ISの世界に来た名無しがペロちゃんと命名されてから頑張る話 作:いつのせキノン
「ペロちゃん起きなさぁい」
「ふぁー、あと30分ー」
「仕事したいから早よ起きれ」
「むごぁ」
く゛、く゛る゛し゛い゛…………。
「ぶはっ、何すんねん!?」
「お仕事始めるから呑気にわたしの目の前で寝ないでもらえる? 目障りだから」
「私怨じゃあ!! ワシを虐めるでないぞ!!」
「充分元気じゃないの。さ、手伝って」
ソファで寝てたらクッション顔に押し付けられて起こされたでござる。折角の睡眠時間が……。
「何よ仕事って。俺を起こさないとできない代物だったりするの?」
「いいえ、単に私が頑張ってる横で休憩しているのが許せなかっただけよ」
「よっしゃ、ふて寝しちゃる」
「暇だろうから手伝いなさい」
「Shut the f○ck up!! 俺は寝てたいんd痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!! やる、手伝うから耳引っ張るのやめて!!」
ちくせう、個室が欲しい……。
おはよう諸君。朝から気分悪いペロちゃんです。寝不足は敵だ。
「さぁソファーで寛いでいる副会長さんにも仕事はあるんだからね」
「
「はい、
おちょくってんのかこのアマ。
さて、生徒会副会長である。元来、真面目に不真面目な性格の俺はそんな役職した経験が皆無だ。人の上に立つより下で好き勝手騒いでる方が性に合ってる。ようは仕事面倒くさい。
「へいカイチョーさんよ。俺にこんな頭使うような仕事できると思ってんのか? 俺は単純な流れ作業しかできん!!」
「そんなこと堂々宣言してどうすんのよ……」
「よくある判子押すだけのアレなら得意だぞ」
「そんなの不得意な人いるわけないじゃない」
「世の中能力差って本当に理不尽だよな。天才が妬ましい」
「とか言って初見で全理論を理解する貴方は充分可笑しいわ」
恩恵だよ察して。
何とかやらないで済む方法はないか押し付け合いをあーだこーだと言ってると布仏さんがやってきた。今日も知的眼鏡だ。
「おはようございます、副会長」
「はよっす。突然ですけど布仏さん。会長が楽しようと俺に面倒な仕事を押し付けてくる件について相談が」
「一度言い出したら撤回しない非常に面倒な人なので余計なことされて仕事が増える前に承諾した方が身の為です」
「なんで2人して私に辛辣なの? なんで? ねぇ?」
会長さ、俺にだけ扇子ぐりぐりするのやめない? 俺のこめかみ陥没するよ。
「やれ、さもなくば捨ててやるわ」
「仰せのままに、アワプレジデント」
と言ったはいいけどこんなぽっと出の俺が書類選考していいのだろうか。
「どうぜ学業だしいいわよ。ダメだったら先生達が言ってくれるし」
俺知ってる、これダメ人間の思考だ。他力本願って言うんだぜ。
「私が保護してあげてるんだから素直に黙ってやりましょうね?」
会長の目が笑ってなかった。
学園祭かー。
「青春だねぇ」
「言動が爺臭い」
ひでぇ。
「で、どうしたのよ。若さが欠片も感じられない中年親父みたいなこと言って」
ちったぁ歯に衣着せてくれよ……。まぁいいか、今に始まったことでもないし会長直してくれそうにないし。
「この書類、学園祭の出し物の奴なんだな。
喫茶店多くね? 気の所為か。
「そう言えばそろそろ学園祭の季節だものね。ウチのクラスは……無難にお化け屋敷、と」
「え、そうなの?」
「ペロちゃんHRの話聞いてた?」
「爆睡してた俺に死角はない」
「学園にいる資格がないんじゃないの?」
誰が上手いことを言えと。
「まぁでも生徒会は生徒会で独自に企画をするから、ペロちゃんはその手伝いね」
「初耳」
「今初めて言ったもの」
「人権の無さに全俺が泣いた」
「ペロちゃん人間なの?」
「L知ってるか。少佐はこう言った。人間かどうかを決めるのは己の意志だとね」
「誰よLと少佐って」
後半はスルースキル発動されてないことにされた。この2人を知らないとは……会長もまだまだお子ちゃまだな。
「で、生徒会って何すんの?」
「んー? そうね、演劇でもする?」
決めてないんかーい。うわ、ベッタベタなツッコミしてしまった。
「人数考えて明らかに役者足りなくない? 小規模なやつでもするの?」
「いえ、私達は仕掛け人」
演劇で仕掛け人とか初めて聞いたぞ俺。え、何すんのか全くビジョンが見えない。
「あ、でもペロちゃんは裏方で雑用ね。ステージ建設とか衣装調達とか。大まかなことはこっちから指示して、他はペロちゃんのセンスに一任しちゃうから。役者は私の方で手配しておくから心配いらないわ」
会長権限だって。職権濫用かな?
