ISの世界に来た名無しがペロちゃんと命名されてから頑張る話   作:いつのせキノン

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予定を大幅に変更して第3章、始まります。

もう秋も終わりに近いけど夏本番の話に突入ですってよ奥さん。


第3章 皆さん、夏ですよ!! 夏!!


 夏と言えば何を思い浮かべるか。俺だったらやはり海だ。特別思い出なんてないのだが、夏に連想するキーワードとなると海なのだ。

 どうも、ペロちゃんデス。現在はイギリスを離れ日本にいます。ここまで新品のIS『紅椿』を運んできた訳だが、道中何もなかったのでバッサリ割愛する。

 『紅椿』を適当な場所に隠してから今は飛行機組の束さんとくーちゃんに合流すべくショッピングモール前で待機している。今日の予定は買い物をして夕方までには場所を移動して予約してある宿に向かい明後日の準備。因みに明日は自由行動というか予定はなく各自でがっつり旅行を楽しむこととなっている。

 明後日の方は『紅椿』の引き渡しに伴い、束さん曰くビッグなイベントを開催するらしい。妹の晴れ舞台ですもんね、張り切りってましたもんね。

 で、翌日も遊んで次の日にのんびり帰ろうということになっている。本命は旅行で『紅椿』はそのついで、とは束さんの言葉である。やるなら徹底的にとは言っていたが。公私を分けることは大切ですね。

 

 さて、実はモール前でかれこれ待つこと30分。そろそろ電車が到着して束さん達も着く頃合じゃなかろうか。なんて考えていた時期が俺にもありました。束さんから今メールで連絡があって、面倒な奴らに捕まりそうとのこと。全く、やっぱり束さんすごい人だね、色んな意味で!!

 人目が多いがそんなもの気にせず全力で街中を走る。タクシーを拾うよりよっぽど速い。ビルの壁を僅かな出っ張りを見付けて登る。周りからは何事かと声を上げてこっちを見上げるが気にしない。パフォーマンスってことで誤魔化してくれるだろう。警察さんゴメンネ、緊急事態なんだ。

 

 5分で現場へ。束さん達の姿はまだ視界に無いが、それより怪しい人物を発見。明らかに誰かを見張って尾行している。路地で携帯を弄りつつ視線を動かす、明らかに怪しい人物目掛けて建物からバレないように駆け下りる。

 

「やあ」

「っ!?」

 

 真後ろに立って声をかけ、ようやく気付くスーツ姿の男の人。遅い遅い。

 

「まぁお話しようよ。あんまり怪しい動きしてるモンだから注意しに来たんだけど、しつこいようなら警察呼ぶよ?」

 

 直後に拳が顔面めがけて飛んでくるが、別に怖くない。と言うより、避ける必要も無い。拳が鼻に当たるが、問題ない。痛くないし、そもそも俺にダメージは入らない。実はちゃっかり皮膜装甲(スキンバリア)展開してるんだ。いいだろこれ、めっちゃ便利。

 

「ね、俺にはそう言うの効かないから。大人しくして、ついでにお仲間さんも撤収してもらおうか。力尽くでも抵抗するって言うなら、殺そうなんて言わないけど2度と表に出れないようにするからね?」

 

 多分、俺の顔って今滅茶苦茶悪人面の笑みを浮かべてることだろう。何だろう、悪役って楽しいかも。

 

 渋々と言った様子で男の人が携帯とは別にインカムに向かって撤収を指示。何やら騒がしい返事が返って来ていたが無理矢理ねじ伏せたみたい。いい判断だ。

 

「重畳。賢くて助かった。俺も余計な労力を消費しないで済むよ。まぁ元は君達が出てこなければそれはそれで良かったんだけど」

「……貴様は、篠ノ之束の関係者か?」

「んー? 何のこと? 俺は一般人でストーカーしているような人を見付けたから注意しに来た善良な市民さ」

「誤魔化しても無駄だ。こんなことで出しゃばる輩など、奴の関係者以外に誰がいる」

「うわー怖いわー。勘違いも甚だしい。デタラメ言うような頭なの? 止めてよそういう決め付け」

「ッ……まぁいい。今回は引き下がらせてもらう」

「そうしてくれ。それが最善の選択だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっほー束さん。待った?」

「全然。それよりもありがとね、人払い」

「いやいや、困ってたら助けるのが普通でしょ」

 

