もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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やっとシャルとラウラ登場。
若干原作とは違いますよ。


悪友の妹と金と銀の問題児

「一夏、IS学園って女しか居ないんだろ。」

 

「まあ、普通IS使えるの女だけだしな。男は他に事務に一人と学園長くらいか。でも運営は奥さんがやってるから、学園長はめったに居ないしな。」

 

「くそ、うらやましいぜ。女の園だろ?招待状とかないのかよ。」

 

「学園祭の時にはあるらしいけど、お前にはやらん。」

 

「なんでだよ!」

 

「お前がIS学園に来たら、絶対問題起こすだろ。それで、その問題の後始末を俺がしなくちゃいけなくなる。これ以上疲れることを抱え込みたくないからな。」

 

「何だよ、楽園だろ?何をそんなに疲れることがあるんだよ。」

 

「まず、千冬姉が居る。」

 

「ああ~、千冬さんか・・・あの人お前にベッタリだもんな。」

 

「それ以外にも色々あるんだよ。」

 

「まあ、俺には分からない苦労もあるんだろうが、とにかく羨ましいぜ・・・あっ、負けた。」

 

「お前は集中力が足りないからな。話しているとき動きが止まってるぞ。」

 

 

俺たちは話しながらゲームで対戦していた。

ISを動かし戦うゲームだが、諸事情により各国で違うバージョンが販売されている。

第二回モンド・グロッソ終了時の選手、機体の能力が反映されているのだが、

 

「うちの国はこんなに弱くない!」

 

 

とか何とか言ってゲーム会社にクレームがあったらしい。

もちろん各国共通で千冬姉はチートと感じるくらい強い。

もちろん俺は使わないがな。

 

「とにかくもう一回だ!今度こそ勝つ!」

 

「そのセリフは一回でも勝ってから言えよ。」

 

 

誘拐される前から数えて、すでに200連勝くらいはしているのだがな。

弾のゲームなのに最初から俺に負けてるって、なんとも残念なやつ。

 

「(一夏様が強すぎなんですよ。どの機体を使ってもその機体の性能を理解してますからね。無謀な賭けなんてせずに確実に相手を追い詰める、ゲームでもカッコよすぎですよ。)」

 

 

別に無謀な賭けをしないんじゃなくて、する前に弾が突っ込んでくるからな。

突っ込んできた所を叩けば大抵隙が出来るからな。

 

「ところで弾、お前鈴から連絡あったか?」

 

「鈴?何でだよ。」

 

「アイツもIS学園に来たんだよ。しかも中国の代表候補生だ。」

 

「はぁ!?アイツ代表候補生なのか!?」

 

「ああ、だがそれ以外はあまり変わってなかったな。」

 

「そうなのか、まああの鈴がそう簡単に変わるとも思えないしな。」

 

 

そんな会話をしながら、

 

「あ、また負けた。」

 

 

あっさり弾を倒した。

 

「なんでそんなに強いんだよ!」

 

「そう言われてもな・・・。お前が弱いんじゃないか?」

 

「五月蝿い!ゲーセンで修行してたんだ。そん時は勝率良かったんだぞ!」

 

 

弾をいじって遊んでいたら、この部屋に誰かが近づいてきた。

この気配は・・・

 

「おにぃ!ご飯で出来たってさっきから言ってるじゃん。早く・・・い、一夏さん!?」

 

 

弾の妹の蘭だった。

随分とラフな格好をしているな。

あ、隠れた。

 

「ああ、久しぶりだな。お邪魔してるな。」

 

「き、来てたんですか?」

 

「実家の掃除のついでに寄らせてもらった。」

 

「お前そんな暴力的だと・・・ヒィ!」

 

 

弾が言葉の途中で悲鳴を上げた。

その原因は・・・

 

「(何で教えてくれなかったの!)」

 

「(い、言ってなかったか?)」

 

 

睨みを利かし、アイコンタクトで話しかける蘭に反射的に悲鳴を上げたのだろう。

 

「蘭、あまり弾を攻めるな。今回は事前に教えてなかったからな。さっき聞いてそのまま来たんだ。」

 

「そうですか・・・なら仕方ないですね。」

 

「そうだそうだ。」

 

 

調子を取り戻した弾だったが、再び睨まれて竦んでいる。

 

「とにかくおにぃ、ご飯出来てるから早く来て!一夏さんも食べてきますよね?」

 

「ああ、お願い出来るか?」

 

「もちろんです!おじいちゃんに言ってきます!」

 

 

蘭は下の食堂に駆けていった。

 

「相変わらず蘭には勝てないのか?」

 

