もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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ついに数馬に運命が…?


運命の出会い?

 噴水側のベンチで本を読んでいたら、数馬と弾の気配が近づいてきた。買い物は終わったのだろうか。

 

「居た!」

 

「悪い一夏、ちょっと来てくれ!」

 

「は?」

 

 

 イマイチ分からないが、二人が焦ってるのだけは分かった。だが何で俺を連れて行こうとするんだろう…それが分からん。

 

「ちゃんと説明しろ。説明次第ではついていくから」

 

「そんな時間は無い!」

 

「俺たちは急いでるんだよ!」

 

「それは分かるんだが……」

 

 

 如何やら説明するつもりも無いらしいので、諦めてついて行く事にした。抵抗するより大人しくしてた方が楽だと思ったからだ。

 

「ん?」

 

 

 何だか良く知っている気配を感じたような気が……

 

「あっ、一夏」

 

「簪? 何でこんな所に……」

 

「ほらやっぱり! 一夏の彼女だ」

 

「お前ら、それで俺を引っ張ってきたのか?」

 

「それもだが……一夏、少し金貸してくれ」

 

「欲しいソフトがあるんだが、金をおろしに行ってる間に無くなりそうなんだよ!」

 

「後で返せよ」

 

 

 とりあえず弾と数馬に一万ずつ貸し、さっさと会計させに行った。

 

「簪は一人か?」

 

「ううん、本音と一緒なんだけど、クラスメイトに連れて行かれた」

 

「あぁ、あれか」

 

「後お姉ちゃんと虚さんが近くのファミレスに居るはず」

 

「近くのって、あそこか?」

 

 

 さっきまで居たファミレスを指差し簪に確認する。

 

「うん」

 

「さっきまで俺たちが居た場所だな。随分とニアミスが多い日だ」

 

「さっきの人が一夏のもう一人の悪友?」

 

「そ。御手洗数馬だ」

 

「ゲーム好きなんだね」

 

「ギャルゲーに情熱を燃やす男だからな」

 

 

 そう言えば欲しいソフトって何だろう……対戦ならやってみたいが、あの二人が同じものを買うとは思えんしな……

 

「一夏、後でこれ一緒にやろ?」

 

「ん? RPGとは珍しいな。しかも協力プレイが出来るやつか」

 

「偶には良いでしょ?」

 

「長時間プレイしなければな」

 

「大丈夫、一夏と一緒ならしたくても出来ないから」

 

 

 簪のゲーム好きは分かってるんだが、伊達では無く本当に眼鏡の世話になるのは避けた方が良いだろうしな。

 

「それじゃあ私はこれを……財布忘れた」

 

「碧のドジッ娘がうつったのか? 後で返してくれれば貸すが」

 

「ゴメン、貸して」

 

「ほら」

 

 

 三枚目の一万円を簪に貸し、俺はその場でため息を吐いた。買い物に来てるならちゃんと手持ちを確認してから買いに来いよな……

 

「ありがとう一夏、また後でね」

 

「ん」

 

 

 片手を挙げて簪と別れ、数馬たちの会計終了を店の外で待つ事にした。それにしてもゲーム屋なんて初めて入ったかもしれないな……ウチにはそんな余裕無かったし、主に駄姉と駄ウサギの相手でだが。

 

「意外と暗いんだな」

 

 

 もっと明るいイメージがあったのだが、店内は結構暗めだった。何か考えがあっての事なのだろうか……

 

「悪い一夏、待たせたな」

 

「よし、金おろしに行くか」

 

「そんなに人気のゲームなのか?」

 

 

 金をおろしに行く間に無くなるって相当だと思うんだが……

 

「新作ギャルゲーの初回限定版でな! これを逃すと通常版しか買えなくなる」

 

「……良く分からないが、何か違いがあるのか?」

 

「特典とか色々あるんだよ」

 

「ふ~ん……弾は? お前もギャルゲーか?」

 

「違う! 俺は普通の対戦格闘ゲームだ」

 

「そっちも何か特典でもあるのか?」

 

