もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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彼は本当に人間なのだろうか……


徹夜での作業

 一夏に襟を掴まれて寮長室まで引き摺られる。最早慣れたが、何故このウサ耳マッドと一緒に引き摺られなければならないのだろうか……

 

「いっくん、もう少し優しくしてほしいな~」

 

「人にものを頼める立場だと?」

 

「ゴメンなさい……」

 

 

 束が一夏に話しかけると、一夏は今まで見せた事の無いくらいの鋭い視線を束に向けた……何故だか私まで震えるのは果して自然なのだろうか……

 

「一夏、鍵が掛かってるから私が開けよう」

 

「寮長室の鍵は、俺も預かってるから問題無い。アンタが何回も失くすから、こっちでも管理してるんだよ」

 

「そ、そうだったな……」

 

 

 今度は私に視線を向け、私を黙らせる。束も震えているから、さっきの私の反応は間違っては無かったんだろうな。

 

「さすがに掃除したばかりだからそれ程散らかっては無いな」

 

「当たり前だ! お前は私を何だと思ってるんだ!」

 

「家事無能、腐海製造駄姉だ」

 

「あはは~! いっくんおもしろ~い! ……ゴメンなさい」

 

 

 束が腹を抱えて笑ったので、私は思いっきり睨んでやった。いくら束とは言え、さすがにあそこまで笑われたら私だって怒る。

 

「アンタも大差無いだろうが。この家事無能コンビが!」

 

「はうぁ!?」

 

「怒られてやんの」

 

 

 さっき人の事を馬鹿にした罰だ。束が怒られた事をあえてもう一度分かりやすく口にだしてやった。

 

「さてと、とりあえずそこに正座」

 

「「えっ?」」

 

「せ・い・ざ!」

 

「「は、はい!」」

 

 

 一夏のただならぬプレッシャーに私も束も大人しくその場で正座をする。幼い頃から一夏には怒られてきたが、これほどプレッシャーをかけられるのなんて数えるほどくらいしか無いぞ。

 

「さて、まず駄ウサギからだな」

 

「な、何かな~……」

 

「アンタ、人殺す気か! あれほどの量の睡眠薬を飲まされたら、さすがに堕ちるかと思ったぞ!」

 

「むしろあれで堕ちてないいっくんが怖いよ……普通の人間なら致死量だったんだけどな」

 

「貴様! 一夏になんてものを飲ませてるんだ!」

 

 

 致死量と言う単語を聞いて私は束に掴みかかった。普通の人間なら死んでてもおかしく無いものを仕込んだ事は兎に角、それを一夏に飲ませるなど言語道断だからな。

 

「駄姉は一先ず黙ってろ」

 

「でも一夏……」

 

「黙ってろ」

 

「はい……」

 

 

 一夏に睨まれて大人しく正座をする。睨むだけで言う事を聞かせるなんて、一夏は立派な調教師になれるんじゃないだろうか……だが誰かが一夏に調教されるなんて耐えられないかもしれんな……むしろ私を調教してくれ!

 

「ハァハァ……」

 

「ちーちゃん、何興奮してるの?」

 

「ちょっと新しいシチュエーションを思いついてな」

 

「何かな何かな~」

 

「……如何やら死にたいらしいな」

 

「「あっ……」」

 

 

 一夏の目の前だと言う事を失念してしまっていて、ついつい束と盛り上がりそうになってしまった……

 

「す、スマン一夏……ちょっとした出来心なんだ!」

 

「そうだよいっくん! 妄想は自由でしょ?」

 

「だが時と場所を考えてするんだな。そしてその気持ち悪い妄想に人を巻き込むな!」

 

「「ギャー!?」」

 

 

 一夏の平手が、私と束の背中にもみじを作る。一夏は気持ち悪い妄想だと言ったが、内容を分かってるのだろうか……

 

「さてと、それじゃあアンタらにはこれを飲んでもらおうか」

 

「いっくん……それってもしかして……」

 

 

