もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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一夏お母さんは大変だ……


お母さんと加速する妄想

 目が覚めたら自分のベッドだった。別に普段ならおかしくも何とも無い事なのだが、昨日の私は確か一夏君のベッドで寝てたような気が……

 

「あれ~?」

 

 

 意味が分からなくて首を傾げてると、もの凄く鋭い視線が私に突き刺さってきた。

 

「えっと一夏君? 何でそんなに怒ってるのかな?」

 

「昨日の行動を思い返せば分かるんじゃないのか?」

 

 

 如何やら一夏君のベッドで寝た事を怒ってるらしい……それでもバレ無いように私を自分のベッドに運んでくれる辺りは一夏君が優しい証拠なんだろうな。

 

「ちょっとした冗談じゃない。そこまで怒らなくても」

 

「おかげで二徹目だ。授業中に寝てもおかしく無い状況なんだが?」

 

「まことに申し訳ありません」

 

 

 万全では無い一夏君に二徹させてしまったことを反省して、私は深々と頭を下げた。それで一夏君も許してくれたのか、さっきの突き刺さるような視線は収まった。

 

「たくっ、後で理由を聞かせてもらうからな」

 

「はい」

 

 

 一夏君に逆らえずに大人しく頭を下げながら反省する。偶にではあるが、一夏君を怒らせると大変な事になるので、これからはイタズラも考えてしよう……

 

「ところで一夏君は二徹って言ってたけど、今日は何してたの?」

 

「本音と美紀を如何するか考えてたのと、追加の阿呆の事、後は駄姉とちょっとな」

 

 

 言葉を濁したのが気にはなったが、追求しても答えてくれないのは分かってるので無駄なことはしない事にした。

 

「そう言えば今日は平日だったわね」

 

「だから少しでも寝ておきたかったんだがな」

 

「一緒に寝ればよかったじゃない」

 

「刀奈だけ贔屓しすぎだからな。他の人に悪い」

 

 

 病気の時は一夏君のベッドを使ってたし、亡国企業が攻め込んでくる直前には一夏君にトイレの世話までしてもらったからね……さすがにあれは私も恥ずかしかった……あんな形で一夏君に触ってもらうなんて思ってもみなかったからね。

 

「あれは不可抗力だろ」

 

「でも触ったでしょ?」

 

「………」

 

 

 少し顔を赤らめる一夏君を見て、やっぱり一夏君はこう言った話題は苦手なんだなって改めて思った。一学期は少し触れただけで逃げ出してたものね。

 

「今日の勉強会は如何するの? 午後は出来るけど午前は授業があるわよね」

 

「授業もしっかりと受けないと理解出来ないだろ。だから授業は授業でしっかりと勉強してもらって、今日はそのおさらいを兼ねた勉強をしてもらおうと思ってる」

 

「そっか。じゃあ一夏君も少しは楽出来るのかしら?」

 

 

 授業のおさらいって事は、それほど一夏君に負担が掛かる要素が無い。そう思っていたのだけど、如何やら違うようだ。

 

「授業を聞かないと問題を作れないからな。楽って訳では無いと思うが」

 

「そうなんだ……」

 

 

 問題作成の苦悩なんて私には分からない……普通は学生には分からない事だからしょうがないんだけど、こう言った事でも一夏君の助けになれないのは何だか歯痒いんだよね……助けてばっかりだから少しは恩返ししたいんだけど……

 そんな事を考えていると横から虚ちゃんが私の顔を覗き込んできた。

 

「如何かしました、お嬢様。何だか難しい顔をされてますが……」

 

「うん、如何やったら一夏君に恩返し出来るかな~って思ってさ」

 

「一夏さんにですか? どれだけ恩があるかにもよりますが、とりあえずは自分の事は自分でやるのが良いんじゃないでしょうか」

 

「そんなの恩返しにならないじゃない」

 

「お嬢様がご自分の事をしっかりとしてれば、あそこまで一夏さんに負担はかかってないと思いますが?」

 

 

 虚ちゃんに言われ、私は縮こまる……更識の問題も生徒会の仕事も大体は一夏君に任せているのだ。これ以上負担を増やさない、そして負担を減らすには私がしっかりと仕事をすれば良いだけなのだが……これがまた難しいのよね……

 確かに更識家の当主であり生徒会長でもあるのだけれども、その前に一人の女子高生なのだ。遊びたいと思っても当然な年頃なのに、虚ちゃんは仕事をしろって言うし、家の人は私に反感を持ってるようだし……これってイジメなの?

