ISの世界に来た名無しがペロちゃんと命名されてから頑張る話   作:いつのせキノン

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隔日更新キャンペーン中。

この話は書いてて楽しかった。


弾けてしまえコノヤロウ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 束さんがくーちゃんを連れ立っておでかけ。俺はお留守番。ペロちゃんです。

 例の2人だが何やらまた非合法研究施設を潰しに行くだとか何とか。物騒なことで。

 で、言った通りに俺はお留守番をしている訳で、絶賛暇を持て余しているのだ。出掛ける予定もなく、と言うか今日は土砂降りなので出たくないので外出はしない。自ずと屋内で暇を潰すことになったんだが、やることがない。

 最近考えたんだが俺は完全にヒモニートなんじゃないだろうか。今の役割がガチモンの自宅警備員だし。籠っていてもやることができる仕事は大体終わらせたし、だからと言って寝るにも眠くない。何だろう、この時間を無駄にしている気分。

 

「何か……適当にネトゲでも……」

 

 この考えを実行すること自体ダメ人間な気がしてならないが……まぁいいや、苦痛の時間を過ごすよりはいいかも。

 のそのそとベッドの上で動いて頭上にあるデスクトップを立ち上げた。あー、箱のファンが頑張ってる。ビデオカード分のが出てるねぇ……。

 30秒程度で起動完了、パスワードを入力して……あれ、ショートカットどこやったっけ。あぁ、最近使わなかったからフォルダの奥にやったんだった。

 1分程潜り込んで見付けたネトゲのショートカットをクリック。ランチャーが開いてログイン、しばらくすればスタート画面になる。

 起動したゲームはストラトス・ブレイブというMMOカスタムISバトルアクション。プレイヤーは自分だけのISをカスタマイズして対戦するゲームなんだが、実は最近サービスを開始したらしい。俺はというと暇だったので事前登録もしていた。

 先程言ったようにこのゲーム、カスタムしたISを操縦するのだが、カスタムするのは体の各部位でパーツ別に分けられておりその種類も豊富になっている。奥が深く多くの戦術に合わせたカスタマイズができるのが売りなんだろう。

 無論、ISを念頭に置いてあるのもあって有名どころのパーツもある。モンド・グロッソ優勝機体や部門優勝機体なんかも毎回追加されていたりする。暮桜あたりが有名だろうか。

 俺のカスタム機体は今使ってるやつ……あ、名前つけてないじゃん。まぁあのオーバースペック機体、に似たやつを使ってる。スキン変更でカラーリングもカスタムしてみて、外見は完璧なのにスペックがクソ過ぎた。パーツはある程度互換性のあるようにパラメーター設定がされているんだが、俺の場合ビジュアル重視だったため各パーツ間の互換性がまったくと言っていいほど無いので特殊スキル的なものが開放されていない。完全に縛り装備ですありがとうございました。

 しかしスペックはスキルで充分カバーできる範囲なので問題ない。フレンドには驚かれたが。

 さて、誰かインしてるかな……。お、カンザシさんいるじゃん。

 

【ペロ:(  ̄ー ̄)ノども】

【カンザシ:ハロハロー】

【カンザシ:ペロさん久々ですね】

【ペロ:しばらく触ってないなぁ、なんて思ってたら】

【ペロ:こんなに時間経ってましたよ】

【カンザシ:相変わらずマゾ装備なんですか?】

【ペロ:マゾ言うなし】

【ペロ:やっぱりビジュアル的なお気に入りは外せませんね】

【カンザシ:パラメーター私の方がずっと有利なのに】

【カンザシ:ペロさんの方が戦績上だし……しくしく(*´;ェ;`*)】

【ペロ:いやいや、カンザシさん充分上手いじゃん】

【ペロ:ランカーさんにゃ敵いませんて】

【カンザシ:今度ソロ対戦しましょう。次は勝つ】

【ペロ:マジですか。ブランクあるしボコボコにされる未来が……((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル】

 

【『卍アクアランサー卍』さんがログインしました】

 

