もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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問題児三人にも差が出てきた……


最終判断は……

 何時ものように早朝に身体を動かしていると、ゴミ置き場の方から声が聞こえてきた。これは姉さんとお兄ちゃん? それと山田先生も居るみたいだけど……

 

「三人の様子は如何だ?」

 

「そうだな……オルコットは昨日の午後から人が代わったように真面目になってるがまだ判断出来ん。篠ノ乃とデュノアはこのままでは駄目だろうな」

 

「私はせっかくの修学旅行ですので、行かせてあげたいとは思いますが」

 

「向こうで面倒起こされたら山田先生が責任持って処理してくれるのでしたら、俺は行かせても良いですけどね」

 

 

 この位置からではお兄ちゃんの表情は確認出来ないけど、きっと悪い笑みを浮かべてるんだろうな……

 

「マドカ、盗み聞きは良く無いぞ」

 

「え、織斑さん?」

 

「何だ、真耶は気がついてなかったのか」

 

 

 お兄ちゃんと姉さんに見つかり、私はバツが悪い感じでひょっこりと顔を出した。ちゃんと気配は殺してたんだけどな……やっぱりお兄ちゃんと姉さんは別格だね。

 

「運動か?」

 

「うん! お兄ちゃんたちは、あの三人の事を話してたんだよね?」

 

「聞いてたんだろ。マドカは如何思う? 参考までに聞かせてくれ」

 

「お兄ちゃんや姉さんが本気で躾ければ大人しくなると思うけど、別に洗脳したい訳じゃないんでしょ?」

 

「当たり前だ! あんな三人を洗脳しても面白くも……あ、いや……学園の為にならないからな」

 

 

 お兄ちゃんに睨まれてるのに気がついた姉さんは、表現を変えてお兄ちゃんの視線から逃れた。

 

「反省の色が見え始めてるのも確かだが、やはりシャルと篠ノ乃は何か企んでるし、京都に連れて行くならそれ相応の対処をしなければ駄目だろうな」

 

「一夏が訓練機を擬人化してくれたおかげで、戦力は確保出来ただろ。だからこのまま学園に置いていくのも手だと思うぞ」

 

「篠ノ乃さんは兎も角、オルコットさんもデュノアさんも京都行きを楽しみにしてますから、私は出来る事なら行かせてあげたいです」

 

 

 今更だけど、この二人の中に当然のように交ざってるお兄ちゃんって、やっぱり凄いんだなと改めて思った。

 

「今日の作業の進捗具合で、俺は判断しても良いと思うんだが……二人は如何思います?」

 

「私はギリギリまで見てから決めるべきだと思ってるぞ」

 

「私もです。今日で判断するのは可哀想ですし」

 

 

 お兄ちゃんは面倒事をさっさと終わらせたいんだろうけども、姉さんと山田先生はギリギリまで判断するのを避けるべきだという意見だった。正直私もそっちの方が正しい判断が出来ると思う。

 

「まぁ他にもナターシャや碧の判断も聞くんだからな。総合して織斑先生が判断してくれればそれで文句は無い。だから何時判断を下すのかは貴女の意見を尊重しましょう」

 

「分かった。なら最終判断はギリギリに下す。以上だ」

 

 

 姉さんが解散を宣言して、お兄ちゃんはすぐさま整備室の方へ歩いていった。歩いてるはずなのにもう姿が見えないのは何でだろう……

 

「では真耶、暫くの間監視を頼む」

 

「分かりました。それで、織斑先生は?」

 

「せっかくマドカにあったんだ。軽く身体を動かそうと思ってる。もちろんマドカが良ければだがな」

 

 

 姉さんが私の顔を見ている。そういえば最近一緒に身体を動かす機会も減っちゃってるしな、せっかくのチャンスだし一緒に運動しよう。

 

「もちろん良いよ! お兄ちゃんの前に、姉さんに追いつかなきゃいけないんだし」

 

「マドカなら出来るだろ。私と一夏の妹だからな」

 

「それの何処に根拠が?」

 

「真耶、何か言ったか?」

 

「い、いえ!!」

 

 

 姉さんに睨まれて、山田先生は竦みあがった。余計な事を言うからそうなるんだよ……成長してるのはその無駄に大きい胸だけなのだろうか?