 一夏が取り出した液体を見て、束が尋常じゃないくらい震えだした。いったい何だと言うんだ……

 

「そうだ。駄ウサギの想像通り、致死量の睡眠薬が入ったコーヒーだ。これを飲むなら今の暴走を許してやらん事も無い」

 

「そ、そんなの飲んだら死んじゃうよ~!」

 

「ほう? それを俺に飲ませたのは何処の誰だったかな? ん?」

 

「そ、それは……」

 

 

 事実一夏に飲ませたのは束だ。それを言われると束は何も反論出来ないのか、その場でシュンと肩を落とした。

 

「飲めないと言うなら仕方ない。それじゃあこっちを食べろ」

 

「それは?」

 

「昔クロエさんが作った暗黒物質をホルマリンで漬けたものだ」

 

「さすがの束さんも、それは食べれないな~……」

 

「大体一夏、何故そんなものをホルマリン漬けにしてとっているんだ!」

 

「何時か役に立つかも知れんと思ってもらっておいたんだ。まさかこれほど早く役に立つとは思わなかったな」

 

「まさか、ホントに食べろなんて言わないよな……」

 

「遠慮するな。アンタが作ったものよりかは美味しいかも知れないぞ?」

 

 

 一夏の笑顔が怖い……普段は無表情かイラついた表情を見せる事の多い一夏が、満面の笑みで私を見ているのは、そこら辺の殺人鬼より怖いのだ……

 

「ちーちゃん、そこら辺に殺人鬼なんて居ないよ……」

 

「人の思考を読むな」

 

「どっちも嫌なら仕方ない。それじゃあ二つを融合させたもので勘弁してやろう」

 

「「それはもっと嫌だ!」」

 

 

 暗黒物質に致死量の睡眠薬入りのコーヒーを混ぜたものなど、さすがの一夏でも死ぬかもしれないものだ。それを私や束に食せと言うのか……私たちはそこまでお前を怒らせたとでも言うのか!

 

「人の邪魔ばかりしておいて、怒られてないとでも思ってるのか? それこそおかしいだろ」

 

「お前まで人の思考を……」

 

「ちーちゃんは分かりやすいからね~」

 

「アンタも同罪だからな」

 

「あうぅ……いっくんが怖いよ~」

 

 

 一夏に睨まれた束が、更に小さく蹲っていく……恐怖から逃げる為に小さくなっているのだろうが、それだとかえって的が小さくなる分プレッシャーは凝縮されて身体に伝わってくるんじゃないだろうか……

 

「駄ウサギはとりあえずこれくらいで一旦終えて、今度はお前だ。駄姉よ」

 

「一夏、私はお前を助けようと……」

 

「それじゃあそのポケットに入ってるものは何だ?」

 

「こ、これは……」

 

「ん~……あっ! いっくんのパンツ!」

 

 

 どさくさに紛れて拝借したものを、一夏に見破られてしまった……

 

「人を助けるフリをして、人のパンツを盗むとは……言い訳があるなら聞くだけ聞いてやるが如何する?」

 

「ありません……スミマセンでした……」

 

 

 どんな言い訳をしようが、一夏を納得させる事など不可能だし、それに聞くだけだと言ってる時点で、一夏は私を許すつもりなど無いのだ。

 

「やはり効果的に罰を与えるには、あの部屋に閉じ込めるのが良いんだろうが……」

 

「あの部屋?」

 

「待て! ちょっと待ってくれ一夏! お前が思っているのは、もしかしなくてもあそこだよな?」

 

「そうだな。あの何も無い空間だ」

 

「あそこだけは! あそこだけは勘弁してくれ! それ以外なら何だってするから!」

 

「ちーちゃんが此処まで脅えるなんて……いったい何処の事なんだろう……」

 

「何だって……ねぇ」

 

「あっ……出来れば私が出来る事だけにしてほしいぞ……」

 

 

