もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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自販機で当たりが出たが、あれってその場で飲む場合は嬉しく無い。
持って行くにも荷物になるし、飲もうと思った時には温くなってるし・・・


訓練開始!ラウラ・鷹月ペア

鈴と篠ノ乃に今の模擬戦での評価と改善すべき行動などを指導していたら空から嫌な気配が近づいてきた。

 

「黙って見てるんじゃ無いんですか、束さん」

 

「だっていっくんが想像以上の結果を出してくれたからね!束さん、興奮したんだよ」

 

「束さんの想像以上でも満足はしてないんでしょ?」

 

「今ので改善点なども大体分かったからね」

 

 

さすが束さん。

今の短い間に改善点を見つけたのは、さすが天才と言われるだけはある。

まあそれ以上に大天災と言われているからそっちで知っている人の方が多いのだが。

 

「でも、やっぱり使った感想も聞きたいしね~」

 

「そうですね、雷の軌道を変えられないのと使用者への反動が思った以上にキツイですね。俺でも10秒使えれば良いほうかと」

 

「いっくんでもキツイか~それだと束さんには使えないな~・・・」

 

「使うんですか?」

 

「ううん、今のところはいっくんのためだけ」

 

「何れは使う可能性があるんですね」

 

「う~ん如何だろうな~」

 

 

はぐらかされてる気がするんだが、今追及しても何も話してはくれないだろうな。

そもそも黒雷はまだ試作段階の武器だ。

今のままでは束さんはおろか俺だってまともに使えない。

 

「それじゃあ次の模擬戦の間に改良版を作っとくからもう一回データ収集よろしくね~」

 

「そんなに早く作れるものなんですか?」

 

「型はあるからね~!後はデータを打ち直して雷の軌道を変えられるように弄くれば完成するんだよ!後は反動をいかに減らすかだね」

 

「そっちは完全に束さんの管轄ですからね。全面的に任せます」

 

「ほいほ~い!いっくんに任されたからには頑張るよ~」

 

 

そう言ってまた空に消えていく束さん。

まあ居るのは分かるから消える必要は無いんだが、あの人も色々あるしな。

 

「チョッと一夏!」

 

「何だ」

 

 

束さんと話し終えると鈴が大声で俺を呼ぶ。

そんなに大声出さなくとも聞こえるっての。

 

「アンタ、今の模擬戦でデータ収集してたの!?」

 

「まあついでにな」

 

「訓練中の片手間でそんなことしても負けるアタシたちって何なのよ・・・」

 

「別に片手間じゃ無いぞ。訓練は真剣にやった」

 

「でもデータ収集もしてたんでしょ?」

 

「それはあくまでも束さんがだ。俺は新武装を試して感想を言ったに過ぎない」

 

 

データは束さんが勝手に取ってただけだ。

黒雷に組み込まれたデータ収集装置から束さんにデータが送られてたのだろう。

 

「一夏、姉さんに協力するのは嫌だったんじゃ無いのか?」

 

「今回は面白そうだったからな。協力する事にした」

 

「面白い?」

 

 

篠ノ乃が不思議そうに首を傾げる。

俺がそんな理由で束さんを手伝うとは思わなかったのだろう。

 

「剣が伸びる、これだけで間合いを気にする心配が減るんだ。それにあの雷での攻撃は決定力不足を解消する事も出来そうだ」

 

「お前には零落白夜があるだろ」

 

「あれは接近しなきゃ当てられないだろ。中遠距離を得意としている相手には当てるのが難しい」

 

「簡単に当てられた事のあるアタシは如何反応すれば良いのよ・・・」

 

「ん?当てたっけか」

 

「クラス代表戦であっさり二発も当てたでしょうが!!」

 

 

そんな事もあった気がする・・・

まだそんなに時間が経ってないのにかなり昔な気がするのは、それ以降も様々な問題に見舞われたからだろうか。

まああの時は鈴も今より動きが鈍かったから出来たんだろうな。

 