「千冬さんの水着姿のプリカ付きだ!」

 

「……悪い、聞き間違いだと思うんだが、今変な事言った?」

 

 

 駄姉のプリカだとか聞こえたんだが……

 

「だから、千冬さんの水着姿のプリカだ!」

 

「何やってるんだ、あの駄姉は……」

 

「しかも結構際どいんだぜ!」

 

「……榊原先生に言い付けるぞ」

 

「男だったらこう言うのは別腹なんだよ!」

 

 

 良く分からない世界もあるもんだな……それにしてもこんなものに金を払ってまで欲しがるやつなんて居るんだろうか。

 

「金券ショップにでも売るのか?」

 

「馬鹿! 永久保存だろ」

 

「こんな駄姉の水着姿なんて見ても嬉しく無いだろうが」

 

「それはお前が千冬さんの弟だからだろ。普通の男子にはあの姿は破壊力抜群なんだよ!」

 

「……風呂上りに全裸でウロウロしてるような女の何処か良いんだか」

 

「「何!?」」

 

「ん? 何かおかしな事言ったか?」

 

 

 急に数馬と弾が凄い勢いでこっちに顔を向けてきたので、若干引いてるんだが……何を驚くような事があるんだ。

 

「お前今、全裸でウロウロしてるとか言ったよな?」

 

「あぁ」

 

「それはマジか?」

 

「今は知らん。だが俺が実家で過ごしてた時は全裸が多かったのは確かだ」

 

 

 何度服を着ろと注意しても直らなかったんだよな……駄ウサギが遊びに来た時は二人で全裸でウロウロしてたな。何で服を着ないんだと本気で説教した事もあったな。

 

「クソッ! 一夏の家に泊まりに行けば良かった!」

 

「今からでも遅くねぇ! 一夏、お前んちに泊まりに行っても良いか?」

 

「俺は今実家には住んでねぇよ。そもそも下心丸見えのお前たちが行ったところで駄姉に吹っ飛ばされて終わりだろ」

 

 

 大体人前ではさすがに全裸にはならないだろうし……

 

「弾、お前は榊原先生と駄姉、どっちが良いんだよ?」

 

「そりゃ菜月さんだ!」

 

「ならあまり駄姉の事を言わない方が良いぞ。あの人すぐネガティブ思考になるから」

 

「お、おう……気をつける」

 

「それとお前ら、さっさと金返せ」

 

「「あっ」」

 

 

 コンビニのATMで金を引き出し、貸した分を返してもらった。初回特典は兎も角、駄姉のプリカなんてそうそう売れないだろ。

 

「よし、それじゃあ本来の目的だったメイドカフェに行くぞ!」

 

「メイド食堂だろ? あそこってコスプレ体験もやってるんだってな。今度誰か連れてきてコスプレさせようぜ」

 

「誰かって誰だよ? 鈴か蘭にでもさせるのか?」

 

「馬鹿! そんな恐ろしい事頼める訳ねぇだろ!」

 

 

 恐ろしい? ただコスプレしてくれと頼めば良いだけだろうに、数馬も弾も何で震えてるんだろう……

 

「一夏の彼女とかは如何だ?」

 

「簪? 駄目だな。恥ずかしがるだろうしそもそもお前たちと殆ど面識が無い」

 

「他の人でも良いぜ?」

 

「そもそもお前らに見せたく無い」

 

「何だよ、独り占めかよ」

 

 

 別にそのつもりは無いのだが、阿呆二人に見せる事によって、彼女たちの価値が下がるような気がするのだ。

 

「まだ時間早いんじゃないか? あそこ早めにに行っても入れない可能性があるって数馬言ってたろ」

 

「だけどもう時間を潰せそうな場所なんて無いぜ」

 

「とりあえず行ってみて、駄目なら何処か別の場所で時間を潰せば良いだろ」

 

「別の場所?」

 

「この近くに、別のゲーム屋があるんだ」

 

「別の? さっき買っただろ」

 

「そっちのゲーム屋は18禁のも扱ってるんだよ」

 

