ISの世界に来た名無しがペロちゃんと命名されてから頑張る話   作:いつのせキノン

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第1章 Gを最強に仕立て上げるのがメインになってしまった
わーむほーる


 ありとあらゆる電子機器やその部品が散乱する部屋。完成半ばで床に放り投げられたソレは、玩具に飽きた子供が投げ捨てた、そんな風にも捉えられる。

 

 部屋には一人の女性がいた。誰もが羨むであろうプロポーション、胸や臀部の肉付きはそれこそ男なら目が釘付けになるだろう。頭には機械のウサギを模した耳。アメジストのロングヘアーがサラサラと流れた。

 

「むふふ、むふふふふふ。これでイケル、ワームホール開口……!!」

 

 楽しそうに嬉々として呟くその言葉は、多くの科学者が未だに理論の中で闘い続ける説の一つ。

 篠ノ之束は()()()()()()でワームホールの実験を行っていた。何たる無気力、そして行動力。しかし、天災(誤字にあらず)の篠ノ之束だからこそ出来る芸当。理論があるならば実行すれば良いのだから。

 

「これを積めれば、瞬間移動も夢じゃないよねぇ。そうすればいつでもちーちゃんのとこ行けるしぃ。にひひひひひ」

 

 動機は不純。よくあることである。

 

「さてさてさてさてぇ。それでは第一回ワームホールの開口やってみよー。おーっ!!」

 

 一人ではしゃぐ彼女ではあるがツッコミ役が不足している、というかいない為誰も止めることはできない。

 プログラムを組み上げ、後は機械にそれを実行させる。早速彼女はプログラムをコンパイルし、機械に命令を走らせた。

 

「むむむ、見える、見えるよぉ~」

 

 彼女が見る先には透明の厚い材質に囲まれた円筒。その中の空間。特に何かが変わった訳ではない。機械の数値はプログラム実行前と何も変わらないのだが、彼女は科学者的感性から何かが変わったと確信していた。

 

「さぁさぁいらっしゃいいらっしゃいよぉ~っと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぐらりと視界が揺れた。いや、視界だけじゃない。身体全体が強い重力のようなものに引かれた。

 一瞬にして真っ暗になる視界。しかし意識はちゃんとある。真上に落ちているような、真下に上昇しているような、訳のわからない平衡感覚が襲って来る。

 ――――何だ何だ何だ!? 何が起こってやがる!?

 一秒か。一分か。一時間か。時間すらも脳が認識できない。何もない空間。何もできない空間。何もいられない空間。無音なのか雑音なのかもわからない耳鳴り。

 

「なん――――!?」

 

 見えた。何が、光だ。白い、出口。ここはブラックホールか何かなのかと混乱した頭で思い、あの白い光はホワイトホールなのかと考える。ともかく、向こうへ。光の向こうへ。そこに行けば、何かが――――、

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!?????」

「にょわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!?????」

 

 また身体全体を包む浮遊感。白い光に引っ張られ、投げ出された。

 光に突っ込んだ瞬間、勢いよく柔らかいものに突っ込んでゴロゴロと転がる。

 

「……いって……、」

「ふにゃっ!?」

 

 む、なんだこの柔らかいの。ふにふにしてる。そう言えばこのお陰で大怪我しなくてすんだのか。いやはや、クッションさまさま。

 

「やっ、ちょっと、なに……!?」

「へ?」

 

 まだぐらぐらする頭を何とか上げて辺りを見回す。何と言うか、一言で表すならば制御室みたいな場所だった。

 そして俺は、誰かの上にいた。そう、誰か。グラマラスな体付きと、整った顔立ち。兎耳は、なんなんだろう。取り敢えず、スゴい、綺麗というか、可愛いというか。そう、それはまさしく不思議の国のアリスみたいな……。

 しかし何故俺はそんな女性の上に馬乗りになって、胸を鷲掴みにしているんでせう……?

 

「へ、変態ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッッッ!!!!!!」

「ぶべらッ!?」

 

 スパァァァァァァァァンン!!

 テレビでも聞いたことがないような平手打ちの音が、自分の頬から聞こえた。てか、滅茶苦茶イテェ!?

 

「ぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉぉおぉぉぉぉ…………!?」

「変態変態変態変態変態変態!! この、スケベ!! よりにもよって束さんの豊満な胸を揉みしだくなんて……!!」

「ま、待て、待ってください!! 誤解だ!! 俺はやりたくてやったんじゃないんだ!! 事故、そうっ、不可抗力だったんだ!!」

 

 すげぇ気持ちよかったというか堪能したけど!! しましたけど何か!?