「しかも一夏には斬撃を飛ばすって芸当があるじゃないの!」

 

「あれだってそんなに威力がある訳じゃない。精々ピットを壊すくらいの威力しか無い」

 

「それだって十分強いわよ!」

 

「そうなのか?」

 

 

マシンガンで集中砲火すれば壊れるだろ。

俺としてはそんな認識なんだがな・・・

 

「兎も角、お前たちとの訓練は片手間ではなく真剣だった」

 

「アタシたちは連携する暇なく負けたのよね」

 

「少しは連携取れてたが、まだまだ甘い。型通りの連携プレーだったしな」

 

「急造ペアに何期待してるのよ」

 

「何時連携が必要になるのか分からないんだ。急造ペアだからって言い訳にはならないぞ」

 

「グ、それでも訓練受けるくらいなんだから型通りでも仕方ないでしょ!」

 

「それもそうか」

 

 

此処に居るのは候補生とは言え学生なのだ。

軍で連携や実戦を経験してる訳では・・・

 

「ラウラは別か」

 

「何だ兄上?」

 

「いや、何でもない」

 

 

ラウラは軍所属だし少しは期待出来そうだな。

ペアも鷹月さんだしそれなりに動けるだろう。

 

「次はラウラと鷹月さんのペアだ」

 

「分かったぞ兄上!」

 

「お手柔らかにね、織斑君」

 

「手は抜かないが出来る限り加減はするつもりだから安心してくれ」

 

 

黒雷のデータを取るために使わせてもらうが、威力は抑えるつもりだ。

 

「(一夏様の手加減は千冬様以上に当てになりませんよ)」

 

 

あれと一緒にされるのは甚だ遺憾だ。

あれは加減すると言ってもしないだろ。

 

「(一夏様相手に加減してたら千冬様でも怪我しますからね)」

 

 

俺だってそこまで鬼畜じゃ無いぞ。

怪我しない程度には加減するって。

 

「(つまりは証拠を残さないように痛めつけるんですね)」

 

 

何だその喧嘩中も冷静な判断の出来るヤンキーみたいな発想は・・・

 

「兄上?如何かしましたか。いきなり頭を抑えて」

 

「何でもない」

 

 

ラウラが心配そうにこっちを見ている。

ああ、油断すると頭を撫でそうだ。

 

「(一夏様は妹属性だったのですか?)」

 

 

何だそれは?

 

「(姉が居る男子に多い、妹がほしかったってやつです)」

 

 

別に本当には要らないが、ラウラやエイミィって同い年にしては幼い感じがするだろ?

だからついつい甘やかしそうになる。

 

「(一夏様と比べれば同学年の女子は全員幼い感じですよ)」

 

 

否定したいがあながち間違ってないから何も言えん。

須佐乃男と無駄話をしていると、向こうの準備が出来たようだ。

 

「それじゃあ始めるか」

 

「兄上!私は簡単にやられませんよ!!」

 

「ラウラならそうだろうが、これはペア戦だぞ?鷹月さんをフォローしながら普段通りに動けるのか?」

 

「織斑君に比べたら全然駄目だけど、私だって簡単にはやられないんだから!」

 

 

鷹月さんもやる気十分のようだ。

さっきの二人よりは楽しめそうだな。

 

「(楽しんでる場合ですか、一夏様は二人の実力を審査する必要があるんですよ?)」

 

 

分かってるって。

それをしながらでも楽しむくらいは良いだろ?

俺だって好きで教官役などやってる訳では無いんだから。

 

「(それはそうですけど・・・それでもしっかりと仕事はしてくださいね)」

 

 

分かってるって。

須佐乃男に言われなくとも任された仕事は真剣にするつもりだった。

 

「それじゃあ始めてください!」

 

 

ナターシャさんの合図でラウラがワイヤーで攻撃してくる、

ラウラが前衛なのか?