「18金? 何でゲーム屋が金を取り扱ってるんだ?」

 

「違うぜ一夏、『金』じゃ無くて『禁』だ、禁止の禁。所謂エロゲーってやつ」

 

「お前も懲りないヤツだな」

 

 

 前にコンビニでそう言う本を買おうとしてこっ酷く怒られただろうに。

 

「男なら覗くだけでも行ってみたいと思うだろうが!」

 

「そうなのか?」

 

 

 自分では良く分からないので、弾に訪ねてみる。

 

「覗くだけなら問題無いだろうしな!」

 

「……勝手にしろ」

 

 

 俺はまた何処かで本を読んで時間を潰せば良いし、怒られるのは弾と数馬だしな。まぁそうそう教師に出くわすなんてありえないだろうし平気と言えば平気なのかもしれないが。

 

「とりあえずメイド食堂に行ってみようぜ」

 

「その後で決めれば良いしな」

 

「……お前らの思考は分からん」

 

 

 中学からの付き合いだが、未だにこの二人が何を考えているのかが理解出来ない。まぁ出来なくても問題無いから無理にしたいとも思わないんだがな。

 

「そう言えば弾、対戦格闘って言ったな? お前苦手なのに良く買うよな」

 

「確かに。未だに一勝も出来てないもんな」

 

「お前らには勝てないが、CPUには勝てるんだよ!」

 

「レベル1とかだろ」

 

「あんなのは子供だって勝てるっての」

 

 

 弾は筋は悪く無いんだが、考えが顔に出てるからな。それで対人では勝てないんだろうけど、何故CPUの高レベルにも勝てないんだろうか……

 

「大体普段ゲームしない蘭にも負けるってどんだけだよ」

 

「蘭は器用だし、やり方さえ分かればある程度はいけるだろ」

 

「対する兄は不器用だもんな」

 

「うるせぇ!」

 

 

 メイド食堂に向かう間、弾をからかって暇を潰した。鈴が居ればもう少し酷い事になってただろうが、今回はこれくらいで済んでよかったな、弾。

 

「おっ、如何やら入れそうだぜ」

 

「良かったな弾。えっと何だ、メイドは別腹だっけ?」

 

「色々とはしょりすぎだ!」

 

 

 あえてそうはしょったので、弾の反応は俺が欲しかったものだった。相変わらず弄り甲斐のあるヤツでよかったぜ。

 

「お帰りなさいませ、ご主人様……って一夏様!」

 

「ん? ああこの間の」

 

 

 強盗に人質に取られた女性が今日も店に居た。あんな目に遭っても辞めないとなると、相当この仕事が好きなんだろうな。

 

「一夏、彼女とは如何言う関係だ?」

 

「お前らも知ってるだろ。この店に強盗が入ったの」

 

「知ってるが、それが何だよ」

 

「あの場に居合わせてな。それで彼女はその時助けたメイドさんだ」

 

「あの時は本当にありがとうございました」

 

 

 客引きしてたから俺にも原因はあるんだし、此処まで恐縮されるとこっちが困ってしまうんだけどな……

 

「それで今日は…」

 

「ん? 今日は普通に客です。三人ですけど空いてますか?」

 

「はい! それではご主人様、ご案内します」

 

「だってさ、ほれご主人行った行った」

 

 

 口を馬鹿みたいに開けて固まっている弾と数馬の背中を押し、店に入っていく。そんなに驚かれるような事はしてないんだがな……何時もみたいに巻き込まれただけだとは言わないが。

 

「なっ! 兄上!?」

 

「ん? ラウラ、何だその格好」

 

「こ、これは……」

 

「猫耳メイドキターーー!」

 

「か、数馬?」

 

 

 今まで固まっていた数馬が、突如奇声を上げた事により、弾も復活した。

 

「随分と可愛らしい格好だが、副官と日本巡りじゃなかったのか?」

 

「で、ですから日本文化の最先端を体験しようと……」

 

「最先端? それと此処が如何関係してるんだ?」

 

