灰色ドラム缶部隊   作:黒呂

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久し振りに書いたなぁ、ボアン大尉(笑) 一応、一階級昇進して少佐という事になっておりまする。他にもこれはどういう事なの?という質問がございましたら遠慮せずに言って下さいませ~。


宇宙要塞ア・バオア・クー 中編

『ひ、被害状況!! 被害状況を知らせろ!!』

『状況……! 状況不明!!』

『艦の体勢を立て直せ! 早く!!』

『駄目です! 艦の制御が利きません!!』

 

オッゴ大隊の奇襲攻撃を背後からまともに受けた直後の連邦主力艦隊は混乱の極みに達していた。600機にも及ぶ膨大な数の敵が理由も分からぬまま突然背後に現れた上に、敵の姿を確認する間も無く7千発ものロケット弾を受けてしまったのだから混乱するのも無理無い。

 

奇襲攻撃を受ける前の艦隊の数はサラミス級巡洋艦47隻とマゼラン級戦艦2隻と主力艦隊の名に恥じぬものであった。が、奇襲を受けた事によりサラミス級26隻、マゼラン級1隻が撃沈、もしくは大破し行動不能に陥ってしまっていた。運良く生き残った残りの艦船も戦闘続行は可能ではあるが、殆どが中破や小破と少なからずのダメージを受けてしまっている。

 

主力艦隊の半数以上を一瞬にして落とされた事で、Nフィールドを攻め込んでいた連邦軍の旗色が悪くなったのは言うまでもない。これ以上戦いを続ければ全滅を免れられないのは、誰の目から見ても明らかだ。つまりは、この場から一旦退却するしか術は無いという意味だ。

だが、退くにしても進むにしても、先ずは艦隊の隊列を立て直さなければならない。隊列が乱れたままで退却すれば、艦船同士がぶつかって航行に支障が出る恐れがあるからだ。

Nフィールド進攻を指示していた指揮官もそれを重々承知しており、各艦に隊列の修正を命じたが、そんな余裕など与えないと言わんばかりにオッゴ大隊が躍り掛かっていく。

 

奇襲攻撃を仕掛けたオッゴ大隊のオッゴは対艦攻撃の後に続くであろう対MS及び対MP戦闘を視野に入れ、左右のシリンダー上部に備えられた専用アタッチメントには、右側にザクマシンガンを、左側にザクバズーカと、今までにない重装備が施されている。

しかし、実際にはそちらの戦闘は然程発生しなかった。何故なら大半のMSがア・バオア・クー要塞に向けて出撃している上に、Nフィールドから攻め込んできた主力艦隊を守る直掩部隊だって今のロケット弾による攻撃で7割以上が墜とされてしまったのだ。

 

……となれば、オッゴに施された重武装は、当然ながら混乱から立ち直れていない連邦艦隊に向けられるのであった。

 

奇襲攻撃によって混乱しただけでなく足並みが乱れた上に、接近する敵への対応も遅れた連邦艦隊などオッゴ大隊からすればカモ同然であった。

 

たった一隻のサラミス級巡洋艦を十機以上のオッゴが取り囲み、マシンガンとバズーカの集中砲火を浴びせて撃沈する集団戦法を取る者もあれば、サラミスの脆い部分を最低限の攻撃で狙い撃ちして沈める少数精鋭部隊宛らの戦法を取る者さえも居た。

また奇襲攻撃で7割以上が撃墜されたジムやボールなどの直掩部隊も風前の灯にも等しい艦隊を守るべく身を張った防衛戦を展開するものの、膨大な数のオッゴに飲み込まれて手も足も出せずに撃墜されるのが殆どであった。

 

そんな光景がNフィールド防衛ラインの至る場所で発生し、連邦主力艦隊は瞬く間にその数を減らしていく。皮肉にも連邦軍が得意とする物量戦術の有効性を、彼等自身の身で証明してしまった瞬間だった。

 

混乱から立ち直り、果敢にもオッゴ達に向けて対空砲火による反撃を試みるサラミスも見られたが、小回りが利く上に大推力による機動力が持ち味のオッゴに翻弄されるのがオチだった。中には対空砲火を避け切れず撃墜に遭うオッゴも居たが、それによって失ったオッゴの損害など全体から見れば微々たるものだ。

そもそもMSやMPの支援も無きに等しく、20隻弱にまで減らされた艦隊の対空砲だけでボールよりも高いスペックを有するオッゴ数百機を相手にする……この時点でどちらが有利なのかは明白だ。

 

複数の機動兵器が敵艦船を取り囲み撃墜していく。その様子はまるで連邦軍が惨敗を喫したルウム戦役の再現のようだ。いや、正にそれと同じだと言っても過言ではない。

しかし、どれだけ目まぐるしい活躍を見せようとも所詮オッゴはオッゴに過ぎない。MSのように独自で弾倉が変更出来ず、戦闘時間は極めて短いのだ。故に特別支援部隊を初めとする回収部隊が彼等の回収へ向かわなければならない。