 

「兄上!勝たせていただきます!!」

 

「連携を組まなきゃ意味ないぞ」

 

「そんな事分かってますよ!」

 

 

なるほど、鷹月さんが前衛でラウラが後衛らしい。

ワイヤーは俺をそっちに集中させるためのフェイクか。

 

「さっきの二人よりは、まともな連携を期待できそうだ!」

 

 

ワイヤーを斬り捨て鷹月さんの機体を蹴り飛ばす。

これで一旦距離を作れるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さすが兄上!」

 

「関心してる場合じゃ無いわよ!」

 

 

兄上に蹴られた静寂が苦悶の表情で私にツッコミを入れた。

兄上の事だから急所は外しており動けないほどのダメージも与えてないようだった。

 

「静寂、今の攻撃は悪くなかった」

 

「でも織斑君には効かなかった」

 

「当たり前だ!織斑教官より強くそして優しい兄上にあれくらいで勝てるなんて思ってなかっただろうが!!」

 

「何で怒るのよ」

 

「兄上を甘く見るからだ!」

 

「別に甘くなんてないわよ。織斑君を甘く見る人なんてこの学園に居ないわ」

 

「分かってれば良いんだ」

 

 

兄上を甘く見ていたのはこの学園に来たばかりの私だ。

勝手に憎み、勝手に侮って侮蔑した。

その私を軽くあしらい間違いを正してくれた。

私は家族と言うものはよく分からないが、彼のような人を兄と言うらしい。

その事を教えてくれた副官にその時の兄上との状況を報告したら・・・

 

「不器用な優しさキターーーーーー」

 

 

と大声を上げた。

そしてすぐ・・・

 

「ゴホン、今のは忘れてください」

 

 

と言ってきたのだ。

正直何で副官があそこまで興奮したのかは分からないが、兄上の魅力が伝わった事だけは分かった。

 

「ラウラさん、今度はラウラさんが織斑君に仕掛けて。私がフォローするから」

 

「分かった」

 

 

静寂が兄上に仕掛けると言っても、その攻撃では兄上から隙を作る事は出来ないだろう。

なら私が兄上に隙を作らせてみせる!

 

「行くよ!織斑君、覚悟!!」

 

「気合が入ってキャラ変ってますよ」

 

「何の事?」

 

 

確かに普段の静寂は大人しく真面目な雰囲気を醸し出しているのだが、今の静寂は熱血キャラの雰囲気がする。

近いところで自棄になった鈴の雰囲気に近い。

攻撃では無く雰囲気で兄上を動揺させるのだろうか?

 

「まあ、私には関係無い!」

 

 

腕の部分にプラズマを纏わせ、手刀を切る。

兄上の背後からの攻撃だったのだが、

 

「連携は良いが、攻撃が単調だ」

 

 

静寂を此方に放り投げ私の動きを止める。

このままではお互いにダメージを受けてしまう。

 

「この!」

 

 

停止結界を使い静寂を受け止める。

まったく、兄上の戦い方は野戦向きだな。

 

「AICを使えばラウラは無防備だな」

 

「何!?」

 

 

停止結界に集中していたためか、兄上が背後に居る事に気付けなかった。

目くらましと攻撃の両方で静寂を使い、私に停止結界を使わせる事で自分を意識から外させる。

兄上の考えは学生がその場の判断で咄嗟に出来るものでは無いだろう。

 

「さすが兄上!ですが、私も簡単にはやられない!!」

 

「なら、鷹月さんを狙えば良い」

 

「何!?・・・しまった!?」

 

 

停止結界で受け止めていた静寂は、私の集中が兄上に移ると無残にも地上に落ちていっていた。

そして、それは隙だらけだったのだ。

 

「させない!」

 

「ほう!中々やるな」

 

「伊達にドイツ軍の隊長をやってないからな!」

 

「だが、今度はお前が隙だらけだ」

 

「っ!?」

 

 

兄上は私が静寂を守るように動いていたのを見て動きを変えた。

静寂に向かっていたはずの兄上はあっさり私の懐に飛び込んできた。

実戦を知る者だけが感じる恐怖・・・

それは絶対的な死が待つ恐怖だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何て顔してるんだ、お前は」

 

