もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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タイトル考えるのが面倒になってきました……


車内

 一夏君が居ないと、本当にこのメンバーは騒がないんだと実感した。須佐乃男や本音がおしゃべりをしてるくらいで、後は静かなのだ。

 

「お姉ちゃん、さっきから何処見てるの?」

 

「一夏君居ないかな~って」

 

 

 一夏君ならこの車に追いつく事も、数多の車の中からこの車を見つける事も出来るだろうから、もしかしたら来てくれるかもと言う淡い期待から探しているんだけど、一夏君がそんな面倒な事はやらないよね……

 

「電話すれば良いじゃないの、そんなに気になるなら」

 

「でも、迷惑じゃないかな?」

 

「お姉ちゃんがそんな事を気にするなんて、明日はきっと大雨だね」

 

「酷いよ簪ちゃ~ん!」

 

 

 姉妹で話しても、全然盛り上がらないし長引きもしない。一夏君が居ればどんな状況でも盛り上がれるし、何時までも話し続ける事が出来るのに、たった一人抜けるだけでこうなってしまうんだ……

 

「お兄ちゃんはコッチには来ないと思いますけど」

 

「一夏様は直線距離で屋敷に向かうでしょうからね」

 

「この前も車よりも早かったもんね~」

 

「だからもしかしたらだよ」

 

 

 私だって一夏君がコッチに来るなんて思って無いし、来てくれたら良いな~くらいにしか思って無いもん!

 

「あっ、一夏様から電話です」

 

 

 須佐乃男が勝手に取り出した私の携帯を見てそんな事を言った。この際勝手に出した事は触れないでおこう。

 

「貸して!」

 

「貸してって、元々お姉ちゃんのじゃん」

 

 

 簪ちゃんのツッコミも今は気にしない。まさか本当に一夏君から電話が来るなんて思って無かったもん。

 

「も、もし、もしもひ!」

 

『落ち着け……噛み過ぎだ』

 

 

 慌てすぎて一夏君に呆れられてしまった……でもタメ口なのは嬉しいな。

 

「もしもし?」

 

『今のは聞かなかった事にしておく。それで、今大丈夫か?』

 

「う、うん! 平気だよ!」

 

 

 一夏君は呆れてるのを隠せてなかったけど、噛んだ事を何時までも指摘してくるようなイジワルはしてこなかった。まぁ本音じゃ無いんだしそんな事を一夏君がする訳無いんだけどね。

 

『その車を狙ってるヤツが居たから片付けたんだが、少し目を離した隙に逃げられた。屋敷に戻ったら詳しく話すが、一応気をつけておいてくれ』

 

「この車って! 一夏君、私たちの車を追いかけてたの!?」

 

『偶々見つけて、そしたらこれまた偶々その車を狙ってる輩に出くわしただけだ』

 

「それで、一夏君は今何処に居るの?」

 

『何処って、もう屋敷だが』

 

「嘘!? だって生徒会の仕事をしてたんでしょ? それなのにもう着いたの!?」

 

 

 いくらなんでも速過ぎる。私たちが学園から移動してもうすぐ三十分だ。その間に一夏君と虚ちゃんが生徒会で仕事をしてたのを二十分だとしてもあの距離を十分で移動するのは不可能だと思うんだけど……

 

『ちょっと急いだからな。その所為で虚は意識を失ってるがな』

 

「それって大丈夫なの?」

 

『脈はあるし呼吸も落ち着いてきたから問題無いだろ。一応診てはもらったがな』

 

 

 屋敷に居るお医者さんに診てもらったのなら大丈夫なんでしょうが、意識を失うってもしかして……ブラックアウトからの重力加速による意識喪失?

 

「いったいどれだけのスピードで移動したのよ……」

 

『なんだか嫌な予感がしただけだ。とりあえず注意だけはしておいてくれ。多分もう居ないとは思うけどな』

 

「分かった。その代わり暫く電話を繋いでおいてくれない?」

 

『……何の代わりなんだ?』

 

「細かい事は気にしないの」

 

『まぁ良いけど……で、何で電話を繋いでおいてほしいんだ?』

 

「だって一夏君が居れば盛り上がれるから!」

 

 

 スピーカーモードにでもすれば一夏君も会話に入ってこれるし、私たちも思う存分盛り上がる事が出来るのだ!

