もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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台風が近づいてますね……


衝撃の告白

 急に任された授業を終えて、私は職員室に戻った。一夏君が手伝ってくれたおかげで、授業自体は上手く行ったのだけど、途中で織斑先生と山田先生が教室から居なくなったのが気になったのだ。

 私的にはかなり上手く行ったつもりだったのだが、あの二人からしたら駄目だったのだろうか? それとも見るに値しないので評価するまでも無いと思われたのだろうか?

 

「ナターシャ先生、ちょっとよろしいですか?」

 

「えっ? 織斑先生……」

 

 

 職員室の扉を開こうとした瞬間、内側から開き織斑先生が出てきました。心なしか怒ってるように見えるのだけど、私何かしたかな……思いっきりしてるわね……

 織斑先生の溺愛する一夏君と付き合ってるし、思いっきり頼っちゃってるよ……もしかして私の人生は此処で終了なの?

 

「すぐに終わりますから」

 

「は、はい……」

 

 

 いったい何を言われるのだろうか……一夏君はまだ話してないって言ってたけど、織斑先生の勘の良さは凄まじいものがあるからな……感付かれてもしょうがないような気もするんだよね……

 

「あの私、何かしましたか?」

 

 

 無言のまま何も言ってくれない織斑先生に、私は意を決して聞いた。無言のプレッシャーに堪えられなかったのもあるが、これ以上時間を取られるのはちょっと嫌だった。

 

「織斑先生、用が無いなら良いですか? 行きたい場所があるので」

 

「何処だ?」

 

「えっと……お花を摘みに」

 

「なら付き合おう!」

 

「そんな喫茶店に誘うかの如く言わないでくださいよ!」

 

 

 なんなのだろう、この人は……一夏君は駄姉とか言ってたような気がするけど、確かにすわね、駄目な人臭が……

 

「兎に角、用事が無いなら失礼します!」

 

「あぁ待て! 用事はあるんだ、用を足してからで良いから聞いてくれ」

 

「大声で言わないでくださいよ!」

 

「何を恥ずかしがる。周りには女子しか居ないんだから気にするだけ無駄だぞ?」

 

「女の子しか居ないからっておおっぴらに言う事じゃ無いでしょうが!」

 

「騒ぐと漏れるぞ」

 

「グッ!」

 

 

 反論したかったが、そろそろ本気でヤバイのは確かなのだ。此処は大人しくしよう。

 

「とりあえず私は一回失礼します」

 

「ああ、スッキリしてこい!」

 

「もう!」

 

 

 デリカシーと言うものが無いのだろうか、あの人には! 一夏君のお姉さんとは思えないほどの感性の持ち主なんじゃないの?

 良く一夏君が嘆いていた、「何であの人が世間の憧れなんだろう?」発言を、今なら賛同出来るわね。あの人は世間が思ってるほど立派じゃ無いわ。

 

「それでナターシャ先生」

 

「ちょっ! 何でついてくるんですか!?」

 

「なに、私も用を足そうかと思ってな」

 

「だからはっきりと言わないでください!」

 

 

 こんな所を一夏君に見られたら恥ずかしいじゃないの……

 

「何してるんですか?」

 

「い、一夏君!?」

 

「お前こそ何をしている。此処は教員用のトイレだぞ?」

 

「アンタが此処を使えって言ったんだろうが!」

 

「そうだったな」

 

 

 そう言えばこの学園には男性用のトイレは此処にしか無かったんだっけ……それにしてもタイミングが悪いわよ。

 

「何をしてるって一夏、トイレに来たらする事は一つだろうが! 私もナターシャ……」

 

「黙って行け!」

 

 

 余計な事を言いかけた織斑先生の言葉を、一夏君がぶった切った。言われかけた私も恥ずかしかったが、聞く方の一夏君も恥ずかしかったのだろうな。

 

「何だ、聞きたく無いのか?」

 

「失せろ変態!」

 

「酷いぞ一夏……」

 

