もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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今回一夏の人間離れした能力が出ます。


強さを追い求めた結果・・・

「今日は皆さんに転校生を紹介します。」

 

 

朝、教室に着くなり山田先生がこう言った。

転校生ね・・・デュノアの事だろうが、形的には再入学だからな。

クラス中も分かってるから騒ぐ事も無い。

 

「シャルロット・デュノアです。改めましてみなさん、よろしくお願いします。」

 

 

シャルル・デュノア改めシャルロット・デュノアが挨拶をする。

 

「おいデュノア、何でまだ男子の制服なんだよ?」

 

 

ひょっとして本当に男装趣味なのか?

 

「うん一夏、再入学の手続きや実家との事はすぐに何とかなったんだけど、制服だけは準備に時間がかかるらしいんだ。学園にあった予備の制服は、サイズが合わなくてさ・・・。」

 

 

ふーん、確かにここの制服は細かいサイズまでピッタシに作られる。

だからって、まったく合わないなんてことがあるのか?

 

「(女性には色々あるものですよ。ですので、あまり詮索するのはデリカシーに欠けると思いますよ?)」

 

 

別にそこまで知りたい訳ではない。

だが、少し大きかろうが男子の制服を着るよりは良くないか?

 

「(そんな事私に言われたって分かりませんよ。)」

 

 

・・・お前色々言う割りに無責任だよな。

 

「(失礼な!そもそも服を着ない私に制服のことなんて分かるはず無いですよ。)」

 

 

それもそうか。

俺は須佐乃男の言い分に納得して会話を終わらせる。

 

「でも何で男子の制服なんだ?少し我慢してでも女子の制服の方が良いんじゃないか?」

 

「うん、そうなんだけどさ。折角作ったんだから着ないと勿体無いでしょ。だから女子の制服が出来るまでは、この格好でいようとおもうんだ。」

 

「そうか・・・男装趣味ではないんだな?」

 

「違うよ!」

 

「だよな・・・分かってはいたが、一応確認しとかなきゃな。」

 

「酷いよ、一夏のバカ!」

 

「そう怒るな、改めてよろしくな。」

 

「うん、よろしく。皆もよろしくね。」

 

 

なんともいじりがいのある奴だな。

俺は途中から確認よりもデュノアをいじる方に力を入れていた。

そういえば・・・

 

「お前の事はシャルロットって呼べばいいのか?」

 

「好きに呼んでくれて良いよ。僕もお母さん以外には『お前』や『これ』って呼ばれてたからさ。呼びやすいように呼んでくれて構わないよ。」

 

「随分とひどい扱いをされてたんだな・・・じゃあ『シャル』でどうだ。」

 

 

折角友達になれそうなのだ。

俺はあだ名を提案した。

 

「(一夏様、友達作りに必死ですね。)」

 

 

昨日誰かさんに束さんと同レベルで他人に興味が無いなんて言われたからな。

俺だって何とかしようとするさ。

 

「(酷いこと言う人も居るんですね~。)」

 

 

お前だろうが!

俺はとぼけた事を言った須佐乃男にツッコミを入れ、シャルの返事を待つ。

 

「うん!いいね・・・シャルか。可愛くて呼びやすい感じだね。ありがとう、一夏。」

 

「ああ、気に入ってくれてよかったよ。皆もシャルって呼んでやってくれ。」

 

 

これで、友達になれるだろうか?

俺は今まで異性の友達なんて鈴以外居なかったからな。

どうやって付き合っていくのかよく分からないから、あだ名を付けたくらいじゃ駄目なんだろう。

 

「(でも、一歩前進したんじゃないですか?シャルさんも気に入ってますし、これから慎重に付き合っていけば、良い友達になれますよ。一夏様、頑張ってください。)」

 

 

ああ!