 

『面倒だし金掛かるから嫌だ』

 

「そこを何とか! お願い!」

 

『俺が居なくても勝手に盛り上がってるだろ。風呂とかやかましいぞ?』

 

「あれは近くに一夏君が居るからだよ。大浴場では静かだよ」

 

『もうすぐ着くんだから、後ちょっと辛抱するんだな』

 

「えっ、ちょっと一夏君!? ……切れちゃった」

 

 

 何とか繋ぎとめておきたかったんだけど、あっさりと切られてしまった……でも何で一夏君は私たちがもうすぐ屋敷に着くって分かったんだろう?

 

「一夏、何だって?」

 

「この車を狙ってた不審者が居たから、一応気をつけておいてくれって。後もう少し辛抱してくれって」

 

「何で辛抱?」

 

「車の中で大人しくしてるのが辛いからじゃないんですか?」

 

「そう」

 

 

 簪ちゃんの疑問を須佐乃男が解決した。一夏君が居ないと須佐乃男も真面目キャラになるのね……

 

「でも、如何してこの車を狙ったんだろう……お兄ちゃんなら何か分かってるのかな?」

 

「如何だろう……目を放した隙に逃げられたって言ってたし」

 

「おりむ~が油断したの? 珍しい事もあるんだね~」

 

「確かに……一夏が油断するなんて珍しいね」

 

「一夏様も他に気になる事があったのでしょう。それにちゃんと仕留めたと思ってれば尚更かと」

 

 

 一夏君の攻撃(どんな事をしたか知らないけど)を受けても動けたって事よね、それってかなりの実力者か相当なガタイの良い人よね……そんな人に狙われる覚えなんて無いんだけどなぁ……

 

「須佐乃男やマドカちゃんは狙われる理由に心当たりは無い?」

 

「私は何も」

 

「一夏様が乗っていると思ってたのかも知れませんが、狙ってるのなら乗車の時から見てたでしょうからね……それは無いですかね」

 

「う~ん……今の時期に更識を狙ってくる理由に心当たりは無いし……碧さんは何か聞いてる?」

 

「特には……今日の夜に一夏さんから話があると言われてますが」

 

 

 一夏君はきっと狙ってたヤツの心当たりがあるんだろうな。それくらい分かってないと一夏君らしく無いし、知ってても教えてくれないのが一夏君だしね。

 

「私も後で聞いてみようかしら」

 

「何を?」

 

「一夏君に心当たりがあるか如何かを」

 

「……確証は無いんですけど、もしかしたら……でも狙う理由が無いもんな」

 

「マドカちゃん? 気になる事があるなら言ってくれると嬉しいんだけど」

 

 

 マドカちゃんが考え込むように唸り声を上げて、皆でマドカちゃんを注目した。言う決心をしたのに如何も煮え切らない態度のマドカちゃんに、本音が背中を押した……物理的にだ。

 

「何? 何で押されたの?」

 

「踏ん切りがつかないのなら誰かが背中を押せば良いのかな~って」

 

「本当に押して如何するのよ! 危ないでしょ!!」

 

「ほえ? 本当に押すんじゃなかったの?」

 

「……本音、此処に一夏が居なくて良かったね。居たら屋敷に着いた途端に特別補習だっただろうし」

 

「虚ちゃんが居ても同じ末路だったと思うけどね」

 

「あの二人は厳しいですからね。虚様もですが一夏様も相当厳しいですからね……本音様には特に」

 

 

 本音のボケかましに呆れた私たちはそれぞれ一夏君と虚ちゃんが居なくて良かったなと思った。あの二人が居たら本音をお説教し始めてもおかしく無いくらいのボケだったものね。狭い車の中で一夏君と虚ちゃんがお説教をしてたら、私たちまで怒られてる感じになっちゃうからね。

