もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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流れ修正で体育祭に


目玉競技その3 的当て決勝

 お兄ちゃんに代わって実況席で姉さんと決勝の第一試合を見てたら、今度は姉さんがお兄ちゃんに呼ばれていなくなり、今は私一人が実況席に居る状況になってしまった。正直私はあの来賓たちの馬鹿話を聞いてほくそ笑んでいる方が楽しかったんだけどな……

 

「インターバルの間は実況なんて必要ないしね」

 

 

 本当ならお兄ちゃんがプログラムの再構成を行うはずだったんだけど、訳あって山田先生が第二試合のプログラムミングを行っているのだ。

 

「正直お兄ちゃんほど性質の悪いプログラムは組めないだろうな」

 

 

 決勝の第一試合、予選パーフェクトだった四人もかなり苦戦していたのだ。さすがわお兄ちゃんと思う反面、さすがに性質が悪すぎるとも思ったのだ。

 

「姉さんも思ってただろうしね」

 

 

 横で見てたから分かるけど、姉さんもお兄ちゃんのプログラムを見て渋い表情をしていたもんね。恐らく姉さんでもパーフェクトは難しいと思ったんだろうな。

 

「このまま帰ってこなかったら、私一人で実況しなきゃいけないのかな?」

 

 

 お兄ちゃんが問題児三人を尾行して、それで何か問題が起こったから姉さんが呼び出されたんだろうけども、実際何が起きてるのかは私には分からない。オルコット、デュノア、篠ノ乃が観客席から移動するのをお兄ちゃんが察知して、向かった先がアリーナって事だけしか私には分からないのだ。

 

「それにしても、良く問題を起こす三人だな……姉さんや、何よりお兄ちゃんに迷惑を掛けてるのが気に入らない」

 

 

 ボーデヴィッヒは別の意味で気に入らないんだけども、この三人は特にお兄ちゃんに迷惑を掛けているのだ。

 

「それにしても……」

 

 

 本来なら決勝第二試合が開始されるはずの時間なのだけども、一向に山田先生から終了の連絡が来ないのだ。

 お兄ちゃんがする事が前提で組まれたタイムスケジュールだから、山田先生がやれば当然時間が遅れるのだけども、さすがに遅すぎる……一応は教師なんだから、お兄ちゃんと同等か、それ以下でも近しいタイムで作業してほしいんだけどな……

 

「暇だな~……本音や簪は選手として参加してるし、須佐乃男は見当たらないし、お兄ちゃんと姉さんは帰って来ないし……」

 

 

 いっそのこと帰っちゃおうとか思ったけど、お兄ちゃんから代理を頼まれてるのにそれをサボったとなると……この先は考えるのは止そう、何だか怖い思いをしそうだからね。

 

「ハイライトを見てたって意味無いしね……」

 

 

 第一試合を終えて、一位には楯無さんが立っている。僅差で簪と虚さんが続きそこから少し離れて本音が四位、五位に美紀が入ってまた僅差でサラ先輩とエイミィが続いてるのだけども、皆さすが予選を突破しただけあるなと思わせる結果なのだ。

 

「あのプログラムでオルコットやデュノアがやれば、確実にもっと酷い結果に終わってるだろうし、篠ノ乃がやればもしかするとゼロに終わってるかもしれないもんね」

 

 

 国家代表、企業代表、そして国家代表候補生の中に美紀が居るってのも凄い事だと思うし、その美紀が五位に入ってるのもまた凄いと思わせる事なのだ。

 事情を知ってる私や、お兄ちゃんたちからすれば納得出来る順位だろうけども、IS学園の生徒としか知らない来賓連中は驚いてるんだろうな~……候補生としてほしいとか考えてる国もあるかもしれないよね。

 

「何せもう一人のイギリス代表候補生と、フランスの代表候補生は予選落ちだもんね」

 

 

