷は追尾してくる。パルスが原因かなって思ってパルスを一時的に遮断すると魚雷は目標を見失ってそのまま真っ直ぐ海中を進んで行った、かと思えば爆発。なるほど、下手に遠くまで行って無関係なところに被弾するのを防ぐための自爆か。

 しかし向こうが攻撃を始めてから動きが変わった。多分攻撃許可が出たのだろう、容赦なく魚雷を撃ってきて隙あらば撃墜しようと突撃をかましてくる。図体もデカいクセに俊敏な動きを見せるのは本当に意外だ。

 一時爆雷の群れに突っ込んだ潜水空母だったが爆発に巻き込まれても装甲はあまり変化が無かった。恐らくキャビテーションによる空気の発生で衝撃が発散されたのと、あとは水流により衝撃を逃がしたんだろう。どれだけの最新鋭技術をこの潜水艦に持ち込んでいるのやら……ニミッツ級が可愛く見えてくる。

 

『失礼。素直に出撃を待つことはできないか?』

 

 回線に割り込んで問い掛けてみるが返答として返ってきたのは魚雷の弾幕。やむなしとパルスを再び切るが……おかしい、追尾が終わらない。何だ、パルスじゃなきゃ何を基準に……?

 って考える暇もないので迎撃。とにかく下がって爆雷を設置し通りがかりに爆破して誘爆させる。衝撃がギリギリまで迫ってきて思わず身構えた。魚雷の速度が予想以上に速いものだから迎撃もギリギリ、迎撃方法も爆雷しかないから正直なところ状況が一転するなんてのはなさそうだ。

 今ある武装は大半が物理兵器で水中じゃ使い物にならないし、エネルギー兵器も減衰が激しすぎるから同じ理由で却下。近接武器は相手が速いから当てるとなるとこちらも捨て身……向こうの水中での動きは俺と大差ないから中々一撃離脱ができないのだ。今度帰ったら束さんと相談してみよう。

 

『チッ、あとどれくらい引き付ければ良い……?』

 

 正直なところもう爆雷の残りがほぼない。元々水中戦なんて想定していないのがISだし、それに爆雷と言っても性能頼りなただの爆弾だから数は多くない。

 マズい、マズいぞこれは。元々少なかった手札が更に少なくなってきてる。

 

 仕方あるまい。切り札の1つを使うしか……。いやでもこれ使ったら騒ぎがなぁ……致し方なし。

 一応念のために束さんへ一報を入れて、と……おっけい、やろう。

 

 背部ユニットに一本の筒を展開してハッチを開く。中から魚雷が飛び出し、真っ直ぐ潜水艦へ向かった。器用にトリムを下げて回避運動を取ろうとしてるが、残念ながらソイツは俺の誘導で動くから逃れることはできない。

 潜水艦へ接近した魚雷は爆破つ、刹那に周囲へ超粘性物質を散布し水を瞬時にゲル化させた。ねっとりとした物質はすぐさま潜水艦に絡み付き動きを鈍らせる。

 

 ……本来ならミサイルに積んで空中散布させ相手の機動を制限させる奴なんだけど、意外と水中でも使えるのか? 束さん曰く水にも強いって言う心折(しんせつ)設計だから落としにくいんだろうね。本当だったら海水もかなり粘っこくなって周辺への影響が出やすいって情報があったから使うのは控えてたかった。

 

 と、動きが鈍った筈の潜水艦から音がする。何だろう。センサーを通して見ても特に大きな変化はないが……いや、絶対に何かやってる。

 

 そしたら急に潜水艦が加速しだして……いやいやいやいや、待てよ、俺さっき粘性物質撃ち込んだろ!?

 センサーを切り替えて見れば両脇後ろの水流が異常な加速をして熱を発していた。相当の推進力を生み出している辺り、ここを全力で振り切るつもりだ。

 

 させねぇよ。勝てなくたって、時間くらい稼いでやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はいはい、IS学園が臨海学校の宿に指定している旅館に束さんは現在潜入、って言うか堂々入り浸ってマス。

 

「いっくん大丈夫かな~?」

 

 作戦会議室の隣の部屋には先程『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』に撃墜されちゃったいっくんが寝てて、そこには箒ちゃんが寄り添ってる。

 襖を開けて堂々と入室~。箒ちゃんが一瞬顔を上げて、また俯いた。ありゃりゃ~、これは結構ショック受けてるみたいだね~。

 

「命に別状はないって言ってたね~」

「……はい」

「まーまー、そんなに落ち込むことはないって。いっくんならちゃんと起きてくるからさー」

「…………………………………………、」

 

 唇を噛む箒ちゃん。まーあれか、事前にいっくんやちーちゃんに言われていながら失敗しちゃったんだもんね、キツイよねぇ。

 じゃあそんな箒ちゃんの為に!!