 

いつの間にかゼロになったシールドエネルギー。

それに気付いたのは兄上の腕の中だった。

 

「兄上?」

 

 

私はこう言ったのだが、恐らく聞き取れはしなかっただろう。

泣きそうなのを堪えて言ったので私の声は震えて篭っている。

あの時感じた恐怖と、兄上に抱きかかえられている安心感で私は泣きそうになってしまったのだ。

 

「至近距離で黒雷を使ったのは悪かったが、そこまで脅えなくても良いだろ」

 

「ですが、あの時の兄上は本当に恐ろしい雰囲気だったんです」

 

 

頑張って我慢したが、思い出したら泣いてしまった。

何時もの兄上とあの一瞬の兄上の雰囲気のギャップは本当に恐ろしいものだったのだ。

 

「泣く事無いだろ。俺だって自分が原因で泣かれたらへこむんだぞ」

 

「ですが!」

 

「ほら、泣き止めって」

 

 

兄上が優しく私の頭を撫でる。

何故だろう、とても安心出来るのだ。

 

「あの~織斑君?私の事忘れてないかな?」

 

「ちゃんと覚えてるって。鷹月さんも怪我はしてないね?」

 

「まあ、織斑君が手加減してくれたおかげでね。それにしても、あのラウラが泣くなんてね~、正直以外よ」

 

「なっ!?」

 

 

人に泣き顔を見られただと!?

兄上だけなら何とか我慢できたが、他の人にまで見られるなんて・・・

 

「忘れろー!」

 

「おい、人の腕の中で暴れるな」

 

「止めるな兄上!これは私の威信に関わる事だ!」

 

「別に止めはしないが、今離すと落ちるぞ」

 

「え?」

 

 

浮くだけななエネルギーを必要としないが、今の私は自力で浮いてる訳では無いので、そっちに意識を持っていかないと離させた瞬間に重力に引っ張られるだろう。

その事を失念していたなんて・・・

 

「兎も角離してください!もう平気ですから!!」

 

「そうか?俺にはまだ駄目そうに見えるんだが」

 

「織斑君、もう少しそのままでね。せめて私の安全が確保出来るまで」

 

「ラウラの機体には、もうエネルギーは残ってないぞ?」

 

「そのまま突進されても嫌だからね」

 

 

そう言って静寂は地上に降りて行った。

ISを解除したら覚えてろ!

 

「さて、俺たちも降りるか。ラウラ、自分で降りるか?」

 

「このままで」

 

 

もう少しくらい兄上を感じていたい。

地上に降りたらそんな事出来ないだろうからな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一夏君って本当に凄いね~」

 

「何ですか急に」

 

 

地上に降り、ラウラを開放したらナターシャさんにいきなりそんな事を言われた。

別に凄い事なんてしてないんだが・・・

 

「自分で撃ち落して自分でキャッチするなんて、どれだけ反射神経が優れてるのよ」

 

「撃ち落すって」

 

 

別に落とす気なんて無かったのだが、結果的にはそう見えるらしい。

まあこれも良いデータが取れた代償なんだろうな。

 

「(一夏様はしっかりとデータ収集をしてたんですね)」

 

 

まあ完成させるためには仕方ないだろ。

こうして戦いの中で使うのが一番効率良くデータが取れるんだから。

 

「(一夏様も腹黒いですよね~)」

 

 

もって何だよもって!

俺はあの二人よりは黒くないぞ!

 

「(正直あんまり変らないですよ)」

 

 

そんな事は無い!

あの二人の黒さは漂白剤でも落ちない黒さだ!

 

「(一夏様、主夫が出てますよ?)」

 

 

兎も角、あの二人と俺を同じに見るな!