この時に敵の熾烈な反撃があるやもしれぬと危険を予想していたのだが、幸いにもロケット弾で敵の数を多く減らせたので、反撃の危険性は予想よりも低いと断言出来る。

しかし、だからと言って気を抜く訳にはいかない。数が少なくなったとは言え、敵はまだ確実に戦場に残っているのだから。

 

奇襲攻撃が成功してから5分後、特別支援部隊を含めた回収部隊が大隊を回収するべく行動を開始した。回収の方法は至って簡単、Nフィールド防衛ラインを横断しオッゴ達を収容するだけだ。無論、回収部隊にも敵は攻めて来るだろうから、そういった敵を捌きつつ回収も同時に行わなければならない。

 

ムサイ2隻を先頭にし、そのすぐ後ろをメーインヘイムが追尾し、最後尾はパゾク3隻が並んで航行するという順番で、オッゴ大隊と主力艦隊による苛烈な戦闘が勃発している防衛ラインに進んでいく。

その途中で敵艦を射程に収めるや、先頭を行くムサイ2隻がメガ粒子砲による砲撃を開始する。幸いにも敵艦の注意は周囲を飛び交うオッゴ達へ向けられており、回収部隊の接近に気付いた頃にはサラミス級巡洋艦の1隻が右側面部に砲撃を受けて沈んでいた。

 

そして防衛ラインに進入してきた回収部隊に対して反転して反撃を仕掛けるサラミスも居れば、回避運動を取りながら撤退の動きへ繋げるサラミスなど各々の判断で窮地を脱しようと試みる。

艦隊の行動が二つに分かれた所から察するに、主力艦隊の指揮系統は奇襲攻撃によって一時的に麻痺しているという事が一目瞭然であった。もし指揮系統が保たれたままならば敵が足並みを揃えて手痛いカウンターを仕掛ける恐れもあったが、それが機能していないとなれば心配は無用。またオッゴ大隊を支援・回収を行うダズ達の部隊にとっても、対処がし易いという意味では幸運であった。

 

「敵は足並みを乱している! 今が攻め時だ!!」

「逃げる艦は放っておけ! こちらに攻撃を仕掛けて来るヤツだけを冷静に対処すれば、被害は最小限に抑えられる筈だ!!」

「敵のMS部隊が来るぞ! こっちのMS部隊とMP部隊は全機発進させろ!!」

 

あくまでも彼等の主な任務は友軍の回収なのだが、敵を倒して戦果を上げるのもまた兵士としての務めだ。敵がそれに対し反撃して来たとなれば尚更だ。だが、大量のオッゴによる奇襲攻撃で形勢逆転している今となっては連邦の反撃も大した意味は持ってなかった。寧ろ、回収部隊が加わった事でNフィールドの連邦主力艦隊の機運は尽きたも同然だ。

 

回収部隊がオッゴ大隊の増援として攻撃に加わった結果、僅か一時間足らずでNフィールド方面の連邦主力艦隊は潰滅。Nフィールドからの撤退を果たした艦数は、僅かサラミス級巡洋艦5隻のみであった。

これによりNフィールドでの戦いの流れは、再び連邦軍からジオン軍へ傾いた。連邦軍のMS部隊は主力艦隊の援護を失い孤立無援状態に陥った事で総崩れとなり、対するジオン軍は敵主力艦隊を退けた事で戦意向上を果たすと共にMSと艦船、そしてア・バオア・クー要塞の三重攻撃で一気に攻勢を強めた。

 

Nフィールド方面の連邦主力艦隊が潰滅してから20分後、同じ方面から攻め込んでいた連邦軍のMS部隊も後を追う形で全滅した。友軍からの支援を失った事と、ア・バオア・クー防衛の要である空母ドロスを攻め切れなかったのが全滅の要因であると考えられる。

 

「連邦軍……引き揚げていきます!!」

 

僅かに生き残った連邦のMSやMPがバーニアを吹かしながらア・バオア・クーに背を向けて逃げていく。オペレーターの言葉通りの映像がモニターに映し出され、それを見たダズの口から重々しい空気を吐き出された。

 

「まさか……本当に勝ってしまうとはな……」

「オッゴの底力……我々も侮っていましたね」

 

ザクよりも劣るオッゴだけで、連邦軍の主力艦隊を退ける瞬間を目にする日が来るとは誰も思ってもいなかった。果たして戦いが始まる前は自分達が生き残れるかどうかと不安に思っていたが、予想以上に上回ったオッゴの潜在能力のおかげで無事に生き延びる事が出来た。

