もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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大人の八つ当たりほど情けないものは無いですね……


千冬の八つ当たり

 一夏君が居なくても、私たちには質問したがるクラスメイトたちは多かった。むしろ一夏君が居ないからこそ質問してくるんじゃないかとも思えるくらいの勢いで、休み時間になると私たちの周りに集まってくるんだから、対処に困る……織斑先生が居れば話は別なんだろうけれども、生憎織斑先生もチャイムとほぼ同時に教室から居なくなり、チャイムと同時に教室に戻ってくるのでこの騒ぎには気付いて居ない可能性があるのだ。

 

「やっぱり織斑君の部屋って綺麗なの?」

 

「やっぱり? 何でそう思うの?」

 

「だって織斑先生の弟だし、普段からしっかりしてるのかなと思って」

 

 

 なるほど。如何やら織斑先生の実態を知らないらしい……まああえて幻想を正す必要も無いし、後で織斑先生に殺される可能性がある事を進んでしたくも無いので言わないけど、織斑先生は家事一切が出来ないんだから、私生活はしっかりしてないんじゃないかな……

 それでも一夏君はしっかりとしてる人だから、部屋は綺麗にしてあるし、散らかしたらちゃんと片付けるように注意出来る人なのだ。

 

「確かに一夏君の部屋は綺麗だけども、別にそれは普通だと思うけど」

 

 

 篠ノ乃さんも意外としっかりしてる人だから、私の部屋も普通に綺麗なのだ。散らかしっぱなしと言う事が無いからなのかもしれないが、偶に汚れてると気になってしまう……篠ノ乃さんが運動後にすぐに脱いでお風呂に入るから、その時だけは脱ぎ散らかされてるのだ。

 

「日下部さんや四月一日さんも織斑君の部屋に泊まったんでしょ? やっぱりドキドキするのかな?」

 

「そりゃしましたよ。何せ一夏様に世話を見てもらうんですから。申し訳無い気持ちと少し嬉しい気持ちで」

 

「私もドキドキはしたけど、それ以上に申し訳無い気持ちでいっぱいだった……」

 

 

 一夏君が大変な毎日を送ってるのを知っているからこそ、勉強の面倒を見てもらう事に申し訳無い気持ちがあったのだろう。

 

「何か色気無いね。ハプニング的な事は無かったの? 例えば織斑君の部屋って大きなお風呂があるって噂だし、そこに入ってる時に織斑君が入って来ちゃったとか」

 

「そんなのありえないわよ。だって一夏君は私たちがお風呂に入ってるのを知ってるし、その間に一夏君は食器を片付けたり勉強の準備などをしてるんだから」

 

 

 一夏君はそこら辺の高校生男子とは違うから、覗きたいと言う気持ちも無かったとは思うしね。そんな一夏君だから私たちも安心してお風呂に入れたんだろうけど。

 

「それじゃあ部屋で何してたの? 勉強だけって事は無いんでしょ?」

 

「……いや、勉強だけだよ」

 

 

 香澄の答えに一瞬の間があったのは、あの地獄の時間とも言える勉強を思い出したからだろう。合格出来ないと罰が待っているんだし、現に本音と美紀は追試まで経験してるのだ。それを間近で見ている香澄が恐怖を覚えてたとしてもおかしくは無い。

 だが、そんな事情を知らないクラスメイトは、その一瞬の間を、何か面白い事があるのかもと勘違いしたのだった。

 

「なになに~、その間は何かな~?」

 

「ほら、正直に白状しちゃいなさいよ」

 

「何でも無いよ……ちょっと怖い事を思い出しただけだから」

 

「怖い事? 織斑君がベッドに忍び込んできたとか?」

 

「それじゃあ興奮するだけじゃない」

 

 

 憶測が飛び交う中、香澄は事実のみを短く伝えた。

 

「怒った一夏君、凄く怖かった……」

 

 

