長いですが、どうぞ・・・
「それじゃあ一夏君、また後でね。」
食堂での一時は俺の精神を大いに回復してくれた。
やっぱり4人と一緒に居ると、気が休まる・・・偶に疲れるがな。
「(それでも、やっぱり普段の一夏様よりは優しい顔をしてますよ。)」
そうか?俺は別段意識してないが無意識に変わってるんだろう。
今までは千冬姉に苦労してたから、あの4人のありがたみが良く分かるよ。
「(確かに一夏様は、苦労の絶えない人ですからね・・・。しかもIS学園に入った事によって、昔なじみの篠ノ之箒、女尊男卑の風習に染まりきったセシリア=オルコット、この2人に色々と絡まれるなんて、もしかして一夏様は不幸の星の元に生まれたのかも知れませんね。)」
・・・そんな星、滅びてしまえ。
俺は本音と簪と一緒に1年のフロアに戻りながら須差之男と話していた。
「一夏、考え事?」
無言で歩いていたので簪が不審がって声を掛けて来た。
「いや、ちょっと須差之男と話してたんだ。すまないな、放っておいたみたいで・・・。」
「そんな事無いよ。一夏は何時も私達のことを考えてくれてるのは知ってるから。」
「そうか・・・ありがとな。」
俺は簪の言葉に素直にお礼を言った。
「今日だけで、一夏の周りで様々な問題が起きてるんだもん。私達には相談できない事もあるだろうし、だから気にしないで。私は、私達は一夏と一緒に居られるだけで嬉しいから・・・。」
最後の方は顔を真っ赤にして気持ちを伝える簪。
・・・ヤバイ泣きそうだ。
別に相談出来ない訳では無いのだが、一番気軽に相談出来るのが須差之男なのだ。
「(私は常に一緒に居ますからね。それに考え方も一夏様に近いですし。)」
・・・考え方が真逆の専用機なんて、使いにくいだろうが。
「(それは言わないお約束ですよ。そもそもISと会話が出来るのは一夏様だけですからね、他のISがどのような考えを持っているのか確かめようが無いですよ。)」
そうだったな。
意思を持つISは他にも居るかも知れないが、操縦者と会話するISは今のところお前だけだったな。
「おりむ~、後で私達にも相談してね~。少しくらいは力になれるから~。」
「ああ、分かった。だが、少しどころか一緒に居てくれるだけで心強いぞ。」
俺ばっか恥ずかしい思いをするのは不公平だと思ったので、俺は口に出すつもりの無かった言葉も一緒に言う。
すると、元々真っ赤だった簪はさらに赤くなり耳まで真っ赤だ。
そして本音も、顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。
・・・うん、可愛いな。
「(刀奈様や虚様もこのような反応をしてくれると思いますよ。勿論私もそのように言われたら恥ずかしくて顔から火が出る思いになりますよ。)」
・・・フム、なら言ってやろう。
勿論、須佐之男が一緒なら俺は何処までも強くなれるだろう。
だからこれからも一緒に居てくれ。
「(え・・・も、勿論です!当たり前です!!決定事項です!!!私はどんな事があろうと一夏様の傍を離れません、むしろ離れろと言われても離れませんよ!)」
まさか此処まで喜ぶなんてな・・・。
どうやら俺は専用機にまで愛されているらしい。
いや、前から知っていたがまさか此処までとは・・・。
「(一夏様が私のことを必要としてくれている。これだけでも私は感動です。これからもっと必要と思ってもらえるように・・・ブツブツ。)」
またお取り込み中の須佐之男は置いておいて、俺達は教室に戻った。
教室に戻ってきた俺達を迎えたのは・・・
「貴様のせいで怒られたではないか!!」
ミス勘違い・篠ノ之箒だった。
てか、まだ自分が悪いと思ってないのか・・・。
俺は再び迫り来る竹刀を見ながらそんな事を考えていた。
「「「きゃーーー」」」
ほら、普通の生徒が悲鳴を上げてしまってるじゃないか・・・。