 

「不可抗力でも人の胸を揉む!? とんだ変態の境地だねッ、このエロ魔!!」

 

 何かスゴい物騒な物取り出してこっちに向けてきたよこの人!? え、なにそれ銃!?

 

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!? なんですかそれ、こっちに向けないd危なッ!? 何撃ってんです!?」

「五月蝿ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!! ●ね!! 氏ねじゃなくて●ね!! 束さんの胸を揉んだ記憶も、全部消し飛べぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? お助けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

 待って、それ記憶じゃなくて身体ごと吹き飛んじゃうからぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 おかしいよね、俺がさっきまでいたとこクレーターできてるんですけどぉー!?

 

「クソッ、何かないのか!?」

 

 こっちに飛んでくる衝撃波のような塊を何とか避けつつ色々な物を物色。向こうも慌ててくれてるお陰で狙いが曖昧だ。

 しかも足元には色々落ちてる。落ちてるけど……!!

 

「ナニコレ全部ガラクタやん!?」

 

 使えねぇ!!

 ええい、この際何でも良いから向こうに投げて……、

 

「これでも……ん?」

「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 適当に積み上げられた物の山に手を突っ込んだ。引き抜いて投げようとして出てきたのは、布。三角形を二枚繋げた、男子には縁もゆかりもない……女性下着。

 

「あ」

「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 ウサ耳の人が全力でこっち来て下着を奪い取って行った。

 

「……下着ドロボー」

「ぅぐぅッ!? いやその辺にテキトーに放り出しといたアンタが悪いんでしょ!?」

 

 よくよく見ればこれ散らかった服の山だし!!

 

「だからって女性服の山に手を突っ込むのはどうなのかなぁ!?」

「こっちはアンタの殺人兵器避けるの手一杯だったんだよ!! てかその物騒なモン下ろしてくれません!?」

「断ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁるッ!! 束さんは今ものスゴくおこなんだよ!! 激怒プンプン丸なんだよ!?」

「余裕だなぁアンタ!?」

 

 ボン!! と銃なのかグレネードランチャーなのかよくわからないのが火を噴く。狙いは大分上の方だったから充分避けられる。姿勢を低くして床を転がり、立ち上が

 

「イってぇ!?」

 

 立ち上がろうとしたら、足元に球状の硬い奴があってそれに乗りげて無様に転んだ。ブフッ!! と盛大に吹き出す音。アイツ笑いやがった!!

 

「ちっくしょぉぉぉぉぉ!! これで……!!」

「あっ」

 

 何でも良い。取り敢えず転んだ原因の玉を掴み取って振りかぶろうとすると、間抜けな声を向こうが上げた。

 

「ん?」

「ちょっ、ソレは拙いヤツだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

 手の中で、その玉が眩い光を放っていた。ナニコレ、

 

「ドラゴン●ールだと!?」

「違ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁうッ!!」

 

 刹那、鋭いツッコミを耳に最後に視界がホワイトアウト。強烈な光が溢れ出した……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………あれ?」

 

 光が、止んだ。

 

「ぬ、玉が無い?」

 

 気付いたらさっきまで光を放っていたドラゴン●ールもない。おかしい、まだ7個集まってないのになんで光りだしたんだ?

 

「ねぇちょっとぉ!!」

「はい?」

 

 と、さっきの女の人が詰め寄って来る。何故かあの銃はひしゃげて使い物にならなくって床に落ちていた。あるぇー?

 

「君、何したの!?」

「えー、そりゃこっちが聞きたい」

 

 今だって何が何だか。空飛んで逃げ出したい気分……あれ?

 

「えっ」

「えっ」

「「浮いてる!?」」

 

 ふわふわと体を包む浮遊感。あの真っ暗な空間とは違う。自分で自由に空を飛べる感覚。どこまで、高く高く……。

 

「はは、ははははは、俺、飛んでやが――――あだっ!?」

 

 ゴン、と勢いよく天井にぶつかって墜落。ゴシャッと人体からしてはいけないような音がした。

 

「…………えーっと、」

「……スンマセン、俺どうすれば良いのでせう?」

「……取り敢えず、話だけ聞こう、かな……」

「はい。あ、あと体が今まで以上に軽いんですけど、コレさっきのドラゴン●ール関係だったり?」

「あー、ワンチャン可能性あるかもね。気付いたら君の持ってたコアが物理的に消えてるし」

「宙に浮かべたのも、同じく?」

「それなんだけど、君の体内にコアの反応があるんだよねぇ」

「えー、ナニソレ信じられない」

「束さんも信じ難いよ。なんであんな大きさの玉が君の中に入るのさ」

「俺が知りたい」

「……………………………、」

「……………………………、」

「「…………はぁぁ」」

 

 全く、どうなっていやがりますか……。

 

 

 

 

 

 


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