 

「それでマドカちゃん、気になる事があるなら言ってほしいな。じゃないとまた本音が背中押しちゃうからさ」

 

「そうですね……物理的にはもう良いですかね」

 

「本音様はユニークを分かってらっしゃる」

 

「見てる分には面白かったけど、もう一回は見たくないかな」

 

 

 さっきまで静かだった車内が急に明るくなった。本音のボケも意外と役に立つのね……マドカちゃんは怒ってるけど。

 

「多分違うと思いますけど、此処最近学園の周りを嗅ぎまわってる連中が居るんです。それと関係あるのかなって」

 

「学園の周り? お姉ちゃんは気付いてた?」

 

「全然! 虚ちゃん辺りなら気付いてたでしょうけど、私は隠密が得意じゃないから」

 

 

 隠れるのも見つけるのも得意じゃないのだから、ちょっと実力のある人が隠れていたって気づけないし、私が隠れたとしてもすぐに見つかるだろうな。

 

「お兄ちゃんなら絶対に気付いてただろうし、正体も知ってるんだろうけど、お兄ちゃんは教えてくれないからこれ以上は分からないですけど……」

 

「一夏君はマドカちゃんに危険な目に遭ってほしく無いんでしょうね」

 

「離れてた分、今大事にしてるんだろうね」

 

 

 簪ちゃんは知らないんだけど、マドカちゃんは一夏君の『妹』では無い、『義妹』なのだが、どっちにしろ『いもうと』を大事にしてるのには変わらないから気にしなくても良いかな。

 

「それに今日、昔の上司がIS学園に忍び込んでたし……」

 

「昔の上司? ……もしかして、亡国企業!?」

 

 

 マドカちゃんは一夏君と再会するまでの間、亡国企業に拾われていたのだ。両親がお金に困ってマドカちゃんを捨てたらしいんだけど、そこから何で亡国企業が拾ったのかが良く分からないのよね……探っても全く亡国企業の事は分からないし。

 

「それで如何したの!?」

 

「お兄ちゃんの事を気にしてたけど、敵意は感じなかった……妙にお兄ちゃんに対して馴れ馴れしかったけど」

 

「一夏とは会ってないんでしょ?」

 

「そうだけど、お兄ちゃんの事を名前で呼び捨てにしてた」

 

「呼び捨て……その元上司って女の人ですよね?」

 

 

 一夏君の事を呼び捨てにしてたと聞いて、碧さんが反応した。この中で一夏君の事を呼び捨てにしてるのは簪ちゃんだけだし、私としてもちょっと嫉妬を覚えたのだけれども、碧さんは特に気にしてるようだった。

 

「女ですよ。ISも使えますし戦闘技能もそれなりに高いですし……」

 

「その人って何歳なんですか?」

 

「歳は……あれ? そう言えば幾つなんだろう……見た目はそれほど若いって感じじゃなかったですけど、実際は幾つなのか分かりません」

 

「そうですか……呼び捨てかぁ……」

 

 

 碧さんは運転しながらもその見た事も無いマドカちゃんの元上司の事を考えてるようだった。きっと如何やったら一夏君の事を呼び捨てに出来るのか考えてるんだろうけど、私や虚ちゃんでも一夏君の事を呼び捨てに出来ないんだし、一夏君の同級生で一夏君の事を呼び捨てにしてるのは、腐れ縁の篠ノ乃さんと悪友の凰さんだけのはずだしね。それだけ一夏君の事を呼び捨てに出来る人は少ないのだ。

 

「簪ちゃんは簡単に一夏君の事を呼び捨てにしてるけど、何かコツでもあるの?」

 

「特に気にした事無かったけど、そう言われれば皆何かしらの敬称を付けて呼んでるね。本音は違うけど」

 

 

 本音は独特の呼び方だから外すとしても、虚ちゃんと碧さんが『一夏さん』、私とナターシャ先生が『一夏君』、それで須佐乃男が『一夏様』だもんね。誰一人呼び捨てに出来てないもの……