 

「束。病人のいる部屋で何をしようとしてる?」

「ギクッ。や、やぁちーちゃん。束さんは箒ちゃんといっくんを元気づけようとだね?」

「さっさと退室せんか」

「ぐぇ」

 

 ち、ちーちゃん、襟元へいくら束さんでも苦しいれふ……!!

 

「全く、余計な事をしてくれるな」

「束さんが妹の心配して何が悪いんですかー?」

「変な1人コントでもやる気だったろうに。何だあの構えは」

「だって箒ちゃんがー」

「いいか、アイツは自責の念に押し潰されそうなんだ。今必要なのは私やお前じゃない」

「ちぇー。束さんだってお姉ちゃんなのにー。ちーちゃんだっていっくんが寝込んでるのに冷静だよね」

「今はな。お前が起きると言ったんだ、ならもう心配いらない。それに私の弟だ。私が信じてやらねばなるまい」

 

 おぉ、流石はちーちゃん……いっくんへのブラコン度は日に日に増してr

 

「今度余計なこと言うと口を縫い合わすぞ」

「口縫い合わせる前に頭蓋骨が陥没しそうなんですがそれは」

 

 ふぅ、中身飛び出て本当に平面にされるかと思った。

 と、やり取りしてると専用機持ち集団がわらわらといっくんの部屋へ。何だアレ。

 

「私達は邪魔者だ。司令室へ来い」

 

 

 

 ずるずると司令室(仮)に連れられ「そこで大人しく座ってろ」とちーちゃんに言われたのでやることもなく座っておく。丁度卓袱台の上に旅館備え付けの饅頭があったので貰っておく。あとお茶も。

 

()()()()()()()()()()()

「口にモノを入れて喋るな。私はいらん」

 

 そっかー。まぁその辺の市販品と大して味も変わんないから別にいっか。

 

「束」

「なぁに?」

「もし仮に、ISという物を外部から自由に操れる天才がいたら、どう思う?」

「藪から棒だね~。でもそんな人がいたらこんなに悠長に構えていられないんじゃないの? 現状ISを止められるのはISのみ。テロなんて起こったらテロリストに立ち向かうのは誰になるんだろうね」

 

 まぁISは外部から操作できる程ヤワなプログラム組織じゃないから無理だと思うけどなー。そんなことができるのは束さん以外にはいない…………いや、ペロちゃんももしかしたらワンチャンある? やらせたらちゃっかり「あ、できたわ」とか言いそうだし。今度試してもらおっと。

 

「そう言えばちーちゃん。あの密漁船はどうなったの? 流石に放っておくには問題があるって思わない?」

「それなら既に米国部隊が動いている。心配はない。というより、何故そう思った?」

 

 暗に「お前が興味を抱くには小さすぎる問題だろう」という視線を向けられた。

 

「個人的なことを言っちゃうと、箒ちゃんの勇士を勝手に見られるのはいささか頭にきちゃうからねー」

「……だと思った。まぁ後は向こうが勝手にやってくれる。こっちは既に人手が足りてないからな」

 

 そうだと良いよね。

 

 

 

 

 

 ま、そんなことないだろうけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 見える。遥か上空から真下、どこまでも青い太平洋の大海原、その中に1つ、白い影。密漁船、ターゲット1と呼称されたソレを見据える。

 甲板には人影が2つ。男と女、日本人ではない。何か作業をしているのか、それぞれで下を向いていた。

 不意に男が顔を上げてこちらを見上げ、目を見開く。だけど、もう遅い。

 銃剣(バヨネット)を両手に持ち、男の持つタブレット端末目掛けめて降り下ろした。液晶が割れるよりも早く真っ二つに、一瞬内部から火花が弾けて電源が落ちた。

 