 

「(五十歩百歩なんですが、そこまで嫌ならそうします)」

 

 

須佐乃男に同列視されて俺は少し反省した。

自分の目的のために誰かを利用する。

確かにあの二人と同じ気がしなくも無いが、それでも俺はまだマシなはずだ。

世界を巻き込んだ大天災とそれに付き合って家庭を困らせた世界最強、この二人は俺以上に黒いはずなんだ。

 

「一夏君、考え込んでるところ悪いんだけど、アレ止めてくれないかな?」

 

「アレ?」

 

 

ナターシャさんが指差す方を見ると、ラウラが鷹月さんに襲いかかろうとして追いかけている。

でも、あんまり必死感はしない。

鷹月さんも必死で逃げている訳ではなく、何処か楽しそうだ。

 

「平気じゃないですかね?」

 

「でも、このままじゃあの人が来るよ?」

 

「それは面倒ですね」

 

 

離れてるとは言えあの人に物理的距離なんて関係無いからな。

気付いたら傍に居るって事も普通にありえるのだ。

 

「ほらラウラ!少しは落ち着け」

 

「でも兄上!静寂は私の・・・」

 

「落ち着け」

 

 

頭をポンっと叩きながら落ち着かせる。

暫くそうしているとラウラの顔が赤くなっていく。

 

「如何かしたか?」

 

「いえ、何だか本当に兄が出来たみたいだと思って」

 

「何だそれは?」

 

 

年上の兄弟なぞ大変なだけだぞ。

千冬姉然り弾然り刀奈さん然り、俺の周りの年上の兄弟は一癖も二癖もある人ばかりだ。

 

「(虚様は意外と普通ですよね?)」

 

 

あそこは妹に難有りだからな。

上がまともでも下があれじゃ意味が無いだろ。

 

「(兄弟って難しいんですね)」

 

 

束さんも変人だしな。

でも、あそこは妹の方も中々の変人だから救いようが無い。

 

「(一夏様もそこそこの変人ですよ)」

 

 

否定はしないがお前に言われるとムカつくんだが?

 

「(気のせいですって♪)」

 

「兄上?」

 

「何でも無い」

 

 

落ち着きを取り戻したラウラを離し、俺は一呼吸入れた。

姉で苦労してるからか、こう言った対処には慣れてしまっているのだ。

 

「もう平気だな?」

 

「はい!ご迷惑お掛けしました」

 

「別にそこまで畏まる必要は無いだろ。これでも同い年なんだから」

 

「ですが兄には敬語だと副官が言ってました!」

 

 

何だその知識は!

会った事も無い副官に怒りを覚える。

確か前にもそんな事があった気がする。

 

「(ラウラさんが始めて一夏様を兄上と呼んだ時ですよ)」

 

 

須佐乃男に言われなくても覚えている。

ラウラのように無知で無垢な娘に何を教えているんだ、と思った時だ。

何だか最近本当に妹を相手にしている気分だ。

 

「(少し父親も入ってる気がしますが)」

 

 

五月蝿いよ。

須佐乃男の茶化しを流して、俺はラウラに注意する。

 

「別に兄だからって畏まる必要は無いんだ。俺だって普段は千冬姉に対してタメ口だしな」

 

「でも副官が・・・」

 

「何処の世界の妹を参考にしたのかは知らないが、そもそも妹は兄に対して敬語である必要は無いんだ」

 

「そうなのですか?」

 

「少なくとも俺の知り合いの妹は敬語じゃ無い」

 

 

簪も本音も蘭も敬語では無い。

普通に話しているし、蘭に至っては弾の事を尊敬してない。

仲は良いがどうもズレてるんだよな、あの兄妹は。

 

「分かりました、なるべく普通に接するように努力します」

 

「そうしてくれ。クラスメイトなんだからな」

 

「はい!」

 

 

目一杯の笑顔でラウラが頷く。

あれ?これじゃあ友達は無理か?

 

「(無理でしょうね)」

 

 

だよな・・・

友達を作る前に妹分が出来た。

友達作りって難しいな・・・




完全にラウラを妹ポジションに。
実際に妹の居ない自分には分からないですが、妹って兄に対して如何なんでしょうね。

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