もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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眼鏡属性って何?


眼鏡の威力

 一夏君が専用機製造で忙しい為、生徒会の仕事はあまり手伝ってくれない。元々一夏君の分の仕事以上を片付けてくれてたから私が遊んでいられた訳で、今その分のツケが回ってきただけなんだろうけども、こんなに忙しいなんて知らなかったわね……

 

「お嬢様、また手が止まってますよ」

 

「だって虚ちゃん、こんなにやったのにまだ終わりが見えないんだもん……」

 

「仕方ないですよ。一夏さんの作業速度と比べればお嬢様は遅いって言われてもしょうがないんですから」

 

 

 私だってそれなりに早く処理出来るのだけども、虚ちゃんと比べても劣る私と一夏君を比べればそりゃ遅いって言われちゃうわよ……

 

「これでも少ない方なんですけどもね」

 

「嘘ッ!? これで!?」

 

 

 普段どれだけ仕事があるのよ、この学園の生徒会は……

 

「昨日一夏さんがある程度片付けてくれたので、今日はそんなに多く無いはずだったんですけどね……一日経てば仕事は増えるんですよ」

 

「一夏くーん、今日も手伝ってよ~!」

 

 

 今頃専用機の最終調整に入ってるだろう一夏君に、私は泣き言を言いたくなる。この前攻め込まれたのと三人を反省させる為に学園の修繕を任せると全校に伝えた時に、ついでに一夏君が専用機を造るとも発表したのだ。

 

「その所為で各国から抗議がたくさん来るんですよ。つまりお嬢様の自業自得です」

 

「だって何時までも隠し通せるものでもないでしょ? だから早めに言っちゃえと思ったのよ」

 

 

 それがまさかこんなに忙しくなる原因になるなんて思って無かったのに……

 

「それに加えてオルコットさんとデュノアさんの扱いに対しても、イギリスとフランスから抗議が来てますしね」

 

「あの二人は学園でも扱いに困ってるって言ってるのに、成長しなかったり問題行為をするのは学園の所為だって言ってくるのよね……」

 

 

 元々問題児だったんじゃないのかしら、ってよっぽど言ってやりたいわよ……でもそんな事言えばまたややこしくなるだけだし……

 

「そういえば本音は? 一夏君がいないんだから本音にも仕事させなきゃ」

 

「本音が来ても仕事が増えるだけですよ」

 

「やれば出来る子なんだから、やらせようよ」

 

「やる気になるまでが長いですからね……させるのも面倒ですし」

 

 

 一夏君が居ればやる気にさせる事も簡単なんだろうけども、そもそも一夏君が居てくれたらこんなに忙しい思いをしなくて済むのだ。

 

「絶対甘えてやるんだから……覚悟しててね」

 

「何を計画してるのかは分かりませんが、此処最近一夏さんは私たちが寝てから帰って来てるらしいんですよ? 如何やった甘えるつもりなんですか?」

 

「ご飯は作ってくれてるじゃない? だからその時に……」

 

「邪魔したら怒られますよ」

 

 

 手伝ってる時は兎も角、一夏君が調理してる時に少しでも邪魔をすれば怒られるのだ。それは本音がよくやってるので私たちはなるべく調理中の一夏君には近付かないようにしている。

 

「じゃあベッドに忍び込んで一夏君が寝ようとした時に……」

 

「それは私たちが全力で阻止します!」

 

「それじゃあみんなで……」

 

「そんな事したら一夏さんがベッドに入る訳無いじゃないですか……」

 

 

 そもそも此処最近、一夏君がちゃんと寝てるのかすら怪しいんだけどね……徹夜はしてないとは思うけども、あまり根をつめ過ぎると一夏君でも倒れちゃうんじゃないかな……

 

「あっ、一夏君から電話だ」

 

 

 心配してたまさにそのタイミングで、一夏君から電話が掛かってきた。虚ちゃんも聞きたそうにしてるので、私はスピーカーモードにして電話を受ける。

 