回収部隊の艦船はほぼ無傷で済み、MSの損害はリック・ドムが1機と、MPのオッゴが4機のみという奇跡的な最低限の被害で済んだ。

 

そして生き残った530機のオッゴ大隊という本来の回収任務も終わり、回収部隊は意気揚々と凱旋気分でNフィールドの防衛部隊と合流――――と行きたかったが、いざ行こうとする直前で部隊は動きを止めてしまった。

 

「……ダズ中佐、如何します?」

「ううむ……最早、ア・バオア・クー要塞は持ちそうにないな……」

 

ダズが苦い表情を浮かべながら見据える先には、至る場所から爆発が起こり、炎に包まれてしまっている宇宙要塞ア・バオア・クーの姿であった。

 

彼等がNフィールドで大活躍している頃、反対側のSフィールドでは連邦軍の猛攻に耐え切れずSフィールド防衛の要であった空母ドロワが撃沈。残された部隊だけではドロワを失った穴を防ぐ事が出来ず、連邦軍の侵入を許してしまった。

そうして瞬く間に要塞内部の至る場所で白兵戦とMS同士の戦闘が発生し、ア・バオア・クーが短時間で炎に包まれてしまったのは言わずもがなだ。

既に各フィールドに指令を送る基地司令部としての機能は作動しておらず、敵を迎撃する要塞としての機能も働いていない。

 

最早、Sフィールドから傾れ込んできた連邦軍に成す術もなく制圧されてしまったと見るべきだろう。もしかしたら内部では未だに戦闘が続いているかもしれないが、遅かれ早かれ制圧されるのは時間の問題だ。

 

ならば、Nフィールドに残っている自分達はこんな所で何もしないままで良いのだろうかという疑問が当然ながら浮かんでくる。

もし敵と戦えという司令部からの命令があれば命令通りに従って行動するが、要塞司令部からの指令は一時回復したものの再び沈黙してしまった。しかも、回復した際に司令部から全軍に対し驚きの情報が通達された。

 

ギレン閣下は戦死、キシリア閣下が指揮系統を受け継ぐ―――というものだ。

 

ジオン公国のトップを立つ男が急死したという情報はジオン軍に衝撃を与えたのと同時に、指揮する者が変わった事で戦場では少なからずの混乱が生じた。

例えば後方に回していた学徒兵を前線に出すようキシリアが指示したせいで無駄に被害が拡大し、またギレンの急死はキシリアがギレンを殺害したからではないかと疑惑を抱いたギレン派の軍人達が独自の判断で戦線を離脱するなど、最終局面においてもジオン軍はザビ家の派閥争いに振り回されてしまった。

 

しかし、確かにこれは由々しき問題である。ギレンの急死がキシリアの手によるものであれば、彼女は総帥閣下を殺した戦犯だ。その罪は極めて重く、例え彼女がザビ家の人間であっても極刑に処される可能性は十分に高い。

だが、同時にザビ家の人間であるという事実もまた見過ごす事が出来ない。もし彼女を戦犯として断罪してしまえばザビ家の血筋は失われ、ジオンを支配していた権力者の椅子が空いてしまう。そうなれば空いた権力者の座を巡って、血で血を洗う醜い権力闘争が起こるに違いない。

そうなればジオン公国は内部崩壊を引き起して消滅するか、または身内同士で足の引っ張り合いをしている最中に連邦軍に攻められて滅ぼされるかのどちらかしか辿る道はない。

内部のイザコザを封じて且つ、戦前と変わらぬ一致団結の行動を取る為には、キシリア・ザビが権力者の椅子に座ってジオン公国を纏め上げて貰うのが手っ取り早い方法だ。

 

キシリアも決して無能ではなく、それなりの政治能力はある。権力者の座に座る資格はあるがしかし、前任者であるギレン・ザビはずば抜けた政治手腕と指揮能力、そして人々を魅了させるカリスマ性を兼ね備えていた。これ程の人物は過去の歴史においても存在しないと言われており、事実、彼が居たおかげでジオン公国が成り立てたという噂だってある程だ。

 

要するに、国の統治において圧倒的な能力を有していたギレンの死後、彼の後釜を受け継いだキシリアは己の才能でジオン公国を治められるのか。そんな疑問も捨て切れないので、先に述べた方法も確実とは言い難い。現にギレン・ザビに忠誠を誓っていた軍人達はキシリアに反発して、ア・バオア・クーから離脱してしまっているのだから。

 

戦場からの離脱者が出た事や、Sフィールドが崩壊した等の情報は逐一でNフィールドにも入って来ている。司令部とのやり取りが行えた、今さっきまでの話だが。

 

そういった情報も踏まえた結果、ギレン総帥が亡き今、これ以上の戦いは無意味であり撤退するべきだと唱える者と、キシリアをジオン公国の新たな総帥と認めて戦争を続行するべきだと訴える者の二つに分かれてしまった。

