もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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戦闘シーンは難しいですね・・・


暴走する力

組み合わせ発表から少し時を遡り、選手控え室。

ペアを組んだものは対戦相手を、ペアを組めなかったものは誰と組む事になるのかとソワソワしていた。

当然簪や本音もその一人だった。

 

「誰が相手になるんだろうね?」

 

「ドキドキするけど~、楽しみだよ~。」

 

 

この一週間、連携は一夏との訓練で徹底的に高め、また個々の能力に合った訓練も一夏が生徒会の手伝いで居ない間にしてきた。

元々個人トーナメントの優勝候補同士がペアを組んでいるのだ、万が一が無い限り優勝はこの二人だろう。

二人もそう簡単に負けるとは思ってないが、一夏に油断だけはしないようにと言われているので誰が相手でも侮ったりせず、本気で相手をするだろう。

 

「何だ、あの出来損ないは出ないのか。」

 

 

二人の背後から声が放たれる。

 

「貴女は確か・・・ボーデヴィッヒさん。」

 

 

簪は確認の意味も込めて彼女の名前を呼んだ。

 

「ん?何だ貴様は・・・ああ、あの出来損ないと一緒に居た奴か。」

 

「その出来損ないって~誰の事言ってるの~?ラウラウ?」

 

「誰って、決まってるだろ、教官を豹変させる邪魔者、織斑一夏だ!」

 

 

ラウラの発言は簪と本音を怒らせた。

普段怒らない人ほど怒らせると怖い。

かつてセシリアが一夏のことを侮辱した時も、この二人は笑顔で粛清に参加していたのだ。

 

「一夏の事を悪く言わないで!」

 

「そうだよ~、おりむ~は悪くないよ~?」

 

「フン、貴様らには分かるまい!師と仰ぎ、尊敬していた相手があの屑の話をしている時はまったく違う人になってしまった時の私の気持ちなど!そして、あの屑のせいで教官が日本に戻ってしまった時の私の気持ちなど!!」

 

 

ラウラの言ってる事は、簪や本音も知っている。

知っているが、ラウラとは認識が違う。

本来の千冬は一夏の事を話していたり一夏と二人っきりの時の方で、教師として、教官として指導している時の千冬は仮の姿であることを二人は一夏から聞いている。

言葉で伝えても、理解されないだろうし、寧ろ二人は言葉で伝える気など無かった。

もし対戦する事になったら容赦しない。

彼女は、ラウラ・ボーデヴィッヒは一夏の事を侮辱した。

このことだけで二人には十分なラウラへの憎しみがある。

だから言葉だけでは不十分だし、本気で叩き潰すには十分の動機がある。

 

「一夏の事を悪く言ったのを後悔してもらうよ。」

 

「おりむ~の事悪く言った人には一切の情け容赦は出来ないのだ~。」

 

 

二人はラウラに向かって宣戦布告をした。

 

「フン、面白い返り討ちにしてくれる。本当に優れているのは教官ただ一人だ。それを証明してやる。あの屑に指導されたくらいで強くなった気でいる貴様たちを叩き潰してあの屑を引きずり出してやる!」

 

 

それだけ言ってラウラは奥に行ってしまった。

 

「本音、絶対後悔させてあげようね。」

 

「当然だよ~。寧ろ、後悔出来ないくらいまで叩きのめしたい所だけど、そんなことしたらおりむ~に怒られちゃうかな~?」

 

「たぶんね・・・。」

 

 

簪は本音と話しながら、違うことを考えていた。

 

「(本音はまだ本気で怒ってない。)」

 

 

そうなのだ。

もし本音が本気で怒っていたら、あの間延びした話し方ではなく、普通に話す。

姉の虚もそうだが、怒らせたら本当に怖いのだ。

 

「ん~?かんちゃん、私の顔になにか付いてる~?」

 

「何でもないよ、本音。」

 

 