俺は須佐乃男の応援に答えるべく、シャルと友達になれるように頑張ろうと誓った。

 

「さて、HRを始める。織斑、号令を。」

 

 

おっと、織斑先生の登場だ。

現実に戻り、HRに集中する。

 

「さて諸君、あと一週間で個人トーナメントだ。エントリーしていないものはすぐさまエントリーするように。」

 

 

そうか、もう一週間後か。

だから明日から猛特訓したいって、簪が言ってたのか。

そこまでしなくても、簪は一年の中ではトップクラスの実力を有しているんだがな。

上を目指すのは良いことなので俺は快く承諾した。

ちなみに、何故明日からなのかと言うと・・・

 

「今日はまだ、本音の専用機が戻ってきてないし、私だけ一日長く特訓するのは不公平だから。」

 

 

だそうだ。

ライバルである本音とは、対等な条件で戦いたいらしい。

俺としては、一日でも多く特訓したほうが良いと思うが、簪の気持ちを大事にしたいため今日は特に用事がない。

 

「そうだ、織斑。生徒会長が探していたから、後で生徒会室に行くように。」

 

 

刀奈さんが?

何か伝え忘れだろうか?

 

「分かりました。」

 

 

俺は短く返事をして、刀奈さんの用件を考えた。

 

「織斑、考え事はいいがそろそろ授業だ。あまり考えすぎないようにな。」

 

 

そう言って職員室に戻っていく織斑先生。

ああそうか、今日の一時間目は山田先生の授業か。

俺は教科書と取り出し、時間まで考え事をすることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休み。

俺は携帯で何時行けばいいか確認をし、この時間を指定された。

そりゃ、授業合間に生徒会室に行ったところで相手は居ないしな。

俺は扉を4回ノックし相手の返事を待つ。

ノックの回数だが、2回はトイレ、3回は親しい相手、4回が礼儀が必要な相手に対してと言うように、回数で意味合いが変わるのだ。

普段なら3回でも良いと思うが、場所が生徒会室だからな。

気楽に来れるような場所ではないからな。

 

「はい、どうぞ。」

 

 

中から虚さんの声がしたので俺は生徒会室に入る。

 

「失礼します。」

 

「いらっしゃ~い、一夏君。別に堅苦しくなる必要なんてないから、とりあえず座って。」

 

 

中に入るなり、刀奈さんの明るい声に迎えられた。

堅苦しくしたつもりは無いが、一応礼儀として挨拶くらいはしないと駄目でしょう。

 

「一夏君、個人トーナメントは出ないのよね?」

 

 

刀奈さんの向かい側に座るなり、そんな事を聞かれた。

 

「ええ、前にも言った通り俺は出ません。」

 

「それじゃあ、今日の放課後時間有る?」

 

「大丈夫ですよ。今日は特訓も無いですし、何かしようとも思ってないですから。」

 

「本当!じゃあ約束通り生徒会の仕事を手伝ってほしいな。」

 

 

俺は机に目をやり、驚いた。

 

「生徒会ってこんなに書類があるんですね。」

 

「あ、あはは・・・それはもう大変なんだから。」

 

 

・・・なにか隠してないか?

 

「虚さん、これの期限は何時までですか?」

 

「この山は今日までです。」

 

 

・・・この山は?

 

「もしかして、ここにある以外にも書類の山が?」

 

「ええ、楯無様はギリギリまで生徒会の仕事をしてくれませんし、私一人では限度がありますし・・・。」

 

 

あれ?本音も確か生徒会だよな。

クラス代表を決める時に自分で言ってたし、いくら本音でも少しぐらいは働くだろうし。

 

「(一夏様はどうせやらないだろっ!って突っ込んでましたけどね~。)」

 

 

普段の本音を見ればそう思うだろうが。

だが、逃げの一手で生徒会を使ったんだからその分くらいは働いてるはずだ。

 

「あの、本音も生徒会のはずですよね?なのに虚さん一人ってことは・・・」

 

「ええ、あの子はほとんど仕事をしてくれませんし。」

 

 

・・・本音のやつ。

俺は後で説教する事を決めた。

 

「それは・・・お疲れ様です、虚さん。」

 

 

俺は虚さんの頭を撫でながら労をねぎらう。

 

「はふ~、ありがとうございます、一夏さん。」

 

 

やはり姉妹なのだろう。

俺が頭を撫でると同じように目を細め気持ち良さそうな声を出す。

 

「あーズルイ虚ちゃん!」

 

 

俺が撫でていると刀奈さんが虚さんに嫉妬し始めた。

 

「良いな~、一夏君私も撫でて~。」

 