【ペロ:お、ランサーさん】

【卍アクアランサー卍:(*´ω`)人(´ω`*)オヒサー♪】

【カンザシ:お久しぶりです】

【ペロ:流石はノーガード機体、まだまだ盾がありませんなw】

【卍アクアランサー卍:盾付けたら負けかなと思ってる(真顔)】

【カンザシ:ペロさんと大差ない機体な希ガス】

【卍アクアランサー卍:いやいやwww流石にペロさんとは次元が違いすぎますってwww】

【カンザシ:ランサーさん今度組んでペロさんフルボッココースにしましょう(笑)】

【卍アクアランサー卍:あ、いいですねそれ!!】

【ペロ:お、ハートフルボッコかな(すっとぼけ】

【ペロ:待ってw流石に上位ランカー2人は無理】

【卍アクアランサー卍:こんなこと言ってるクセに引き分けにまで持ち込むから侮れないペロさん】

【ペロ:機体スペック見れば敗北確定だから】

【カンザシ:もうやめて! ペロのライフはもうゼロよ!】

 

【『虚無』さんがログインしました】

 

【ペロ:直に私に叫ばせるんですねわかります】

【虚無:皆さんお揃いなんですね】

【卍アクアランサー卍:ちわー】

【カンザシ:こんにちは】

【ペロ:虚無さんおっすおっす】

【虚無:お久しぶりです。特にペロさん】

【カンザシ:もしかして1か月前の協力戦以来?】

【卍アクアランサー卍:よし、これで1対3ができる!】

【ペロ:完全にフルボッココースジャマイカwww】

【虚無:またペロさん1人でするんですか?】

【カンザシ:ペロさんの本気はこんなものじゃない】

【卍アクアランサー卍:どこまでも上がり続けるハードルワロタwww】

【虚無:じゃあペロさんの陣営入ろうかな】

【ペロ:マジで!?】

【ペロ:きた!盾きた!メイン盾きた!これで勝つる!】

【虚無:チェンジで】

【卍アクアランサー卍:即www答www】

【カンザシ:ペロさんの敗けが確定した瞬間である】

【ペロ:嘘だ!!】

【卍アクアランサー卍:もう許してやれよwwwwww】

【ペロ:よっしゃ、カンザシさんボコボコにしちゃる】

【カンザシ:あ……(察し)】

【卍アクアランサー卍:死んだな(確信)】

【虚無:部屋作りました】

【卍アクアランサー卍:処刑執行室ですねわかります】

 

【参加者を集めています……】

【…………】

【……………………】

【………………………………】

【参加を締め切りました】

 

【Now Loading】

 

【卍アクアランサー卍、カンザシ VS ペロ、虚無】

 

【スタンバイ。Are you ready?】

 

【ペロ:宜しく】

【卍アクアランサー卍:ヨロシクオナシャス!!】

【カンザシ:出ます。よろしく】

【虚無:よろしくお願いします】

 

【カウント……3、2、1、GO!!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ディスプレイの中を縦横無尽に飛び回るIS。俺の他には薙刀を構えたミサイルをばらまく打鉄のカスタム機、これはカンザシさんの機体。コンパクトでありながら大きなランスを持つ水色の機体は卍アクアランサー卍さん。最後に味方にいるラファール・リヴァイブを駆る虚無さん。皆実力者だ。カンザシさんと卍アクアランサー卍さんはイベント上位ランカーだし、虚無さんは初めてからそんなに経ってないのに驚くべき早さで成長しているのだ。

 

【ペロ:では宣言通りカンザシさんオンリーで】

【カンザシ:くぁwせdrftgyふじこlp】

 

 どこかから悲鳴が聞こえてきそうだ。

 取り敢えず速くもない速度で絶えず機体を左右に振りながら接近。鍛え上げた反射神経でもってミサイルの雨をギリギリまで引き付けてブーストステップで回避する。近接信管だからギリギリ過ぎてもダメージか通るのでフレーム単位で回避を狙わないとあっという間に飲まれかねない。

 距離を詰めればミサイルは当たらない。カンザシさんは誘導ミサイルから荷電粒子砲で応戦してきた。こっちは右腕にレールガン、左腕に盾を構えて徐々に距離を縮めていく。

 俺の場合通常兵装は貧弱なんだが、1つだけ必殺技的な物がある。もう周りにバレてるので隠すことはないが、このゲームにも登録されているアサルト・アーマーもどきだ。当たれば相手は死ぬ。こっちバリアが剥がれるのでダメージが素通りになるデメリットもきちんと設定されている。

 戦闘スタイルがこれに限られているのだが、これで上位ランカー相手に勝てる自信はある。実際勝ってきたし。カンザシさんとは何度もタイマンしてきたりしたので対策も取られているが、まぁ問題ない。近付けさせない戦法でも、近付けばそこで勝負は決する。

 

 

 