元々、Nフィールドにはギレンの親衛隊やキシリア直属の部隊とが入り混じれていただけに、防衛部隊の意見が二分化してしまうのも無理はない

 

『こうしている間にも連邦軍が攻めて来る! こちらの敵を退けたとは言え、Sフィールドの連邦部隊を相手にする程の戦力は残っていないぞ!』

『敵はア・バオア・クー要塞攻略に専念している! 今の内にNフィールドから脱出するべきだ! 何時、背後から連邦軍が攻めて来るかも分からんぞ!』

『貴官はキシリア閣下を見捨てる気か!? 閣下が居なければ、我々は連邦に屈する事となるのだぞ!』

『そうだ! キシリア閣下を見捨てて逃げるなど、敵前逃亡以上の重罪だぞ!!』

『既にキシリア閣下の居られる司令部との連絡だって取れんのだ! 既に脱出されたのかもしれんのだぞ!』

 

逃げる者は逃げ、戦う者は戦う……そんな感じで割り切れれば簡単なのだが、司令部からの命令が無い事や、キシリアの安否が分からないという事実が枷となり彼等の決断力を鈍らせる。また祖国の運命や自分達の生死を天秤に掛けているのも、話し合いが平行線を辿ってしまう原因だと言えよう。

 

因みにダズは当然ながら、前者の撤退論を支持している。今更どう足掻いてもNフィールドの残存戦力だけで連邦軍を打ち負かせられるとは思えないし、守るべきア・バオア・クー要塞が陥落しようとしている今、これ以上この場に留まり続ける必要もない。。

 

「さて、どうしたものか………」

 

このまま何もせず、連邦軍の攻撃を受けるのを待ち続けるのか……そう考えながらダズが嘆きを呟いた瞬間だった。

 

「艦長! ア・バオア・クー要塞司令部から通信が入りました!!」

 

今まで音信が途絶えてしまっていた司令部から三度通信が入り、艦橋に居た誰もが声を張り上げたオペレーターの方へ視線を向けた。司令部からの通信となれば、他の防衛部隊にも伝わっている筈だ。幸か不幸かは定かではないが、この通信で自分達の運命が決まるかもしれない。

 

そう考えるとダズは気付かぬ内に固唾を飲み込み、しっかりとした口調でオペレーターに通信を読み上げるよう指示を出した。

 

「……読むんだ!」

「はい!“我、既に指揮能力なし。作戦参加の全艦艇は速やかに戦闘を中止し、各個の判断にて行動せよ”……以上です!」

「これは……!」

「ああ、事実上の停戦命令……だな」

 

火を噴くア・バオア・クー要塞を見てから何れ陥落するだろうと予想していたが、まさかこうも呆気なく短時間で陥落するとは正直思ってもいなかった。

何にせよ、司令部の最後の通信で停戦命令が下されのは幸いであった。これで最後まで戦え、死んでも戦え……なんて無謀な命令が下されれば、折角生き残ったのに何もかもが水の泡になってしまう所だ。

 

「ダズ中佐、連邦軍に投降しますか? それとも……この場から撤退しますか?」

「そうだな、これ以上の戦いは無意味だ。各々の判断に任せると司令部は言っているし、このまま連邦に投降するも良し、今の内にこっそり逃げ出すも良しだろう。最も、逃げ出そうとすれば敵は追撃を仕掛けて来るだろうな―――」

『敵に投降するですって!? 馬鹿な事を言わないで!!』

 

投降か逃走か、この二つのどちらを選択するべきかという問題を提起した直後、通信用モニターにカナン少将の顔がアップで映し出された。そこには冷静な彼女の姿は無く、興奮と怒気に満ちた鬼のような形相が浮かび上がっている。

常に冷徹な笑みが似合う美人だけに、こうも真逆の感情を剥き出しにした表情を見せ付けられるとダズも思わず笑いそうになるが、そこはどうにか耐えて逆に問い返した。

 

「か、カナン少将……。捕虜が嫌と言うのであれば、逃げるのに賛成ですか?」

『逃げるんじゃない! 本国に撤退するのよ!! まだ私達にはグラナダと本国の戦力が残っている! これを結集させれば今度こそ連邦を―――!』

 

燃え上がるア・バオア・クーを目の当たりにしながら、よく戦意喪失せず、寧ろ逆転出来ると本気で信じ込めるものだと感心を通り越して呆れに近い感情を抱きそうになった……その時だ。

 

突然Wフィールド方面からビームが飛来し、停戦命令を受けて隙だらけだった防衛部隊のムサイ艦一隻に命中。Nフィールドの部隊がビームに気付いた頃にはムサイ艦は爆発に包まれており、この世から消滅してしまっていた。