俺は今度は竹刀を受け止め、篠ノ之に話しかける。
「危ないだろ。そもそも全中女子剣道大会の優勝者が竹刀を振り回すものじゃないだろ。」
別段俺にとっては危なくないのだが、普通の人間には恐怖を与えるだろう・・・。
「な、一夏その事を知っていたのか。」
別に知りたくは無かったが新聞に載ってたからな・・・。
「まあ、一応な。」
だが口に出したのは別のこと。
事実を言えばまた激昂するだろうから、俺なりの配慮だ・・・篠ノ之に対してでは無く周りの女子達に対してだが。
「そうか、知っていてくれたのか・・・。」
・・・また、何か勘違いしているような気がする。
「(脳内お花畑なんじゃないですか?)」
何時の間にか現実復帰していた須佐之男の毒舌に噴出しそうになった。
確かに自分の都合の良いように脳内変換しているのだろう。
「何をしている、とっくにチャイムは・・・篠ノ之お前は放課後私のところに来るように。ああ、逃げても無駄だぞ。地獄の果てまで追い掛け回し必ず私の元に引きずりこむので、そのつもりで。」
そういえば、さっきまで怒られてたんだっけか。
それなのにまだ反省してくれないなんて、流石の千冬姉でも悲しいかもな・・・。
俺はそんな事を考えながら席に着く。
午後の授業は特に問題なく終わった・・・いや問題ならあったな。
「織斑先生、質問なんですが・・・。」
「何だ?」
「ひょっとして篠ノ之さんって、篠ノ之博士の関係者ですか?」
何だ、知らなかったのか・・・『篠ノ之』なんて苗字なのだから気が付きそうなものなんだが。
俺がそんな事を考えていると、千冬姉も同じだったみたいで・・・
「何だ、気が付いてなかったのか。あんな苗字他に無いだろ。まあいい、確かにそこに居る篠ノ之は『アイツ』の妹だ。」
アイツって・・・唯一の友達をそんな風に言うものじゃないだろう。
俺のあきれた視線を感じ取ったのか・・・
「何だ?織斑。」
「いえ、別に・・・。」
朝もこんなやり取りをしたような気がするのだが。
「(確かにしてましたよ、一夏様。やっぱり千冬様は一夏様の事が好きなのですね。)」
そうかも知れないが、公私混同するものじゃないだろうが。
それが教師なら尚更だ。
「え、すごーい。大物IS関係者の身内がクラスに2人も居るなんて。」
「ひょっとして篠ノ之さんも凄い頭脳の持ち主?」
・・・さっきまでの行動で分かるだろうが。
学習しない、自分勝手、それでいて自分の否を認めない。
これで束さんと同じ頭脳なら、ISなんてものは生まれなかっただろうな・・・。
「(何気に酷いですが、概ね同感です。束様がこのような残念な頭脳な訳ないじゃないですか。まったく、全ISに対しての侮辱ですよ。)」
そこまで言うか・・・だが自分勝手という点は束さんも変わらない気もするが、自分勝手の度が違うか。
束さんは自分が楽しいと思うことを全力でする、篠ノ之は自分が全面的に正しいと思い込んでいる、姉妹で何故こうも似ているのに違うのか。
俺と須差之男が話していると・・・
「ねぇ篠ノ之さん、如何なの?」
「私はあの人とは違う!!あの人のことを私に言うな!!!」
・・・また随分と大きな声だな。
話しかけていた女子が吹き飛ぶんじゃないかと思えるくらいの衝撃だ。
実際話しかけていた女子は椅子から転げ落ちている・・・可愛そうに。
「(口からあれだけの衝撃波を出せるなんて・・・一夏様達とは別の意味で人間ではないですね。)」
・・・だから五月蝿いって。
須佐之男の毒舌にツッコミを入れていると、篠ノ之が語りだした。
「私は姉とは違うのだ。だから私と姉を比べないでくれ。」
まだ興奮しているが、声のボリュームは落ち着いている。
その感情だけは同意出来るぞ、篠ノ之。
俺も散々姉と比べられて来たからな。
だが、そこまで拒絶する必要があるのか?