「ああ、あの睨みは並の人間じゃ耐えられないだろうな。」

 

「大げさだろ・・・。」

 

「大げさなもんか!アイツが睨んだら子供は泣くだろうな。」

 

「そもそも、お前以外睨まないだろうが・・・。」

 

 

俺たちはそんなやり取りをしながら、一旦外に出て食堂に入る。

裏からでも入れるが、営業中の店で食事するのだ、せめてもの礼儀として表から入っている。

 

「あら、一夏君。久しぶりね。」

 

「お久しぶりです、蓮さん。」

 

 

俺たちを迎えてくれたのは、この五反田食堂の看板娘である五反田蓮さん。

弾と蘭の母親だが、とてもそうは見えない。

知らない人がみたら姉と間違えるだろう。

 

「ほら、座って・・・ついでに弾も。」

 

「俺はついでかよ。」

 

「当たり前でしょ。一夏君と弾なら如何考えても一夏君が主役よ。誰が如何間違っても、あんたは主役にはなれないわ。」

 

「チクショー!」

 

「五月蝿いぞ!」

 

 

ヒュンと風を切る音が聞こえたと思ったら、

 

「イテッ!」

 

 

弾の額にお玉が当たっていた。

五反田食堂名物、空飛ぶお玉だ。

そのお玉を飛ばすひとこそ、この食堂の店主であり弾と蘭の祖父、五反田厳さん。

確か80歳は超えているはずだが、その威力は衰え知らずらしいな。

 

「すみません厳さん、お邪魔してます。」

 

「おう、一夏か。座れ、すぐに出来る。」

 

「ありがとうございます。」

 

 

俺は厳さんに一言挨拶し、席に座る。

 

「イテテ・・・相変わらずじいちゃんのお玉は強烈だぜ。」

 

「分かってるなら騒がなきゃいいだろ。」

 

「そうは言ってもな・・・さっきのは頭に来ちまった。」

 

 

俺と同じく席に座った弾が、額をさすりながら愚痴を言っていた。

 

「お待たせしました、一夏さん。あと、おにぃも。」

 

「またおまけかよ!」

 

ヒュン。

 

「イテッ」

 

 

再びお玉をくらう弾。

学習しない奴め・・・。

 

「私もここで食べていいですか?」

 

「気にしなくてもいいぞ。一緒に食べるか。」

 

「はい!」

 

 

蘭の持ってきたのはカボチャ煮定食だ。

めちゃくちゃ甘くあまり人気がない。

 

「頂きます。」

 

「いただきまーす。」

 

「イテテ、いただきます。」

 

「おう、食え。」

 

 

それだけ言って厳さんは厨房に戻っていった。

五反田食堂の名物メニューである業火野菜炒めが注文されたらしく、手際よく炒めている。

あのレシピだけは教えてもらえなかったな。

 

「時に一夏、お前彼女できたのか?」

 

「何だ急に。」

 

 

会話のため一旦箸を置き話しかけてくる弾。

俺も付き合うため箸を置く。

万が一箸を持ったまま会話をすれば、お玉が飛んでくる。

だが、物好きな客はワザと箸をもったまま会話をしてお玉をくらう。

曰く、

 

「これをくらって業火野菜炒めを食べなきゃ、この食堂に来たって実感がわかない。」

 

 

らしい。

 

「それで彼女は出来たのか?」

 

「ああ、まあな。」

 

「え、本当ですか!?」

 

 

蘭が過剰に反応した。

まあ、蘭の気持ちは知っているが正直弾の妹と言う認識だからな。

 

「嘘ついてどうする。」

 

「こんな事で諦められない・・・決めました!私来年IS学園を受験します!」

 

 

いきなりだな。

 

「何言ってやがる!お前今の学校だって名門だろうが!折角エスカレート式で大学まであるんだからそのままでいいだろうが。第一お前ISに乗れるのかよ?」

 

「ふっふっふ、これを見よ!」

 

 

蘭が取り出したのは一枚の紙、なになに・・・

 

『IS簡易適正試験 判定A』

 

 

へー蘭A判定なんだ。

これなら問題は無いだろうな。

 

「お前・・・何時の間に。金は?」

 

「この間やってたの。しかもタダよ。」

 

「でもいいのか?名門なんだろ、今の学校。」

 

「確かに名門ですけど、IS学園を卒業すれば、就職先に困る事はないですからね。」

 

 

そうだな、IS関連の企業から引く手あまたらしいからな。

 

「でも、じいちゃんが何て言うかな。」

 

「俺は、蘭が決めたなら特に何も言わない。」

 