 

「織斑さん、何か失礼な事考えてませんか?」

 

「いえ、そんな事無いですよ」

 

「そうですか……何か嫌な予感がしたんですが、気のせいですかね」

 

 

 普段トロイのに偶に鋭い事を言うので油断出来ないんだよね、山田先生は。クラスメイトからは友達感覚で付き合われていて、お兄ちゃんからは姉さんの世話を押し付けられていて、そして姉さんからは無理矢理連れまわされている可哀想な人。だけどそれがこの人の運命なんだろうと思えるのが不思議だ。

 

「それじゃあマドカ、軽く校舎周り十周するか」

 

「全然軽くないよね!? それを軽いと思えるのは姉さんとお兄ちゃんだけだよ!」

 

 

 私は精々五周くらいしかもたないし……軽くが本当に軽くならいけるんだけども、姉さんの軽くは私の軽くとは違うのだ。

 

「じゃあマドカのペースにあわせるから、十周いくとするか」

 

「十周は確定なんだ……」

 

 

 まぁ自分のペースでなら十周くらい出来るし、せっかく姉さんがあわせてくれると言ってくれたんだから、周回は姉さんにあわせるとしようか。

 

「それじゃあ行こう! 姉さんと一緒に運動するのも久しぶりだしね!」

 

「いろいろと忙しかったからな。マドカに付き合える時間が無かったのはすまなかったと思っている」

 

「いいって。姉さんは先生なんだから。忙しいのも仕方ないよ」

 

 

 でもまぁ、お兄ちゃんに仕事を丸投げしてるって噂もあるし、姉さんが仕事で忙しかったのかは謎なんだけどね……

 

「そういえば、マドカはもう擬人化した訓練機には会ったのか?」

 

「うん、昨日。お兄ちゃんってホント凄いよね」

 

「アイツは昔から凄かったからな。誰もが一夏を認めていたのだが、ISが出来てからはその評価は下がっていたんだがな」

 

「姉さんが無敗で連覇なんてするからでしょ」

 

 

 結局公式戦無敗で姉さんは選手を引退した為に、未だに伝説として語られている。だが夏休みにお兄ちゃんに負けたらしいから、無敗では無くなったらしいんだけどね。

 

「ISでも生身でも、一夏に勝てる見込みなど無いしな」

 

「姉さんがそれじゃあ私なんて当分追いつく事も出来ないね。やっぱお兄ちゃんは凄い人なんだね」

 

 

 昔亡国企業のデータベースにアクセスして、お兄ちゃんの事を調べた事があった。その時はまだISを動かす前だったのに、お兄ちゃんの評価はかなり高かった。

 今思えば、あのデータベースを管理してたのはスコールだったのではないだろうか。それならお兄ちゃんに執着するのにも頷けるし……

 

「考え事か? ペースが落ちてるぞ」

 

「姉さんが上がってるんじゃないの? 私は変わってないよ」

 

「そうか? なら少し抑えるか」

 

 

 既に三周はしたけども、姉さんの息はまったく乱れてない。私も一応は普通に走ってるけども、姉さんを意識してるのかペースが何時もより早くなっている。これじゃあ十周もたないかもしれないな……

 

「お兄ちゃんは今日も忙しそうだね」

 

「専用機製造は簡単な事では無いからな。さすがの一夏でも忙しくなるのは避けられないだろうからな」

 

「これだけ忙しそうにしてるから、私たちも我慢してるけど、京都ではおもいっきり甘える予定なんだ」

 

「そうか。一夏も認めてくれるだろう」

 

 

 私だけでは無く、簪や本音、須佐乃男も甘えるのを我慢しているのだ。昨日は早く作業が終わったから一緒にご飯を食べられたけども、此処最近はお兄ちゃんと一緒って事は少なかったのだ。

 

「そういえば姉さん、部屋の掃除とかしてるの?」

 

「……何だ急に」

 

「だって姉さんの部屋ってお兄ちゃんが掃除してたんでしょ? 今お兄ちゃん忙しいから掃除とかどうなってるのかな~って」

 

「大丈夫だ、問題ない。その内真耶に掃除させるから」

 

「……してないんだね」

 

 

 私もだけど、姉さんも家事が苦手なのだ。お兄ちゃんが完璧にこなしてくれるから問題無く過ごせてるけども、織斑の女は家事スキルが備わらないのだろうか……

 

「私と一緒に練習しようよ、姉さん」

 

「だが、私が家事をする事は一夏に禁じられているのだが」

 

「……そこまで酷いの?」

 

「そんな事は無い! 精々洗濯機と掃除機と台所を破壊したくらいだ!」

 

「……それは『精々』とは言えないと思うんだけども」

 

 

 お兄ちゃんもよく堪えたな……それだけやられれば姉さんに家事をさせようなんて思わないと思うんだけどな……

 

「その後で束と一緒に台所を爆発させた時は本気で死ぬかと思うくらい怒られたがな」

 

 

 笑いながら話してる姉さんだけども、正直笑い話ではないと思うんだけども……まぁ姉さんが笑って話せてるのなら良いのかな?