随分と凝視していたらしい、本音に不審がられちゃった。

私は適当に誤魔化して相手の発表を待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

そのやり取りを少し離れた場所で見ていた篠ノ乃箒はラウラに対して嫌悪感を持っていた。

 

「(なんだアイツは。一夏のことを馬鹿にして、何様のつもりなんだ!)」

 

 

心の中でラウラに対して悪態をつく。

この嫌悪感が、自分とラウラとが少し似ているからだとは思っていなかった。

力こそ強さだと考えているラウラと、力を上手く制御出来ない箒。

この二人は力に振り回されている者同士だ。

そのことを箒は心のどこかで理解していたのだろう。

同属嫌悪、自分と似ている者を見ると心が落ち着かない。

この時の箒の心境はまさにそれだった。

 

「(もし私と対戦する事になったら容赦しないぞ、ボーデヴィッヒ!)」

 

 

心に決め、組み合わせ発表を待つ。

しかし、箒がラウラと対戦する事は無かった。

 

「何!?」

 

 

モニターに映し出された組み合わせは・・・

 

更識簪,布仏本音ペア対ラウラ・ボーデヴィッヒ,篠ノ乃箒ペア

 

 

無慈悲にも箒のペアはラウラだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか初戦であたるとはな・・・待つ手間が省けたぞ。」

 

「それはこっちのセリフ。一夏のことを侮辱した事を後悔させてあげる。」

 

「よろしくね~しののん。」

 

「ああ、こちらこそ。」

 

 

睨みあう簪とラウラ、マイペースに独特の呼び方で箒を呼ぶ本音、そんな本音に戸惑いながらも集中している箒。

それを遠目で見ていた一夏たちだが、何か問題があったと理解しているのは一夏だけだ。

 

「簪、やたらと気合入ってますね。」

 

「そりゃ~初戦だし、負けたくないんじゃない?」

 

 

刀奈の言っている事ももちろんあるのだろうが、一夏には気合が入りすぎているように見えた。

 

「それだけでは無い様ですね・・・ボーデヴィッヒと何かあったようですね。」

 

「何かって?」

 

「あくまで推測ですけど、ボーデヴィッヒの奴が俺を侮辱したのでしょう。簪だけではなく、本音も怒ってるみたいですしね。」

 

「え!?かんちゃんは見るからに怒ってるようだけど、本音も?」

 

 

確かに本音は普段道理に間延びした話し方をしている。

だが、よーく見ると眉が吊り上っている。

 

「本音を怒らせるなんて、相当な事を言ったのでしょうね。」

 

 

姉である虚さんも、本音が怒っていることに気付いているようだ。

 

「私には何時もの本音にしか見えないんだけどな~。」

 

「すぐに分かりますよ。そろそろ開始のようですし。」

 

 

本音の変化に気付けなくて少し不貞腐れている刀奈さんを宥め、試合開始の合図を待つ。

頑張れよ、簪、本音。

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様たちを完膚なきまで叩きのめし、私は教官に教わったことが正しいと証明する!」

 

「貴女を倒し、一夏の元に連れて行って謝罪させる。」

 

「それでは、試合開始!!」

 

 

山田先生の合図で試合が始まる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

「お~凄い気迫だね~しののん。」

 

 

開始早々本音に向かって突進する箒。

しかし本音はそれを軽々とかわしてヴィドフニルを展開する。

 

「よ~し、それじゃあ私もやるぞ~。」

 

 

緊張感を感じさせない本音だが、彼女もそれなりに緊張はしている。

 

「本音!後ろ!!」

 

「ほぇ?」

 

 

箒に集中しすぎていて、後ろから迫ってきたラウラに気付けなかった。

しかし簪のおかげで、直撃にはならなかった。

 

「ほぇ~、かんちゃん、ありがと~。」

 

 

試合中なのに暢気にお礼を言う本音。

 

「本音!だから集中しなきゃ!!また来たよ!!」

 

「了解なのだ~。」

 

 

再び突進をしてきた箒をヴィドフニルで受け止める。

 

「それじゃあ私には攻撃当たらないよ~。」

 