「一夏、本当にお前は分かってない。良いか、日本文化の最先端、それは『萌え』だ!」

 

 

 数馬? お前如何したんだよ……

 何だか急に熱を帯びた数馬が拳を握り締めて力説し始める。はっきり言って俺たちには理解不能の世界だった。

 

「その通りです!」

 

「誰?」

 

「クラリッサ!?」

 

 

 如何やら彼女が副官らしいのだが、何故彼女までメイドの格好をしてるんだ……しかもこっちは犬耳だし……

 

「貴方は日本文化に詳しいようですね!」

 

「『萌え』の文化なら得意分野ですよ!」

 

「なら是非教えてもらいたい!」

 

 

 ……不思議な組み合わせだが、話が合ってるのならそれで良いんだろうな。

 

「あの一夏様、あの方たちは……」

 

「無視して構いませんよ。あれは動く置物だと思ってくれて良いですから」

 

「私も無視しても構わないと思う。クラリッサがあそこまで楽しそうなのは始めて見たからな」

 

「分かりました。それではご注文が決まり次第お聞きしますね」

 

 

 メイドさんは数馬たちを奇異の目で見ていたが、本人たちはそれにすら気付かないほど集中しているようで、とりあえず全員放って置く事で意見が一致した。

 

「それでラウラ、その格好は?」

 

「はい、萌えを体験する為には私もこの格好をするべきだとクラリッサに言われまして」

 

「………」

 

 

 完全にただ見たかっただけなんだろうな。あの人、ラウラにいらん知識だけでは無くおかしな趣味まで植えつけるつもりだったのだろうか……駄姉が嫌がる訳だな。

 

「んなっ! 一夏!? ラウラ!?」

 

「教官!?」

 

「……気配で分かってたが、アンタもかよ」

 

 

 試着室から出てきたのはノリノリでメイド服を着ているブリュンヒルデ……弾が鼻血を噴いてぶっ倒れたのは放って置く事にしよう。

 

「私も居るよーいっくん!」

 

「……駄ウサギもか」

 

 

 国際指名手配並みの包囲網を潜ってコスプレしに来てるのかよ、この駄ウサギは……しかも何故そのウサ耳は外さないんだ。

 

「見て見ていっくん、本物のバニーさんだよ~」

 

「……アンタらはもっと自分たちの知名度を自覚した方が良い」

 

「ほよ?」

 

「如何した一夏、何だか震えてるが」

 

 

 この店は決して繁盛してる訳では無さそうだが、別に閑古鳥が鳴いてる訳でも無いのだ。そして今の時間はスイーツなど女性向けのメニューが中心となっており、そしてこの阿呆二人は女性の間ではかなりの有名人なのだ。

 

「あれって織斑千冬様じゃない?」

 

「その隣に居るのは篠ノ乃束博士よね!」

 

「それじゃああの千冬様に似てる男の子が世界で唯一男子でISを使えるって言う子?」

 

「結構カッコいいのね」

 

 

 この駄目コンビは顔も名前も有名だからな……少しは自分たちの存在がどれだけ知られてるか考えて行動してほしいもんだ。

 

「いっくんにならエッチなご奉仕もしちゃうよ~」

 

「一夏専属なら夜のメイドにだってなるぞ」

 

「貴様ら、ふざけるのも大概にしろよな」

 

「じょ、冗談だよいっくん」

 

「そうだぞ一夏、こんなのはほんの冗談だ」

 

「時と場所を選んでするんだな、この駄目コンビが!」

 

 

 店内に響く俺のカミナリで、気絶していた弾が復活したが、駄ウサギの姿を見て再び鼻血を噴出して気絶した。

 

「何このゴミ」

 

「コイツは五反田とか言ったな。確か一夏の友人の」

 

「ふ~ん、こんな冴えない間抜け面がいっくんの友達ね……」

 

「昔私の部屋に侵入しようとしたのでぶっ飛ばしたのだが、如何やらその衝撃でその部分の記憶が飛んだらしいんだ」

 

「命知らずだね~」

 

 

 それは俺も知らなかったな。弾のヤツ、そこまで変態だったのか……

 