 

「一回呼べば大丈夫だと思うけど? 一夏も漸くお姉ちゃんや虚さんの事を呼び捨てにし始めたんだし」

 

「あれは何回もお願いして漸くしてもらえたんだよ! 一夏君が二人きりの時だけって言うから我慢してたんだけど、やっぱり普通に話してもらいたかったし」

 

「私は未だにさん付けなのですが……」

 

 

 碧さんは一緒に居る時間も短いし、一夏君と二人きりってシチュエーションが圧倒的に少ないからねぇ……一夏君も碧さんだけは普通に敬語で話してるしね。

 

「今日の夜にお願いしてみては如何ですか? 一夏様は意外と押しに弱いですし」

 

「そうなんですか?」

 

「楯無様や虚様だって散々頼み込んだから呼び捨てにしてもらえるようになったんですから、碧さんもそれくらいはしなければ駄目ですよ」

 

「そう…よね、やっぱり」

 

「私たちも一夏君の事を呼び捨てに出来るのかな?」

 

「おりむ~なら呼んでも怒らないと思うけど~、織斑先生が聞いたら如何なるか分からないけどね~」

 

 

 そうだった……世界最強のブラコン、織斑千冬は一夏君の義姉だったのだ……あの人の前で一夏君の事を呼び捨てにしたら……怖くて想像出来ないわね。

 

「簪ちゃんはよく生きて来れたわね……」

 

「いきなり何?」

 

「だって織斑先生の前でも一夏君の事を呼び捨てにしてたんでしょ? よく殺されなかったなぁ~って思って」

 

「一夏の事を呼び捨てにしてるのは私だけじゃ無いし、そもそも私は織斑先生の前で一夏の事を呼んだ事が無いかも知れないし」

 

「そっか~! かんちゃんはクラスも違うし、おりむ~と会うときは織斑先生が居なかったもんね~」

 

「多分数えるほどしか無いと思うし、あったとしてもさすがに殺されないと思うよ? 私は最初から呼び捨てにしてるし」

 

「そこなのよねぇ~」

 

 

 最初から呼び捨てにしてるのなら織斑先生も気にはしないだろう。だけど私たちはもう長い間敬称を付けて呼んでいたのだ。それがいきなり呼び捨てになったら、何かよからぬ事でもあったのではないかと邪推されかねないもんね……何かあれば嬉しいんだけど、そんなイベントは学園に在籍してる間は起こらないだろうな。一夏君は変なところで真面目だから。

 

「何かあってもお兄ちゃんなら姉さんを抑えられるし、試しに呼んでみたら如何ですか? 意外とあっさり浸透するかもしれませんし」

 

「……考えとくわ」

 

 

 もうすぐ屋敷に着いて、そうなれば一夏君とも顔を合わせる訳で……うわぁー、何だか急に緊張してきたなぁ~……ついさっきまで一緒に居たのに、何でこんなに一夏君に会うのに緊張するんだろう。

 

「楯無様? 何だか顔色が悪いですが……如何かしましたか?」

 

「大丈夫……ちょっと意識し過ぎなだけだから」

 

「何を……ひょっとして一夏様を呼び捨てにする事ですか?」

 

「うん……」

 

 

 ISの大会でも此処まで緊張した事は無いわね……そう考えると簪ちゃんって私より心臓強いんじゃないのかしら?

 

「着きましたよ」

 

「ご苦労様……よし! 一夏君を呼び捨てにするわよ!」

 

「試しに此処で呼んでみたら?」

 

 

 簪ちゃんが気軽に言ってるけど、私は今そんな余裕は無いんだけど……何時呼ぼうか迷ってるし、本当に呼べるか如何かも怪しいんだよ~!