「一回で当たらないなら、何度でもやるだけだ!」

 

 

再び距離をとろうとした箒だが、

 

「させない!」

 

 

簪の春雷で攻撃される。

 

「グッ、だがまだまだ!!」

 

 

今度は簪に攻撃を仕掛けようとした箒だが、

 

「行かせないよ~。」

 

 

本音の突きに行く手を阻まれた。

 

「それなら、やはりお前からだ!」

 

 

打鉄を本音の方に向けた所に・・・

 

「危ない!」

 

「しののん、後ろ!」

 

 

味方であるはずのラウラから攻撃された。

 

「邪魔だ!消えろ!!」

 

 

ワイアーで箒を絡めとり、地面に投げ捨てるラウラ。

 

「どうやらボーデヴィッヒは篠ノ乃の事を仲間だとは思ってないみたいですね。」

 

「そうね・・・完全に一対二対一の感覚で試合をしているわね。」

 

「いえ、篠ノ乃はもう終わりでしょう。簪が止めをさしに行きました。」

 

 

一夏の言葉に刀奈は目を試合の方に向けた。

ちょうど簪が箒に向かって夢現で斬りかかった所だ。

 

「簪ちゃんも強くなったわね~。」

 

「そうですね、技術的にも精神的にも。」

 

 

しみじみと簪の成長を喜ぶ俺と刀奈さん。

さて、ボーデヴィッヒは如何出る?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせ、本音。」

 

「しののんは~?」

 

「あっちで休んでもらってる。」

 

「なら安心だね~。」

 

 

箒を戦闘不能にし、本音と合流する簪。

一夏と散々練習した二対一の形に持ち込む事が出来た。

 

「フン、あんなヤツ初めから期待していない。数の有利など、このシュヴァルツェア・レーゲンの前では無意味。そのことを教えてやる!」

 

 

ラウラはまず後方戦闘が得意である簪を落とすことにした。

だが、それを本音が黙って見逃すわけが無い。

 

「行かせないよ~、かんちゃんは私が守るよ~。」

 

「守るだと?ハッ、笑わせる。そうやって弱さを数で埋めようとしているヤツなど、やはり敵ではない!」

 

「それは如何かな?」

 

 

簪がラウラの背後に回って大津波を発動する。

その数なんと80発。

第四世代である事を隠している以上、これが人前で出せる最大限だ。

 

「無駄だ!この停止結界の前では数の多さなど問題にならない!」

 

 

振り返り停止結界で大津波を止めるラウラ。

だが、そのせいで本音に背中を見せる形になってしまった。

 

「隙だらけだよ~。」

 

 

これは当然一夏の作戦だ。

一夏は一度停止結界を見て、その弱点に気付いていた。

訓練の最中にこんなアドバイスをしていたのだ。

 

「いいか、あの停止結界は脅威だが、一方向の攻撃しか防げない。そしてものすごい集中力を必要とする。」

 

「何でそんな事分かったの?」

 

「戦った時に左に集中していたからか、右側の結界が薄かった。だから簡単に波長を合わせられて抜けることが出来たんだ。また結界を抜けたことによってボーデヴィッヒが動揺したのだろう、左側も結界が薄くなった。」

 

「ほぇ~、そんな事まで考えながら戦ってたんだ~。さっすがおりむ~だね~。」

 

「・・・本音、褒める時くらい間延びしたしゃべり方は止めてくれ。」

 

「ほぇ~?何で~?何時もこのしゃべり方だよ~?」

 

「いや、聞いてると疲れ・・・言っても無駄か。」

 

「とにかく一夏。ボーデヴィッヒさんと戦う時は二対一の状況を作って挟撃するように戦えば良いんだね。」

 

「あっ、ああ。その形が望ましいが、同じ方向から攻撃しなければ良いだけだから、対角線上にいれば攻撃は決まると思うぞ?」

 

 