 別に私はオルコットやデュノアの事を嫌ってる訳では無い。そもそも興味が薄い相手が如何なろうが関係無いのであって、アイツらが候補生から外されようが如何でも良いのだ。だがその代わりに美紀が狙われるとなると話は別だ。美紀はお兄ちゃんが鍛えてこの学園の警備の為にIS学園に通ってるのであって、何処かの国の候補生になる為に通ってる訳じゃないのだから。

 

「それに、そんな事を考えた国の重役は、謎の失踪や死を遂げるでしょうしね」

 

 

 美紀が暗部更識家の人間で、お兄ちゃんの教え子だって事を考えれば可能性は十分にある。特にお兄ちゃんが動けば、国の一つくらい簡単に無くなるでしょうしね……

 

「そういえば特典ってなんだっけ?」

 

 

 置かれてる資料に目を向け、豪華特典の欄を確認する。

 

「えっと何々……「お兄ちゃんと一緒にご飯を食べられる権利」かぁ……正直私が参加しなくてもこれは出来るからね」

 

 

 そもそもあの部屋の住人である楯無さんや虚さん、簪や本音は必要ないだろうに……枠潰しで参加したのかな?

 

「そろそろ終わったかな……」

 

 

 携帯に目を向けたが、作業終了の連絡はまだ入ってない。いったい山田先生はどれだけ時間がかかってるんだろう……

 

「待たせたなマドカ」

 

「姉さん? お兄ちゃんの用事は終わったの?」

 

「とりあえず問題児共は気を失ってたのでな。鍵付きの部屋にぶち込んできた」

 

「鍵付き? そんな部屋あったっけ?」

 

「ネタバラシすると用具入れなんだがな。南京錠で閉じ込めてきたから問題無い。ISも一夏が回収済みだったからな」

 

「なるほど……? 何で気を失ってたの?」

 

 

 納得しかけたところで、ふと気になったので質問した。だって普通にしてたらお兄ちゃんに意識を刈り取られる事など無いだろうと思ったからだ。

 

「アリーナの無断使用、ISを許可無く展開、また訓練機の使用申請をしてないなど、様々な校則違反をしたのでな。一夏に粛清されたんだろ」

 

「なるほど……」

 

 

 そうなるとまた何処かに監禁されて反省させられるんだろうか……そもそもデュノアはこれで三回目になるんじゃないの?

 

「それでプログラミングは? 全然山田先生から電話来ないんだけど」

 

「今一夏が組みなおしている。あのレベルじゃ真耶の組んだプログラムなど全員パーフェクトだからな」

 

 

 一体どれだけ簡単なプログラムだったんだろう……山田先生の事が何だか可哀想だと思ったけども、その事を口にする事はしなかった。

 

「それで次の試合だが、私とマドカと一夏で解説をする事になったからな」

 

「ホント? 嬉しいな」

 

 

 お兄ちゃんと姉さんに挟まれて実況をするって事だよね? その構図は初めてかもしれないと思うくらい覚えが無い。まぁ姉さんと確執があったのも確かだし、一緒に生活してなかったのも原因の一つなんだけどね。

 

「そういえばISを回収したとか言ってたけど、お兄ちゃんが回収したんでしょ? 女に障っても大丈夫だったのかな?」

 

「心配するな。あれは女ではなく肉塊だったからな」

 

「どんな状況なのよ……」

 

 

 粛清されたとは聞かされたけども、お兄ちゃんがオーバーキルをするとは思えないし、かといって姉さんの表現が大げさとも言い切れないのよね……だってお兄ちゃんにはそれくらい出来て当然の力があるんだから……

 

「あれ? お兄ちゃんひょっとして、また生身でISと戦ったの?」

 

「いや、珍しく須佐乃男が居たらしい」

 

「それってお兄ちゃんもISの不正使用になるんじゃ……」

 

「生徒会役員だしな、一夏は。それに一夏の使用は正当性が認められるだろうしな」

 

「なるほどね」

 

 

 確かにお兄ちゃんのIS使用は校則違反者を取り締まる上で必要な行動だし、生徒会役員はその権限でISの使用を認められてるんだっけ。

 

「それに、一夏はそれぞれに一撃だけで沈めたらしいしな」

 