 

何時の間にか近くに来ていた厳さんがOKを出した。

 

「でも、じいちゃん!」

 

「何だ?何か文句があるのか?」

 

「いえ、何でもありません!」

 

 

厳さんに睨まれ、椅子の上に正座して敬礼をする弾。

よく調教されていることで。

 

「じゃあ来年は後輩だな。」

 

「そうですね、その時は指導してもらってもいいですか?」

 

「構わないぞ。知らない仲でもないしな。」

 

「約束ですよ!」

 

 

俺の言葉に機嫌を良くした蘭は、残りの料理を平らげ部屋に戻っていった。

 

「一夏、この後付き合え。」

 

「何処に?」

 

「ゲーセン。」

 

「何するんだ?」

 

「片っ端から遊ぶ!」

 

 

やれやれ、こっちはご機嫌斜めらしい。

厳さんは蘭に甘いからな。

この家で一番立場が弱い弾はこうやってストレス解消しないとやっていけないらしいからな。

 

「別にいいが、普通の高校ってそろそろ試験なんじゃ・・・」

 

「そんなもの、如何とでもなるわ!」

 

 

今は何を言っても無駄だな。

俺は仕方なく弾に付き合う事にした。

 

「(一夏様もああいった場所に行くのですね。)」

 

 

ゲーセンの事か?

俺だってそれぐらい行くぞ。

 

「(そうなのですか?私が覚えている限りでは行ってないですよね?)」

 

 

・・・まあ、不本意だが有名になってしまったからな。

あんな人の多い場所に行ったら面倒くさいことになりかねないから、最近は自重してたんだ。

 

「(そうなんですか・・・でも今回は大丈夫なんですか?)」

 

 

しらん。

一応帽子持ってるが、こんなものでどうにかなるとは思ってない。

何かあったら弾のせいだからな。

 

「(悪い考えですね・・・でもそんな一夏様が素敵!)」

 

 

はいはい。

暴走した須佐乃男を宥め、俺たちも残りの料理を平らげた。

 

「ご馳走様でした。」

 

「ごっそうさ~ん。」

 

 

食器を片付け厳さんに一礼してから外に出る。

せて、遊びますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲーセンで対戦していたが、結局俺の全勝だった。

時間も時間なのでその場で弾と別れ、学園に戻った。

 

「お帰り~、何処行ってたの?」

 

 

部屋に戻るなり刀奈さんに質問された。

 

「何処って、実家の掃除をしてから友達と会ってました。」

 

「ふ~ん、友達って女の子?」

 

 

何を勘ぐってるんだ?

 

「男ですよ。そもそも女の友達なんて、この学園に入るまで鈴ぐらいしか居ませんでしたし・・・。」

 

「そうなの?一夏君モテモテだから、いっぱい居るもんだと思ってたんだけど。」

 

 

いや、モテモテって。

 

「刀奈さん、もしかして一緒に遊びたかったんですか?」

 

 

俺は刀奈さんに尋ねた。

 

「そ、そんなことないもん!折角の休みだったのに一夏君が居なくて寂しかったなんて思ってないんだからね!」

 

「思ってるんですね?」

 

 

俺のカマかけにあっさりと本音を言う刀奈さん。

 

「うう、そうよ!寂しかったわよ!」

 

 

可愛いな。

俺は刀奈さんの頭を撫で、抱きしめる。

 

「今度の休みは一緒に遊びましょうね。もちろん皆で。」

 

 

刀奈さんの後ろでしょぼくれている3人も抱きしめ慰める。

 

「約束だよ?」

 

「もちろんです。」

 

 

首を傾け見上げるような視線で俺を見てくる刀奈さん。

本当に可愛いな。

俺は約束の証として刀奈さんにキスをした。

 

「あーー、ずるいお姉ちゃん。一夏、私にも。」

 

「一夏さん、出来れば私にもして下さい。」

 

「おりむ~、私にもキスするのだ~。」

 

 

3人にもせがまれ、キスをする。

 

「(羨ましい・・・私も実態があれば一夏様にキスしてもらえるのに。こうなったらなんとしても夢の通り人間の姿になれるようにしなくては。そのためには・・・ぶつぶつ。)」

 

 

また須佐乃男はお取り込み中なので放っておくか。

俺は4人を離し風呂場に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、教室ではISスーツの話題で盛り上がっていた。

 

「やっぱりハズキ社製のがいいなぁ。」

 

「え?でもハズキのってデザインだけじゃん。」

 

「そのデザインが良いんだって!」

 

「私は性能でミューレイのがいいかなぁ。」

 

「でもアレ高いじゃん。私たちじゃ買えないよ。」

 

 

スーツ一つで随分盛り上がるんだな、女子って。

 

「(女の子は何でも無い話題でも、盛り上がれる生き物なんですよ。)」

 

 

そんなものか?

