もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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朝コンビニでコーヒーを飲み、昼自販機でコーヒーを飲み、夕方マックでコーヒーを飲み、一日で三杯もコーヒーを飲んでしまいました、しかもブラックで。
さすがに飲みすぎた・・・


第一次一夏争奪戦

「お帰りなさい。」

 

 

部屋に戻った俺たちを碧さんが迎えてくれた。

 

「たっだいま~!」

 

「戻ったよ~!」

 

「・・・元気だね。」

 

「簪様はお疲れですか?」

 

「うん、須佐乃男は平気そうだね・・・」

 

「この程度で疲れるかんちゃんがおかしいんだよ~。」

 

「あれだけはしゃげば普通は疲れると思うがな・・・」

 

「一夏君だって疲れてないでしょ?」

 

「まあ体力的には疲れてないですね。」

 

 

その分精神的に疲れましたけどね。

もちろん口には出さない、言ったところで反省などしないだろうからな。

 

「やっぱり簪ちゃんは体力に問題ありだね~。」

 

「昔よりはマシになってるもん!」

 

「まあ、昔よりは・・・」

 

「簪お嬢様は体力より知力ですもんね。」

 

「私は~?」

 

「知力より体力だろ。」

 

「褒められた~!」

 

「褒めては無いんだが・・・」

 

「まあ本音ですから・・・」

 

「ほえ~?」

 

 

馬鹿にされたのに気付けないなんて、ある意味良かったのかも知れない。

 

「ところで・・・」

 

「如何かした?」

 

「もしかして、また自分たちで調理しなきゃいけないんですか?誰も居ませんでしたが。」

 

「今回はちゃんと食材はあるわよ。」

 

「・・・やっぱり自分たちで準備するんですね。」

 

 

もしやとは思ってたが、今回もですか・・・

 

「だいじょ~ぶ!今回はちゃんと料理出来る人が増えたから!!」

 

「・・・どうせ私は出来ませんよ。」

 

「え~と・・・虚ちゃん?」

 

 

練習はしてるんだがな・・・

虚さんの料理の腕はあまり上達していない。

初めの壊滅的な腕からは上達しているのだが、まだ『出来る』レベルまでは行ってないのだ。

 

「私もあまり自信無いです・・・」

 

「あれ?須佐乃男も?」

 

「一夏と比べたら私も・・・」

 

「俺と比べるなよ・・・」

 

 

俺は生きていくために覚えたからな、そうしなければ死んでいた可能性が高かったから自然と上達していったんだ。

趣味や覚えようとして料理をする者のと、生死が掛かっている者が料理をするのでは上達のスピードは違うだろう。

 

「簪は十分料理上手だろ。」

 

「そうだよ~。かんちゃんはおね~ちゃんと比べたら十分上手だよ~。」

 

「バ、余計な事を・・・」

 

「・・・フンだ。」

 

 

へこんでいた虚さんが拗ねてしまった。

こうなったら慰めるのが大変なんだぞ。

 

「ほえ~?おね~ちゃん、如何したの~?」

 

「本音のせいだと思うけど?」

 

「間違いなく本音のせいだな。」

 

「何で~?」

 

 

自覚無いのかよ・・・

 

「あのね、本音が虚ちゃんより簪ちゃんの料理が上手いって言ったでしょ?」

 

「だって~本当の事だもん。」

 

 

・・・また余計な事を。

思ってってもオブラートに包むとかしないのか?

言葉の刃はどんな武器より鋭く、威力が高いんだぞ。

 

「一夏さ~ん!」

 

「はいはい、良い子良い子。」

 

「はふ~。」

 

 

ダメージが一定量を超えて、幼児退行してしまった虚さんの頭を撫で、慰める。

こうなってしまったら、戻るまで長いんだこれ。

 

「あ~あ、虚さんが壊れちゃった。」

 

「簪、あの二人を頼む。」

 

「仕方ないね。こうなった虚さんを戻せるのは一夏だけだもんね。でも、後で私にもしてよ?」

 

「ああ、あの二人を止められたらな。」

 

 

本音が余計な事を言って、それを教えようとした刀奈さんが更に燃料を投下する。

刀奈さんはあまり説得や説明が得意じゃないんだな・・・

まあ相手が本音だからかも知れないが、現在進行形で二人共余計な事を言ってるのを考えると、そうじゃ無いんだろう。

 