「一撃で? それって凄いよね?」

 

「珍しく零落白夜を使ったらしいしな」

 

 

 姉さんが現役の時に使っていた決め技であり、単一仕様能力だ。それをお兄ちゃんも使えるとなると、いよいよ私もそれが使えてもおかしく無いという話になってくるのかもしれないな。

 

「一夏があれを使ったのはこの学園に来て始めてかも知れん」

 

「お兄ちゃんに決め技は必要ないもんね。そもそも一撃毎が決め技みたいなもんだし」

 

「そうだな。一夏の攻撃は……」

 

「俺の攻撃が何だって?」

 

「あっ、お兄ちゃん!」

 

 

 姉さんと話してたら何時の間にかお兄ちゃんが実況席に来ていた。気配も察知されることなくこの部屋に入ってくるなんて、さすがはお兄ちゃんだよね。

 

「早かったな」

 

「元々俺が組む予定だったからな」

 

「それで、すぐ始められるのか?」

 

「合図をすれば始められる。だがその前に聞きたい事が出来たからな」

 

 

 お兄ちゃんは普段見せないような笑顔で姉さんに顔を向ける……正直かなり怖い……

 

「アンタの言葉の続きが気になるんだよな。あの後なんて続けるつもりだったんだ?」

 

「普通だ。お前の攻撃は一撃で相手を鎮めることが出来るからなと」

 

「なら良いが……おかしな気配を感じたからな。もし嘘だと分かったらそれ相応の対処をさせてもらうからな」

 

「……問題無いぞ?」

 

「何故疑問形……」

 

 

 お兄ちゃんの目が、スウっと細められ相手を見透かすような目に変わったのを見て、姉さんが土下座した。

 

「すまない! 本当は『痛さの中に気持ちよさがある』と言おうとしたんだ!」

 

「……マドカ、ちょっとあっち向いてくれるか」

 

「あっち?」

 

 

 お兄ちゃんが指差した方向に目を向けた途端、もの凄く痛そうな音が部屋に響き渡った。お兄ちゃんが私に違う方向を見せようとしたのは、恐らく私には刺激が強すぎると思ったんだろうな……

 

「さて、馬鹿は駆除したから、決勝第二試合を始めるとするか」

 

「う、うん……」

 

 

 床には白目を剥いた姉さんが転がってるのだが、お兄ちゃんは全くの無視で試合を始めると言った。

 何を如何すればあそこまで姉さんが痙攣するんだろうな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 予定時間を過ぎても開始の合図が来ないので、私たちは暇を持て余していた。

 

「何かトラブルでもあったのかな~?」

 

「でもそれだとそうアナウンスがあるだろうし、もっと言えないような事でもあったんじゃないのかな?」

 

「でもエイミィ、それだと来賓の避難とかがあってもおかしくないよね」

 

「簪ちゃんの言う通りよね。単純に何かトラブったのかもしれないし」

 

「お嬢様は楽観的過ぎです」

 

 

 だって気にしてもしょうがないしね。

 

『大変お待たせしました。決勝戦、第二試合の準備が出来ましたのでこれから開始したいと思います。尚色々ありまして第二試合の解説は私、織斑マドカと』

 

『織斑一夏がお送りします』

 

「あれ? 一夏君が帰ってきた」

 

 

 予選は織斑先生と一夏君で、第一試合は一夏君が用事とかで織斑先生とマドカちゃんがやってたんだけど、如何やら最後は一夏君とマドカちゃんになったようだ。

 

『それでお兄ちゃん、色々の説明はした方が良いのかな?』

 

『そうだな。学園の恥を晒すようで気が進まないのだが、説明しない事には納得しないだろ』

 

『でも、聞かない方が良い事情だってあるよね?』

 

『そんなの俺らには関係無いだろ』

 

『それもそっか!』

 

 

 ……これから何を言うつもりなんだろう。かなり不安になってきたわね……

 