確かに束さんのせいで篠ノ之家はバラバラになってしまったが、それは束さんも同じだろ。
「そこまでだ、篠ノ之。」
織斑先生が止める。
これ以上は話すべきではないからな。
「そうだ、織斑。」
・・・何だいきなり。
「何ですか?」
俺は内心嫌な感じがしていたが、織斑と呼ばれた以上相手は教師だ。
答えない訳にはいかなかった。
俺の耳元に近づき、
「今度の決闘の時
・・・教師がそんな発言していいのかよ。
俺は内心ため息を吐きたかったが、とりあえず返事をしておく事にした。
「分かった、だがそれだと完膚なきまでに叩きのめすのが面倒なんだが・・・。」
「なら、精神的に叩きのめすと良い。お前なら簡単だろ。」
「了解だ・・・そろそろ離れろ。」
周りの女子が不審がっているので俺は千冬姉を離した。
・・・何故残念がるんだよ、まったく。
「では、授業を再開する。」
織斑先生の一言でこの騒動は終わった。
そして放課後、俺はまだ寮の鍵を貰っていないので千冬姉を探していると・・・
「織斑君、よかった、まだ教室にいてくれましたか。」
・・・随分と息の切れている山田先生が現れた。
「どうしました?随分と慌てて・・・とりあえず深呼吸してください。」
落ち着かせるには深呼吸が一番だからな。
「すぅーーーーー、はぁーーーーー、すぅーーーーー、はぁーーーーー。」
「落ち着きました?」
「ええ、ありがとうございます織斑君。」
・・・やっぱり子供っぽいな。
笑顔がニコッと言うよりは、ニパッって感じが合う。
擬音一つで印象が変わるのだから、笑顔も侮れん・・・。
「どうかしましたか?」
おっと、余計な事だったな。
「いえ、別にどうも・・・ところで山田先生は何故俺を探していたのですか?」
さっさと本来の流れに戻さないと面倒な事になりそうなので、俺は真面目に聞いた。
「そうでした、これ寮の鍵です。失くしちゃだめですよ。」
「ありがとうございます、失くしませんよ。」
これで終わりだろうか。
俺は一礼をしてこの場から移動しようとしたが・・・
「待て、織斑。」
・・・織斑先生に呼び止められた。
「何か?」
俺は心当たりがあるが尋ねる。
「なに、朝の件で聞きたい事があるのでな。」
・・・ほら、やっぱり。
「あの時何を思った、一夏答えろ。」
教師モードから姉モードになったので、俺も普段通り話す。
「なに、普段からこのように振舞ってくれれば俺も楽が出来るのにと思っただけだ。」
「そんな事言わないでくれ。この感じは意外と疲れるんだぞ。」
・・・あっそ。
「分かったから泣きつくな。いくら放課後とはいえ生徒の目があるかもしれないだろ。」
「ああ、そうだな。だが一夏、お前の前でくらい楽させてくれ。」
「・・・分かったが、此処には山田先生も居るんだが。」
「あ、あはははは・・・」
乾いた笑いが教室に響く。
千冬姉め、完全に忘れていたな。
「この事は他言無用だ、いいな真耶!」
「は、はい!」
相変わらずの恐怖政治だ。
睨みを効かせ脅しに掛かる千冬姉と、涙目でそれを受ける山田先生。
分かりやすい力関係だな。
「そうだ、織斑。篠ノ之を知らないか?」
「篠ノ之?放課後は説教ではなかったのですか?」
「そうなんだが、何時まで待っても職員室に来ないから探しに来たのだ。」
・・・アイツ逃げたな。
「私から逃げようとは、良い度胸だな。貴様がそのつもりなら、私も本気で相手しようではないか。」
「ほどほどにしてくださいよ、織斑先生。」
俺は、自分の姉が殺人者にならないように祈っておこう。
部屋の鍵には『1111』と書いてある、新しく改装した部屋なので他の部屋より教室から遠い。
此処か・・・。
俺は鍵を差込み部屋に入る。
そこには・・・
「一夏君、お帰りなさい。ご飯にします?お風呂にします?それともわ・た・し?」
「い、一夏さんお帰りなさい。ご飯にします?お風呂にします?そ、それともわ・た・し?うう・・恥ずかしいです。」
「い、一夏お帰り。ご飯にする?お風呂にする?そ、それともわ・た・し?」
「おりむ~お帰り~。ご飯?お風呂?それとも私~?」
裸エプロンでノリノリな刀奈さんと本音、顔を真っ赤にして恥ずかしがっているが2人に付き合う虚さんと簪が居た。
俺は周りを見渡し、速攻でドアを閉めて・・・
「何やってるんですかーーーーー。」
叫んだ、流石に叫んだ。
「何って、お迎えだよ♪」
・・・やっぱり刀奈さんのアイデアか。
「刀奈さんや本音はともかく、虚さんや簪まで・・・。」
普段は止めるはずの2人が付き合っているのに、俺は落胆した。