 

「さて、後三周だが」

 

「結構走ったね」

 

「最後三周は本気で行くか?」

 

「無理! このペースでやっとだよ」

 

「なら仕方ないか」

 

 

 妙にやる気だった姉さんを何とか止め、私は残り三周もこのペースで走ることになった。正直すでにキツイんだけども、これ以上姉さんに離されたくないので頑張る事にしたのだ。

 

「マドカは家事の腕はどれくらいなんだ?」

 

「正直あんまりだよ……簪や本音に手伝ってもらってやっと出来るくらい」

 

「そうか……私より出来るんだな」

 

「でもお兄ちゃんと比べるとね……」

 

 

 姉さんは私より家事が出来ない事にへこみ、私はお兄ちゃんの背中がまったく見えなくてへこんだ。そしてそのままの感じで残り三周を走り終えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一夏さんが居ない為に、朝食の準備はお嬢様と私が担当する事になっています。理由は起きるのが早いからなのですが、正直私ではお嬢様の足を引っ張る事しか出来ないんですがね。

 

「虚ちゃん、野菜切ってくれる?」

 

「分かりました」

 

 

 それくらいなら出来ると判断したのか、お嬢様は私に野菜のカットと洗い物を担当するように取り決めてくれました。正直それくらいなら出来るんですが、お嬢様の中でも私は家事に置いては信用出来ないんでしょうね……

 

「そういえばお嬢様、修学旅行中は一夏さんたちが居ませんので生徒会の仕事、頑張ってもらうしかないですよ?」

 

「全部ストップで良いんじゃない? どうせ急ぎの仕事なんて無いんだし」

 

「……何を考えてるんですか?」

 

「虚ちゃんが気にしてる事なんて考えてないわよ」

 

「お嬢様は私が何を気にしてると思ってるんですか?」

 

 

 私の質問に、お嬢様は視線を逸らしました。如何やら私が考えているような事を実行しようと思っていたのでしょう。

 

「授業もあるんですから、お嬢様が京都に行くのは不可能ですよ」

 

「でも~、学園より一夏君たちの方が襲われそうじゃない? だから助っ人に……」

 

「一夏さんが訓練機三機を擬人化することに成功したのですから、戦力は十分整っています。お嬢様が授業をサボってまで助太刀しに行く理由はないですからね」

 

「そんな事言って、虚ちゃんだって本当は行きたいんじゃないの? せっかくの一夏君との京都旅行だよ?」

 

 

 お嬢様に言われ、私は一夏さんと京都を満喫するイメージを抱いてしまいました。駄目です! これはお嬢様の罠なんですから!

 何とか自分に言い聞かせようとしましたが、私の脳内では一夏さんとゆったり京都旅行する事でいっぱいになってしまいました……私って案外簡単なのでしょうか……

 

「虚ちゃんの許可ももらった事だし、後は如何やって行くかよね……」

 

「学園の警備は良いんですか?」

 

「大丈夫でしょ。更識から応援が来るし」

 

 

 普段学園の警備を担っている、一夏さん、織斑先生、碧さん、美紀さん、ナターシャ先生は全員京都行きが決定してるので、その間は更識の人間が学園の警備に当たる事になっているのです。それに便乗してお嬢様は京都に行こうと考えてたのですか……

 

「旅館に宅配便として送られる?」

 

「……如何やって箱詰めするんですか」

 

「それはもちろん屋敷の人たちに手伝ってもらって……」

 

「何処の世界に自分が仕えているところの当主を箱詰めする人が居るんですか……」

 

 

 お嬢様ならやりかねませんが、さすがに周りが手伝うとは思えませんし……

 

「いっそのこと堂々とついていくってのは?」

 

「織斑先生と一夏さんに怒られたいのでしたらどうぞ」

 

「……止めておきましょう」

 

 

 お嬢様は怒られる場面を想像したのか小刻みに震えていました。そんなこと考えなければ良いのに……

 

「兎に角、お嬢様は大人しく学園に留まっては如何です?」

 

「それじゃあ虚ちゃんもお留守番よ」

 

「もとより私はそのつもりです」

 

「良いの~? 簪ちゃんや本音が一夏君と大人の階段上っちゃっても」

 

 

 よくもまあそんな事を……いや、でも可能性はゼロでは無いのかもしれませんね。臨海学校の時は一夏さんもまだそれほど私たちとスキンシップ出来なかったので気にしませんでしたが、今の一夏さんは結構大人なスキンシップにも対応出来るようになってます。そこに外泊などといったチャンスが巡ってきたら、簪お嬢様や本音の箍が外れる可能性も低くないのかもしれませんね……しっかりと見張る人が居なければ不良の道に向かってしまうかも……