「だから虚ちゃんの料理が下手なのは・・・」

 

「だから~それに比べたらかんちゃんは・・・」

 

「うえ~ん!」

 

「よしよし・・・」

 

 

あんまり直接的に物事を言うなよ・・・

はっきりと物事を言えるのは、あの二人の美点なのだが、時と場合を考えてくれないかな。

これ以上虚さんが傷つくと更に大変な思いをするのは俺なんだからさ。

 

「お姉ちゃん、本音。少し黙って!」

 

「何で?」

 

「かんちゃん?何かあったの?」

 

「気付いてないの?」

 

「「何が~?」」

 

「気付いて無いんだ・・・」

 

 

簪、その気持ちは分かるぞ。

あの二人は無意識に問題を拡大するからな、呆れるのは分かる。

だが、簪が諦めたらこの問題を解決するのは難しくなってしまうんだ。

 

「二人のせいで虚さんが大変な事になってるの!」

 

「虚ちゃんが?何で?」

 

「おね~ちゃんが如何かしたの~?」

 

「ほら!あれ見て!!」

 

 

簪が指差した方向には、俺に抱きつき甘えまくる虚さんが居る。

 

「ああ~!虚ちゃんズルイ!!」

 

「おりむ~、私も~!!」

 

「気付いてほしいのはそこじゃ無いんだけど・・・」

 

 

それは俺も同意する。

問題はそこじゃなくて何で虚さんがこうなったかなんだけどな・・・

 

「虚ちゃん!代わって!!」

 

「抜け駆けは駄目だよ~!!」

 

「だって二人がいじめたんだもん!一夏さんに慰めてもらうの!!」

 

「一夏~、私じゃ無理だよ~!助けてよ~!!」

 

 

何てこった。

簪まで幼児退行しかけてる。

 

「一夏さん、私と須佐乃男は夕飯の準備に行ってきますね。」

 

「それでは一夏様、頑張ってください。」

 

 

に、逃げるのかよ!

今まで傍観していた碧さんと須佐乃男はあっさり逃げの一手を打った。

この状況を一人で如何にかしろって言うのか!

 

「ああ~!簪ちゃんまで!!」

 

「ず~る~い~!!」

 

「一夏さん・・・」

 

「一夏~・・・」

 

 

如何やったら収まるんだ、この事態は・・・

 

「一夏君!」

 

「何です?」

 

「私も撫でなさい!!」

 

「おりむ~、私も~!」

 

「この状況を作ったのは二人でしょうが・・・」

 

「いいから早く!」

 

「はふ~。」

 

「一夏ぁ~。」

 

「はぁ・・・」

 

 

こうなったらショック療法で行くか。

・・・この際恥ずかしさには目を瞑ろう。

 

「んん~!?」

 

「「「ああ~!!?」」」

 

 

虚さんにキスをする。

これで元に戻らなかったらただ恥ずかしいだけだ。

 

「一夏さん///」

 

「戻りましたか?」

 

「はい!」

 

「良かった・・・」

 

「良くない!」

 

「そうだよ!!」

 

「おね~ちゃんだけズルイ!!!」

 

 

・・・やっぱりこうなるのね。

 

「頑張った私にもしてよ!」

 

「・・・随分と積極的だな、簪。」

 

 

まあ確かに頑張ってはくれたからな。

 

「分かったよ。確かに頑張ったもんな。」

 

「うん!!」

 

 

期待に目を輝かす簪を抱き寄せ、唇を重ねる。

 

「んん・・・」

 

「・・・プハァ。」

 

 

やっぱり人前でするもんじゃないな。

すっごく恥ずかしい///

 

「ああ~!?簪ちゃんまで!!」

 

「おりむ~!私にも~!!」

 

「二人には権利はないですよ!!」

 

「そうだよ!!二人は一夏にキスしてもらう権利は無いよ!!!」

 

「「何でよ!」」

 

 

頼むから揉めるのだけは止めてくれ・・・

 

「反省してますか?」

 

「一夏!?」

 

 

これ以上揉めるのは勘弁してもらいたいからな。

 

「うん!した!!」

 

「したよ~!!」

 

「なら・・・」

 

 