 その中でも一夏君は私に嫌味を言いながらもしっかりと代わりを務めてくれてるし、時には私の我が侭も聞いてくれる。恋人だと言う事もあるんだろうけど、一夏君は最終的には私の味方で居てくれるんだよね。

 

「虚ちゃんだって一夏君に頼ってるんだから、私が頼っちゃうのはしょうがないんじゃないかな? だって私は虚ちゃんより出来る人じゃないんだからさ」

 

「開き直らないでくださいよ。お嬢様だってやれば出来るんですから! ですからやってください!」

 

「何騒いでるんだ。まだ寝てるヤツもいるんだからボリュームは抑えろ」

 

「はい……」

 

「怒られてる~」

 

「刀奈もだ」

 

「ゴメンなさい……」

 

 

 一夏君に軽く睨まれ、私はションボリと俯く。怒られる私もいけないんだけれども、一夏君に怒られるとなんだか悲しい気持ちになるのだ。

 

「反省したならそれで良い」

 

 

 ションボリとしてた私の頭を、一夏君は梳くように撫でてくれた。もちろん虚ちゃんにも同様な事をしてるので虚ちゃんも騒ぎ出す事は無い。この辺りは一夏君の配慮なんだろうな。

 

「お嬢様、やはり一夏さんの負担を減らすにはお嬢様がしっかりとするしかないですよ」

 

「でも、一夏君って頼りになっちゃうから、如何しても甘えちゃうのよね……」

 

 

 私だけでは無く、皆もそうなんじゃないだろうか……本音や須佐乃男は勉強面で世話になってるし、私と簪ちゃんは家の問題で大いに助けてもらっている。そして虚ちゃんも悩みや家事の事で一夏君に相談してるのを、この前偶然見てしまった。

 このように私たち全員が一夏君を頼っていて、更に碧さんやナターシャ先生までもが一夏君に助けを求める事がある。碧さんは見回りの事、ナターシャ先生は座学の授業の事で一夏君に相談したり助けてもらってるんのだ。

 

「おはよう」

 

「簪ちゃん、おはよ~」

 

 

 私たちの声で目を覚ました……のか如何かは分からないけど、隣のベッドから簪ちゃんが立ち上がって挨拶をしてきた。寝ぼけ眼の簪ちゃんも可愛いわね~。

 

「何話してたの?」

 

「如何すれば一夏さんの負担を減らせるかです」

 

「お姉ちゃんがもうちょっとしっかりと当主様をやってれば問題ないと思うよ」

 

「簪ちゃんまでそんな事言うの!? お姉ちゃんショック……もう学校行かないもん……」

 

 

 心に多大なるダメージを負ったので、私はベッドの中で丸くなって篭城を決め込もうとした。だけど……

 

「さっさと起きて着替える。その前に顔を洗ってしゃきっとしてこい」

 

 

 お母さんポジションの一夏君が私が包まったシーツを剥いだ。その勢いで私は空中で一回転する……

 

「さすが一夏……」

 

「力技でお嬢様をベッドから追い出しましたね……」

 

「お前らもさっさと顔洗って着替えろ。今日は学校があるんだからあんまりのんびりはしてられんぞ」

 

「痛いよ一夏君……」

 

「生徒会長が不登校か? ふざけてないで真面目にやれ」

 

「は~い……」

 

 