「もしもし一夏君? 何かあったの?」

 

『いや、生徒会の仕事は終わったか如何かの確認だ』

 

「終わらないわよ……普段一夏君が居てくれたから生徒会業務が滞る事無く出来てたんだから、その一夏君が抜けたら終わる訳無いのよ」

 

『生徒会長が普段からしっかりと働いてれば終わるんじゃねぇの?』

 

「それがですね一夏さん、さすがにお嬢様が普段から働いていたと仮定しても、この量は終わらないんですよね」

 

 

 虚ちゃんが会話に割り込んできたが、スピーカーモードにしてあるから不思議な事では無い。一夏君も心得てるのかそのまま会話を続けた。

 

『専用機の件で各国からの質問とクレームか? まだ来てるのかよ……』

 

「それとオルコットさんとデュノアさんの件でもです」

 

『いい加減クドイな……いっそ世界地図からイギリスとフランスを消すか……』

 

「一夏君、冗談でも笑えない事は言わないでほしいな……」

 

『割かし本気だが?』

 

「もっと駄目だよ!?」

 

 

 一夏君だからこそ言える事で、また一夏君だからホントに出来そうで怖いのだ。

 

『兎に角、エイミィの専用機の方は微調整をすれば完成するから、とりあえず生徒会の仕事をしに行くから待ってろ』

 

「ホント!? それじゃあ待ってる」

 

 

 一夏君が来てくれるだけでも、私と虚ちゃんの沈んだ気持ちは一気に跳ね上がる。そして終わりの見えなかった仕事も一夏君が来てくれるだけで終わりが見えるのだ。

 

「よかったわね、虚ちゃん。これで生徒会の仕事も終わるかもしれないわよ?」

 

「今日は一夏さんが来てくれますが、修学旅行に行ってしまわれると大変ですよ」

 

「……その時は織斑先生も居ないからね。仕事が回ってくる事も無いでしょ」

 

 

 一夏君が居ないのはかなり厳しい事だけども、同時に織斑先生も居ないので職員室から仕事が回ってくる事も無くなるだろう。

 

「大体さ~なんで先生の仕事を生徒会で片付けなきゃいけないの? 先生たちはお給料貰ってるんだから、自分の仕事は自分でしなきゃ駄目でしょ!」

 

「刀奈も自分の仕事を自分でしてるなら文句言えるんだろうが、普段からしてないからな。文句言う前に自分もしろって言われるのがオチだろうな」

 

「一夏君!」

 

 

 さすが一夏君だ。移動も早いからこうやって私の愚痴にも付き合ってくれるのだ。

 

「……何で二人共いきなり抱き着いて来てるんだ?」

 

「最近甘えられて無いから……」

 

「お嬢様だけズルイですから……」

 

 

 私たちの理由になって無い言い訳に、一夏君は苦笑いで応えてくれた。

 

「仕事が残ってるんだろ? 甘えるのは後にしてくれ」

 

 

 そう言って一夏君は例の武装から眼鏡を取り出して作業を始める。最近一夏君が作業する時は眼鏡を掛けてるんだけども、これはこれでカッコいいのよね……薫子ちゃんが写真撮りたがってる理由がよく分かるわよね。

 

「何だか、更に出来る男って感じが増してるのよね」

 

「元々一夏さんは出来る人ですけどね」

 

「そうなんだけど、そうじゃないのよ」

 

「まぁ言いたい事は分かりますけどね」

 

 

 虚ちゃんも分かってるようだけども、眼鏡を掛けるだけで一夏君の魅力は更に増しているのだ。あの姿で抱きしめられたらそれだけで興奮しちゃうわよね。

 

「……見てないでお前たちも仕事しろよな」

 

「あ……」

 

「そうでしたね……」

 

 

 つい一夏君に見蕩れてしまってたわ……仕事が終わりそうに無いから一夏君が助けに来てくれたのに、その一夏君に全て任せちゃ駄目よね……私と虚ちゃんは一夏君に言われてからその事を思い出し、慌てて作業を始めるのだった。それにしても一夏君に命令される感じが増してるわね、あの眼鏡で……