「ご、ごめんなさい一夏さん。でもお嬢様や本音だけ一夏さんに擦り寄るのは嫌だったもので・・・。」
「ゴメン、一夏。でも、私だって一夏に喜んで欲しかったし・・・。」
へこんでいる2人の頭を撫でながら、
「ありがとうございます虚さん、簪もありがとな。」
俺はお礼を言う。
「一夏君、私は?」
「おりむ~私も撫でて~。」
刀奈さんが不貞腐れ、本音が撫でて欲しそうに擦り寄ってくる。
「もちろん嬉しいですよ刀奈さん。本音もおいで。」
下に水着を着ているのは最初っから分かっていたので特に気にすることなく4人を抱きしめる。
本当に裸だったら躊躇するだろうが、水着姿で抱きつかれたことがあるのだ、しかも大勢の人前で。
「ところで一夏君、決闘のことどうするの?」
刀奈さんに聞かれ、俺は4人に相談する。
「さっき千冬姉に言われたが、3本の剣と銃火器のみで戦えと言われたんですが、どうします?」
「え、織斑先生がそんな事を?」
「ええ、それで俺はこんな事をしようと思ってるのですが・・・。」
俺は4人にやろうとしている事を話した。
これなら精神的に叩きのめそうだろ・・・。
「一夏君、楽しみにしてるわね♪」
刀奈さんの言葉に他の3人も頷く。
さて、期待された以上本気でやるか。
「(一夏様、私もお手伝いしますよ。)」
当然だ。
俺が扱えるISはお前だけだからな。
あっという間に時間が経ち、決闘当日。
俺達はピットで最終調整をしていたのだが・・・
「何故貴様がここにいる?篠ノ之。」
この場において、完全な部外者である篠ノ之に対して千冬姉が尋ねる。
「な、私ですか!?」
お前以外誰が居るんだ?
「当然だ!今この場において部外者はお前以外居ない!」
「何故です!?明らかに他クラスの物や上級生まで居るではないですか!そもそも私は一夏の幼馴染です、部外者ではありません!!」
だから俺はお前の事、幼馴染などと認めてないし、それだけで関係者面されても困るのだが・・・。
「この更識姉妹と、布仏姉妹は数年前から織斑の護衛や身の回りの世話をやってもらっているし、織斑本人がこの場に呼んだから問題は無い。だが、お前は違うだろ?幼馴染だから関係者?そんな理屈が通るとでも思ってるのか?」
「な、一夏。お前からも何か言ってくれ。」
「織斑先生の言っている通りお前は部外者だろ。だから大人しくここから出て行ってくれ。そろそろ試合が始まるからこれ以上問題を起こさないでくれ。」
本音を言えば一刻も早く追い出したいのだが、さらに面倒な事になりかねないので今回はなるべく下手にでている。
「何故だ!昔は一緒に居たではないか!?」
「それはお前が付きまとっていただけだろ。篠ノ之、お前が束の妹では無かったら一夏はとっくにお前との縁を切っている。私もお前の事を叩きのめしているだろうな。だから今すぐこの場から出て行かない場合は、身の安全は保障できない。」
「くっ・・・分かりました。ですが私はあの人と関係無いです!!」
走ってピットから出て行った篠ノ之・・・だからお前が束さんと関係無かったら今生きていないかもしれないだが。
そのことを理解していない篠ノ之は束さんを否定している。
束さんも最近篠ノ之の事あまり話さなくなってきているので、どうなる事やら・・・。
「さて、織斑。そろそろ時間だが、問題ないな?」
どちらかと言えば問題あるのだが、試合には影響しないのでまぁいいか。
「ああ、問題ない。」
俺が返事をすると・・・
「一夏君、頑張って!」
「一夏、勝ってきて!」
「一夏さん、御武運を!」
「おりむ~、頑張って~応援してるよ~。」
4人が声援をくれた。
ああ、この4人に言われるだけだ俺は負けない。
「(元々負ける要素が無いですよ。一夏様が本気になれば、相手になる人なんて居ませんよ。)」
確かに本気なら瞬殺だろうが、今回は制限があるからな・・・。
まぁ、相手に勘違いさせるにはあの作戦でいけるだろう。
「(随分えげつない事しますね。でも、そんな一夏様が好き。私はお手伝いしますよ。)」
さてと、時間だ。
「では、行ってきます。」
「「「「行ってらっしゃい。」」」」
「ああ、行って来い!」
「頑張ってください、織斑君!」
・・・山田先生、居たのか。
アリーナに出てオルコットと向き合う。
あれがオルコットの専用機ブルー・ティアーズか、基本は中遠距離武装だが確か機体の名前の由来になった自立機動兵器があるんだっけか。
「(一夏様なら、問題ないですよね。避けれますし、斬れますしね。)」
まぁそうだな。
「貴方に最後のチャンスを差し上げますわ。」
「チャンス?」
何がチャンスなんだ?