虚さんと簪よりは短い間だが、二人にもキスをする。

 

「もう揉めるのは止めてくださいよ。」

 

「「は~い!」」

 

「一夏さんはやっぱり優しいですね。」

 

「それが一夏だもん!」

 

 

本人を目の前に評価するのは止めてくれないか。

 

「虚さんも簪も元に戻ったんで、誰か一人食堂に手伝いに行ってください。」

 

「じゃあ私が行くね。」

 

「お願いします。俺は少し外で涼んできます・・・」

 

 

四人とキスをしてのぼせたようだ。

少しフラフラする・・・

 

「一夏、大丈夫?」

 

「ああ、問題ない・・・」

 

「説得力ないですよ・・・」

 

「おりむ~が大変だ~!」

 

 

・・・誰のせいだと思ってるんだよ。

俺は庭に出て少し辺りを歩く事にした。

これで少しはマシになるだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

庭に出てゆっくりと辺りを見渡しながら歩く。

須佐乃男が居たら年寄りくさいと言われるだろうが、これは良いものだ。

海が近いからか、この時期でも意外と涼しい。

のぼせた頭には丁度良いな。

しかし、良く見れば彼方此方に片付け忘れがあるな・・・

いくらレプリカとは言え、これは管理状態悪すぎだろう。

 

「しかし良く出来てるな・・・」

 

 

レプリカだと知らなかったら危ないと思うか、凄いと思うんだろうな。

実際に持ってみて分かったが、確かに重量は本物と大差は無い。

軽く振っただけででは本物と区別はつかないだろうな。

 

「これなら俺にも作れるか?・・・材料が無いな。」

 

 

軽く考えてみたが、ここまで精巧な贋物を作るにはそれ相当の材料が要る。

俺の人脈では、その材料を確保する事は不可能だろうな。

 

「そうすると、質を落として・・・いや、それじゃあ駄目だな。う~ん・・・」

 

 

レプリカとにらめっこをしながら如何作るか考え込む。

 

「おりむ~、ご飯できたよ~!」

 

「ん?もうそんな経ったのか。分かった、すぐ行く。」

 

 

随分と長い時間考え込んでいたようだ。

本音に呼ばれ時計を確認したら、既に15分は経過していた。

あれがあればISを使わない模擬戦の幅が広がるんだがな・・・

 

「一夏~!如何したの~!!」

 

「おりむ~?」

 

「ああ、今行く!」

 

 

考え込むと駄目だな、周りの様子が入ってこない。

俺は苦笑いをして、考えるのを一旦止める。

せっかく作ってもらった料理だ、出来立てを頂くとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご馳走様でした。」

 

「美味しかった~。」

 

「お粗末様です。」

 

「明日の朝は誰が作る?」

 

「多分俺が一番早く起きるでしょうから、俺が作りますよ。」

 

「やった~!おりむ~のご飯楽しみ~!!」

 

「・・・今食べたばっかでしょうが。」

 

 

満腹のはずなのに、既に朝食を楽しみにしている本音を見て虚さんが呆れている。

確かに本音は十分な量を食べているのだから、今から楽しみにしなくてもいい気がする。

 

「だって~、最近おりむ~の料理食べてないんだも~ん!」

 

「そう言えば食べてないわね・・・」

 

「私も・・・」

 

「そうでしたっけ?」

 

 

とぼけているが、虚さんの目が泳いでいる。

良く見ると碧さんの目も泳いでいる。

この二人にはこの間弁当作ったばかりだからな・・・

 

「ああ!虚ちゃんは一夏君にお弁当作ってもらったんだっけ!!」

 

「そうだ!あの日のデートの時に一夏のお弁当食べてるんだ!!」

 

「おね~ちゃんだけズルイ~!」

 

「・・・そうですね。」

 

 

弱々しく同意する碧さんだが、その態度に須佐乃男が疑問に思ったようだ。

 

「碧様?如何かしましたか?」

 

「へ!?何で・・・?」

 

「いえ、何だか様子がおかしい気がするのですが・・・」

 

「き、気のせいよ!うん、気のせい!!」

 

 

メチャメチャ怪しいんですが・・・

 

「何か隠してない?」

 

「何も!」

 

「嘘つくと後で酷いですよ?」

 

「うう・・・」

 

 

簪が脅迫!?