 

「眼鏡って、何であんなに魅力的なんだろう……」

 

「一夏さんが掛けてるからでは? 私と簪お嬢様は普段から掛けてますし」

 

「そうなのかな……でも確かに一夏君だから魅力的なんだろうね」

 

 

 私なんかが掛けても、ただのおふざけにしかならないだろうけども、一夏君が掛ければ、それは魅力的なアイテムになるのかもしれないわね。

 

「だから仕事しろっての」

 

「分かってるわよ~」

 

「一夏さんのおかげで終わりが見えたのでつい浮かれてしまいました……」

 

 

 まぁ浮かれてる理由はそっちよりも一夏君自体なんだけどね……簪ちゃんや本音は、まだ一夏君の眼鏡姿を見た事が無いって言ってたから、写真撮ってメールで送ってあげよう。

 

「一夏君、ちょっとこっち向いて?」

 

「ん? 何かあったのか?」

 

「えい!」

 

 

 一夏君がこっちを向いた瞬間にシャッターを切り眼鏡姿の一夏君をカメラに収める。まぁ携帯なんだけどね……

 

「何で写真なんて撮ってるんだよ」

 

「簪ちゃんや本音は一夏君の眼鏡姿を見た事無いって言ってたからさ、メールで見せてあげようと思って」

 

「……別にそんなに見たいと思うようなものでもねぇだろ」

 

 

 そう言って一夏君は作業に戻ったけども、この写真をオークションに出せばきっと高値が付くと思うのよね……もちろん出品なんてしないけども。

 

「お嬢様、終わったのでしたら早く仕事してください」

 

「分かってるわよ。それじゃあさっさと終わらせましょう!」

 

 

 一夏君が来てくれたおかげで、無事今日の分の仕事は終わったんだけども、明日も明後日も仕事があると思うと憂鬱だわ……

 

「あ、簪ちゃんからメール返ってきてた」

 

 

 さっき一夏君の眼鏡姿を納めた写真を添付してメールしたので、恐らくその感想が書かれているのだろうな……

 

「あれ、何も書いて無い……」

 

「部屋に戻って聞いてみれば良いだろ」

 

 

 作業を終えたので、一夏君はもう眼鏡を掛けていない。普段生活する分には無くても良いようだけども、普段から掛けてくれたらきっと鼻血の海が出来るくらい興奮する子が居るんだろうな……

 

「……まさか!」

 

 

 簪ちゃんが空メールを送ってきたのは、文章を打ち込む余裕が無かったから? でも本音も見たんだろうし、二人して鼻血を噴出したなんて事ある訳無いわよね……

 

「ただいまー……」

 

「何か鉄の臭いがする」

 

「まさか!?」

 

 

 部屋の奥で倒れている簪ちゃんと本音を発見。その傍には血で書かれた文字が……

 

「眼鏡サイコー」

 

 

 簪ちゃんも本音も、さっきの写真を見て鼻血を噴出したようね……気持ちは分かるけども、何でダイイングメッセージ風なのよ……

 

「おい簪、本音、汚したんならちゃんと片付けろよ」

 

「一夏君、それちょっと違うかも」

 

「あ? 何でだ?」

 

 

 一夏君の眼鏡姿が原因で倒れている二人なんだから、普通大丈夫かとか聞くと思うんだろうけども、一夏君が気にしたのは汚れたカーペットだった。さすが主夫よね……

 

「あれ……私いったい……」

 

「何かもの凄いものを見たような気がするよ~……」

 

「何言ってるんだ?」

 

 

 目を覚ました簪ちゃんと本音の顔を、一夏君が覗き込む。あの位置から一夏君を見られるなんて、二人共羨ましいな……

 

「一夏!? 眼鏡は?」

 

「眼鏡? あれは書類作業する時だけ使うからな。普段は必要無い」

 

