もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。


一夏の苦悩

 正座させていた四人も寝静まった頃、俺は一人悪友二人から送られてきた答案の採点を始めた。問題集に手を付ける前にやるようにと言っておいたので、しっかりとやったようだが、何だこの空欄の多さは……

 

「殆ど習ってるはずなんだが……」

 

 

 あまりの酷さについつい口に出してしまったが、俺が作ったのは弾から送られてきた範囲を元にそれなりに難易度を落としたものなのだが、弾も数馬も殆ど空欄で送って来やがった……時間制限も何もした覚えは無いんだが、何でそんなところだけ律儀なんだか……

 

「(本音や美紀より酷いってのも考え物だが……)」

 

 

 俺が今現在受け持ってる中で、一,二を争う点数が低い二人より酷いのは、IS学園のレベルが高いからなのか、それとも悪友二人が馬鹿なのか……

 

「(後者だろうな……思ってたほどIS学園のレベルは高く無い。一部の人間はずば抜けて出来るようだが、殆どの生徒は素人に毛が生えた程度の実力しかないしな……しょうがないと言えばそれまでだが)」

 

 

 IS自体数が少ないのだし、一般家庭にあるようなものでも無い。適性があり試験に合格した生徒が、初めから高いレベルである方がおかしいんだよな……

 

「(俺の周りにはISに慣れてる人間が多かったからな……それが基準だと思ってたってのもあるが、IS学園の一般教養レベルは恐らくそこら辺の高校とさして変わらないだろうな)」

 

 

 ISに携わる人間の必須科目は日本語、ISの発祥の国の言語だからしょうがないと言えばそうなんだが、IS学園があるのは日本だ。今更日本語の発音やら読み方やらを教える必要は無い。留学生は最初から日本語が出来るのが前提で通ってくるのだから、そっちの心配も必要ないのだ。

 そうなってくると次に必要になってくるのが、各国で通じる英語と言う事になるのだが、これがかなり酷いのだ。

 さっきのテストも英語では書いたが、内容はかなり簡単なもの。意味さえ分かれば小学生でも答えられるはずの問題だ。現に成績優秀者の簪と静寂は満点を取っている。てか簡単過ぎると怒られたのだが……

 しかし勉強が苦手だと公言している六人には英語と言うだけで出来ないと言う固定概念が出来ているようで、問題を見た時点で諦めているようだったのだ……

 

「(弾や数馬にも同じようなレベルの問題を織り交ぜたのだが、これは酷いな……ちゃんと問題を読んだのかすら疑わしいレベルだ……)」

 

 

 親切に選択問題にしてやったにも関わらず、それをスルーして本当に出来そうな問題しかやってきていないのだ……

 

「(もうコイツらは補習になった方が良いんじゃないだろうか……)」

 

 

 だがそうなると数馬はラウラにそれ相応の罰を下される事になる。さすがに殺しはしないだろうが、ラウラなら一週間くらい水しか飲めなくなるようにする事など造作も無い事なのだ。悪友にそんな生活を送らせるのはさすがに可哀想だ……

 だからと言う訳では無いのだが、こうして更に細かく、より分かりやすく説明を添えて再び送り返すのだが、この作業が意外と面倒なのだ。アイツらの頭に合わせた説明となると、見ている自分が馬鹿になった気分に陥るのだ……

 

「(これで分からなかったアイツらは本物の馬鹿だな……)」

 

 

 噛み砕きすぎて原型が分からないんじゃないだろうかというレベルまで噛み砕いて説明しているのだ。これで理解出来ないんじゃ手のうちようが無い。諦めて学校の先生に面倒を見てもらう事になるだろう……

 

「(直接教え込めれば別なんだが、アイツらの面倒まで見たくねぇしな……)」

 

 

 そもそも何処に集まるとかも重要になってくるのだ。俺は基本的に寮で生活してる為に自由は利かないし、こっちに招き入れる事も不可能だ。普通に生活してるから忘れてたが、ここは女子寮なのだから男子禁制なのだ……