そこまで食べたいのか?

 

「スミマセン!虚さんと同じ日に一夏さんのお弁当を食べました!!」

 

「ええ~!!」

 

「ズルイ!!」

 

「良いな~!」

 

「それは私も知りませんでした!」

 

「まあ虚さんは寝てましたしね。」

 

 

バレたなら隠す必要は無いだろうから、あっさりと話題に乗る。

しかし弁当一つでここまで羨むものかね?

 

「一夏君が碧さんの分も用意してたって事?」

 

「ええ。」

 

「何で碧さんの分も?」

 

「護衛でついてくるって思ってましたし、居なかったら自分で食えば良いかな~って。」

 

「ズルイよ~!」

 

「別に言われれば作るぞ?」

 

「「「「「「本当(ですか)!!」」」」」」

 

「え、ええ。時間と材料があれば何時でも・・・」

 

「約束だよ!」

 

「一夏のお弁当!」

 

「楽しみだな~、おりむ~のお弁当!」

 

「一夏様、その時はお手伝いしますね!」

 

「わ、私も手伝います。」

 

「一夏さんの料理は美味しいですからね~、楽しみです。」

 

 

まさか弁当一つでここまで喜ばれるとは・・・

正直嬉しいが、ここまで期待されると何を作れば良いのか分からないぞ。

 

「それじゃあ一夏君、お風呂入ろっか?」

 

「風呂ですか?」

 

「うん、皆で!!」

 

「良いね!」

 

「わ~い、おりむ~と一緒~!」

 

「一夏さんと一緒・・・///」

 

「一夏様とお風呂に入るのは久しぶりですね~。」

 

「一夏さんの背中、洗ってあげる。」

 

 

もう一緒に入るのは確定なんですね・・・

しかも須佐乃男、お前と入ったのは、まだお前が時計の時だろうが!

 

「私が洗う!」

 

「いや私!」

 

「私だよ~!」

 

「いえ、私です!」

 

「それじゃあ私は一夏さんの頭をあらいますね~。」

 

「それじゃあ私は一夏様の前を・・・」

 

「それは駄目だろ・・・」

 

 

しれっと背中から頭に切り替えた碧さんは、やはりしたたかだな。

争いの元を作り、自分は他の場所を確保する。

実に戦術家だな・・・

 

「こうなったら、ジャンケンよ!」

 

「勝った人が一夏の背中を洗える!」

 

「負けないよ~!」

 

「私だって!」

 

「それじゃあ私も!」

 

 

俺の意思は無視ですか・・・

 

「一夏さん、ここでそれは無しですよ?」

 

「あからさまでした?」

 

「それはもう。」

 

 

そんなに顔に出てたのか。

誰が勝っても緊張するんだが・・・

 

「「「「「ジャンケン・・・ポン!」」」」」

 

「「やった!」」

 

「「「負けた・・・」」」

 

 

虚さんと刀奈さんが一先ず勝ったようだ・・・

しかし負けた三人、そこまで落ち込む事か?

 

「俺、先に入ってますね。」

 

 

わざわざ待って無くても先に入って自分で洗えば良いだけの話だと気が付き、風呂に向かおうとしたが・・・

 

「一夏さん、自分で洗うのは無しですよ?」

 

 

碧さんにがっしりと腕を掴まれてしまった。

 

「虚ちゃん・・・絶対に負けないからね!」

 

「お嬢様・・・絶対に負けません!」

 

 

二人の周りに炎が見えるのは気のせいだろうか?

バチバチと火花を散らす二人を見て、俺は現実逃避気味にそんな事を考えていた。

 

「「ジャンケン・・・ポン!」」

 

「やった~!」

 

「負けました・・・」

 

 

如何やら刀奈さんが勝ったようだ。

 

「それじゃあ行くわよ!」

 

「脱衣所は?」

 

「部屋から直通だし、ここで脱げば良いじゃん♪」

 

「はあ!?」

 

 

さすがにそれは勘弁願いたい。

いくら付き合ってるとは言え、それは駄目だろう。

 

「そうだね。」

 

「楽だね~。」

 

「まあここで良いのは楽ですね。」

 

「私は何処でも良いですよ。」

 

「そうね、此処で良いですね。」

 

「チョッ、何で皆そんなに冷静なんですか!?」

 