「おりむ~、あれは絶対他の女の子には見せちゃ駄目だからね!」

 

「は? 何だよそれ……そういえばこの前静寂にも眼鏡姿を見られたが、何だか鼻を押さえてたような気が……って、何だよ?」

 

 

 私たちが一斉に一夏君に近付いたので、一夏君は若干身体を逸らせた。

 

「何で静寂ちゃんに眼鏡姿を見られてるのよ」

 

「何でって、問題児三人を如何するか書類に纏めたのを教室で確認してたからな。その時に眼鏡を掛けてただけだ」

 

「他には誰にも見せて無いよね?」

 

「駄姉と山田先生は知ってると思う。あと駄ウサギもどうせ見てただろうからな」

 

「ねぇ一夏、今度一日で良いからずっと眼鏡掛けててよ」

 

「は? まぁ別に良いが……」

 

 

 如何やら簪ちゃんは一夏君の眼鏡姿に興奮しちゃったようね。まぁ気持ちは分かるわよ。

 

「お兄ちゃん、姉さんが呼んでるよ?」

 

「ああ、分かった。それじゃあな」

 

 

 一夏君は相変わらず忙しいのね……せっかく一緒にゆっくり出来ると思ってたのに織斑先生に呼ばれて行ってしまった。

 

「ねぇ、何だか血の臭いがするんですが?」

 

「簪ちゃんと本音が鼻血噴いたのよ、これを見て」

 

 

 マドカちゃんにも、一夏君の眼鏡姿を収めた写真を見せる。義妹だから簪ちゃんや本音みたいに倒れる事は無いでしょうしね。

 

「これ……お兄ちゃん……」

 

「マドカさん? 何鼻血出して……」

 

「須佐乃男!?」

 

 

 人間では無い須佐乃男は、鼻血を出す代わりにその場で倒れた……マドカちゃんもやっぱり鼻血を出しちゃったわね……

 

「これは永久保存しなきゃ」

 

 

 普段から頼めば掛けてもらえる立場だけども、一緒に居られない時に見たくなる可能性だってあるものね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 駄姉に呼び出され、俺は職員室に来ている。なにやら難しい顔をしている四人の教師が、俺の姿を見つけて駆け寄ってきた。

 

「何やってるんだよ……駄姉や山田先生は兎も角としてナターシャや碧まで」

 

「一夏さんが専用機を造る事になった事で、イタリア政府からそのまま国に寄付してくれないかって要望が……」

 

「イタリア? あぁ、エイミィか」

 

 

 製造過程で独自の技術がなかなか確立出来ない為に、イタリアは今IS産業で二歩も三歩も遅れているらしいのだ。

 

「当然ながらそんな事は出来ん!」

 

「ですが、織斑君や織斑先生を矢面に立たせると、国際問題に発展するかもしれないんですよね……」

 

「いや、駄姉は兎も角俺は穏便に済ませる事くらい出来ますよ」

 

 

 そもそも、何で俺らを矢面に立たせる事前提で考えてるんだ、この無駄乳は……

 

「これがその要望書なんだけど」

 

「どれどれ……」

 

 

 書類に目を通す為に、俺は眼鏡を取り出し掛ける。最近書類仕事が多いからな……さっき簪に言われたわけだからでは無いが、一日中掛けてる方が楽かもしれん……

 

「ん? 何で鼻血たらしてるんだ?」

 

 

 書類から目を外し、ナターシャたちを見ると、全員が鼻血をたらしていた……特に山田先生の鼻血の量はハンパ無い……

 

「一夏、お前……自分の威力を把握して無いのか……」

 

「威力? 何の」

 

「ほれ、鏡で確認しろ」

 

 

 そう駄姉に言われ鏡を覗き込む。相変わらず似合ってねぇな……

 

「だから何だって言うんだよ。自分の顔見て何を分かれって言うんだアンタは」

 

「元々整ってるお前の顔に、眼鏡という素敵アイテムが加わったんだぞ! 興奮するなって言う方が無理に決まってるだろ!」

 