慌ててWフィールド方面に目を遣ると、10隻程のサラミス巡洋艦が横一列に並んでこちらへ向かって来るではないか。しかも、艦砲射撃を行いながらだ。ジムやボールの部隊も巡洋艦の間々で並行しており、その数は100機程にも上る。

 

「いかん! 向こうは我々に停戦命令が出た事を知らないのかもしれない! 全通信回線を開いて向こうにも―――!」

『そんな必要無いわよ!! 敵は私達を殲滅する気に違いないわ!! 迎撃しなさい!!』

「撃つな! カナン少将!!」

 

もしダズの言うように停戦命令を……戦う意思が無い事を相手に伝えられば、南極条約に則って自分達の安全は保障されたかもしれない。但し、戦争という事もあって向こうも南極条約に絶対従ってくれるという確証は無いが。それでも無用な争いを避ける為にも試みる価値はある。いや、ある筈だった。

停戦命令を受けたにも拘らずカナン少将の乗るチベ級重巡洋艦がサラミス艦隊に向けて反撃してしまい、これにより無用な争いは避けられなくなってしまった。そして彼女の反撃が引き金となって、他の艦船も呼応する形でサラミスに向けて攻撃を開始する。

このままでは自分達に戦意があると見做されて、徹底的に殲滅されてしまう。それを恐れたダズは全ての通信回線を開かせ双方に訴えた。攻撃は止めろ、停戦だと―――。

 

「友軍、そして連邦軍も聞いてくれ!! 既にこちらは停戦命令を受けたんだ! これ以上の戦闘は無意味だ!! 即戦闘を中断せよ!!」

『停戦命令だと!? では、何故攻撃を仕掛けて来るのだ!?』

『何を呑気な事を言っているの!? 敵は攻撃して来るのよ!! それに降伏する気もない! このままア・バオア・クーから離脱して本国へ向かうわよ!!』

『停戦命令が出たのならば、艦を止めて砲を上に上げよ! おい! 聞いているのか!?』

 

しかし、ダズの訴えは余計に場の混乱に拍車を掛けるだけであった。

ダズの話しに耳を傾けてくれた連邦軍の指揮官と思しき人物がオープンチャンネルで停船を求めたものの、降伏に最初から否定的であったカナンを初めとするジオン軍人の殆どは連邦の投降に素直に応じる筈もなくア・バオア・クーから撤退し始めた。

また殆どの艦船が停船するどころか撤退しつつ攻撃してくるのを見て、連邦軍もジオン軍が停船命令を受けたのは嘘だと判断したらしく、戦場から撤退する彼等の背後へ回り追撃戦を開始する。

 

「くそ! 余計、面倒になってしまった!!」

「ダズ中佐! 我々も撤退しましょう! 誤解を受けてしまった以上、このままでは我々も危険です!」

「……仕方がない。各艦、180度回頭!! サイド3本国まで撤退する!!」

 

幸いにも特別支援部隊を含めた回収部隊はNフィールドの最前線でもある防衛ラインで待機していた事もあり、要塞寄りだった防衛部隊よりも安全且つ迅速に撤退へ行動を移す事が出来た。

 

このまま行けば回収部隊を初め、メーインヘイムが真っ先にサイド3などの安全圏にまで撤退出来るだろうと思われていた。しかし、いざNフィールドから撤退するべくメーインヘイムの舵を動かそうとした矢先だ。

 

「ダズ艦長! ドロスから救援要請! エンジンの出力が上がらず、敵の追撃に追い付かれてしまうとの事です!」

「何だと!?」

 

撤退を開始する直前でドロスから救援要請が入ったのと同時に、後方に居るドロスを映し出した映像がモニターに出された。戦線を離脱するべく他の艦が出力を上げて加速をする一方で、空母ドロスは中々スピードが上がらず亀のように航行していた。

只でさえ空母ドロスは足が遅い上にデカイ図体を持っているのだ。追撃の標的として狙われてもおかしくはない。

また先程の主力艦隊の猛攻にも耐え抜いた堅牢さを有しているとは言え、決して無傷と言う訳ではない。もし連邦軍の追撃に追い付かれたりでもすれば、今度こそ撃破は免れないかもしれない。

 

恐らく、この救援要請は他の艦船にも伝わっている筈だ。しかし、我が身の安全が最優先なのか、誰も危機に見舞われたドロスを気にするどころか、置いてけぼりにする形で次々とドロスの真横を通り過ぎていく。真っ先に連邦軍へ反撃したカナン少将の乗るチベもそうだ。

 

友軍の危機だと言うのに、誰も支援もしないとはどういう事か―――! そう叫びたいのも山々だったが、彼自身も撤退すべきか否かで一瞬迷った。自分の決断一つで部隊の人命が生かされるか殺されるかが決定するのだ。迷うのも無理はなかった。

 