『とある候補生二人と、もう一人がアリーナの無断使用並びにISの不正展開、訓練機の無断使用などと問題を起こし、その対処に俺と織斑千冬が奔走、代わりにプログラムの変更をした山田先生が悪戦苦闘の末に完成させたプログラムは予選以下の難易度でな。それを組みなおしてた間に大分時間が過ぎたと言う事だ』

 

『それでお兄ちゃん、そのとある候補生って何処の国の候補生なの?』

 

 

 マドカちゃん……それは煽って良い事じゃないよ。国際問題なんて面倒な事引き起こそうとしないでよ。

 

『ここでは言わない。だが後でその国の来賓の方にはどんな教育をしたのか説明を求めたいと思っています』

 

『そうなんだ。きっとまともな教育して無いから問題を起こすんだよね』

 

『それくらいにしとけ』

 

 

 一夏君に諌められ、マドカちゃんは漸く落ち着いた。でも良かった、面倒な事にならなくて。

 

『さて第二試合の順番だが』

 

『見事に一回戦の点数の低かった順だね』

 

『相手の結果を見れるから、高得点だったヤツから後の方を選んだんだろうな』

 

『では最初の競技者は、アメリア=カルラ選手です』

 

 

 エイミィちゃんが呼ばれスタート位置に移動する。正直どんなプログラムかが分からない以上、エイミィちゃんの競技を見て対策を練るしか無いのだ。

 

「うわぁ……」

 

「一夏さんらしいプログラムですね……」

 

「見れて良かったわ……」

 

 

 エイミィちゃんはかなり苦戦してる様子だけども、それは仕方ないと此処に居る全員が思っている。あのプログラムを初見で何とかできるのは、きっと一夏君だけだろうと全員が思ったのだろう。

 

『次の競技者はサラ・ウェルキン先輩ですね』

 

『イギリス候補生としてエイミィには勝ちたいんじゃないだろうか』

 

『でもエイミィは初見で頑張ったけど、サラ先輩は一回見てるからね。フェアではないと思うけど?』

 

『それも含めて実力だ。別に常にフェアである必要は何処にも無い』

 

 

 一夏君のドライな考えに、私たちは考えさせられる。普段から大人っぽい一夏君だけども、考えまでもが大人じみてると私たちが子供っぽいと周りから思われちゃうんじゃないかと。

 

『やっぱりこのプログラムは難しいようですね。予選、第一試合と良い結果を残してる二人でもこの点数』

 

『更に難易度を上げたからな。これで高得点を出せるならそれはもう代表レベルの射撃の腕だろうよ』

 

『候補生では厳しいの?』

 

『レベルの高い候補生でもこの結果だからな』

 

 

 一夏君の中で、エイミィちゃんとサラちゃんはレベルの高い候補生だと位置づけられているようだった。まぁ一夏君が担当する専用機の持ち主となる二人だし、その評価は正しいと思えるけどね。

 

『さて次は、候補生でもなければ代表でもない。でも決勝に残った四月一日美紀の挑戦です』

 

『説明長いな』

 

 

 一夏君の言葉が、私たちの気持ちを代弁していた。確かに候補生でもなければ代表でもない美紀ちゃんだけども、実績十分で私たちと同じ暗部に所属してるのだから、この結果は当然だと言える。でも暗部であるとあけっぴろげに言う必要は無いので隠しているのだ。

 

『お兄ちゃんが鍛え上げた美紀が、どんな結果を残すのかが注目です』

 

『別に俺だけが鍛えた訳じゃねぇぞ?』

 

 

 実況が義兄妹と言う事で、かなり普通に会話してるように聞こえてくるんだけど、ちゃんと試合中は真面目な実況をしてるのよね……スイッチの入れ替えがはっきりしてるのよね、あの二人は。

 

『三人の競技が終了して、現在暫定一位は四月一日美紀選手、この時点で五位以内が確定の為特典ゲットですね』

 

『後は残りの四人がどれだけミスを少なくするかが美紀の興味だろうな』

 

『このまま順当終われば美紀は五位だもんね』

 

『残りの四人が大きなミスをするとは考え難いが、勝負はあくまで時の運だからな。何が起こるか分からん』

 