このように一夏のよみは当たっていた。

もし全方向の攻撃が止められるなら、振り向く必要は無い。

繰り出された本音の突きはシュヴァルツェア・レーゲンにダメージを与える。

 

「グッ、挟み撃ちとは卑怯な。」

 

「これはタッグ戦、卑怯なんて言わせない。」

 

 

本音の攻撃に振り向き反撃しようとしたラウラの背後に、今度は簪が斬りかかる。

 

「貴女は自分の力を過信している。過信が慢心になり、成長を妨げる。だから私たちに勝てない。」

 

 

簪は斬り付けながらラウラの敗因を伝える。

 

「まだ、負けてはいない!」

 

 

ワイアーで両方に攻撃をしようとするラウラ。

だが、どっちつかずで勝てる相手では無かったのだ。

 

「かんちゃ~ん、そろそろ終わらせようよ~。」

 

 

本音が止めを刺そうと提案する。

 

「そうだね、終わらせようか!」

 

 

それに答えるように大津波を展開する簪。

 

「(私は負けるのか?この程度の相手に?)」

 

 

ラウラはこの戦闘の結果が見えていた。

どうやっても自分に勝ち目は無い。

自分が否定して来たものに負けると言うことは、自分自身を否定されるような気持ちになった。

 

「(負けられない!負けてなるものか!!)」

 

 

そう思うが、今の自分に活路は見出せない。

 

「(力があれば、私に教官並の力があれば!)」

 

 

ラウラがそう願うと・・・

 

「・・・願うか?・・・汝、自らの変革を望むか?・・・より強い力を欲するか?」

 

 

頭の中に直接言葉が響いた。

力を望む?当たり前だ!よこせ!比類なき力を!誰にも負ける事のない最強を、唯一無二の絶対を、私によこせ!!

 

Damage Level・・・D

Mind Condition・・・Uplift

Certification・・・Clear

〈Valkyrie Trace System〉・・・boot

 

 

突然ラウラとその機体シュヴァルツェア・レーゲンが何かに飲み込まれた。

 

「え・・・何?」

 

「かんちゃ~ん、何だかヤバそうだよ~。」

 

 

あわてる二人に襲い掛かる謎の物体。

 

「きゃっ。」

 

「ほぇ~~。」

 

 

緊急回避を試みたが、少し掠ってしまった。

 

「掠っただけでこの威力。」

 

「ねえねえかんちゃん、あの刀って前にテレビでみた織斑先生の使ってた刀に似てない~?」

 

 

本音に言われてよーく見ると、確かにあの刀は現役時代に織斑先生が使っていた雪片だ。

 

「じゃああれってヴァルキュリー・トレース・システムなの!?」

 

「何それ~?」

 

「前に何かの本で読んだことがるの。でもあれは禁止されているはずじゃ!?」

 

「だから何なの~?」

 

「えっとね、過去のモンド・グロッソの部門受賞者の動きをトレースするシステムで、つまりは織斑先生の真似をするんだよ!」

 

「ほぇ~それじゃああの機体は織斑先生なの~?」

 

「たぶんね。」

 

 

そんなことを話していたらもう一撃入れられそうになった。

 

「それじゃあ~私たちじゃ勝てないかもね~?」

 

「暢気に言ってる場合じゃ無いよ!」

 

 

相変わらずのマイペースの本音に私は呆れた。

このままじゃ死んじゃうかも知れないのに。

 

「だいじょ~ぶ!おりむ~が来てくれたから~。」

 

 

本音が手を振っている方に目を向けると、そこには教師部隊と一緒に救援にきた一夏が居た。

 

「簪、本音、一先ずは無事だな!」

 

 

普段の一夏とは違い、慌てているような感じのしゃべり方だった。

 

「うん、平気だけど・・・一夏、焦ってる?」

 

 

私は気になったので一夏に尋ねた。

 

「当たり前だ!俺の大事な人たちが危険な目に遭ったんだぞ!焦るし慌てるに決まってるだろ!」

 

 

一夏の言ってくれた言葉は私と本音の心に響いた。

一夏は本当に私たちのことを大切にしてくれる。

 