 一夏の笑みを見て、猛烈に嫌な予感がしたので、私は早速発言を撤回して可能な事に変えてもらう。さすがに屋上から飛び降りろとか、そんな怪我の危険性がある事はしたく無いのだ。

 

「普通の人なら死ぬよね?」

 

「また貴様は!」

 

「ねぇねぇいっくん。ちーちゃんがこれほどまでに嫌がる場所って何処なのかな~?」

 

「知りたいなら、教えてやっても良いぞ?」

 

「本当!」

 

「ああ。身を持って体験させてやるさ」

 

 

 一夏の表情を見て、束もヤバイと感じ取ったようで、もの凄い勢いで首を左右に振り出した。

 

「遠慮しておくよ~。いっくんのその顔、かなり怖い事が待ってるって事だけは分かったからね」

 

「そうか……なら仕方ないな。やはりこの二つを混ぜたものを食べてもらうしか……」

 

「「だからそれは死ぬって!」」

 

「一つは駄ウサギが作ったものだぞ? それを拒否るのか」

 

「だって! 束さんはいっくんほど胃袋が丈夫じゃないんだよ~! 致死量だっていっくんよりも普通の人間に近いし」

 

「貴様が一夏に飲ませたのなら、貴様も飲んで詫びるしか無いよな?」

 

「あっ、ここぞとばかりにいっくんの味方して……いっくん! ちーちゃんになら飲ませても平気だよ!」

 

「私だって飲んだら死ぬわ!」

 

 

 この馬鹿がどれほど睡眠薬を混ぜたのかは知らんが、一夏でも一瞬寝るほどの強力なものなら、私だとかなり危険なものだろう。一夏は私よりも人間離れしているから平気だったが、私でも平気だと言う保証は無いのだ。

 

「それじゃあやはりあの空間で反省してもらうしか……」

 

「止めてくれ! あの空間はもう嫌なんだ!」

 

「だからそれって何処なの~?」

 

「アンタが一時期駄姉をストーキング出来て無かっただろ? あの時に駄姉が閉じ込められてた場所だ」

 

「それって……この前ちーちゃんに聞いた場所?」

 

「何だ、教えてたのか?」

 

 

 この前束にCD-R代を安くしてもらう代わりに知りたがってた事を教えたのだ。その時にあの空間の事も話した。

 

「つまり、特別指導室って事? あの死にたいくらい退屈な空間に束さんを閉じ込めるの? それは人類皆の損失だよ!」

 

「アンタが居なければ、世界はもっと平和だっただろうに……世界の為にもアンタは暫く閉じ込められてる方が良いだろう。そもそも普段と大して変わる訳でも無いだろうし」

 

「変わるよ~! PCがあれば問題無いけど、本当に何も無いんでしょ~?」

 

「トイレはあるぞ」

 

「そんなのあっても研究出来ないよ~!」

 

「お前に研究させるとろくな事が無いからな」

 

「酷いよいっくん~! いっくんの為に新武装とか色々研究してるのに~!」

 

「そもそもアンタがISを発表しなければ、俺はこんな目に遭わずに済んだのですが?」

 

 

 一夏の正論に、束のヤツは何も言えなくなってしまっている……確かにISが無ければ、一夏が大怪我をする事も無くなってただろうし、誘拐などと言う馬鹿げた事に巻き込まれる事も無かっただろう。

 

「さてと、あれも嫌だこれも嫌だじゃしょうがねえ、それなら手っ取り早く終わらせる方法を取らせてもらおう」

 

「えっと……」

 

「それってつまり……」

 

 

 束と顔を合わせ、お互いが何を思っているかの確認をする。一夏が手っ取り早く終わらせるお仕置きと言えばあれしか無い。だがあれはかなり痛いのだ……

 

「なるべく痛くなくしてくれ!」

 

「一瞬で意識を手放せるようにしてくれると嬉しいな……」

 

「安心しろ。ゆっくりジワジワと身体に浸透して行くようにしてやる。あっさりと楽になどしてやらんから覚悟しろ」

 

「「ヒィッ!?」」

 