『次の布仏本音選手、落ち着いて出来るのでしょうか?』

 

 

 スタート位置に本音がスタンバイして、開始の合図が鳴り響く。本音は最低でも今の段階で二位に入らなければ特典を手に入れる事が出来ないのだが、このまま終われば大丈夫そうね。

 

『おっと? 本音選手、動きがおかしくなってきたぞ』

 

『前の競技者のを見てなかったのか?』

 

 

 明らかに動きがおかしい本音に、一夏君が疑問の声を漏らした。確かにあそこは前の競技者を見ていれば対処出来そうなものだけども、実際はそうでは無いという事なんだろうな。

 

『現時点で二位、特典は確保しましたが順位は落としたね』

 

『最高で五位だからな。第一試合の四位からは今のままだと落ちる』

 

『でも残り三人は第一試合の貯金があるからね。如何なるか楽しみ』

 

 

 次は虚ちゃんの番だ。この控え室にも私と簪ちゃんしか残っていない状況になってしまったわね……

 

「お姉ちゃん」

 

「ん? 何かな簪ちゃん」

 

「負けないから」

 

 

 珍しく闘志を燃やしている簪ちゃんに、私は笑顔で答える。ここまで簪ちゃんが私に対抗意識を持ってくれたのも、一夏君が簪ちゃんのコンプレックスを取り除いてくれたからなのよね。

 

『さすが虚だな』

 

『あれをクリアーするとは』

 

 

 ……しまった!? 虚ちゃんの競技を見逃した! これじゃあ対策が練れないじゃないのよ。

 

「次は私……お姉ちゃんも虚さんもここで追い越す!」

 

 

 かなり意気込んでる簪ちゃんを送り出し、私は一人になった空間で簪ちゃんの競技を見る事にした。今だけは姉では無くライバルとして……

 

『やっぱり簪も凄いんだね』

 

『そりゃ織斑千冬の後を継ぐレベルを期待されてる候補生だからな』

 

『そういえば第三回以降のモンド・グロッソの結果、日本は芳しく無いんだっけ?』

 

『他国が力をつけてきたのも事実だが、日本の代表のレベルが下がってるのも事実だからな』

 

『姉さんと比べたら誰がなったって下がるよ』

 

 

 マドカちゃんと一夏君の実況を聞きながら、私は集中力を高める事に努める。まさか虚ちゃんと簪ちゃんがあんな点数をたたき出すなんて……油断したら私は優勝どころか三位まで転落する事になるのだから。

 

『最終競技者は、IS学園生徒会長でロシアの代表、更識楯無さんだー!』

 

『……キャラ変わってないか?』

 

 

 マドカちゃんの実況に一夏君が呆れたのを聞いたのを最後に、私は周りの音が一切聞こえなくなった。よし、集中出来てる!

 合図と共に的を打ち抜き、次の的に備える。大丈夫、私はまだ虚ちゃんにも簪ちゃんにも負けない!

 

『いや~凄い戦いだったね、お兄ちゃん』

 

『上位三人は頭一つ抜け出てるな』

 

『でも、学年で考えると簪が一番って事なのかな?』

 

『そうだな。簪だけは代表では無いし、まだ一年だからな』

 

 

 一応は勝てたけど、一夏君やマドカちゃんが言うように、一年で候補生の簪ちゃんと僅差だった私や虚ちゃんは、ひょっとしたら簪ちゃんよりも下なのかもしれないわね……

 

『これにて的当てを終了します。お相手は織斑マドカと』

 

『……何に毒されたんだお前は』

 

『ノリが悪いよ、お兄ちゃん』

 

『……織斑一夏でした』

 

 

 最終的に一夏君が諦めてマドカちゃんのノリに付き合ったけども、私の気持ちは穏やかでは無かった……

 

「成長したのね、簪ちゃん……」

 

 

 ロシアの代表である私から考えると、簪ちゃんは最大のライバルになるかもしれない存在なのだと、改めて実感する事が出来た体育祭だったな……




そろそろ亡国企業の話を進めなければ……

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