 

「いやいや! 一夏さんや簪お嬢様がそんな事する訳無いでしょうが!」

 

「否定まで時間かかったわね~。ひょっとして虚ちゃんも想像したんじゃないの?」

 

「な、何をですか……」

 

「一夏君に抱かれる場面を」

 

「んなぁ!?」

 

 

 あまりにストレートに言われて、私は絶句してしまいました。お嬢様はそこまで想像したとでも言うのでしょうか……

 

「分かりました。私の方で手配しますので、監視の名目で私とお嬢様も京都に行きましょう」

 

「やった! さすが虚ちゃん!」

 

「ただし! あくまで監視ですのでお嬢様が遊ぶ時間などありませんからね」

 

「分かってるわよ~」

 

 

 何だかのせられてしまったような感じですが、私も一夏さんと一緒に旅行気分を味わいたいのは確かですしね。問題児も居ますし、監視の人間は多いほうが良いでしょうし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 修学旅行に行けるかどうかはこの作業の進捗具合で決まるようですが、正直私は行けなくても良いと思い始めています。何故なら今までの自分の行動を思い返して、このような扱いをされていても仕方ないと分かったからです。

 

「セシリア、今日は随分と張り切ってるね。そんなに京都に行きたいの?」

 

「あら、シャルロットさんだって行きたいと言っていたではないですか。それなのに随分とのんびりしてますわね」

 

「だってコレ重いんだもん。セシリアはよく動けるよね……箒なんてバテバテなのに」

 

「せっかく鍛えなおすチャンスですので、出来る限りは頑張ろうと思ってるだけですわ」

 

 

 ISの機能を完全に停止し、負荷をかけながら作業をする。昨日までは苦痛でしかありませんでしたが、今なら一夏さんがこのような事をするように言った理由が分かる気がします。

 

「鍛えるって、僕やセシリアは代表候補生だよ? こんな事しなくても十分鍛えてるじゃないか……」

 

「そう思っていましたが、改めて考えると私はこの学園に来てからまともに勝利した覚えがありませんの」

 

「そういえば……僕も勝ってないかも」

 

「ですから、今まで以上に鍛えようと思っただけですわ」

 

「でもさ、相手が一夏や織斑先生だよ? 勝てないのが普通だって」

 

 

 シャルロットさんは昨日須佐乃男さんに言われた事が響いてないのでしょうか。ISに嫌われているなんてかなりショッキングな事だと思うのですが……

 

「サボるな! さっさと作業しろ!」

 

「痛いですよ千冬さん!」

 

「学校では織斑先生と呼べと、何度言えば覚えるんだ貴様は!」

 

「痛ッ!?」

 

 

 箒さんが織斑先生に叩かれているようですが、正直箒さんは叩かれても仕方ないですものね。

 

「オルコット、お前は随分と真面目になってきたな。このままならお前は京都を満喫出来るだろう。だがまだ判断しないがな」

 

「分かってますわ。今まで真面目じゃなかったのですから、これから巻き返すつもりですので」

 

「ほう……貴様、変わったな」

 

「昨日の須佐乃男さんの言葉はかなり効きましたので」

 

 

 一夏さんがISの整備に拘っていた理由も、今なら何となく分かる気がしますし。

 

「織斑先生、これ昼食です。一夏君が作業中なので私たちが作りましたけども、それほど酷くは無いはずですので」

 

「そうか……一夏はどんな感じだ?」

 

「そうですね……何時も以上に真剣は表情をしてましたね。油断すると見蕩れて時間を忘れるくらいの感じでした」

 

 

 一夏さんは今ウェルキンさんの専用機を製造してるらしいのですが、一体どんなISを造るのでしょうか……私のデータも参考にするとか聞きましたけども、正直言って私のデータなんて役に立つのでしょうか……

 

「それから織斑先生、山田先生がなにやら困っていたのですが、何を頼んだんですか?」

 

「大した事ではない。寮長室の掃除と溜まった仕事を片付けるように言っただけだ」

 

「それなら何時も通りですね」

 

 

 それで片付けられる生徒会長さんも凄いですが、織斑先生の大した事無いはあてにならないんですわね……山田先生、ご愁傷様です。

 

「随分と作業スピードに差がありますね」

 

「オルコットが急にやる気を出したからな」

 

 

 お二人の会話も気になりますが、今は精一杯作業しなくてはという気持ちでいっぱいですからね。私は好奇心に蓋をして作業を再開しました。京都もですが、これが終わったらブルー・ティアーズに謝らなければいけませんしね。声は聞こえませんが、一夏さんが言うようにISにもきっと感情はあるのでしょうし……




果して二人に未来はあるのか……

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