 篠ノ乃博士が一夏君を眠らせようとした時の事なんだろうな。何せ香澄は一夏君の怒気に中てられて気絶しちゃったんだから……

 

「気を失ったのは仕方ないと思うよ。私だって戦場を経験してなかったら気絶してたかも知れないし」

 

「美紀はちゃんと物陰に隠れられたからいいけど、私とエイミィは逃げ遅れたんだから」

 

「一夏君が本気で怒ると窓にヒビが入るんだって知ったわよね……」

 

 

 私たちがしみじみと話してると、本音とマドカと須佐乃男が加わってきた。

 

「お兄ちゃんの話?」

 

「本気で怒った一夏君の話だよ」

 

「あの時ですか。でもあれはまだ本気とは言えないのではないでしょうか」

 

「そうなの?」

 

「だっておりむ~が本気で怒ったのなんて見た事無いもん」

 

「私は一度だけ。一夏様が本気で怒ると一切の加減無く相手を叩きのめそうとしますからね」

 

 

 そうなるとあの時はまだまだ加減してたって事になる訳よね……それで二人の意識を刈り取るほどの怒気を放つって如何言う事よ……

 

「えっと……つまり織斑君を怒らせない方が良いって事よね。でも織斑君ってあんまり怒らないよね? 注意はするけど」

 

「原因は何だったの? 本音が阿呆すぎて怒ったの?」

 

「何で私なの~! 原因は織斑先生と篠ノ乃博士だよ~」

 

 

 篠ノ乃博士の名前が出ると、窓際で知らん顔しながらもしっかりと会話を盗み聞きしてた篠ノ乃さんの肩がピクリと動いた。あの姉妹も上手く行ってないようなのだ。

 

「篠ノ乃博士が織斑君の部屋に居たの!? 何で教えてくれないの!」

 

「せっかくISの事を聞けるチャンスだったのに!」

 

「でも~、篠ノ乃博士は他人には興味無いよ~。おりむ~と織斑先生とシノノン以外は区別がつかないって聞いた事があるし~」

 

 

 本音の専用機は篠ノ乃博士が作ってくれたものらしいが、それだって一夏君が篠ノ乃博士にお願いしたからだそうだ。ちなみに呼ばれる時は布らしいけど……

 

「確かにあの人は姉さんとお兄ちゃん、後はそこの妹にしか興味が無いらしいよ」

 

「マドカは? 篠ノ乃博士とは交流無いの?」

 

「私は殆ど顔を合わせた事が無い。一昨日だって私には見向きもしなかったし、興味無いんじゃないの」

 

 

 そう言えばあの時、篠ノ乃博士はあの部屋に何しに来たんだろう……一夏君を眠らせようとしたのは分かるけど、その後で何をするのかは結局分からないんだよね。

 

「兎に角、一夏君の部屋には泊まってるけど、皆が思ってるよな事は無いし、勉強をしっかりとしないと一夏君は怒るんだからね」

 

「おりむ~を怒らせると怖いよ~」

 

「本音様がそれを言いますか……」

 

「本音が今最もお兄ちゃんに怒られる可能性が高いのに……」

 

「私だけじゃないよ~。美紀ちゃんだって危ないんだから~」

 

 

 一夏君が定める合格点を下回った事のあるのは本音と美紀だけだ。それでも美紀は一回だけだが本音は二回、どちらが怒られる可能性が高いと聞かれれば間違いなく本音だろう。

 追試で何とか合格した二人だけでも、次も同じ事が出来るか如何かと聞かれれば怪しい。追試だって本音はかなりギリギリで合格だったし、美紀もそれほど余裕がある訳でも無いのだから……

 

「なぁ、兄上がクラリッサの彼氏の勉強も見てると言うのは本当か?」

 

「ラウラウだ~! おりむ~が中学の時のお友達の勉強も見てるのは本当だよ~」

 

 