 

「(さて、さすがに理解してくれよな……)」

 

 

 ファックスに祈ったところで何かが変わる訳では無いのだが、祈りたくもなるのだ。何で俺がアイツら二人の為に胃の痛い思いをしなければいけないんだか……

 

「(さて、これで阿呆二人の分は終わったな)」

 

 

 悪友二人の採点と説明書きを終えた俺は、今度は別の作業に取り掛かる事にした。

 

「(とうとう本音が合格点から結構離れてしまったし、美紀も合格が厳しい状況になってきてしまったんだよな……)」

 

 

 問題児の中でも更に問題なのはこの二人、気持ち良さそうに寝ている本音を見て、軽く殺意を覚えるのは仕方の無い事なのだろうか……

 一方の美紀は何だか寝苦しそうな顔をしてるが、何の夢を見てるんだか……しょっちゅう起きては寝てを繰り返してるので、別段気にはしないんだが……

 

「(この二人のレベルにそろえてたら他の四人には簡単になってしまうし、かと言って二人を置いてきぼりにするのもなぁ……問題を変えて出すにしても、やっぱり二人は遅れていってしまうし……)」

 

 

 あのレベルで合格出来ないのだ。本番レベルまで上げたら点数が無くなってしまってもおかしく無い。本音を言えば他の四人ももう少し高い点数を取ってほしいのだが、とりあえず合格点はクリアしてるので今はブツクサ言っても仕方ないのだ……

 

「(如何したものか……いっそ全員に高レベルの問題を解かせて無理矢理理解させるか? いや、それだと意味が無いな……その場凌ぎじゃ駄目だ)」

 

 

 テストの為だけの勉強じゃ意味が無い。しっかりと知識としてその人の身にならなければ教える意味が無いのだ。

 

「(美紀はやる気はあるけど知識が身に付かない、本音はやれば身に付くんだろうが、やる気が無いんだよな……)」

 

 

 二人を足して二で割れば少しはマシなんだが、もちろんそんな事をやろうとは思わない。出来ないのではなくやらないのだ。やろうと思えば出来るのだから……

 

「(昔駄姉と足して二で割られそうになったからな……)」

 

 

 もちろん駄ウサギの計画だが、何故だか駄姉も乗り気だったのだ。子供と高校生を足して二で割ると如何なったのか、今少し気になったが、実戦してたら元に戻れてたかは定かでは無いので全力で止めてよかったと改めて思った。

 

「(そもそもやるとしたら同性じゃないのか? 異性とやったら色々とおかしな事になりそうなんだが……)」

 

 

 所謂オネェとか言うヤツになってたのだろうか……身体は男で心が女とかそう言った感じなものに……

 

「(完全に失敗だよな、そうなってくると……)」

 

 

 逆はなんて言うのか分からないから考えないでおくが、身体が女で心が男だと、今の駄姉とさして変わらないような気がするんだが……何処かで足して二で割ったのだろうか、あの駄姉は……

 

「(さて、問題も作った事だし、そろそろ寝るか……なぜ刀奈は俺のベッドで寝てるんだ?)」

 

 

 気が付かなかったが、俺のベッドが膨れ上がっていたので布団を捲くってみると、刀奈がスヤスヤと寝息をたてていた。

 

「(仕方ない、また生徒会室で徹夜だな)」

 

 

 一緒に寝ても良いのだが、刀奈とはこの前一緒に寝たばかりで、さすがに贔屓だと言われても仕方ない状況になってきているのだ。

 

「(問いただすのは明日の朝でも出来るし、今は寝かせておこう)」

 

 

 あそこまで気持ち良さそうに寝てると、どうも叩き起こせない……気配を殺して部屋から出て行き、俺は生徒会室を目指したのだが……

 

「今何時だと思ってるんだ!」

 

 