 一方の虚無さんと卍アクアランサー卍さんは付かず離れずの攻防でじわじわと戦っている。虚無さんのラファールは万能型なので全距離に対応可能、戦闘スタイルは専ら中~遠距離だが今は大分引き撃ち気味だ。と言うのも卍アクアランサー卍さんは近~中距離の火力重視で一撃一撃が10割削るとまではいかないが戦局に響くほどに重い。中距離戦でほぼノータイムで発生させられる水蒸気爆発が中々に曲者でダメージ量が無いかわりに広範囲に連続して爆破が可能なので足止めされて接近され落とされる事案が度々発生する。何度苦汁を舐めさせられたことか……。

 虚無さんは上手く立ち回っているが、やっぱりどちらかと言うと卍アクアランサー卍さんに追い回され気味。早めにカンザシさんを落とさないと危ない。

 多少の被弾覚悟で特攻。速度に支障の出ない範囲で喰らいつつ最短距離を詰める。と、ここでカンザシが全力で逃げに行く。逃がさんとばかりにレールガンを連射して足止め、アサルト・アーマーの射程に……入った。

 この場合発動コマンドを入力してから1秒程の空白が発生する。つまり、射程に入ってからじゃ遅い。

 なのでここでは発動しない。クイックターンを駆使してカンザシさんの視界から外れ、ここで発動。光が収束し、カンザシさんが脱出しようとするが追い縋る。

 

【『カンザシ』、リタイア】

 

 命中。打鉄は比較的装甲も耐久も高いのだが、アサルト・アーマーはそれすら破る。

 

【カンザシ:ランサーさんごめんなさぁぁぁぁい(≡人≡;)】

【カンザシ:またAA……AAコワイ】

 

 次は卍アクアランサー卍さん。共に持ち味が近接なだけに接近の難しい相手だ。しかも俺の場合しばらくバリアが無いので当たれば即死。AAもバリアがあることが大前提なのでどうしようもない。ので!!

 

【カンザシ:ランサーさんペロさんパイルありですよ!!】

 

 あ、見られた。まあいいや。もう1つの近接武器、パイルバンカー。当てにくい上にゲージを割合で削るという強いんだか弱いんだかわからない装備で付けてる人はあんまいない。ついでに言うとコストも高く、重量もあるため産廃装備だ。ネタで積んでたのだが、こういう時に積極的に使っていくスタイルの俺である。だって楽しいし。しかも割合ダメージなので序盤に当てるとかなり美味しい。

 

【虚無:損壊率50%】

 

 水蒸気爆発が連続ヒット。虚無さんがじりじりと追い込まれてる。ステージ端なので逃げ道も防がれていて不味い状況だ。バリアが無いのであれだが、特攻かけてサイトを外す必要がある。仕切り直せれば勝てる展開だ。

 無論、卍アクアランサー卍さんはさせたくないから虚無さんを追い撃ち。水蒸気爆発は間に射線に入っても防げないが射線は塞げるので堂々割り込む。と、ここで卍アクアランサー卍さんが前に出た。先にほぼ丸裸の俺を落とすつもりだろう。パイルバンカーよりランスの方がリーチも長いし出が速い。近接戦はこちらが不利だ。それでいながら虚無さんを牽制してるんだから手強い。

 俺は盾を構えて左右に機体を振りつつ背後を取れるように動き、させまいと卍アクアランサー卍さんがクイックターン。ひたすらにサイトを外される。ここで機体の性能面の差が出てきたか……。

 だがいつも通り。とにかく撹乱させる。こちらに注意が寄れば虚無さんがフリーになりやすい。簡単にはいかないが、大丈夫だろう。

 虚無さんが端から中央に抜けた。よし、行ける。

 

「あ」

 

 ガツン、と効果音。直後に盾が破壊された。ヤバい、ランス1発で盾死ぬとかどんだけアセンブル火力に振ってんだよ……。しかも貫通判定入って左腕が使用不能に。ヤバい、マウントしてたのがつかえない。あと、残り耐久値が30%切りました。死にそう。

 虚無さんがマシンガンを乱射。卍アクアランサー卍さんの背中にザクザク当たる。流石にこれは不味いと思ったのかスラスターを噴かせて脱出、ステージを周回するように飛ぶ。後は追い撃ちでどうにかなるかも。

 俺は性能面で追い付けないので追い撃ちは虚無さんに任せて進路に割り込むように躍り出る。無論丸裸パイルバンカー。完全にマゾ装備だ。しかし卍アクアランサー卍さんは後ろ向きで引き撃ち中で背中ががら空き、確実にパイルバンカーを叩き込む。その際に僅かながら水蒸気爆発が掠った。