しかし、その迷いもすぐに吹っ切れた。ドロスの救援に唯一応じて残ってくれた1隻のムサイ巡洋艦と、カリアナ中尉の駆るビグ・ラングの姿がそこにあったからだ。

そのムサイ艦からはリック・ドムが2機発進し、ドロスの後尾を守備するカリアナ中尉のビグ・ラングと共に並び立つ。ムサイ艦だけではない、撤退中のドロスからも出撃可能なMSとMP、更にはMAビグロまでもが発進し、ビグ・ラングを中心にして追撃して来る連邦部隊を迎え撃とうとする。

 

明らかに不利な状況ではあるが、彼等の背中からは仲間を守ろうとする意思が垣間見える。それを見てしまったからには、ダズも自分だけ助かろうと思う気になどなれなかった。

 

「特別支援部隊に通達! 本隊はこれよりドロスの救援に向かう! 一緒に同行していた回収部隊には救援に向かうか否かの判断は各々に任せると伝えておけ!」

「了解しました!!」

 

ダズの決断に誰も異を唱えはしなかった。それはきっと彼の判断は正しいと、誰もが信じていたからに違いない。

 

無言の信頼を肌身で感じ取ったのか、ダズは誰にも聞かれるでもなく小さい声で呟いた。

 

すまない、有難う―――と。

 

そしてメーインヘイムとハミルトン少佐指揮するムサイ艦ミューゼは再度艦体を180度回頭し、ドロスの救援へ直行する。その際、一緒に同行していた回収部隊の方をチラリと見たが……自分達と同行してくれる艦は一隻も居なかった。

 

「やはり、来てくれませんか……」

「無理もない。特にオッゴ大隊は学徒兵で構成されているも同然なんだ。若い命を無暗に失わせる訳にはいかんさ」

「そうですね……ん? ダズ中佐! あれを!」

「む?」

 

ウッドリーの言葉に反応してダズが彼の指さすモニターの方に目を遣ると、回収部隊に参加していた1隻のムサイ艦が反転し、自分達の後を付いて来るではないか。どうやら彼等もまた自分達同様に仲間の危機を見捨ててはおけなかったようだ。

 

「ダズ艦長……!」

「うむ、後方のムサイに『同行に感謝する』と電報を打ってくれ」

「了解!」

 

救援に駆け付ける仲間が少しでも増えてくれた事にダズは心の底から感謝した。

そして後続のムサイと共に救援を求めていた空母ドロスに合流した直後、ドロスを中心とした防衛及び撤退戦が繰り広げられた。

ドロスや艦艇から発進したMSとMPの数は100機以上にもなり、対する連邦艦隊からも100機近いMSが出撃する。ぶつかり合い、撤退戦としては今までにないぐらいに苛烈を極めていた。正に力と力のぶつかり合いだ。

 

また10隻に上るサラミス艦隊も容赦なく艦砲を発射してドロスと、ドロスから発進したMSを纏めて排除しようと試みる。が、その艦砲はカリアナ中尉の駆るビグ・ラングのアンチビームミサイルによって防がれてしまい、相手に対し決定打を与えられなかった。

しかし、それでも全ての艦砲を防げるという訳でもなく、精々防げているのは全体の7割~8割程度だろうか。アンチビームミサイルの影響が極めて少ない所を直進した残りの2割~3割の艦砲は命中する事無く明後日の方向へ飛んでいくか、運悪く射線上に入ってしまったMSやMPを撃墜し、ジワジワとジオン軍の戦力を削っていく。

 

これに負けじとドロスの救援に駆け付けたムサイ級巡洋艦3隻とビグ・ラングがメガ粒子砲を撃ち返し、砲撃戦を展開する。

艦船の数では連邦に負けてはいるが、砲の威力ならば負けてはいない。特にビグ・ラングのメガ粒子砲はビグロ本体とAdユニットの動力のおかげでビグ・ザムの大型メガ粒子砲と同等の射程と破壊力を有するほどだ。

 

またMSやMPみたいに動きが速く小回りが利く機動兵器の相手は不得意であるが、艦艇などの巨大物体が相手なら照準を付け易いという利点もある。

つまり艦艇攻撃はビグ・ラングの十八番であり、ビグ・ラングの本領は今正に発揮されていると言えよう。事実、メガ粒子砲以外にもビグ・ラングのスカートアーマー後部には三連装対艦ミサイルが2基搭載されており、艦隊戦に重きを置いた装備であるのは明白だ。

恐らくカリアナもビグ・ラングの特性を把握しており、故にMSやMPの相手はドロスや特別支援部隊に任せ、自分はサラミス艦隊に狙いを絞ったのだろう。

 

そしてビグ・ラングが艦隊に向けて極太のメガ粒子砲を発射した後、そのまま横に薙ぎ払い、一遍に3隻のサラミスを轟沈させる。この圧倒的な威力を目の当たりにしたジオン軍は勇気付けられ、連邦軍は恐怖したに違いない。