 

「別に一夏を『一夏』と呼ぶだけなんだから、そこまで緊張する事無いと思うんだけど」

 

「簪ちゃんは普段から呼んでるから慣れてるんだろうけど、私は普段から君付けなんだからね! それが急に呼び捨てになったら不審がられるでしょ!!」

 

「そうなのかな……一夏なら気にしないと思うけど」

 

 

 一夏君なら確かに気にしないだろう……だけども虚ちゃんやナターシャ先生が嫉妬するだろうし、何より織斑先生が何をしてくるか分からないのだ。あの人は離れていても聞こえてそうだし……

 

「とりあえず屋敷に入ろうよ。悩むのはそれからでも出来るでしょ?」

 

「お腹減った~!」

 

「本音様は何時も空腹じゃないですか」

 

「そんな事無いよ~。おりむ~が作ってくれたご飯をいっぱい食べれば大丈夫だよ~!」

 

「お兄ちゃんのご飯は美味しいからね」

 

 

 私がこんなにも悩んでるのに、皆は特に気にした様子は無く車から降りていく……緒戦他人事なんだろうな。私も他の人が悩んでたら興味持たないだろうし。

 

「楯無様、後で一夏さんと会うときに呼んでみてください。もしそれで大丈夫なら私も呼んでみますから」

 

「……普通碧さんが先じゃない?」

 

 

 年上だし碧さんなら自然に一夏君の事を呼び捨てに出来そうなんだけど……

 

「私の方が一夏さんの彼女歴は短いですし、普段から接する時間も少ないので」

 

「そうだけどさ、年下でしかも当主に先にやらせるってのは如何なのよ」

 

 

 あまり当主らしい事はしてないけど、私は曲がりなりにもこの屋敷の当主で、碧さんの雇い主なんだけどな……

 

「楯無様が出来ない事を私が出来る訳無いじゃないですか」

 

「でもさ、碧さんの方が自然に呼べそうじゃない? 私はほら、ずっと君付けだったし」

 

「私だって一回でも呼び捨てにした事は無いですよ!」

 

「歳が離れてる分呼びやすとか無いの?」

 

「ありませんし、離れてる方が敬称を付けて呼ぶと思いますけど」

 

 

 確かに近所のオバサマたちにも一夏君は名前に君付けで呼ばれてたらしいし、私もちゃん付けで呼ばれてたっけ……そうなるとますます私が先に呼ばないといけない感じになっちゃうじゃない……

 

「お嬢様、何時まで乗ってるんですか?」

 

「虚ちゃん!? 貴女、もう動いても大丈夫なの?」

 

 

 確か意識を失ってたって聞いたけど……

 

「一夏さんが電話を切った後、すぐに意識を取り戻したので大丈夫です。ところで何をそんなに深刻そうに話してるんです?」

 

「一夏君を呼び捨てにするには如何すればいいのかを……」

 

 

 虚ちゃんも普段は敬称付きで一夏君の事を呼んでるし、きっと簡単には呼び捨てには出来ないだろうしね。

 

「一回だけ呼んだ事がありますが、自分で違和感がハンパなかったので止めました」

 

「呼んだの!?」

 

「何時ですか!」

 

 

 虚ちゃんの衝撃告白に、私も碧さんも喰い付いた。まさかこんなに近くに経験者が居たなんて思わなかったわ。

 

「一夏さんが私の事を初めて呼び捨てにしてくれた時に……笑われましたけど」

 

「何で?」

 

「如何やら簪お嬢様の真似だと思われたみたいで……」

 

「「あぁ……」」

 

 

 一夏君の事を呼び捨てにする人で、私たちの周りに居るのは簪ちゃんだけだ。だから一夏君は虚ちゃんが呼び捨てにした時に簪ちゃんの真似だと思っちゃったんだと思う……そうなると私がやっても簪ちゃんの真似だと思われちゃう?

 

「呼び捨てって難しいんだね……」

 

「一夏さんも漸くですしね……」

 

「私も頑張ろう……」

 

 

 現実に打ちのめされながらも、何時かは呼んでみたいと思ってた私だけど、その前に碧さんが一夏君に呼び捨てにされるようになる方が絶対に早いんだろうな~……本当に一夏君は凄いわね……見習わなきゃいけないんだろうけど、私にはちょっとどころのハードルじゃないんだよね……如何しよう?




碧さんも活躍予定

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