 廊下に出た途端に駄姉に見つかった。

 

「何だ、起きてたのか」

 

「お前のおかげで昼過ぎまで気を失ってたからな」

 

「人の所為にするな、自業自得だろ」

 

 

 先に人の部屋で騒ぎ出したのは駄姉だ。その制裁として俺は駄姉に一撃喰らわせたのであって、責任の全ては俺にある訳では無い。

 

「それで、こんな時間に何処へ行くつもりだ」

 

「生徒会室だ。仕事が残ってるんだよ、誰かさんが押し付けたな」

 

「さて、私は見回りの続きでもするか」

 

 

 分かりやすいヤツ……生徒会に押し付けられてくる仕事の大半がこの駄姉が担当するはずだったものを山田先生に押し付けて、更に山田先生が泣きついてきたものなのだ。つまり元を辿ればこの駄姉の仕事と言う事になる。

 

「一夏、お前昨日徹夜だろ? 何で寝ないんだ」

 

「だから仕事があるって言ってんだろ」

 

「そんなものまだ期限があるだろ。急ぐものでも無い」

 

「なら自分でやれ」

 

 

 確かに急ぐほどではないのだが、それでも期限が迫ってきてるのは確かなのだ。

 

「私はお前ほど処理スピードがある訳じゃないからな」

 

「だったらより遅い山田先生に押し付けるな」

 

「話を逸らすな。お前なら二徹は大丈夫かもしれんが、それは体調が万全の場合だろ。お前はまだ万全とは言えない状況だろ」

 

「明日は寝るから心配するな。俺にも色々あんだよ」

 

 

 駄姉の追求を振り切って生徒会室に向かおうとしたが、さすがに無理があったようで腕を掴まれた。

 

「まだ話は終わってないぞ!」

 

「寝てる人間も居るんだ、騒がしいだろ」

 

 

 どっちが教師か分からない構図になってきたが、とりあえず場所を移すことにした。と言ってもすぐそこの寮長室なのだが……

 

「……おい駄姉よ。アンタさっき昼過ぎまで気を失ってたとか言ったよな」

 

「ああ、それが如何した?」

 

「ならなんで昨日よりか散らかってるんだよ! 明らかに半日で散らかせるもんじゃねぇだろうが!」

 

「束のヤツが私の通帳を探してたんだろ」

 

「通帳? アンタが何かを頼んで、その料金が未納だって言うあれか」

 

「何故知ってるんだ!?」

 

 

 驚いている駄姉だが、そんな事少し考えれば分かるだろうが……

 

「あの駄ウサギはアンタが金を払わないから俺に代替しろって言ってきたんだよ! てか何を頼んだんだ、言え」

 

「いくら一夏でもそれは言えない。プライバシーだ!」

 

「どうせくだらないものだろ。そんな事に金を使う余裕があるのなら、少しは女らしくしたら如何だ? まぁ、そんな事しても無駄だとは思うが」

 

「私の何処が女らしくないんだ!」

 

「……逆に何処が女らしいんだよ」

 

 

 上下ジャージ姿で言われても説得力が無いのだが……それにこのゴミ溜めのような部屋に散らかし放題のキッチン、脱ぎっぱなしの衣類など、何処を見ても女の部屋だとは思えないのだが……本音でももう少し片付いてるぞ。

 

「見ろ! この胸を!」

 

「見せるな馬鹿!」

 

 

 脱ごうとした馬鹿に鉄拳を喰らわせる。誰が義姉の胸など見たいか。

 

「じゃあ後は下を見せるしか無いぞ……」

 

「アンタの女らしい部分は身体の一部だけかよ……」

 

 

 情けなくなってきたので、散らかった部屋を綺麗に片付けて逃げ出す事にした。また異臭騒ぎとかになると面倒だしな……

 

「ここら辺のものは全部捨てて良いんだな?」

 

「何処らへんだ……駄目に決まってるだろ! あの馬鹿に高い金を払って手に入れてるんだから!」

 