 

だが、裏を返せば圧倒的な攻撃力を有するビグ・ラングを沈めてしまえば、両軍の心境も逆転するという意味に変わる。それを理解したからか、大半の連邦MSはビグ・ラングに狙いを定めて攻撃を仕掛けて来る。

 

『させるものかよ!』

 

しかし、理解しているのは連邦だけではない。ジオンも同じ思考に辿り着く者は数多く居り、故に兵士達の心の支えでもあるビグ・ラングを死守しようとする。

その中でも特に力戦奮闘するのはネッド中尉の駆るゲルググだ。数多くの激戦区を潜り抜けただけの事もあり、彼の技量はエースと呼んでも差し支えの無い程だ。更にゲルググの持つ高い性能も付け加え、連邦軍のMS部隊を圧倒するには十分であった。

 

ビグ・ラングの死角に近付こうとするジムを盾ごとビームナギナタで横一閃に切り捨て、死角に回り込んだボールをビームライフルで撃ち抜く。更には足を使ってボールを蹴飛ばしたり、手でジムの頭を潰して最後はナギナタでコックピットを貫くなど、その活躍は鬼気迫るものであった。

 

『おい! あのゲルググ……何処の部隊のヤツだ!?』

『あんなエースが居たなんて知らないぞ!?』

『アイツを中心にして連邦軍を迎え撃つんだ! これを退けたら、俺達は生きて帰れるんだ!!』

 

ネッド中尉の目まぐるしい活躍に誰もが勇気付けられ、また生きて帰るという生の執着もあり、彼等の闘争心に益々磨きが掛かる。そこから一気にジオン軍は攻勢を強め、連邦軍の追撃部隊も徐々に押され始めた。

 

『やっぱりウチの隊長は凄いぜ! あっという間に敵を蹴散らしちまう!!』

『これなら行けるかもな! アキ! エド! やるぞ!!』

『了解!!』

 

特別支援部隊のオッゴ達も連邦MSとの性能差を数で補い、互いの死角をカバーし合いながら確実に一機ずつ撃墜していく。オッゴ同士の連携だけでなく、連邦の新型MS相手に苦戦するザクやドムなどのMSの支援サポートに回るなど、地味ながらも確実な活躍を見せてくれた。

 

戦いは一進一退を繰り返し、敵を倒せば味方が倒され、味方が中破して後退すれば、敵も弾丸を撃ち尽くして撤退する。両者が被害を出し合い、戦いは終わりの見えない平行線を辿っているのではないかと言う不安に駆られそうだ。

だが、どんな物事にも終わりは必ず来るものだ。今はまだその気配を感じられないだけであり、少しずつ終わりに向かって歩んでいる。

 

連邦軍はア・バオア・クー攻略戦には一応の勝利を収めたが、その時点で宇宙軍の総戦力の80%以上を失っている。これ以上、追撃戦や掃討戦で無駄な出血を強いれば、宇宙軍の立て直しが困難になってしまう。

またジオン軍はア・バオア・クーが陥落した事により敗北が決定しており、最早彼等に出来る事と言えば追撃して来る敵の手を払い除けながら安全な場所へ逃げるだけだ。最も、その安全な場所も地球圏には殆ど無いに等しいが。

 

どちらにせよ、両軍共に戦力がほぼ枯渇しており、長時間に渡った戦闘は行えないのだ。連邦軍が先に手を引くか、ジオン軍が追撃から逃げ果せるか、遅かれ早かれこのどちらかの結末で決着が着く筈だ。少なくとも殲滅というシナリオは両軍に残された戦力を察すれば、ほぼ有り得ない話だ。

 

しかし、それでも中々に決着が着かないのは憎悪という関係で敵対しているからだろうか。お互いに多くの損害を出しながらも連邦もジオンも諦めないその姿は、まるで意地を張り合っているかのように見える。

 

既に連邦軍側はサラミス艦が4隻撃墜され、追撃に出たMSとMPを纏めた部隊も6割近くが失われている。対するジオン側もドロスの救援の為に残ってくれたムサイ1隻が撃墜され、撤退戦に駆り出された部隊の5割強を失ってしまった。

 

この戦い、どちらが先に根を上げるのか……メーインヘイムの艦橋から敵味方問わずに散っていく様を見詰めながらダズが嘆く様に呟いた直後だ。

 

頭上から降り注いだ一筋の光……MSの持つビームライフルと思しき光が、メーインヘイムの前方でサラミス艦隊に向けて艦砲射撃を繰り返すムサイ艦のエンジン部を繋ぐ支柱に命中する。

瞬間、支柱が爆ぜ、エンジン部と艦体が引き裂かれる形で離れ離れとなり、ムサイ艦は大きくバランスを崩してしまう。片方のエンジンを失い、そのままムサイが横倒しになるのも然程時間は掛からなかった。