 

「ねえねえ、織斑君のは何処のスーツなの?他では見た事が無いんだけど?」

 

「ん?ああ、俺のは特注らしいからな。正直何処で作ってるのか知らないんだが。まあ特に問題ないから気にしてなかったんだが・・・変か?」

 

「そんなこと無いんじゃないですか?自分にあったスーツなら特に問題はありませんよ。」

 

「いらしたですか、山田先生。」

 

「ええ、今来ました。」

 

「やまちゃんおはよー。」

 

「おはよーやまやま。」

 

「マヤマヤおはよう。」

 

 

山田先生には随分とあだ名があるんだな・・・正直ちょっと羨ましい。

 

「あの、教師にあだ名はちょっと良くない気がするんですけど。」

 

「じゃあ、ヤマヤが良いの?」

 

「それは嫌です!」

 

 

おおう、またしても地雷が爆発した。

何か嫌な思い出でもあるのか?

 

「おはよう、諸君。」

 

「「「「「おはようございます、織斑先生。」」」」」

 

「私のときとは随分違う気が・・・いいんです。どうせ私なんて・・・」

 

 

ああ、へこんでしまった。

 

「山田先生、頑張ってください。応援してます。」

 

「ありがとうございます!がんばりますね、織斑君!なんて言ったって私は先生ですから!」

 

 

この人も結構単純だな。

 

「(一夏様、それも酷いですよ。)」

 

 

そうだな。

須佐乃男にツッコミに同意し、席に座る。

あ、ちゃんと俺が出したスーツを着ているな。

 

「では、山田先生HRを始めてください。」

 

「はい、では今日は皆さんに転校生を紹介します!しかも2名。」

 

 

さっきから廊下にしている気配はそれなんだろう。

HRが始まっても廊下に居る生徒を織斑先生が放っとく訳ないしな。

 

「どうぞ~。」

 

 

山田先生が間延びした感じで転校生2人を呼び込む。

しかし普通分散させるもんじゃないのか?

 

「(もしかして問題児なので千冬様が担当することになったのかも知れませんよ?そもそもこんな時期に転校してくる時点で問題あると思いますけどね。)」

 

 

鈴も中途半端だと思ったが、確かに微妙な時期だよな・・・。

どっかの候補生か?

そんな事を考えていると、2人が教室に入ってきた。

女子が2人・・・いや軍人のような女子と『男の制服を着ている』女子が居た。

なんだ?男装趣味なのか?

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。代表候補生です。まだ日本には慣れてませんが、よろしくお願いします。」

 

「お、男?」

 

「はい、ここに僕と同じ境遇の子が居ると聞いて、転校してきました。」

 

 

なんともまあ、嘘くさい設定だな。

そもそも本当に男なら、何故発表しない。

確かデュノアってIS関連の会社だよな。

最近営業成績が芳しくないようだし、アイツが関係者なら広告塔にでも何でも使えるだろうが。

もしかして社長の愛人の子で俺のデータでも取って来いって言われて、女としてより男として転入して俺に近づけさせようって所か?

もしばれてもお涙頂戴で切り抜けられるってか?

もし正解なら、随分とお粗末な計画だな。

そもそも男と女じゃ骨格のつくりが違うだろうが。

 

「き、」

 

 

まさか・・・またか?

俺は迫り来るだろう衝撃に備えて耳を塞ぐ。

 

「「「「「きゃーーーーーーーーー」」」」」

 

 

やっぱりか、このクラスの女子たちは俺の鼓膜を破壊したいのか?

 

「(ただ単純に奇声を上げているだけだと思いますよ?)」

 

「男子。二人目の男子。」

 

「しかも美形。」

 

「守ってあげたくなるタイプ。」

 

「織斑君とどっちを選べばいいの?」

 

 

かってに俺を巻き込むな。

 

「織斑先生、質問いいですか?」

 

「何だ、織斑。」

 

 

俺は確認のために千冬姉に許可を取って発言した。

 

「デュノアって言ったな。」

 

「うん、でも僕の事はシャルルでいいよ?」

 

「そうか、じゃあシャルル、お前男装趣味なのか?」

 

「え・・・」

 

 

シャルルが呆然とした。

まさかバレないとでも思ってたのか?