「ちゃんと仕事したら撫でてあげますよ。もちろん手伝いますが。」

 

「本当!よーし放課後一気にこの山を片付けるわよ!」

 

「普段からそうしてくださると、私も楽なのですけど・・・。」

 

 

ため息を吐いた虚さんを、またやさしく撫でる。

 

「虚さんも大変なら俺に相談して下さい。力になれると思いますよ。」

 

「はい、ありがとうございます。でも、今はこのまま撫でていてください。」

 

「ずーーーーるーーーーいーーーー!」

 

 

放課後の予定が決まったな。

俺は虚さんを撫でて、刀奈さんに嫉妬されながら残りの昼休みを過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その生徒会室の出来事から少し遡り、昼休み開始直後の屋上では2組の鈴と1組のラウラを除く例のメンバーが集まっていた。

 

「何、アンタ女だったの。」

 

「うん。男の格好をして一夏の搭乗データを盗ってこいって言われてたんだけど、あっさり一夏にバレちゃって。」

 

「一夏に隠し事をしようとするだけ無駄よ。」

 

「そうですわね。一夏さん、勘が鋭いですし。」

 

「たしかにアイツは勘が鋭い。しかもそれだけではなく観察眼も備わってるからな。」

 

「そうみたいだね。」

 

 

女子同士話が合うのだろう。

この場に居ない一夏の話題で盛り上がっている。

 

「ふん、あんなヤツ大した事はない。」

 

 

屋上の入り口付近で4人の話を聞いていたラウラ。

 

「アイツを打ちのめし、私こそが教官にふさわしいと証明してやる。」

 

 

何やら不穏な空気を纏いその場を離れるラウラ。

もしこの場に一夏か千冬が居たのならばその空気を感じ取ったのだろうが、あいにくどちらもこの場には居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休みもあとわずかになったので俺は教室に戻る。

途中で本音と簪に会ったので、俺は本音を問い詰める。

 

「本音。お前生徒会の仕事、ほとんどやってないらしいな。クラス代表の時に生徒会の仕事があるからって言ってたよな。」

 

「ほぇ~、おりむ~何怒ってるの~?」

 

 

状況が理解できていないようだ。

 

「さっきまで生徒会室に居たんだが、書類整理をまったくしないって居さんが嘆いてたぞ。」

 

「だって~、私が見ても分からないことばっかりなんだも~ん。楯無様もおね~ちゃんがやってくれるから別に無理することないよ~って言われたし~。」

 

 

・・・本音もだが、刀奈さんも相当酷いな。

 

「だが本音、お前も生徒会の一員なら少しは手伝おうとしろよ。」

 

「私は~かんちゃんのお世話で忙しいのだ~。」

 

 

どちらかと言えば本音が簪にお世話されてないか?

 

「本音、生徒会が忙しいなら、私のこと気にしなくても良いよ。」

 

「だめだよ~。かんちゃんもおりむ~と一緒で友達少ないんだから~私が居ないと一人になっちゃうよ~。」

 

「「グフッ!」」

 

 

俺と簪の心に突き刺さった本音の一言。

そうか・・・簪も俺と同じか・・・。

俺は簪に親近感を覚え、これからはもっと仲良くしようと決めた。

 

「とにかく、少しは生徒会の仕事をすること。今週は俺が手伝うから良いが、個人トーナメントが終わったらちゃんとしろよ。」

 

「了解なのだ~。」

 

「あれ?でも、それだと私たちとの特訓は?」

 

「ああ、それなら問題無い。書類の整理が終わったら付き合うよ。」

 

 

さっき決めた事だが、俺の担当する書類の量は刀奈さんや虚さんより少ない。

だから放課後全部を書類整理に当てるなんてことは無い。

 

「そうなんだ・・・良かった。」

 

 

安心したのか簪はそんな事をつぶやいた。

 

「じゃあ放課後な。」

 

 

俺たちは教室に着いたので別れた。

 

「おりむ~今日はがんばってね~。」

 

「もともとはお前の仕事だろ!」

 

「ほ、ほぇ~~~~。」

 

 

人事のように言う本音に強めのツッコミを入れる。

ちなみに、すでに教室に来ていた山田先生を驚かせてしまったのですぐに謝った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、頑張るわよ~。今日は一夏君も予定ないし三等分で良いわよね?」

 

 

放課後、生徒会室に着くなりそんな事を言われた。

別に良いですけど、もともとは刀奈さんが溜め込んだ書類ですよね?