 人払いとはさっきのお兄さん達のことである。因みにあの男の人の記憶は消させていただきました。どうやって? こう、後ろからちょちょいのちょいとね。大丈夫、外傷は無いから。警察沙汰にもならないでしょ、あの人達なら。自分から地雷を踏み抜くことはないだろうし。

 取り敢えず束さんとくーちゃんに無事合流。すっかり周りから人はいなくなった。掃除は完璧。

 

「とにかくちゃっちゃと買い物済ませちゃおっか。ね、くーちゃん」

「はい。わざわざ私の為にありがとうございます」

「畏まっちゃってぇ、もう。照れ隠しなんてこの束さんには通用しないゾ~」

 

 うりうりと脇腹を小突かれるくーちゃん。触られるたびにビクビクと反応してるので脇腹が弱点らしい。くすぐったいよねソレ、わかる。

 

 

 

 何事もなくショッピングモールに到着。監視の目もなかったから問題ナッシング。そんでもって我々3人が真っ先に向かった場所は、

 

「お、おぉう……」

 

 女性水着売り場。これなんてラブコメ展開……。

 

「た、束さん、おら外で待機させてくだしあ……」

「残念ながら認められていないんだなそれがぁ」

「いやじゃあ、変態に見られてるんじゃあ」

「出会い頭に人の胸に飛び込んだ人間の言葉じゃないね」

「やめて!! 今その爆弾を投入すんのやめて!! ほらぁっ、くーちゃんがすっごい冷ややか眼でこっち見てるじゃんありがとうございます!!」

 

 あれ完全に事故だったもん!!

 

「まぁほら、くーちゃんの水着選ぶの手伝ってよペロちゃーん。くーちゃんだって楽しみにしてんただから、ねー?」

「そ、それは内緒にしておいて下さい束様……!!」

 

 くーちゃんもやられた。主導権は全部束さんの手にある。一緒にお買い物できる上に蔑んでもらえてかつ変態と呼ばれる特典付きだそうだ、これってある種のご褒美なんですかねぇ。嗚呼、周りの視線がイタイ……。

 しかしくーちゃんの水着か……。どんなのが似合うんだろ。ファッションなんて無頓着すぎて細かいこと何もわかりましぇんな状態だし、自分の格好でさえ適当な上に女性物の、しかも水着とかレベル高すぎやしませんかね。目のやり場に困る。

 

「束さん的にはくーちゃんにはフリフリも似合うだろうし、でも大胆なのも着させてみたいんだよ」

 

 趣旨が着せ替えに代わってませんかね、それ。

 

「そんな訳でくーちゃんお着替えしてみよっか」

 

 満面の笑みで束さんがいつの間にか手にとった数着の水着。おかしいな、商品を手に取る仕草見えなかったんだけど。くーちゃんも面食らってるし。

 

 

 

 

 

 束さん主催、くーちゃん水着コンテスト開催から早くも30分が経過しました。第1回目の今日、レベルの高い審査が繰り広げられております。審査員の束さん、唸りに唸って選りすぐりの水着を選定しています。

 つまり俺が役立たずなんで暇なのです。いやだってさ、束さんが選ぶ水着って大抵くーちゃんには似合うんさ。評論家でもない俺じゃ「似合ってる」しか言えない訳で、審査員として早々に除外されました。

 ステージ(試着室)に立つくーちゃんはと言うと着せ替え人形状態で、容姿も合間って目立つこと目立つこと。色んな人に注目されて既に顔は羞恥で真っ赤っかである。

 今くーちゃんが着ているのはセパレートのビキニ。デザインはモノクロでギザギザボーダーって言うんだろうか。幻惑的な意味合いでもデザイン的な意味合いでもくーちゃんにはよく似合ってる。うん、似合ってるって感想しかありませんごめんなさい。

 

「あ、あの、束様…………その、そろそろ、あのっ……」

 

 くーちゃん既に涙目涙声。流石に止めようか。

 

「束さーん。そろそろ決めちゃわないとくーちゃん泣いちゃうぞー」

「にゃあぁ……くーちゃんどれもアタリだし迷うよぉ……」

 

 と、手に持った水着に加えてもじもじしてるくーちゃんまで見比べて唸る束さん。

 

(へいくーちゃん。リクエストすれば早く終わるかもよ?)