 一夏君に怒られるのは、なんだかお母さんに怒られてるような感覚に陥るのよね……もともとお母さんに怒られた事など子供の頃に何回かしか無いから分からないけど、多分世の中のお母さんはきっとこんな感じなんだろうな。

 顔を洗う為に洗面所に移動しながらそんな事を考えてると、先に顔を洗っていた虚ちゃんの背中に思いっきり顔をぶつけた。

 

「痛い……」

 

「それはこっちのセリフですよ。しっかりと前見て歩いてください」

 

「考え事してたの。そうしたら何時の間にか虚ちゃんの背中が目の前にあって……」

 

 

 ぶつけたところを摩りながらの言い訳に、虚ちゃんも若干呆れ気味だった。昔からお姉ちゃんのように思ってた虚ちゃんだけれでも、最近は姉と言うよりも小姑な気がしてきた。

 

「お嬢様、今何か失礼な事考えてませんでしたか?」

 

「そんなこと無いよ~」

 

 

 内心冷や汗ダラダラだったけど、虚ちゃんには相手の心を読むような技術は無い。疑わしい目を向けはしてきたが、確証が無いのでこれ以上は責めてこなかった。

 

「授業だけど、テスト前だからそれほど進まないわよね?」

 

「何、急に……範囲が終わってれば進まないだろうけど、一夏のクラスは脱線が多いからかなり範囲が残ってると思うよ」

 

「そうなんだ……」

 

 

 山田先生の授業は脱線が多いとは聞いてたけど、範囲が大量に残ってる訳では無いでしょうね……もし残ってるとしたら一夏君が大変な事になってしまう……

 

「(私の所為で一夏君は二日目も徹夜しちゃったみたいだし、これは一夏君でも相当疲れると思うわよ……)」

 

 

 今思えば何で一夏君のベッドで寝たんだろうと悔やまれるが、今更悔やんでも意味が無い。後悔先に立たず、その諺が私の頭の中に思い浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一夏君の部屋から教室に向かうと、美紀や香澄は妙にそわそわしている……この二人は木曜日から一夏君の部屋に泊まってるんじゃなかったけ?

 

「少し落ち着いたら?」

 

「だって静寂、一夏君の部屋から教室に向かうなんて、何だか私たちまで一夏君と付き合ってるって感じがするんだもん……」

 

「そうじゃないでしょ。貴女たちは一夏君に泣き付いて勉強を見てもらってるだけなんだからね。余計な事を考える暇があるのなら、もう少し勉強に身を入れて……」

 

「それは分かってる。でも、一夏様と付き合ってると誤解されると、一夏様に迷惑が掛かるのでは無いかと、それが心配で……」

 

「誰も誤解しないわよ。そもそもその一夏君は職員室に呼ばれてるんだし、普通にしてれば私たちが一夏君の部屋に泊まってるなんてバレないわよ」

 

 

 これはかなり希望的観測だと、自分でも分かっている。美紀と香澄は互いがルームメイトだから問題無いが、私のルームメイトは篠ノ乃さんだし、エイミィだってルームメイトが居るはずだ。絶対に何処かから情報が漏れている可能性の方が高いのは分かっている。 

 でも……それでもこの二人を落ち着かせるためには、希望的観測だろうが何だろうがそう言うしか無いのよ。

 

「それに、わざわざ時間をズラして当校してくれてるんだから、私たちが一夏君の部屋から当校してるなんて分からないわよ」

 

 

 同じクラスの本音、須佐乃男、マドカはその事を考慮して別行動だ。これは彼女たちから言ってくれた事……では無く一夏君の案だ。一夏君も面倒な事は御免なのだろうな……

 

「もうすぐ教室に着くんだから、そんなオドオドしてたら余計に目立つわよ」

 

「そうだよね……」

 

「一夏様にこれ以上迷惑をかけるわけにはいきませんし、しっかりとしなければ」

 

 

 香澄の心配性もだけども、美紀のポジティブシンキングにも困ったものよね……ポジティブなのは良い事だけども、その理由の大半が一夏君のためなんだから……

 

「おはよう」

 

 