などと思ったが、口に出したのは別の言葉。

 

「構いませんよ。その代わりしっかりやって下さいよ。」

 

「まっかせなさ~い!」

 

 

この言葉を合図に、俺たちは書類の山に取り掛かった。

えーと何々・・・

 

『織斑君を部活に入れようキャンペーン実施のお願い』

 

 

これは却下だな。

次は・・・

 

『織斑君に女装させようキャンペーン実施のお願い』

 

 

ろくなもんじゃ無いな。

次は・・・

 

『食堂のデザート充実のためのアンケート実施』

 

 

これは決定事項か。

女子高だもんな、デザートが充実すれば喜ぶだろう。

 

「(この生徒会はこんなものばっかやってるのでしょうか?)」

 

 

・・・違うと思うが。

えーと次は・・・

 

『織斑君に千冬様の全てを話してもらいたいのですが・・・』

 

 

こんなもの生徒会に要望出すなよ!

俺は心の中で盛大に突っ込み、残りの書類を確認していく。

ふざけたものは初めの一部のみで、残りは真面目なものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふー、終わりが見えてきたわね。」

 

 

ここまでノンストップで作業していたおかげで、すでに3/4を消化している。

 

「これなら完全下校時間を気にする必要もないですね。」

 

「そうね~、今回は楽だったわね~。」

 

「普段からキチンとしていれば、このような事態にはならないのですが。」

 

「虚ちゃん、今はそれ無し。折角こうやって順調なんだから、説教はこんどね。」

 

 

仕方ないですねと言わんばかりに盛大にため息を吐く虚さん。

この人が居なかったら生徒会は機能しないだろうな。

 

「あれ?ねえねえ一夏君、あれって一夏君のお友達じゃない?」

 

 

刀奈さんが窓の外を見て俺に声を掛けた。

俺の友達って鈴か?

俺は窓の外を見て確認をする。

やっぱり鈴だ、もう一人はセシリアだな。

遠目からでも良く分かる鈴の姿とセシリアの髪型。

なにやら口論しているみたいだが、大丈夫か?

などと暢気な事を考えていたら・・・

 

「あれって一夏君に喧嘩売ったドイツの子じゃない?」

 

 

どうやら第三者の登場だ。

絶対にややこしい事になる。

 

「一夏君!二人が大変!!」

 

 

分かってますよ。

ここから見てもボーデヴィッヒのISが二人を追い詰めている。

いや、あれは追い詰めるといった感じではなく殺そうとしている?

 

「何やってやがる!」

 

 

俺は窓を開けアリーナに向かって跳ぶ。

 

「一夏君!?ここ3階!」

 

 

刀奈さんが驚いた声を出したが今はかまってられない。

俺は一気に飛び降りアリーナの観客席入り口付近に着地する。

ここからピットを通ってグラウンドに行ってたら間に合わないな。

俺は観客席に向かいあることをすることにした。

・・・あまり人に見せたくないのだが、しょうがないか。

 

「あっ、織斑君。大変なの、セシリアと凰さんが!」

 

「分かってる。ちょっと集中するからはなれててくれ!」

 

 

俺は精神を集中しアリーナを囲っているバリアーをすり抜ける。

 

「えっ?織斑君が壁をすり抜けた!?」

 

 

だからあまり見せたくなかったんだ。

 

「後で説明するから、今は先生を呼んできてくれ!」

 

「わ、分かった。」

 

 

さてと、あの問題児をどうするか。

俺は須佐乃男を展開し鈴とセシリアを助けに向かった。

 

「随分と手荒なまねしてるな、ボーデヴィッヒ。」

 

「来たか・・・貴様、私と勝負しろ!」

 

「その前に二人を離したらどうだ、このままだと命に関わる。」

 

「だからどうした?私は貴様と勝負が出来ればそれで良い!」

 

 

二人を放り投げ俺に向かってくるボーデヴィッヒ。

アイツ、殺す気か!