 

 一夏君は興味無さそうに織斑先生を叱責すると、教室に戻る為に移動し始めた。だが、その背中を織斑先生が呼び止めた。

 

「一夏、お前にも関係のある話だから、ちょっと待ってろ」

 

「話? また変な話じゃないだろうな?」

 

「真面目な話だ。終わるまでちゃんと待ってるんだぞ」

 

「はいはい……」

 

 

 興味の無さそうな返事をして、一夏君はヒラヒラと手を振った。つまりさっさと済ませて来いの合図なのだろう。普段ニアミスしなかったから気にしてなかったけど、一夏君が隣の空間に居る時にしてた時もあるのだろうか……そう思ったら急に恥ずかしくなってきちゃった。

 

「ナターシャ先生? もしかして漏れた……」

 

「違います!」

 

 

 本当にこの人はデリカシーの欠片も持ち合わせてないのね! いくら女子高だからって今は一夏君が居るし、前には教員にも男性が居たんでしょうに……一夏君が嘆いてるように、この人は駄目人間だわね……

 

「駄目人間で悪かったな!」

 

「あれ? 口に出してました?」

 

「フン! 貴様の考えてる事などお見通しだ!」

 

 

 うわぁ~……この人、もしかして読心術でも使えるの!? 一夏君も使えるような感じはするけど、やっぱりお姉さんなんだなぁ……って、関心してる場合じゃ無かった。急がないと本当に漏れちゃう……

 

「後できっちり話しを聞かせてもらうぞ」

 

「私は一夏君の考えに同調しただけですよ」

 

 

 大体、思われても仕方ない事をしてるのは織斑先生じゃないですか! っと言えればどれだけ気持ちが楽になるか……山田先生と何時か二人で思いっきりぶちまけたいですね。

 

「貴様が一夏の考えを何故知っている?」

 

「壁越しに話しかけないでくださいよ!?」

 

「いや、気になったからな」

 

「織斑先生が居なかった間に色々と話す機会がありましたから」

 

「ふむ……」

 

 

 壁越しに織斑先生が考え込んだのが分かる。もしかして余計な事を言ってしまったのだろうか?

 

「一夏が私の事を話すなんて、そんなにも私の事を思ってくれているのか!」

 

「ええー」

 

 

 まさか良い方に解釈するとは思って無かったなぁ……この人って一夏君の事に対してだけ随分と前向きなんだな……

 

「そう言えば、真耶が言ってたのだが、貴様も一夏に料理を作ってもらったそうだな」

 

「え、えぇ……食堂ばかりじゃバランスが悪いって言って一夏君が作ってくれました」

 

「私には作ってくれないのに……」

 

 

 そう言えばマドカちゃんが来て暫くは関係が拗れてたように思ってたけど、如何やら気のせいじゃ無かったんだ。

 

「織斑先生、一夏君に何かしたんですか?」

 

「何もしてない! ……いや、あれは許してもらったし、あれは私だけの責任じゃないから関係無いだろ、そうなるとあれか? いや、あれだって元凶は私じゃないし……」

 

「心当たりが多いですね……」

 

 

 もしかして織斑先生って、一夏君に迷惑を掛けて怒られたいのかしら……世間からドSだと思われている織斑先生が、実はドMだったりして! ……いや、もしそうだとしても誰が織斑先生を苛められるんだろう……

 

「そもそもの原因は政府の連中なんだ! アイツらが私に一夏が誘拐された事を教えてくれなかったから!」

 

「随分と遡っての怨み節ですね」

 

 

 一夏君が誘拐されたのって、もう三年くらい前じゃなかったっけ? そんな事を今更私に言われても如何しようも無いのに……

 

「あの時の一夏は私に懐いていてなぁ……」

 

「あの、もう終わったので出ません?」

 

「そうだった、一夏を待たせてるんだったな!」

 

 