 ボーデヴィッヒさんが不思議そうに尋ねてきたが、貴女が脅しなんてかけなければ一夏君はもう少し楽が出来たんじゃないのかしらね。

 

「そうか、さすがは兄上だな。出来の悪い仲間の面倒までみるとは」

 

「だからお前が兄上なんて呼んで良い相手じゃない! お兄ちゃんは私だけのお兄ちゃんなんだから!」

 

「後から出てきて偉そうに! 兄上は私の兄上だ!」

 

「私はお兄ちゃんが子供の頃から一緒だったんだ! 後から出てきたのはお前だ!」

 

 

 この二人は何時もこのやり取りをしてるけど飽きないのかしら……一夏君も居ないし、織斑先生もまだ戻ってこないから、誰もこのやり取りを止められる人が居ない。下手に止めようとすると大怪我をする恐れがあるのだ。

 

「おりむ~は二人共大事に思ってると思うよ~。だって二人共おりむ~に頭撫でてもらってるでしょ~? 私たちの頭を撫でる時よりも、二人の頭を撫でてる時の方がおりむ~の顔が優しい感じなんだもん」

 

「むぅ……だが兄上は私の兄上だ!」

 

「違う! お兄ちゃんは私のお兄ちゃんなの!」

 

 

 何だか子供が言い争ってるようにしか見えなくなってきたんだけど……結局この争いはチャイムが鳴る直前まで繰り広げられていたのだが、誰かが言った「もうすぐチャイムが鳴る」と言った一言でパタリと言い争うのを止め、大人しく自分の席に戻って行ったのだ……

 やっぱり織斑先生は怖いんだと思ったのだが、私もそんな事を考えてないで席に着かないと出席簿で叩かれると思い出して慌てて席に着いたのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝のHRで言っていたように、一夏様は午前中の授業には来ませんでした。一夏様が忙しいのは普段の生活を見ても分かるし、更識の屋敷で何とか時間を見つけては私たちに稽古を付けてくれている事からもうかがい知る事は出来たのだが、まさか授業に出られないほど忙しいとは思って無かったのでかなりビックリしている。

 

「美紀、お昼だけど如何する? 教室で食べる?」

 

「静寂? もうお昼だっけ……」

 

「ちょっと大丈夫? 今日はやたらと織斑先生に指名されてたけど」

 

「うん、平気……だと思う」

 

 

 授業中に織斑先生に指名されすぎて、最早何時間授業を受けたかが定かでは無くなってきてしまっている……一夏様のように優しさがない、厳しさ100%の織斑先生は一切の容赦無く私を罵倒してきたのだ……答えられなかった私もだけども、織斑先生だって答えさせるつもりは無かったように思えたんだけどな……

 

「後で一夏君に報告しておけば大丈夫よ。織斑先生は一夏君には勝てないから」

 

「でも、これ以上一夏様にご迷惑をかけるのは……」

 

「大丈夫、一夏君は自分の限界をちゃんと把握してる人だから」

 

 

 静寂は随分と一夏様の事を把握してるような言い方をした。確かに一夏様は自分の身体の事をしっかりと把握してるのでしょうが、それでも私たちが頼りすぎると無理だと分かっていても引き受けてくれる可能性だったあるのだ。

 この前の亡国企業戦の時だって、一夏様は負傷してるのにも関わらず、ご自分よりも学園の人を守る事を選ばれました。その結果が絶対安静、一夏様がかなりの無理をしていた事を証明する形となって現れました。

 

「とりあえず言っとくだけでもしておきなさい。それだけでも違ってくると思うから」

 

「う、うん……後で相談してみる」

 

 

 一夏様に迷惑をかけるのが心苦しいけど、さすがにあれ以上織斑先生に目の敵にされるような仕打ちは受けたくない……

 とりあえず自分の中で結論付けて、私は今朝一夏様から手渡されたお弁当を取り出す。本来ならお世話になっている私たちが一夏様に作って差し上げなければならないのですが、私たちがするよりも一夏様が用意した方がはるかに早く、そして比べ物にならないくらい美味しいのです。