 

 CD-Rの山を捨てようとしたが、もの凄い速度で飛びついてきた。やっぱこの人にISは必要無いんだな……

 

「くだらない妄想に人を巻き込んだ気持ちの悪い映像だろ? こんなのゴミだろ」

 

「人が何を大事にしてるかはその人の勝手だろうが!」

 

「正論だが、それが相手に不快な思いをさせるものなら話は別だろ」

 

「じゃあ一緒に見て不快か如何か確かめてもらおうじゃないか!」

 

「いいぜ。その代わり不快だと思ったら全部残らず塵にしてやるからな」

 

「……止めておこう」

 

 

 如何やら俺が不快な思いをする事は確定な中身のようだった……自分から喧嘩を売ってきたのに、あっさりと引き下がったのがその証拠だ。

 

「……何で私の話になってるんだ。お前の話だろうが!」

 

「今頃気付いたのかよ……」

 

 

 如何やら誤魔化しきる事は出来なかったようで、駄姉は本来の用件を思い出してしまった。

 

「何故お前は寝ないんだ」

 

「アンタには関係無いだろ。誰に迷惑をかけてる訳じゃねぇんだし、アンタにとやかく言われる筋合いも無い」

 

「私はお前の姉だぞ」

 

「義理のだろ。血の繋がりは無ければ今は姉とも扱われない駄目人間だ」

 

「……最近の一夏は毒舌だな。だが興奮する、もっと罵ってくれ!」

 

「……だからアンタは駄姉なんだよ」

 

 

 気持ちの悪い事を言い出した駄姉の顎を蹴りぬく。これで暫くは意識を失っててくれるだろう。その間に片付けを済ませて逃げ出す事にしよう。

 

「痛いぞ一夏……」

 

「何で起きてるんだよ……」

 

「ギリギリで直撃は避けたからな」

 

 

 そう言われれば感触が微妙だったな……寝てないのと身体が万全でないのも合わさって、キレが悪くなってるのか……

 

「さて一夏、寝ない理由を聞かせてもらおうじゃないか」

 

「だからアンタには関係無いし、誰に迷惑をかけてる訳じゃねぇんだし、気にするなよな」

 

 

 心配はかけるかもしれんが、迷惑はかけない。無茶をしてるつもりも無い。

 

「何故そこまで頑なになる」

 

「何故そこまでしつこくなる」

 

 

 似た口調で返すと、駄姉がプルプルと震えだした。随分と沸点の低い事で……

 

「如何やら口で聞いても答えないらしいな」

 

「怪我人相手に喧嘩か? 随分と野蛮な教師も居たもんだな」

 

 

 更に煽って理性を失くさせる。そっちの方がこっちも対処しやすいのだ。

 

「一夏! ッ!?」

 

「黙れ」

 

 

 落ちていたボールペンを眼球一cm手前で止める、平常心が残ってれば気付いたかもしれないが、怒りで冷静な判断が出来なくなってる駄姉じゃ気づけないほど小さな動きで拾ったものだ。

 

「失明したくなかったら大人しくしてるんだな」

 

「………」

 

 

 一気に怒気が抜けたのか、駄姉は数歩下がって床に座り込んだ。そこまで脅したつもりは無いんだがな……

 

「……ん? 何か臭う……ゲッ!」

 

 

 この女、失禁しやがった……何だよ、そこまでの恐怖は与えたつもりはねぇぞ。

 

「ほら立て! ああもう汚れてるし……ほら、さっさと着替えろ! 洗濯してくっから」

 

「………」

 

 

 あまりの恐怖で言葉が出せないのか、駄姉はさっきから無言だ。さすがにボールペンはやり過ぎたのだろうか……

 

「……って! 俺の前で着替えようとするなよ! アンタ一応は女なんだから」

 

 