「……自分、何モンや……?」

 

 男は咄嗟に斬撃を避けて甲板を転がり、艦首の女の方へ逃げていた。体を低く保ち警戒の姿勢、女の方は驚いた表情ながら既に拳銃を構えてこちらを狙っている。

 

「初めまして」

 

 私は1度両の手の銃剣(バヨネット)を甲板に突き刺し、スカートをつまみ上げて一礼。束様が確か挨拶はこうするものと言ってましたね。

 

「クロエ・クロニクル、何故アンタが生きてる……?」

「私が生きていてはおかしいでしょうか?」

 

 そう返すと苦虫を噛み潰したような表情になる女。全く、失礼な人です。

 

「そういうことか、通りで死体が見つからない訳だ」

「アカンわぁ、コイツはアカン……早よ逃げんと」

「チッ、腰抜けめ」

 

 男は女の後ろへ、刹那に拳銃が火を噴く。

 それを私は銃剣(バヨネット)を片手で引き抜き振り上げ、弾丸を斬り飛ばす。真っ二つになった破片が私の横をすり抜け、背後にあった操舵室の窓を粉々に砕いた。

 

「なァッ!?」

「どうかされましたか? 私はただ銃弾を斬っただけですよ?」

 

 ダン、ダン、ダン、と発砲音が続いてくる。音と同時に飛来してくるソレを両手の銃剣(バヨネット)をもって1つずつ斬る。弾けた欠片が床に、淵に、壁に食い込んだ。

 10発を吐き出したところで拳銃は弾切れを起こす。その隙を一息よりも速く踏み込み、女の拳銃を真ん中から断つ。後ろの男が海へ飛び込もうと動くが、左手の銃剣(バヨネット)を投合しズボンの裾を床に縫い付けた。

 

「私を舐め過ぎてはいませんか? 私は、かつてのクロエ・クロニクルではないのですよ」

 

 喉元に刃先を突きつければもう動けない。女は諦めたように肩を落とし、しかし男の方はと言えば一生懸命銃剣(バヨネット)を引き抜こうとしていた。そんな力で抜ける程ヤワな投げ方はしてないんですがね。

 

「そちらも大人しくしていただけませんか? 今度は直接脚を床に括り付けますよ?」

「それは堪忍してぇな……ちびる」

「大人にもなってそんなはしたない行為に及ばないで下さい。それでも暗部の一員ですか。汚らわしいもの見せたら容赦なく斬りますからね」

 

 睨み付ければ男の方も肩を竦めて大人しくなる。それで良いんです、作業が楽になりますから。

 

「さて、本来であれば貴方方は拘束して拷問なりなんなりで情報を吐かせるのですが、今回は特別措置を取らせていただきます。その為に見ていただきたいものがあるのです」

「特別措置……?」

「はい。こちらにこのような物があるのですが」

 

 私はポケットからペンくらいの大きさの棒を取り出し、同時にサングラスも取り出してかけた。

 

「この先っぽ、何が見えますか?」

 

 2人の目の前にペン先を指してかざし……刹那に光る。パッ、と一瞬だけ赤い光が放たれ、2人がポカーンとした表情のまましばし固まった。

 

「そう言えばここは太平洋と言いましたね。大西洋と違い漢字は太いと書きますが、その違いはご存知ですか? 大西洋は単に西側の大きな海だから。太平洋の場合は穏やかな太平の海から太平洋と取られたとという説があるんです。そして、穏やかな水面は一度(ひとたび)一石を投じてしまえば大きく揺れてしまいます。よく覚えておいて下さい」

 

 テストには出ませんがね。

 

「では御機嫌よう。もう会わないことを祈りたいものですね」

 

 私は船から飛び上がり『黒鍵』を展開すると同時に熱光学迷彩も纏って空へ昇る。太平洋を見下ろせば、漁船へ向かうアメリカの軍艦がいくつか見えた。

 私の任務は終了。再び観測へ戻ります、束様。




くーちゃん は 神父様 から エージェント に ランクアップした!!▼



ツイッターやってます。下らないこと呟いてるけど元気です。
よく束さんの画像投下したりしてるんで気軽に来てくださいな。

ID:@ItunoseKinon529

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