 

「食堂で食べようか」

 

「そうね。皆もそっちに行っちゃったしね」

 

 

 皆と言うのはあの部屋の住人の事なのだろうな……教室には本音もマドカも須佐乃男も居なかったし、香澄も居なかった。多分私があまりにも反応しなかったので、静寂に任せて場所取りをしてるんだろうな……

 

「一夏君もくるようだから、早く行きましょ」

 

「うん」

 

 

 一夏様の方も作業が終わったようで、昼食はご一緒出来るらしい。私は小さく頷いて静寂と食堂に向けて移動し始める。

 途中で簪ちゃんと合流して三人になったが、特に何かを話す訳でもなく無言で食堂までの道程を半分ほど過ごした。

 

「美紀、疲れてるけど大丈夫?」

 

「えっ? うん一応は……でも簪ちゃん、いきなり如何したの?」

 

 

 ずっと無言なのかと思ってたけど、徐に簪ちゃんが話しかけてきた。しかし見ただけで分かるほど私は疲れてるのだろうか……

 

「だって顔が凄く疲れてるっぽいし、何だかフラフラしてるから」

 

「え?」

 

 

 私としてはふらついてるつもりは無いのだが、如何やらフラフラとしていたらしい……別に足は疲れてないんだけど、全身に疲れが回ってると言う事なのかしら。

 

「さっきまで織斑先生に集中攻撃されてたからね」

 

「集中? 如何言う事?」

 

「一夏君が居ないのを良い事に、織斑先生は一夏君の世話になってる美紀と香澄を狙い撃ちしてたのよ」

 

「あれ? でも香澄は普通に食堂に行ってるんだよね?」

 

 

 この場に香澄が居ない事から簪ちゃんは香澄はそれほど疲れてないんだろうと判断したようだった。

 

「だって香澄は何とか答えられてたからね。途中から美紀だけを狙ってたし」

 

「そうなんだ。香澄は勉強会の成果が出てるんだね」

 

 

 エイミィと香澄はあの中では優秀な部類で、ぎこちなさは確かにあったけども織斑先生の問いかけにはしっかりと答えていた。

 一方の私はしどろもどろになるだけで、答えを導き出すのに結構な時間を要したのだ。そこで織斑先生は私を狙い撃ちする事にしたんだろうな……

 

「一種のパワハラだね」

 

「でも、本当に逆らえ無い人だからね……」

 

 

 逆らったら命が危ない……世界最強の称号を持っている相手なのだから、私のような高校生がまともに相手出来る訳も無いのだ。

 だから静寂は一夏様に相談しろと言ったんだろうな……

 

「そう言えば簪、一夏君の作業って本当に政府からの要請に不審な点がないかを調べる事だったの?」

 

「如何言う事? 私はそう一夏から聞いてるけど」

 

「だってさ、一夏君だって普通……では無いけど高校生だよ? その一夏君に政府からの要請書を見せるかなぁ」

 

 

 静寂の言いたい事は分かる。確かに一夏様は普通とは言えないが高校生だ。その高校生に政府からの要請書を見せる学校が果してあるのかと言う疑問はまったくだ。

 だが同時に一夏様は普通では無い高校生であり、政府相手にも真っ向から意見が言えるお方だ。無理矢理国籍を奪われて自由を失くしたのだからそれくらいしてもおかしくは無いのだが、織斑先生以上に一夏様は日本政府に対しての影響力を持っている。

 だって一夏様は元々日本国籍なのだから、順調に行けば一夏様の国籍は日本と言う事になるだろう。だが下手に対応して愛想をつかされたら一夏様は日本の敵と言う事になってしまうのだ(IS競技という意味でだけど)。