 美紀が何で一夏君を尊敬してるのかは、とりあえず聞いてるので分かってるんだけど、それでもこの態度は異常だと思える。

 そんな事を考えながら、私は教室のドアを開ける。何時も通り挨拶して何時も通り自分の席に座ろうとしたのだけども、その考えはかなり甘いものだったと思い知らされる……

 

「おはよう静寂。織斑君との甘い夜は如何だった?」

 

「日下部さんも四月一日さんも、織斑君と一緒に寝てたんでしょ? 羨ましいな~」

 

 

 教室に入るなり、清香と癒子がからかいの意味を込めて私たちに声を掛けて来た。それが教室中に聞こえる声だったので、そこからおかしな事になっていった。

 

「織斑君との甘い夜!?」

 

「ひょっとして織斑君に抱かれたの!?」

 

「織斑先生が傍に居るのに初体験!?」

 

「普段は寡黙な一夏君が、攻めの時には饒舌に……」

 

「「「きゃー!」」」

 

 

 一夏君ってそこまで寡黙かなぁ……話しかければそれなりにしゃべってくれるし、一緒に生活して分かったけど、一夏君は普段はもの凄くお母さんだ。心配したり注意したりしてくれて、それでいて暖かい雰囲気で包み込んでくれている。

 

「ちょっと待って! 織斑君が受けの可能性だってあるんじゃない?」

 

「普段は過激な織斑君が、ベッドでは攻められる側!?」

 

「た、堪りませんな……」

 

「ちょっと、アンタ鼻血出てるわよ」

 

 

 おかしな妄想は加速していってるが、既に私たちの手で止められるレベルを超えているので、一夏君が来るまでは好きにさせておくことにした。私たちが否定するよりも、一夏君が否定してくれた方がすんなりと受け入れてくれるだろうし、暴走を止めるのは一夏君の得意技だからね……

 私は現実逃避気味にそんな事を考えながらお気に入りの雑誌を開いて読み始める……だが開いたところで雑誌は私の手元から姿を消した。

 

「あれ?」

 

「おはようございます、鷹月さん。少しよろしいかしら?」

 

「よろしくないので雑誌を返してください」

 

「まさか連泊だとは思って無かったぞ」

 

「篠ノ乃さんは知ってるでしょ。織斑先生の許可は貰ってるわよ」

 

 

 デュノアさんが居ない今、この教室で最も一夏君に執着してるのはこの二人だろうな。如何やら生徒会室で一夏君が作業してるところに押しかけたらしいが、あっさりと追い返されたとか……全く相手にされて無いのにめげないのは凄いと思うけど、努力するベクトルが違うと思うんだよね……

 

「千冬さんは一夏には逆らえ無いからな。一夏に脅されて仕方なく許可したんだろ」

 

「それで、一夏さんは激しかったんですの?」

 

「……私たちは勉強会で一夏君の部屋に泊めてもらってただけで、そう言った関係じゃ無いわよ。そもそも一夏君はそう言った事が嫌いらしいから、彼女さんたちにも手を出してないそうよ」

 

 

 所謂草食系男子と言うやつなのだろうか……一夏君が草食系だとは思えないけどね。

 

「馬鹿言え! 年頃の男が異性に興味が無い訳ないだろ。一夏だってきっと興味津々に違い無い!」

 

「猛り狂う一夏さんを優しく受け入れて差し上げたいですわ!」

 

 

 この二人の妄想も酷いものだな……一夏君が聞いてたら殺されててもおかしく無いわね……

 

「おっはよ~!」

 

 

 そんなやり取りをしてたら、時間をずらして当校してきた本音たちも教室に到着した。

 

「なんだか教室中がピリピリしてます?」

 

「戦場みたいな雰囲気だね」

 

 

 須佐乃男もマドカも教室の空気が気になってるようだが、本音は相変わらずのマイペースだった。

 

「ほえ~? 皆なんで鼻血出してるの~? ……ハッ! もしかしてチョコレート? だったら私もほしいな~」

 