「落ち着け……鼻血でスーツが汚れるだろ」

 

 

 どうせ洗濯出来ねぇんだし、クリーニングに出す事も出来ねぇんだからな……出来るだけ汚さないようにしてほしいものだ……

 

「似合ってねぇ眼鏡で興奮されてもな……俺は出来るだけ掛けたくねぇんだよ」

 

 

 この前静寂に言われたが、本気で手術も考えた方が良いのかもしれんな……

 

「そんな、もったいない! 一夏君は私たちから眼鏡を奪うって言うの!?」

 

「ナターシャ? お前は別に眼鏡掛けてないだろ……」

 

「そういう事じゃないんですよ、一夏さん!」

 

「碧まで……」

 

 

 よく分からないんだが、眼鏡というものはそんなに良いものなのだろうか……

 

「ちょっとすみません」

 

 

 職員室から抜け出し、俺はそういった事に詳しい悪友に電話を掛ける。

 

『よう一夏、何の用だ?』

 

「数馬、クラリッサさんがいきなり眼鏡を掛けて現れたら如何思う?」

 

『ハルフォーフさんが眼鏡だと……』

 

 

 あれ? 何か反応薄いな……やっぱり眼鏡なんて大した事……

 

『一夏!!』

 

「な、何だよ、ウルセェな……」

 

『お前のおかげで新たな妄想が出来そうだ! この礼は何時か必ずするからな! じゃあ』

 

「あっおい! ……切りやがった」

 

 

 しょうがねぇな……もう一人の悪友にも聞いてみるか。

 

『一夏、お前のおかげで何とか赤点回避出来たぜ』

 

「よかったな。それで一つ聞きたいんだが……榊原先生が眼鏡掛けたら、お前如何思う?」

 

『菜月さんが眼鏡? ヤベェ、興奮してきた』

 

「………」

 

 

 自分で話題を振っておいてなんだが、何でコイツら眼鏡で興奮するんだろう……簪や虚は普段から掛けてるし、山田先生も掛けてるよな……だけど別に興奮するような事じゃねぇ気がしてるんだが……

 

『今度伊達眼鏡をプレゼントしてみるぜ! サンキュ、一夏!』

 

「……また切られた」

 

 

 人の疑問に回答する前に切るなよな……余計に訳分からなくなったじゃねぇかよ……

 

「一夏君、そろそろいいかな?」

 

「ん? あぁワリィな。ちょっと気になった事があったから確認したかったんだが……余計に訳分からなくなった」

 

「一夏君のそれって、伊達じゃないんでしょ?」

 

「伊達だったらわざわざ掛けねぇよ」

 

 

 目を酷使しすぎたんだろうな。最近急激に視力が落ちてきたんだよ……まぁ駄ウサギが何時でも治せる~とか言ってたし、本気で治そうと思えば何時でも治せるのだがな。

 

「凄く似合ってるし、それに大人の雰囲気が増して良い感じよ」

 

「似合ってねぇよ。自分で見て違和感ハンパ無いんだから」

 

「そんな事無いって。一夏君に似合ってるし、より出来る人に見えるわよ」

 

 

 ……それは喜んで良いのだろうか?

 

「兎に角、イタリア政府には学園から回答してもらうとして、俺は最終調整をしてくるから。後は駄姉に任せとけ」

 

「ねぇ一夏君」

 

「あ?」

 

「一回で良いからこのセリフを言ってくれない?」

 

 

 そういわれ何かが書かれた紙を渡された。

 

「えっと……『使えない屑だな』?」

 

「もっと睨みを利かせ、低い声で!」

 

「……変なスイッチが入ったのか?」

 

 

 何が原因でこうなったのか分からないが、ナターシャに変なスイッチがあったのは確かなようだ……大体こんなセリフを彼女に言える訳無いだろうが。




自分が眼鏡を着用してますから、別に良いとは思わないんですがね……

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