 

更に追い打ちを掛けるように複数のビームが横倒しになったムサイ艦に襲い掛かり、事如くが命中。そしてオペレーターが何か言葉を発するまでの数秒の間にムサイ艦は火球と化し、消滅した。

 

「艦長! 頭上にMSが2機!……いえ、3機!!」

 

オペレーターが敵機の存在を知らせたのと同時にメーインヘイムのモニターに映し出された頭上の映像を見ると、MSのバーニアの光と思しき光源が三つ確認出来た。

恐らく、ムサイを撃墜したのも頭上に居る3機のMSによるものなのは間違いないだろうが、それにしても今のビームライフルの威力は並外れた威力と射程を持ち合わせていた。

 

「今の威力……! 並のMSの攻撃力じゃないぞ!!」

「スナイパータイプのMSか!?」

 

頭上から降り注いだビームの光はビームライフルと同等の大きさではあったが、撃墜されたムサイとビームライフルを撃ったと思しき部隊との距離は数千m以上にも及ぶ。そこから命中させる程の精度を有しているという事は、ウッドリーの言う通り狙撃型として開発されたMSである可能性が高い。

敵に再度狙撃されれば撃墜されてしまう。そうなる前にネッド中尉や他のMS部隊に迎撃を命じようとしたが、それよりも早く頭上の3機が動き出した。

 

「敵機、こちらに向かって来ます!」

「迎撃用意!! 急げ!」

「MS部隊を呼び戻すんだ! MPでも構わん!」

 

メーインヘイムに迫って来る3機は対空砲火を警戒しているのか、真っ直ぐに飛来するのではなくアンバックや補助ブースターを使用し不規則な機動運動を繰り返してこちらへ向かって来る。しかも、その速度も速い。

 

並のパイロットや量産MSでは真似出来ない高機動運動と高速度、この二つの事実を重ね合わせて得られる答えは一つしかない。

 

「いかん! 奴等は……エースだ!」

 

 

 

戦争当初の自分達はジオンのMSに押される一方だった。圧倒的な物量も跳ね退けられてしまい、自分達の故郷を宇宙人如きに良い様に陵辱される日々を只管耐える毎日だった。

それが今ではどうだ。戦争当初の優劣は完全に逆転し、事実上の最終決戦でもあるア・バオア・クー攻略戦も連邦の勝利で幕を引いた。

 

この勝利によって自分達が過去に受けた屈辱を完全に払拭したと言っても過言ではない。同時に地球圏を統一する強き連邦の復活でもあった。

 

そして今、彼等の表情は自信で満ちていた。自分達がジオンを追い詰めているという確固たる現実と、裏付けされた自分達の操縦技量とが相俟って生まれた自信だ。

随分と傲慢な気もしないでもないが、事実、彼等が搭乗しているMSはエースパイロット向けに少数生産されたジムスナイパーカスタムだ。連邦軍の中でもこれを与えられたパイロットは極一握りであり、この事実だけでも彼等の技量や自信も満更ではない事が窺える。

 

彼等の見下ろす先にあるのは2隻のムサイ艦と1隻の輸送艦……いや、今さっきの狙撃用ビームライフルによる一斉射撃で片方のムサイを撃墜したのだから残るムサイは1隻のみだ。

出来る事ならば残りも狙撃用ビームライフルで撃墜したかったのだが、この兵装は予想以上にエネルギーを食ってしまい、ムサイを1隻落とした時点でエネルギー不足となってしまった。

 

そこで仕方なくビームライフルに持ち替え、ライフルの有効射程距離まで接近する羽目になってしまった。だが、高い性能を誇るジムスナイパーカスタムと彼等の操縦技量を以てすれば、そんな事など容易いものであった。

 

「敵は2隻だけ! しかも、その内1隻は輸送艦もどきだ! 恐れる事はない! ジオンのくそったれ共を一匹でも多く潰すぞ!」

『了解しました、ボアン少佐!!』

 

メーインヘイムを頭上から捉えたボアン少佐と2名の部下は搭乗機であるジムスナイパーカスタムの性能を存分に活かし、対空砲火を掻い潜り、瞬く間にメーインヘイムとの距離を詰める。

そして手にしたビームライフルを構え、モニターに映し出された十字マークの照準をメーインヘイムの艦橋に定める。

 

「くたばれ! キチガイなジオン野郎!!」

 

心の底で積りに積もった恨み辛みを倍返しするかのようにボアンが叫ぶのと同時に、彼の指に掛けられていた引き金が引かれる。ライフルの銃口から膨大なエネルギーを含んだビームが発射され、メーインヘイムに襲い掛かっていく。

 

そして放たれたビームは稲妻の如くメーインヘイムに命中し――――爆発した。




次回で最後になると思います。多分(汗)

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