 

 今時チョコレートを食べて鼻血を出す人などいるのだろか……少なくとも私はお目にかかったことが無いわね。

 

「本音様、如何やらチョコでは無さそうですよ」

 

「じゃあピーナッツ?」

 

「……とりあえずお菓子から離れたら?」

 

 

 マドカの冷たいツッコミに、本音は首を傾げる。

 

「お菓子じゃないなら何で鼻血出してるの~?」

 

「何かで興奮してたんじゃないですか?」

 

「興奮? 何かあったのかな~?」

 

 

 如何やら鼻血の原因に心当たりがついた須佐乃男は、呆れたような視線をクラスメイトたちに向けており、マドカもそれで気付いたのか少し怒っている。

 そりゃそうよね……大好きなお兄ちゃんで妄想されてるなんてしったら、妹としては怒るわよね。

 

「ところで須佐乃男、一夏君は?」

 

「一夏様は職員室に行ったまま戻ってきてません」

 

「そうなの? 何かまた問題でもあったのかしら」

 

 

 クラスメイトの妄想云々は兎も角として、この場に一夏君が居なかった事を、私は大いに喜んだ。もし居たら鼻血ではない血が教室に流れていただろうから……

 

「如何やら千冬様がまた政府に呼びつけられたようで、その呼び出しに問題が無いか一夏様に確認してもらってるそうです」

 

「そうなんだ……でも何で一夏君に? 彼は生徒だよね?」

 

「お兄ちゃん以上に頼りになる人が居ないからでしょ。学校もその事が分かってるんだよ」

 

 

 確かに学園で一番頼りになるのは誰と聞かれれば、大抵の人は一夏君と答えるだろう。それ以外だと織斑先生か布仏先輩、後は更識先輩に分かれるだろうけど、やっぱりダントツで一夏君が頼りになると思われてるんだろうな。

 

「おりむ~が頼りになるのは当然だもんね~。学校もおりむ~に頭が上がらないね~」

 

「それは本音もでしょ」

 

「確かに。何時も朝起こしてもらってるし、酷いと着替えまで手伝ってもらってるもんね」

 

「一夏様も最早慣れてますからね」

 

 

 それは初耳ね……一夏君、貴方その歳で悟りでも開いたの?

 本音のスタイルは、同性の私から見ても魅力的だ。その本音の着替えを手伝ってるとなると、一夏君は本音の身体を直で見たと言う事なのだろう。それでも手を出さないなんて、十六歳の男子高校生にしたら破格の胆力だ。悟りを開いたのか、もしくは同性愛者でも無い限りありえないだろう。

 そしてもちろん一夏君は同性愛者では無い。可愛くて綺麗な彼女が沢山居る一夏君が、同性愛者な訳が無いのだ。

 

「貴様ら! さっさと席に着け!」

 

 

 織斑先生が教室に登場したが、未だに一夏君の姿は教室には無い。

 

「織斑先生」

 

「何だ相川」

 

「織斑君が来てませんが?」

 

「織斑兄は職員室で重要な任務を遂行している。ゆえに午前中は公欠となる」

 

 

 一夏君でもそんなに時間がかかっちゃうんだ……政府からの呼び出しの内容が気になるが、私みたいな一介の生徒が見れるようなものでは無いし、知れる内容でも無いだろうしな……

 

「織斑兄から貴様に伝言がある」

 

「私に?」

 

「後でノートを見せてほしいそうだ」

 

「はぁ、それくらいなら」

 

 

 一夏君が授業に出てない時のノートは、大抵私が見せてあげてるので、改まって言われなくとも分かっていたのだが、こう言ったところは律儀なんだね。

 

「それでは授業を始める。山田先生も忙しいため、今日の午前中は全て私が担当するからそのつもりでな」

 

 

 つまりかなり厳しい授業になると言う事ですか……こりゃ皆大変な思いをするわね……学校では織斑先生で部屋では一夏君だもんね……




女子校ってこんな感じなんでしょうかね?

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