 勢い良く織斑先生が立ち上がった……ように感じた。本当に一夏君の事が好きなんだなぁと思う反面、姉弟でそんな感情が成り立つのだろうかとも思った。でもそう言えばマドカちゃんも一夏君の事を好きだって言ってったっけ……もしかしてブラコンは血筋なのかしらね。

 

「待たせたな、一夏!」

 

「……ちゃんと洗ったか? その手」

 

「……あっ!」

 

「ハァ……洗って来い!」

 

 

 慌てて出て行って手を洗わなかった織斑先生は、すぐさま一夏君に追い返された。本当にどっちが年上だか分からない姉弟だなぁ……

 

「それで、何の用件だか聞いたんですか?」

 

「ううん、違う話してたから」

 

「違う話?」

 

「うん、一夏君が嘆きたくなる気持ちが良く分かったよ」

 

 

 あの人は本当に駄目人間だと思えたもん。戦闘技術は尊敬に値するものを持ってるけど、それ以外は本当に駄目なんだと思った。この前の映像もそうだけど、完全に一夏君に甘えたがってるもん……本当なら一夏君を甘えさせてあげなきゃいけない立場なのにだ。

 

「あれは昔からですからね」

 

「おい一夏、ちゃんと洗ってきたぞ」

 

「それが普通だ。威張って言う事じゃ無いぞ」

 

 

 手を洗いに行っていた織斑先生が戻ってきたので、そろそろ本題に入ってもらいたいのだが、一夏君も織斑先生もそんな雰囲気では無かった。

 

「一夏、最近私に冷たくないか? もう少しお姉ちゃんを構えよ~」

 

「気持ち悪い! 大体アンタが俺に何か頼む度に面倒な事体になるんだ。それが分かってて構うか!」

 

「そんな事言うなよ……っと、今回も面倒な事になったんだった」

 

「は?」

 

「いやな、お前たちの授業を見た山田先生が自信喪失してな。残りの授業もお前たちでやってくれ」

 

「はぁ!?」

 

「だから、お前らの教え方に山田先生が衝撃を受けて、割と本気でへこんでるから後は任せたって言ったんだ」

 

「何故貴女がやらない……」

 

「実は私も相当ダメージを受けているからな……」

 

 

 織斑先生と一夏君で会話が進められているが、私はかなり驚いていた。山田先生がそこまで衝撃を受けるなんて思って無かったのだ。

 大体あの授業は一夏君が手伝ってくれたから成立したのであって、私一人ではアタフタして終わってただろう。

 

「ダメージを受けてるなら丁度良い、ついでに言っておく事がある」

 

「何だ?」

 

「えっ、一夏君……今言うの?」

 

「死体蹴りみたいだろ?」

 

「それって良いのかな……」

 

「おい、随分と親しげだが……まさか!?」

 

「多分そのまさかだ」

 

 

 一夏君はニヤリと笑みを浮かべたが、織斑先生は反応しない……て言うかそもそも意識を保ってなかった。

 

「目を開けたまま気絶してる」

 

「絶命しないだけの精神力は残ってたか」

 

 

 何時かは言わなければと思ってたけど、まさかこの流れで言う事になるなんて思って無かったなぁ……織斑先生、気絶しちゃってるし。

 

「碧さんの時は猛反対してきたくせに、今回はあっさりと承諾してくれたな」

 

「これって承諾したの?」

 

「反発が無いんだ、承諾で良いだろ」

 

「いや、如何だろう……」

 

 

 意外と楽観視してる一夏君だが、意識を取り戻した途端に猛反対するかも知れないのに。私は戦々恐々と気絶している織斑先生に近づいた。この気絶が演技だったら、私は襲われるのかな?

 

「織斑先生? 聞こえてますかー?」

 

「大丈夫だろ、完全に気を失ってるから。今なら何しても平気だろ」

 

「いや、何もしないって! それよりも、織斑先生を如何するか決めないと!」

 

「如何するって?」

 

「だから、何処かに運ばなきゃ!」

 

「放っておけば良いって。そのうち復活するから」

 

 

 一夏君はあっさりとその場から立ち去ろうとした。いくら最近仲が良く無いとは言え、お姉さんをあっさりと見捨てるのかな?