俺は放り投げられた二人を空中でキャッチし、ピットに向かう。

 

「二人は此処に居ろ!すぐ先生が来る。」

 

 

それだけ言い残しボーデヴィッヒに向かう。

 

「ドイツ軍人って言うのは人の命を何だと思ってるんだ。」

 

「あんな屑共、死んだところで何も思わん。」

 

 

やれやれ、コイツの教育担当は千冬姉のはずだろ。

俺はため息を吐きながらボーデヴィッヒに斬りかかる。

 

「ん?何だ、結界か?」

 

 

近づき斬りかかったが、何やら結界に止められた。

 

「この停止結界の前ではどんな攻撃も意味を成さない!」

 

 

停止結界?何だそれは?

 

「(アクティブ・イナーシャル・キャンセラーですよ。AICとも略される第三世代最強の結界とも言われるものです。)」

 

 

須佐乃男の解説を受けながら、一旦距離をとる。

結界なら何とでも出来る。

俺は再び左手で斬りかかる。

 

「無駄だ!貴様には学習能力が無いようだな!」

 

 

再び停止結界で止められるが・・・

 

「同じ手で止められると思っているのか?」

 

「何!?」

 

 

俺は右手を突き出し停止結界に触れる。

そして・・・

 

「何!?停止結界をすり抜けただと!?」

 

 

アリーナのバリア同様すり抜けた。

 

「結界で止められるなら、その結界を越えれば良い!」

 

 

俺は右手に銀を展開しようとしたが・・・

 

「そこまでだ!」

 

 

織斑先生の登場でそれは出来なかった。

 

「この件は私が預かる。織斑、ラウラ、問題はないな。」

 

「はっ、教官がおっしゃるなら。」

 

「元々俺は二人を助けに来ただけだしな。」

 

「よし!ならば解散。今後トーナメントまでの間、一切の戦闘を禁ずる。」

 

「織斑先生、二人は?」

 

 

俺は二人の状況を確認したかった。

 

「安心しろ、命には別状無い。」

 

 

良かった。

一先ず安心したが、

 

「織斑先生、ボーデヴィッヒの件で聞きたいことがあるのですが。」

 

「何だ?」

 

 

周りにいた人達はすでに戻っていっている。

なので生徒としてではなく弟として話すか。

 

「何でボーデヴィッヒは俺を憎んでいる?」

 

「ああ、そのことか。」

 

 

やっぱり千冬姉は知ってるのか。

 

「アイツが特殊な生まれなのは話したな。」

 

「ああ。」

 

「アイツは力こそ全ての世界にいたのだ。ISが出来る前は最強と呼ばれるほどの実力を有していた。しかしISが発表され軍のあり方が変わり、ISに無理矢理適応させようとした実験があり、アイツもその被験者だ。」

 

 

なんともまた重い話だな。

 

「だが、アイツは適応できなかった。そんなアイツのことを周りは無能扱いをした。そんな時に私がドイツ軍に指導しに行ったのだ。」

 

「それでボーデヴィッヒは千冬姉の強さに惚れたのか。」

 

「ああ、それでアイツは私に強さの秘訣を聞いてきたのだ。」

 

 

ここまで俺が恨まれるような事はないよな?

 

「(ええ、ありません。)」

 

 

俺は須佐乃男に確認をとった。

 

「それで、何て答えたんだ?」

 

「弟を守るために強くなったと。」

 

 

まさかそれだけか?

 

「その後に一夏の素晴らしさを2時間くらい話していたらボーデヴィッヒは何処かに行ってしまったのだが・・・」

 

「やっぱアンタが原因か!!」

 

 

おそらく千冬姉の強さを手に入れようと追い求めた結果、弟の自慢話を聞かされる羽目になったことへの恨みと、それだけ千冬姉に思われている事への嫉妬だな。

俺はボーデヴィッヒのあの態度をそう結論付け、部屋に戻ることにした。

元凶である千冬姉に鉄拳制裁を済ませて・・・。




壁抜けは次回ちゃんと説明させます。
それにしても一夏よ・・・普通の人間は出来ないぞ。
次回タッグマッチトーナメント、お楽しみに。

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