まぁいいや。人前に出て演技なんて柄じゃないし、裏方なら目立たない。
「しかしだ、ぽっと出の俺にそんなに頼んでいいのか?」
「だいじょーぶだいじょーぶ。力仕事は男の子の特権でしょ?」
俺のいない所で会長が体鍛えてるの知ってるんだが黙っておこう。
クラスメイトだかどこで聴いたか忘れたけど、会長の役職は学園最強の証だーってらしくって、じゃあ会長はきっとベクトル操作しちゃうんだろうなーって。
「しないわよ。あとそれは学園都市最強ね」
「え、しないの?」
「しないわよ!?」
「実はできたり?」
「しないってば」
「かーらーのー?」
「仕事しろ犬」
「わん」
会長さんキッツイや……。
「あ、そう言えばペロちゃん」
「わん」
「1年1組の出し物って何?」
「わおーん」
「ちょっと黙りなさい?」
「すんません。……はいこれ。ご奉仕喫茶だってさ」
提出された書類にはご奉仕喫茶とその内容。見る限りだと普通にコスプレ喫茶って感じだが。
「何故に1組?」
「織斑一夏くんっているじゃない。彼イケメンじゃない?」
「イケメンは男の敵だからなくなればいい」
「どっからその藁人形出したのよ……ちょっ、生徒会室の壁は止めて!!」
「止めるな会長!! ハーレムでうはうはするラノベの鈍感主人公なんかクソ喰らえだ!!」
「貴方の心配より生徒会の壁の方が心配になるのよ!! 修繕費が何故か毎回私のポケットマネーなのよ!? 泣きたくもなるわ!!」
「完全に会計さんの仕業ですね本当にありがとうございました」
「虚ちゃぁん!?」
「残念、布仏さんは現在席を外している。俺はこのまま呪いを実行――――」
――――あれ。俺はいつの間に寝てたんだ。
「いつつつつ……何か頭痛いし……」
「おはようペロちゃん。職務中に昼寝とはいい度胸じゃない」
ソファに寝てたらしくて体を起こすと対面のソファには優雅にお茶を飲む会長が。
「…………………………………………」
「…………なによ」
「いや、その頭頂部の漫画みたいなたんこぶは何かなぁって」
「別に? ペロちゃんを羽交い絞めにしたままスープレックスしたら自滅したって訳じゃないわよ?」
そうなのか……これは事件だな。
「おや、この如何にも誰かが頭から突っ込んで凹んだような床は、」
「ペロちゃんの生活保護切ろうかしら」
「この事件は迷宮入りだな」
時にはこんなこともあるよね。ドラマとかじゃないんだし。
「ふぅぅ……で、何だっけ。仕事か」
「今日のノルマは最低限終わらせるのよ」
「ほいほい」
「あぁ、そうそう」
「ほいほいなんじゃらほい」
「明日から準備開始よ」
「ほいほ――――ん?」
「学園祭まであと3週間。ステージの概要と、発注品のリストと、材料の在庫と、全部ここにあるから頑張ってね、ペロちゃん」
すごい、ここブラック企業だ。泊まり込みさせる気ですねわかります。
あ、俺部屋ないから最初からここに泊まり込みだったわ。
てかこれ1人でやるの?
「うん、1人で。虚ちゃんは予算のやりくりで忙しいし、本音ちゃんは……うん……」
使えないのね。
「ま、そういうことだから」
「会長も手伝って下さいよーぶーぶー」
「私は私で、色々と忙しいのよ。何せ、生徒会長だから」
パッと扇子が開かれると多事多端の文字。ペロちゃん四字熟語とかわかんない。取り敢えず忙しいってことでしょ。
「あと明日生徒集会でも開いてペロちゃんの挨拶もした方が良さ気よね」
「俺を忙殺する気かおまいは。いきなり壇上で挨拶しろと?」
「3分くらい使っていいからスピーチ考えといてねー」
「30秒に縮めてくれない?」
「……ふと思ったんだけど、ペロちゃんって30秒
「ごめん、30秒すら自信ない」
「……じゃあ嘘でもいいから脚色して、せめて30秒。できれば1分ね。流石に副会長が頼りないと私にしわ寄せくるんだから」
不正をナチュラルに口にする上司です。
まぁ俺が不甲斐無いだけなんだけどネ。
「任せとけ、心にない事を言うのなら慣れてる」
「それは自慢する事じゃないわ」
「世渡り術が上手と言ってくれ」
人の顔色窺う事ことなら任せろーバリバリー。
あ、スピーチ考えないと。
まだまだつづきます。つづきはいつか