 

【ペロ:損壊率10%】

【卍アクアランサー卍:損壊率10%】

 

 両者離脱。しかし卍アクアランサー卍さんはスラスター破損。スピードが大幅にダウンして機動性を失った。そこを確実に虚無さんがマシンガンを当てて耐久値を削りきった。

 

【『卍アクアランサー卍』、リタイア】

 

【WIN】

 

【卍アクアランサー卍:あああああ意外にパイルが痛い】

【カンザシ:産廃とは何だったのか】

【虚無:お疲れ様でした】

【ペロ:オツカレー】

【ペロ:俺が、俺達が、ガ◯ダムだ!!(ドヤァ】

【卍アクアランサー卍:これが最強のイノベーターだと言うの……!?】

【カンザシ:ペロさんAAのタイミング上手すぎですよ】

【カンザシ:あれクセ強杉内】

【ペロ:ロマンでしょ。強すぎるからの制約に惹かれる】

【卍アクアランサー卍:ハンデを要求する!】

【ペロ:これ以上いじめないで下さい(切実)】

【カンザシ:これ以上は本当にTDN変態】

【カンザシ:でも面白そうだから賛成】

【ペロ:俺の周りには敵しかいないのか!!】

【卍アクアランサー卍:wwwwwwwww】

【虚無:ペロさん立ち回り上手いからとても動きやすかったですよ】

【カンザシ:こうしてペロさんの変態伝説にまた1つ、新たなページが刻まれたのだった……】

【ペロ:嬉しくねぇ……】

 

 どうしよう。もうこれ以上行ったら真面目にヤバい。

 

【ペロ:いやじゃ~変態はいやなんじゃ~】

【卍アクアランサー卍:もう充分に変態ですけどねwww】

【ペロ:これ以上変態にならない為にオラは陣地戦行くぞ】

【卍アクアランサー卍:あ、チーム組みません?】

【卍アクアランサー卍:丁度1人枠捜してたんですよ】

【虚無:戦力過多で相手が可哀想な気がします】

【カンザシ:そこは運。チームランクSSなんてゴロツキばっかで勝てない時が若干多いし】

 

 陣地戦とは各プレイヤーがある地域チームに属して領地争いをするっていう戦争ゲームに近い。チーム対チームでどちらかが全滅するまでの根気がいる対戦だ。

 チームバランスも大事で最大4人のチームがボコボコにしたり、逆に2人だけのチームに手も足も出なかったりすることもある。

 ぶっちゃけると俺抜きでもカンザシさんらのチームは機能するだろう。役割分担がしやすいからだ。俺は完全にアセンブルがネタに近いアレなので中々にチームには馴染みにくかったりする。よって陣地戦ではよく1人で無駄に敵陣地に突っ込んで行ったりしてる。勝てる割合は半分割るか割らないかくらいだけど。

 

【卍アクアランサー卍:そう言えばそうだ】

【ペロ:どした?】

【卍アクアランサー卍:動画のキャプチャソフトて良さげなのがあったんで今度実況動画とかやってみませんか?】

【ペロ:何それ面白そう】

【カンザシ:やりたい】

【虚無:面白そうですね】

【卍アクアランサー卍:編集も全部一任してもらえれば後は実況するだけなんで】

【卍アクアランサー卍:どうします?スカイプ使います?】

【カンザシ:そっちの方がやり取りは楽ですよ。ランサーさんが後でゆっくりを付け足すなら別ですけど】

【ペロ:こっちはどちらでも~】

【虚無:やるなら効率の良い方がいいですね】

【カンザシ:声ありっぽい流れ】

【卍アクアランサー卍:じゃあそうしましょう】

【卍アクアランサー卍:次回からでいいですか?】

【カンザシ:了解(^_^ゞ】

【ペロ:あいあいさー】

【虚無:了解です】

【卍アクアランサー卍:陣地戦、1回スカイプしながらやってみます?】

【ペロ:やろうか。楽しそう】

【カンザシ:ID交換したらやりましょうよ】

【卍アクアランサー卍:はーい】

 

 

 

 

 

 後日、実況動画が動画サイトランキングに乗った。初投稿でこれとは……恐れ入ったぜ卍アクアランサー卍さん。あの人編集上手すぎ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




チャット会話って書いてみると楽しいものです。

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