「ちーちゃんの部屋に忍び込んで何をするつもりだったのかな~?」

 

「思春期男子の考える事など分からん。恐らくだが私の下着でも盗むつもりだったんじゃないのか」

 

「それで性欲解消って訳だね~。気持ちワル」

 

「アンタらも似たような事をしようとしてただろうが。人の部屋で何してたんでしたっけ?」

 

「えっと……」

 

「あれはちーちゃんが!」

 

「ズルイぞ束! 貴様が絶対にバレないからって誘ったんだろ!」

 

 

 小学生の頃、俺の部屋の箪笥を漁っていた変態が二匹居たんだよな。あれは退治したはずだったんだが、如何やら同じ変態が目の前に二匹居るようだった。

 

「兄上、教官は私が誘ったのです!」

 

「ラウラが?」

 

「はい、織斑教官が居ればクラリッサも楽しいのではないかと思いまして……」

 

「じゃあこの駄ウサギは?」

 

 

 完全にラウラはこの駄姉を庇おうとしている。大体誘われたのならさっきラウラを見て驚く訳が無いのだ。

 

「篠ノ乃博士は教官が呼びました。自分一人ではつまらないだろうから知り合いを呼ぶと」

 

「ラウラ、庇おうとしてるのは良いが、もう少しバレ難い嘘にするんだな。この駄姉が誘われたからと言ってほいほいとついて来る訳が無いし、なら如何してさっきお前も駄姉も驚いたんだ」

 

「そ、それは……」

 

「この駄目コンビを助けようとしなくて良いぞ。コイツらは自分たちがどれだけ迷惑をかけてるのかそろそろ自覚した方が良いんだからな」

 

 

 コスプレの猫耳と猫尻尾が下を向いて明らかに落ち込んでいるのが分かるラウラだが、あの耳と尻尾は如何言う作りになってるんだろうか……少し気になる。

 

「さてと、店員さん」

 

「はい、一夏様」

 

「少し奥の部屋を借りますよ」

 

「はいどうぞ。でも、出来れば汚さないようにお願いしますね」

 

「善処しましょう」

 

 

 衣装は汚れたら洗えば良いが、さすがに部屋を血で汚すのはマズイよな。何かあったときにこう言い逃れが出来なくなるかもだし……

 

「ラウラ、そこの気絶してる男と、副官と盛り上がってる男が俺の事聞いてきたら、先に帰ったと言っておいてくれ」

 

「はっ! 了解しました!」

 

「……いや、俺はお前の上官では無いんだが」

 

 

 そもそも軍属はおろか、何処の国にも属してないんだが……まぁ兎に角ラウラに弾と数馬の事は任せたので、こっちはこの馬鹿二匹の始末をしなくてはな。

 

「い、一夏……少しは加減してくれると、お姉ちゃん嬉しいんだが……」

 

「いっくんの愛の鞭は少し痛いんだよね~。優しくしてほしいな~なんて」

 

「まだ懲りてないようですね。貴女たちが俺にお願い出来るとでも思ってたんですか?」

 

 

 既に限界を迎えているこの二匹への殺意は、その程度で治まると思ってるのだから腹が立つ。抹殺してもし足りないほどに俺は苛立ってるんだよ。

 

「死なない程度には加減してやる、精々苦しむんだな」

 

「束、お前の所為で一夏が怒ってしまったじゃないか!」

 

「ちーちゃんが誘ったんでしょ? 普段出来ない体験が出来るって!」

 

「やかましい! どっちが原因だろうとこの際如何でも良い! お前らは何で何時も迷惑ばっか掛けるんだ!」

 

 

 とりあえずキツメの一発を喰らわせ、無駄口が叩けないようにする。この後も数発喰らわせたのだが、途中から変な笑みを浮かべだしたので、いよいよヤバイって事で気絶させた。良く分からないが駄姉と駄ウサギの顔は満足そうだったのが印象的だった……こりゃ反省してないな……




駄姉と駄ウサギはもう駄目かもしれない…

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