(しかし、束様が納得していないのでは……、)

(くーちゃんが選んだなら束さんも大満足だろうけどなぁ……)

(そ、そういうお兄様はどうなのですかっ? 私はこういうのを選ぶのは苦手と言いますか……やっぱり周りの意見も欲しいと言いますか……、)

 

 こっそり個人間秘匿通信(プライベート・チャンネル)での会話。俺の意見って参考にならないような気がするんだけど……。

 

(多分今着てるのが今までの中ではベストじゃないかねぇ)

(じゃ、じゃあこれにしますっ)

 

 え、いいのそれで。何か俺の意見が優先されているみたいだけど。

 

「た、束様、その、この水着が、いい……です……」

「ホントっ? よし、じゃあそれにしよう!!」

 

 即決である。決断早いな束さん。値段見てないみたいだけどソレ高いよ?

 

「カード払い、一括で。ついでに束さんのとー、ペロちゃんのは?」

「あ、じゃあ…………これでいいや」

 

 適当に黒地にヤシの木がデザインされたサーフパンツをチョイス。

 

「ちょっとブーメランも買っておくね」

「待って、それ俺が恥ずかしい思いするだけだから!!」

「冗談冗談」

「じゃあその買い物カゴに入れようとしてるブツを取り出しておいてくれませんかね?」

 

 履かないからね?

 

 

 

 

 

 さて、何だかんだで1時間くらいかけてようやく水着が揃った。ショッピングモールを後にして束さんとくーちゃんと俺は予約してある旅館の方へ移動。紅椿を近くに移して、ようやくこれで一休みである。

 

 案内された部屋に入って早速窓の外を覗いてみる。山が見えつつ海もちらほら。人の手が全く及ばない自然の景色だ。何となく見てて和む。

 部屋は和室でテレビと卓袱台、あとは収納のクローゼットがある辺りありきたりだが悪くない。取り敢えず備え付けのポットでお湯を沸かしてお茶を入れておこう。

 

「そういや束さんや。具体的なプランを全く聞いてないんだけど、そこんところどうなってるん?」

「そう言えば説明してなかったね。と言っても大まかな方向性があるだけで細かい指示とか動きは殆どアドリブになっちゃうんだ」

 

 と、束さんが卓袱台にあった饅頭をほ頬張りながら言う。俺も貰おう。

 

「プランスタートは一◯◯◯(ヒトマルマルマル)。紅椿を届けたらペロちゃんは上空を離脱して。くーちゃんは予めハワイ上空まで移動して待機、万が一に備えておいて」

「了解しました」

「デモンストレーション、だっけか。万が一となると戦争になりかねんかもな」

「そこは承知の上。ただし本格的な戦闘行為は指示があるまで無しね。箒ちゃんに被害が及ぶ可能性が出てくる」

「軍が出る可能性は?」

「ゼロ、とは言い切れない。多分出るにしても大軍隊よりは少数精鋭とかそんなところだとは思うよ」

「やっぱりISか」

「出るとしたら地図にない基地(イレイズド)ってところだと思うよ。あそこは 今回のともう1つISが配備されてるみたい」

「それ、もしかしなくてもあの時の……?」

「その通り。もしかしなくてもGの一番の被害者だね」

 

 懐かしいものだ。もしかしたらまた顔付き合わせることになりそう。まぁ向こうは覚えてないでしょうけど。

 なんて思ってたら隣にいたくーちゃんがくいくいと袖を引っ張ってきて「お知り合いですか?」と小首を傾げていた。

 

「俺が束さんと会って間もない頃だったかねぇ。ISの反応が感知されて襲撃されたんだ」

「かるーくあしらったけどねー。まだアイツ軍人やってるのかな?」

「流石にG怖いからって軍人やめられんでしょ。確かあの人国家代表も兼任してなかったけ?」

「あれ、意外と地位高い奴なんだ。知らなかった」

 

 流石のブレないスタンスですね束さん。

 

「……束様、お兄様と何をやらかしたんですか……?」

「「トラウマ植え付けてあげた」」

「うわぁ……、」

 

 この後トラウマの内容を教えてあげたらくーちゃんにドン引きされた。うん、まぁそうなるわな。




予定変更しちゃって申し訳ない。番外編とか予想以上に書けないんです。どうしましょうかね。いっそのこと書かないにしようか……。IFルートも何も書いてないし。
多分これらの完成待ってると年越しちゃうんですよ。それは流石にマズイだろうということで取り敢えず本編です。こっちならまだ書ける、気がする。ちょっと色々動き出すのもあるし。
例によって次の話は全くできてません0%です。これからちまちま書きます。

続きは……12月かなぁ……。

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