 そうなってくると一夏様の意見を蔑ろに出来なくなってくる政府の要請書を一夏様に見せると言うのは大いにありだ。何か不審点があれば織斑先生が指摘するよりも効果的に相手にダメージを負わせることが出来るのだから。

 

「そんなのは一夏に直接聞けば分かる事だよ。大体一夏が嘘を吐くメリットが分からないんだからさ」

 

「それはそうだけど……」

 

 

 授業を公欠扱いしてまで一夏様に頼まなければいけない事に、私たちは心当たりは無い。ゆえに政府からの要請書をチェックすると言う言い分を信じなければいけないのだ。

 そこに嘘があるとしたら、それはかなり重要な事を隠そうとしてると言う事になる。政府からの要請書以上に重要な事となると、それはもう私たち一介の高校生には割って入れない問題と言う事だ。一夏様に降り注ぐ危険のレベルもそれに準じるだろうから、隠そうとするのも頷ける。

 食堂に着くなり私たちは、一夏様に事の真相を尋ねた。

 

「一夏、本当に職員室で政府からの要請書を検閲してたの?」

 

「何だ藪から棒に……駄姉がそう説明したんだろうが」

 

「ですが、それ以上に隠さなければならない事柄なのかと思いまして」

 

「それ以上? 例えば何だよ」

 

「それは……私たちじゃ分からないけど、一夏君になら話せる事柄なんて沢山あるでしょ」

 

「何だそりゃ……何を心配してるのかは知らんが、本当に政府からの要請書の検閲をしてただけだ。嘘だと思うならナターシャや碧に聞け。あいつらもすぐ傍に居たんだから」

 

 

 何故ナターシャ先生と小鳥遊隊長が一夏様の傍に……やはり重大な何かを隠してるのでしょうか……

 

「何でその二人なの?」

 

「何でって、職員室なんだから教師に聞くのが手っ取り早いだろ? それで話しやすい相手をチョイスしただけだ。別に嫌なら他の教師でも良いがな」

 

「つまり他意はないんだね?」

 

「随分と疑り深いな……だからそうだって言ってるだろ」

 

 

 一夏様は少し辟易したように答えると、コーヒーを啜りながら目を瞑りました。よっぽど疲れてるのでしょうね、一夏様が私たちの前でこんな姿を見せるのは非常に珍しい事です。

 

「一夏君、ちゃんと寝なきゃ駄目だよ?」

 

「誰の所為だ、誰の」

 

「えへへ」

 

 

 刀奈お姉ちゃんの意味深な笑いに、私たちは首を傾げた。一夏様は二徹したようですが、昨日はそれほど仕事が残ってた訳でもなければ、誰かが問題行動をした訳でも無いんですよね。なのに何で一夏様は寝なかったのでしょう……

 

「お姉ちゃん、何かしたの?」

 

「ううん、何にもしてないよ」

 

 

 何時もの笑みで真相を私たちに悟られないようにしているようにも見えるのですが、刀奈お姉ちゃんが本気で何かを隠そうとしたら、それを暴けるのは恐らく一夏様だけでしょう。そして一夏様は刀奈お姉ちゃんが何かを隠してた場合、その真相を知ってる可能性が高いですからね、暴く事はしないでしょう……

 

「そうそう一夏君、授業の事なんだけど」

 

「何だ」

 

「織斑先生が美紀を苛めるように指名してたんだけど」

 

「そうみたいだな。須佐乃男を通じて知ってる」

 

「何とか出来ない?」

 

 

 刀奈お姉ちゃんの秘密を暴くのを早々に諦めた静寂が、一夏様に織斑先生の事で相談を始めた。

 

「アレの始末はもうしてきた。香澄と美紀には悪い事をしたな、代わりに謝る。すまなかったな」

 

 

 一夏様に深々と頭を下げられ、私と香澄は逆に恐縮してしまった。織斑先生に頭を下げられるのも緊張するけど、それ以上に一夏様にされるとドキドキしてしまったのだ。




嫉妬は醜いですよね……

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