 

「どう言うこと、織斑君?」

 

 

女子の一人が俺に聞く。

 

「いやだって骨格が女子だし、如何見ても男には見えないだろ。」

 

「確かに、中性的って言うよりは女の子っぽい感じがするわね。」

 

「酷いよ・・・気にしてるのに。」

 

「もし本当に男だったら謝るが、万が一後で実は女でしたなんて展開になったら・・・俺と織斑先生で説教だからな。」

 

 

俺の発言に頷く千冬姉、つまりこの場で言えば許してやるといった意思表示だ。

 

「うう・・・一夏の言う通り僕は女だよ。実家に言われて男の振りをさせられてたんだ。一夏のデータを取って来いって言われてね。」

 

「でもどうしてデュノア君が?」

 

 

山田先生が好奇心を抑えられない感じで尋ねる。

 

「僕はデュノア社の社長の愛人の子なんです。その母親が死んでしまってあの人に引き取られたんです。それでISの適正が高かったのでテストパイロットをやっていたら、世界初の男性IS操縦者が現れたんです。丁度経営不振から支援を打ち切ると国から言われていたので、その男性操縦者のデータを取ることにしたんです。」

 

「それなら、4月からこの学園にくれば良かったんじゃないか?」

 

 

俺は単純に気になったので聞いた。

 

「うん、そうなんだけど、僕の男口調があまりにも酷かったから、こんな時期になっちゃったんだ。バレちゃったから本国に引き戻されて、良くて牢屋生活かな。」

 

「そうか・・・千冬姉、確か特記事項に在学中はどこの国家や企業に所属しないと言った事があったな。」

 

「ああ、それがどうした?」

 

「ならデュノアを女子として再編入させ、その間にデュノア社を叩き潰せばいい。もともと経営不振で潰れかかってるんだ。簡単だろ?」

 

「そうだな。だが、デュノアはどうする?」

 

「フランスに事情を話せば候補生の肩書きは取られないだろうな。デュノア社とは関係なく代表候補生に留まれるだろうな。」

 

「・・・デュノア、お前はどうしたい?」

 

「僕は・・・僕はこの学園に居たいです!僕のためにこんなにも考えてくれる人が居る場所で僕は勉強したいです!」

 

「分かった・・・山田先生、再編入の手続きを!」

 

「は、はい。放課後までに準備しておきますので、デュノアさんも放課後職員室に来てください。」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

 

さて、こっちは片付いた。

 

「待たせたなラウラ、挨拶しろ。」

 

「はい、教官。」

 

「ここでは織斑先生だ。」

 

 

やっぱり千冬姉の関係者か。

教官と呼ぶからにはドイツ軍の関係者か。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ。」

 

「・・・それだけですか?」

 

「それだけだ。」

 

 

随分と簡素な紹介だな。

 

「貴様が・・・」

 

 

何だ?

お前に睨まれる覚えはないのだが?

 

「貴様が居たせいで。」

 

 

いきなりビンタをかまそうとしたボーデヴィッヒだが、その程度では当たらんよ。

 

「なっ!」

 

 

軽々とかわし、

 

「何だいきなり。初対面でいきなりビンタするのがドイツ軍の挨拶なのか?」

 

 

軽く挑発する。

どうせ千冬姉を慕っているがあまり相手にされなくて嫉妬しているってだけだろうな。

 

「私は認めん!貴様が織斑教官の弟など!織斑教官にふさわしいのはこの私だ!」

 

 

ほらやっぱり。

 

「別に認めてくれなくてもいいが、後ろ見た方が良いぞ?」

 

「何!?」

 

「ラウラ・・・良い度胸だ。」

 

「な、教官!?」

 

「学校では織斑先生だ!」

 

 

織斑先生のありがたい指導をしてもらったボーデヴィッヒ。

 

「では諸君、1時間目はISの実技だ。すぐに移動しろ、解散!」

 

 

この一言でクラスの女子たちが着替え始めようとする。

さてと、俺も更衣室に行くか・・・。

ひとまずこの場での問題は解決したし、後はあのボーデヴィッヒだが、千冬姉に任せるとしよう。

 

「(完全に人任せですね、一夏様。)」

 

 

当たり前だ。

そもそもアイツに関しては俺は関係ないだろう。

そんな事を須佐乃男と話しながら更衣室に向かった。




一夏の観察眼は凄まじいですね。
一先ずシャルの問題は解決で、後はラウラだけです・・・あっ箒も居たっけ。
次回はラウラをメインに書いていきます。

p.s.
誤字報告そしてコメント感謝です。
皆様の言葉を糧にこれからも頑張っていきたいと思います。
これからも応援のほどよろしくお願いします。

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