「おりむ~ありがと~。」

 

「ありがとう、一夏。」

 

 

私たちは素直にお礼を言い、一夏にさっきしていた推測を話そうとした。

だが・・・

 

「あれはヴァルキュリー・トレース・システムだな。あんなものまで発動させるなんて・・・いや、本人の意思だけでは無いのか?ドイツ軍が勝手に開発し、ボーデヴィッヒの機体に隠して積んだのか。どっちにしろ今は関係ないか。簪、本音、ここは危険だから先生達の所まで避難しろ!」

 

 

すでにヴァルキュリー・トレース・システムの事は知っていたようだった。

 

「でも、一夏は?」

 

「俺はアイツを止める。」

 

「え!?危険だよ!?」

 

「おりむ~、危ないよ~?」

 

 

私と本音は一夏に危険な事をして欲しくは無かった。

 

「わかってるが、あれは腐っても織斑千冬のコピー。並の相手じゃ勝てないだろう。」

 

 

一夏の言葉は現に鎮圧を試みている先生達が苦戦しているので分かる。

 

「安心しろ!本物の織斑千冬にも勝てるんだから、劣化した偽者なんかには負けないから。」

 

 

言葉だけなら自分の力を過信しているようだが、今の一夏は本気そのものだった。

 

「約束だよ。絶対に無傷で戻ってくるって!」

 

「もし怪我したら私たちの言う事聞いてもらうね~。」

 

「はは、了解だ。」

 

 

笑顔で私たちの元から鎮圧部隊に加わった一夏。

どうか無傷で終わりますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてと・・・須佐乃男、聞いてたんだろ。

 

「(ええ、もちろんですよ一夏様。)」

 

 

それならさっさと終わらせるぞ。

 

「(承りました。)」

 

 

俺は須佐乃男を展開し、雪月を出す。

同じ雪の字を関する刀同士だが、劣化版など相手にはならない。

須佐乃男、一撃で決める。

ボーデヴィッヒの命が心配だからな。

 

「(出力はどのくらいで?)」

 

 

第三世代が出せる限界の少し上くらいで良い。

 

「(了解です。ですが一夏様、アレだけ暴言やら攻撃やらをされたのに助けるなんて、如何してですか?)」

 

 

別にボーデヴィッヒのことには興味ないが、命まで取りたい訳じゃないからな。

それだけ言って、相手の構えに合わせ動きを待つ。

 

ヒュッ・・・

 

相手が先に動くのを待っていた俺は、居合いの構えから攻撃してきた劣化版千冬姉に零落白夜を決める。

 

「おいおい、ここまで弱くないぞ?俺の姉は。」

 

 

あっさりと攻撃が当たり、俺は拍子抜けの思いをした。

 

「(何故だ?どうして私は負けた?)」

 

 

頭の中にボーデヴィッヒの声がした。

 

「(何故だ?私は手にしたはずだ。教官の強さを。)」

 

 

何言ってるんだか。

そもそも他人の強さを手に入れようとしている時点で、お前は強くなれてないんだよ。

 

「(何故だ?私は教官のようには成れないのか?)」

 

 

個人の強さはそれぞれだ。

他人になろうとするだけじゃ力を手に入れたとは言えない。

まずは自分自身の強さを見つける事だな、ラウラ・ボーデヴィッヒ。

 

「(そうか・・・教官に成ろうとしていた時点で、私は強くなれなかったのか。)」

 

 

それだけ言ってボーデヴィッヒは眠ってしまった。

一先ず無事に助けられてよかったよ。

 

「(本当ですね~。もし死なれたら一夏様の枕元に化けて出てきてたかもしれませんよ?)」

 

 

・・・馬鹿らしい。

俺は須佐乃男の冷やかしを一蹴し、先生達にここの後始末をまかせてピットに戻った。




これでようやく原作2巻の終わりが見えました。
次回はこの後始末と箒と束の会話ですかね~?
お楽しみに。

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