 

「良いの? お姉さんなんでしょ?」

 

「……ナターシャになら言っても平気か」

 

「何が?」

 

 

 少し考えた素振りを見せた一夏君が、ボソッとそんな事を言った。言葉通りならかなり重要な事で、あまり人に言ってない事を教えてくれるのだろうが、この局面でそんな重要な事があるのかな?

 

「俺とこの人……織斑千冬には血の繋がりは無い。もちろん織斑マドカともだ」

 

「え? ……えっ!?」

 

「そう言う事だ」

 

 

 いや、如何言う事よ……そんな重い話を急にされても困るんだけど……つまり一夏君は織斑先生やマドカちゃんと結婚出来るって事なの!?

 

「絶賛混乱中のところ悪いが、想像でも止めてくれ。そんな気持ち悪い事考えるの」

 

「えっとつまり……」

 

「この人は義姉、マドカは義妹だ」

 

「そこは血の繋がりがあるのね?」

 

「そっくりだろ。見た目から行動まで」

 

「確かに……」

 

 

 見た目はそうだが、一夏君に対する溺愛っぷりとかもう姉妹じゃなきゃ説明つかないほどそっくりだもんね。

 

「さてと、授業を任されたからにはやらなければな。次は一般の授業だったな。ナターシャ一人で大丈夫だろ」

 

「手伝ってよね!」

 

 

 一夏君が手伝ってくれなきゃ、私は授業なんて受け持てるレベルじゃ無いんだから……一夏君がチラリと腕時計に目をやり、今度こそ教室に戻って行った……それにしても、とんでもない事を聞いちゃったなぁ……他の彼女は知ってるのだろうか……後で一夏君に聞いてみよう。

 

「兎に角、授業の準備をしなきゃ!」

 

 

 衝撃を受けた原因の殆どは一夏君の所為だろうけど、その一夏君に協力を求めたのは私なんだから、しっかりとしなきゃ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだか長い間気を失っていたような気がする。時計を見れば既に昼休みに入ってる時間だった。

 

「私は、何で気絶したんだ?」

 

 

 気を失う前の記憶があやふやで、私は何でこんな所で気を失っていたのか分からなかった。確か一夏とナターシャに授業を任すと言って、その後に何か言われたような気がしたんだが、いったい何を言われたんだっけか……覚えて無いって事はそれほど重要では無かったのかも知れんし。

 

「さてと、昼食にするか」

 

 

 気を失ってたとは言え、やはり腹は減るものだ。今日は何を食べるとしようか……

 

「本当は一夏の作った弁当でも食べたいのだが、それは叶わないしな……」

 

 

 入学したての時は、週一で作ってくれる約束だったのに、マドカが現れてから全く作ってもらって無いんだよな……別にマドカが悪いんじゃ無いのは分かってる。だが一夏が真実を知ってから一夏が冷たくなったのは紛れも無い事実なのだ。

 

「マドカに頼んで一夏に弁当を作ってもらうか? いや、そんな事しても一夏にはバレるだろうし、そもそもマドカが協力してくれるか如何かも分からないし……」

 

 

 何とか誤解は解けたのだが、イマイチ距離感が掴めないのだ……お互い様ではあるのだが、如何も二人きりだと気まずい雰囲気が流れるのだ。

 

「日替わりランチにするか……一夏のと比べるとやはり落ちるが、ここの食堂の料理は美味いからな」

 

 

 そもそも一夏と対抗出来る食堂などあるはず無いのだ。一夏の料理の腕はそこらへんの食堂に負けるものじゃ無いし、一夏が本気になればミシュランも狙えるだろう。もちろん、そんな俗物に一夏が興味ある訳も無いのだが。

 

「はぁ……一夏の料理が食べたい……真耶の部屋にあったものは全て食べてしまったしな」

 

 

 一夏が数日分作り置きしてくれていたのだが、あまりの美味しさに全て平らげてしまったのだ。あの時の真耶の顔は笑えたな……もしかしてナターシャの部屋にもあるのか?