 

 さっきの満面の笑みも怖いが、やはり怒った一夏の顔の方が何十倍も怖い……普段の怒った顔はそれ程本気では無いので何とか耐えられるが、さっきの一夏の部屋のように、本気の怒気に耐えられずに意識を失う事だってあるのだ……

 

「さて、逃げようとした駄ウサギからしてやろう。駄姉はそこで黙って見てるんだな」

 

「ち、ちーちゃん……助けて……」

 

 

 スマン束よ、さすがの私でも、一夏からお前を救ってやる事は出来ないのだ……束のあの目を、私は暫く忘れる事が出来ないだろうなと思いながら、束が一夏にヤラれるのを黙って見ていた……束が意識を手放せたのは、一夏による拷問が数十分経ってからだったのだ……私はもう少し意識を早く手放したいものだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 駄ウサギと駄姉にお仕置きをして、俺は一先ず寮長室から出た。屍と化した二人の傍にはなるべく居たくないのだ。

 

「これで少しは反省してくれると良いんだが……」

 

 

 自分で言っておきながら、かなり希望的観測だと言う事が分かってしまった。既に何度か同じ事をしているのに、一向にあの二人のふざけた行動は減らないのだから……

 

「何時だよ今……」

 

 

 部屋を出たのが九時前くらいだったから、今は大体十時くらいかと思い時計を見ると、既に日付が変わっていた……

 

「そんなに長く説教してた覚えは無いんだがな……」

 

 

 精々一時間かそこらだろうと思っていたので、この時間には結構驚いた。まさか三時間以上も説教してたとはな……

 

「怒りで全く眠気が無いな……」

 

 

 三時間も怒り続ければ、普通は疲れるのだろうが、普段から本気で怒る事を我慢してた所為もあって、本気で怒ると逆に眠気は吹っ飛ぶのだ。

 

「さて、部屋に戻ってもさっきの続きは出来ないだろうしな……」

 

 

 この時間じゃ、既に全員寝てるだろうし、下手をすればマドカが起きる方が、俺が寝れるまでの時間より短いかも知れんしな……

 

「徹夜か? 部屋の明かりを点ける訳にもいかんし、作業途中のものだけ持って生徒会室にでも行くか」

 

 

 あそこなら鍵を持ってるし、誰にも邪魔されずに作業する事が出来るだろう。幸いにして明日……いや、日付が変わってるから今日か。今日も学園は休みだし、眠かったらどこかで仮眠を取れば行けるだろうしな。

 そうと決めれば、一先ず作業途中のものを部屋から持ち出さなければいけないな。俺はコッソリと部屋に侵入し、テーブルの上に置きっぱなしになってるであろう作業途中の問題を回収しようとした。

 

「(自分の部屋なのに、何でこんな泥棒のような事をしてるんだろうな、俺は……)」

 

 

 目的のものはすぐに見つかり、俺は回収して部屋から出るために再びコッソリと移動し始める。

 

「一夏様?」

 

「……美紀、起きてたのか」

 

「はい。本当なら皆さん起きて一夏様を待ってる予定だったのですが、睡魔に勝てず、一人、また一人と寝てしまいました」

 

「無理して待っててもらってもな……美紀も寝てて良かったんだぞ?」

 

「しかし、一夏様の帰りを待つのも私の仕事ですし」

 

「……そんな事を仕事にしてもらった覚えは無いんだが」

 

 

 忠誠心と言うのか、美紀の俺に対する思いはかなり強いものなのだろう。よほどあの家での生活が嫌だったんだろうな……

 

「それじゃあ、俺はまた出るから、今度は大人しく寝てろ」

 

「どちらへ?」

 

「生徒会室で作業の続きをしてる。帰りはもう朝になってるだろうから、待ってなくて良いからな」

 

 

 念押ししておかないと、美紀の事だから夜通し俺を待ってるとか言い出しそうだからな。

 

「……それは命令ですか?」

 

「は?」

 