 

多分俺の反応が正しいはずだ。

だが、この場所では少数意見だった。

 

「ほらほら、一夏君も脱いで。」

 

「刀奈さん!?」

 

「一夏?脱がないの?」

 

「おい、簪!?」

 

「おりむ~が脱がないなら私が脱がす~!」

 

「止めろ本音!」

 

「抵抗しても無駄ですよ~。」

 

「何で楽しそうなんだよ、須佐乃男!」

 

「て、照れても無駄です///」

 

「貴女が言いますか、虚さん!」

 

「隙あり!」

 

「チョッ、碧さん!?」

 

 

六人相手に抵抗したが、さすがに分が悪かった。

 

「それじゃあ私たちも・・・」

 

「俺、先に行ってます!///」

 

「だ~め!」

 

 

逃げようとしたが再び碧さんに捕まった。

既に裸の俺は非常に恥ずかしいのだが、何で皆冷静なんですか!!

 

「おりむ~の身体、凄いね~。」

 

「一夏君だけ見られるのは不公平だから、私たちのも見ていいのよ?」

 

「は、早く風呂に行きましょうよ!///」

 

「もう少しじっくり見ても良いんじゃない?」

 

「良くないです!!」

 

 

振りほどいて風呂に向かおうとしたが・・・

 

「いや~ん。」

 

 

払った手が碧さんの胸に触れてしまった。

 

「///」

 

「良いな~。」

 

「おりむ~、私のも触る~?」

 

「触んないよ///」

 

「じゃあ私のは?」

 

「私では駄目ですか?」

 

「一夏、私のは?」

 

「だから、触りません///」

 

 

顔を真っ赤にして風呂に逃げる。

本当に俺はこう言った事に免疫が無いな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ一夏君、洗うね~。」

 

「・・・どうぞ。」

 

 

逃げたところで入ってくるのだから意味は無かった。

巻いていたタオルは早々に回収され、非常に恥ずかしい思いをしながら椅子に座る。

 

「よいしょっと。」

 

「!?」

 

 

てっきりタオルで洗うものだと思っていたところに、非常に柔らかい感触が背中にする。

 

「何やってるですか!?」

 

「何って・・・おっぱいタオル。」

 

「心臓に悪いですよ!!」

 

「気持ち良いでしょ?」

 

「・・・まあ。」

 

 

本当に勘弁してくれ・・・

俺はこのまま理性を保つ事が出来るのだろうか。

 

「それじゃあ頭も洗うね。」

 

「・・・もう好きにして。」

 

 

俺にもう抵抗する気力は残っていない。

これ以上酷い事にならない事を祈ろう・・・

 

「良いな~お姉ちゃん。」

 

「明日は私がやる~!」

 

「いえ、私です!」

 

「私もしたいですね~。」

 

 

・・・明日も続くの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つ、疲れた・・・」

 

 

風呂に入るのが此処まで疲れるものだったとは・・・

こんな事続けたら、心臓に負担掛かりすぎて死にそうだ。

 

「じゃあ一夏君の隣は誰にする?」

 

「・・・は?」

 

 

今度はいったい何だ。

 

「お風呂で洗えなかった人にしようよ!」

 

「そうですね。」

 

「それが良いよ~。」

 

「そうですね、私も一夏様の隣が良いです。」

 

「・・・何の話?」

 

 

まだ何かあるのか?

 

「何って、一夏君の隣で寝る人を決めるんだよ。」

 

「・・・そうですか。」

 

 

ベッドなら間違いは起こらないから安心だな・・・

 

「布団敷けました~!」

 

「ベッドじゃない!?」

 

「当然でしょ?ベッドじゃ一夏君の隣でも嬉しくないもん!」

 

「・・・ハァ。」

 

 

結局こうなるのね・・・

 

「あの~・・・俺端っこが・・・」

 

「「「「「「駄目(です)!!」」」」」」

 

 

本当にこう言った時だけは息ぴったりですね・・・

再びジャンケンをして、簪と虚さんが俺の隣で寝る事になった。

この二人なら比較的安心出来る。

翌朝、俺はその考えをした自分を阿呆だと思い知ったのだった。




エロ希望者も居ましたが、多分そこまでエロく無いはずです。
そっちはさっぱりですからね・・・

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