 まだ姉弟だと思ってた時は裸でうろつかれても軽く注意するくらいだったが、全くの赤の他人の裸などそれが彼女でも無い限り見たくない。俺は慌てて目を逸らし別の箇所を掃除し始める。

 

「いちかぁ……」

 

 

 何だかか細い声で呼ばれた気がした……

 

「何だよ」

 

 

 返事が無いので振り返ると、漏らした上にへたり込んでいる駄姉が居た。

 

「何やってんだアンタは! 余計に汚れただろうが」

 

「上手く立てないんだよ……」

 

「は?」

 

 

 足に力が入らないようで、少しの間立っただけで踏ん張れなくなってしまったらしい……あのブリュンヒルデがあれくらいの脅しで駄目になるとは……

 

「それと、何だかお腹が痛くなってきた」

 

「はぁ!? さすがにそれは漏らすなよな!?」

 

「だが、動けないんだが」

 

「チッ、仕方ねぇな、運んでやっから自分で始末しな。その間に片付けとくから」

 

 

 駄姉をトイレに連れて行くにあたって、一つ問題がある。一番近いトイレは当然女子トイレだ。深夜とは言え俺が入っても大丈夫なのだろうか……かと言って男子トイレまで、下半身丸出しの二十台中盤女性を運ぶのは何か嫌だ。

 

「仕方ないか……」

 

 

 駄姉を抱きかかえて近くのトイレに放り込む。その間に漏らしたものを綺麗に拭いて、汚したものを洗濯機にぶち込んだ。

 

「匂いも消さないとな……何で駄姉の排泄の世話までせにゃいかんのだ……」

 

 

 まさか失禁するとは思って無かったので、やった行動なのだが、駄姉も脆くなってきてるのだろうか……

 

「さてと、後はこの一角の掃除だけなのだが……何処にしまえばいいんだか……」

 

 

 処分するのは駄目らしいので、何処かに押し込みたいのだが、生憎既に押入れは満杯なのだ。

 

「どれだけつぎ込んでるんだか……」

 

 

 もう金の管理もしてないので分からないが、これだけの量を買うとなると、それ相応の金額にはなってるだろう。給料の半分くらいはこれで消えてってるんじゃないだろうか……

 

「後は酒代とつまみか? 貯金してるんだろうな、あの駄目人間……」

 

 

 手ごろのゴミ袋を引っ張り出し、その中に纏めて入れておく。これならいざと言う時にすぐに捨てられるからいいだろう。

 部屋の掃除を終え、駄姉をトイレに迎えに行ってから洗濯物を干す。この前洗濯したばかりなのでまだ代えの下着は残ってるだろうしな。

 

「それじゃあ俺は生徒会室に行くから、もうついて来るな」

 

「行きたくとも行けないさ……なにせまだ足に力が入らないんだから」

 

「そんなに怖かったか? 俺としては加減した方なんだが」

 

 

 本気ならもう一本いってたし、なんなら本気で抉ってたかもしれん。だから寸止めとは言え止めた時点で俺は本気では無かったのだが……

 

「お前の加減は他の相手には加減にならんからな。お前の怒気と合わさって私でも耐えられなかったんだ」

 

「なら怒らせるような事を言うなよ……こっちだって万全じゃねぇんだぜ」

 

 

 寮長室から出て、俺は自分の服が汚れてないかを確認する。私服だから明日の授業には支障は無いのだが、さすがに汚れてたら洗いたいしな。

 

「よし、大丈夫だな」

 

 

 汚れが無いのを確認してから時計を見ると、既にマドカが起きそうな時間になっていた……駄姉の部屋で掃除してたからな、随分と時間が経っていたのだろう……

 

「仕方ない、着替えて朝食でも作るか」

 

 

 作業する時間も無いし、これから寝てもろくに疲れは取れないので、俺は大人しく十一人分の朝食を作る事にした。もちろん自分の分は含めていないのだが……




一夏の胃の負担が心配ですね……今更ですが

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