「一夏様の命令でしたら従います。ですが、命令で無いのなら聞く事は出来ません」

 

「あのな……お前は明日も……いや、今日もか。今日も午前も午後もテストがあるんだぞ」

 

「はい。存じています」

 

「それを寝不足の頭でクリア出来るのか?」

 

「それは……」

 

「じゃあ命令だ。大人しく寝て、今日のテストに備えろ」

 

 

 本当なら俺の立場では美紀に命令出来ないのだが、本人が希望してるので仕方なく命令の形を取る事にした。これで納得するならいくらでも命令してやる。

 

「分かりました。一夏様の命令、この命に代えても果してみせます」

 

「……大げさだろ。俺が言ったのは寝ろって事だぞ……」

 

 

 寝ろと言って死なれたらかなり気分が悪いぞ……この忠誠心は如何にかしないと後々面倒になりそうだな……だが、無理に諭すと絶望するかも知れないし、これは既に面倒事になってる感じがするぞ……まぁ俺を慕ってくれてるのは嬉しいがな。

 

「それでは一夏様、おやすみなさいませ」

 

「ああ、寝ろ寝ろ。これからは無理に帰りを待つ必要は無いからな」

 

「分かりました」

 

 

 美紀がベッドに入ったのを確認してから、俺は部屋から廊下に出た。確認しないとそのまま待ってそうだったのでそうしたのだが、これだと俺が美紀を過剰に心配してるように思えてくるんだが……

 

「手のかかる妹が、もう一人出来たみたいだ」

 

 

 義妹のマドカと、俺を兄のように慕ってくるラウラ、それと何時まで経っても自力で起きられない本音と、俺の周りには妹、または妹のような相手が既に三人居るのだ。そこに美紀まで加わってくると、いよいよ意味が分からない……俺は妹に願望など持っていないのだが……

 

「弾や数馬じゃあるまいし……」

 

 

 実妹が居るのにも関わらず、弾は妹と言うものに夢を見ているようだ。中学事態に数馬となにやら白熱した論争をしてたから、何事かと思って聞きに行こうとしたら、クラスメイトの女子に止められたんだよな……「あれは変態の話し合いだから、織斑君は行かない方が良い」って……

 その後で詳しい事を聞かされて、止めてもらって良かったと心から思ったものだ……

 

「大体、姉や妹に夢を見るのがおかしいんだよな……俺の義姉があれだからそう思うのかも知れないが……」

 

 

 世間の姉や妹が、必ずしも『アレ』やマドカのような訳では無いと言う事は分かっている。だけど俺は姉や妹の夢を見る事が出来ないのだ。

 

「さてと、変な事を考えてないで、さっさと作業しちまうか」

 

 

 あそこならコーヒー豆があるし、お湯もあるからコーヒーの準備には困らない。それに駄ウサギが薬を混ぜたのは部屋だけのようだったし、もう同じ手には引っかからないから気にする事も無いしな。

 

「ついでに溜まってる仕事も終わらせておくか。刀奈が真面目にやると言ってたが、何処まであてに出来るか分からないしな……」

 

 

 信じてない訳では無いのだが、信じすぎても駄目だろうからある程度は自分でやっておいた方が後々楽なのだ……

 そんな事を考えながら、俺は午前と午後のテストを作り終え、そして生徒会の仕事もある程度終わらせた。ふと外に目を向けると、若干ではあるが明るくなってきていた……結構集中してたんだな……まさかマドカが起きるくらいまでの時間まで作業するとは……

 

「駄ウサギの所為で、一瞬寝たからな……全然眠くない」

 

 

 軽く伸びをして、俺は生徒会室から部屋に戻る事にした。この後朝食の準備をして六人の勉強させている間に掃除と洗濯をして、その後でテストだな……

 

「学生のスケジュールじゃねぇな……」

 

 

 しみじみとそんな事を考えながら部屋に戻ったのだった。




致死量の睡眠薬を飲まされて、数秒堕ちるだけとか……

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