 

「いや、今から行っても居ないだろうし、そもそも私とナターシャはそこまで親しく無いしな……ん?」

 

 

 ナターシャの事を考えてたら、頭に靄が掛かったような感覚に襲われた。これはいったい何だ?

 

「何か忘れてるような……駄目だ、思い出せん」

 

 

 とてつもなく重要な事だったような気もするし、そうでも無かったような気もして、私は気持ち悪い感覚にとらわれていた。

 

「何してるんですか?」

 

「真耶、私は何を忘れてるんだ?」

 

「そんな事聞かれても私が知ってる訳無いですよ」

 

「そうだな……真耶が知る訳無いよな」

 

 

 あの場所に真耶は居なかったのだから、知ってる訳無いのだ。なのに聞いてしまうなんて、よっぽど困ってる証拠だな。

 

「ところで千冬さん、今まで何処に居たんですか?」

 

「ちょっと意識を失っていた」

 

「えぇ!? 大丈夫なんですか?」

 

「問題無い。偶にある事だ」

 

 

 主に衝撃を受けた時などに……ん? それじゃあ私は何に衝撃を受けたんだ? 一夏とナターシャに授業を任せて、その後に何か言われたんだろうが、それはいったい何だ?

 

「おい真耶、ナターシャは何処に居る?」

 

「ナターシャ先生ですか? さっき職員室で織斑君と一緒に居るのを見ました……って千冬さん!?」

 

 

 真耶の言葉を最後まで聞いてる余裕など無く、私は職員室に急いだ。もちろん廊下は走らないし、角で誰かとぶつかるようなヘマもしない。

 

「待ってくださいよ~!」

 

 

 微かにそんな真耶の声を聞いたような気がするが、もちろん待つはずも無い。私は一刻も早く一夏とナターシャに会わなければいけないのだ。

 歩いて出せる最大のスピードで職員室までの道程を移動し、私は乱雑に職員室の扉を開けた。昼休みと言う事で、大半の教師は出払っているので、そこまで問題になる事は無いだろう。

 

「織斑先生!?」

 

「如何かしたんですか? そんなに乱雑にして」

 

 

 運良く職員室に居たのは一夏とナターシャだけだった。これなら遠慮無く問い詰められるな。

 

「私が気を失った原因は何だ!」

 

「は?」

 

「だから、私が気を失った原因を教えろ!」

 

 

 呆れ顔の一夏に詰め寄り、私は胸倉を掴みかからん勢いで手を伸ばした。もちろん一夏に払われたが……

 

「都合良く忘れてるなら、それで良いだろ」

 

「良いから!」

 

「……聞いてまた気絶するなよ?」

 

 

 それほど衝撃のデカイ事なのか……いったい何なのだ?

 

「ナターシャが言ってくれ」

 

「えっ、私!?」

 

「俺はさっき言ったからな」

 

「いや、言ってないよ」

 

 

 何だこのやり取りは……まるで恋人のようじゃないか! ……まさか!

 

「おい、まさかお前ら……」

 

「思い出したのか?」

 

「嘘……だよな?」

 

 

 一夏が教師と恋愛などする訳無いよな。大体一夏は年上嫌いだろうし……主に私と束の所為で。

 

「そんな嘘吐いて如何するんだよ」

 

「えっと、一夏君とお付き合いさせてもらってます」

 

「い、何時からだ……」

 

「昨日からです」

 

「いきなり泣き出してさすがに焦ったぞ」

 

 

 一夏たちが何か言ってるが、最早私の耳には届かなかった。一夏がまた彼女を増やしたなど、私には受け入れがたい現実だったのだ……




しれっと千冬に事実を教えたんですが、衝撃が強すぎて記憶が……

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