「このままやれば、この私が勝つのは自明の理。ですのでこの場で謝れば、痛めつけるレベルを下げてあげますわ!」
相変わらずの傲慢さだな。
俺がそんな事を考えていると・・・
「一夏君にあんなことを・・・お仕置きが必要みたいね。」
「お姉ちゃん、私も手伝う。」
「お嬢様、お手伝いいたします。」
「楯無様、私も手伝います。」
「奇遇だな、私もお仕置きしてやろうと思っていたところだ。」
ピット内でセシリア粛清作戦が決定していた。
ちなみに・・・
「(こ、怖いです。でも、セシリアさんも悪いですよね。だから私はこの5人を止めません、むしろ止められません。)」
一人怯えながらも5人に共感している山田先生が居た。
「気にするな、本気で来い。本気で来ないと・・・ケガだけじゃすまないぞ。」
目を細め、鋭い視線をオルコットに向ける。
傲慢な相手ならではの挑発、手を抜けばお前がケガすると言ってやると・・・
「その慢心が、貴方の敗因ですわ!」
いい感じに頭に血が上っているな。
ロックオンされ、射出されたレーザーを俺は紙一重でかわす。
「なっ!」
避けられるとは思わなかったのだろう。
今回は精神的に叩きのめすのだから、俺からは当分攻撃を仕掛けない。
一週間前に部屋で4人に言った作戦はこうだ。
「最初30分は俺からは攻撃しません。相手の攻撃をすべてかわしてプライドを切り裂き、最後にアイツの自尊心を砕けば、あの傲慢さも直るかも知れませんしね。別に仲良くするつもりは無いですが、対立するのも面倒くさいので・・・上手くいけばいいですがね。」
「まぐれですわ。」
連続でレーザーを放つオルコット。
偏向射撃も出来ない攻撃など、当たる気にならない。
レーザー光線など、偏向射撃ができなければただの直線に進む光に過ぎない。
その進行方向にいなければ、永遠に当たる事は無い。
「(普通の人間なら避ける事も難しいでしょうけどね。流石は一夏様、さっきから余裕ですね。)」
あえて紙一重で避けているんだ、余裕に決まってるだろ。
「何故、当たりませんの!何故貴方は攻撃してきませんの!!」
開始30分が経とうとして、オルコットの方が我慢できなくなっていた。
いい感じに自尊心に傷がついてきたな・・・。
なら、そろそろ砕くか。
「今回俺は、お前の実力を見ようとしていた。だからあえて攻撃しなかったのだが・・・この程度か。がっかりだな、セシリア=オルコット!」
俺は
「なっ、何を・・・」
オルコット自慢のブルー・ティアーズを破壊し、さらに話しかける。
「このように俺が攻撃すれば、お前は手も足も出ない。」
もう一発斬撃を飛ばし、ブルー・ティアーズを破壊する。
もう面倒くさいな・・・まとめて壊すか。
俺は精神を集中して、斬撃を飛ばす。
見せてやる、これが偏向射撃の軌道だ!
「なっ、貴方なんて事を・・・。」
一発の斬撃で二機の離れたブルー・ティアーズを破壊する。
これくらい簡単だろ。
「(いや、無理ですって。レーザーの軌道を変えるのも難しいのに、普通の人間が飛ばせない斬撃の軌道を変えるなんて・・・不可能ですよ。)」
・・・そうなのか?
これぐらい練習すれば出来るだろうが。
「さて、とっとと隠している残りも出したらどうだ?」
俺に言われオルコットは・・・
「分かりましたわ!この二機は他のブルー・ティアーズとは違いましてよ!」
そういってミサイルを放つオルコット。
確か
俺は束さんが説明の時に言っていたことを思い出した。
やってみるか・・・。
俺は銀をしまい、鉄を展開してミサイルを斬る。
おー綺麗に斬れたな。
見事に真っ二つになったミサイルが下に落ちていく。
「貴方、本当に人間ですの!?」
・・・失礼な、ちゃんと人間だぞ。
「(人間レベルの身体能力ではないですけどね~。)」
・・・五月蝿い。
俺はこれ以上戦闘を続けるのが面倒になったので、一気に決める事にした。
「行くぞ、オルコット・・・死ぬなよ。」
俺は
あっという間にオルコットの機体のシールドエネルギーは0になった。
「勝者、織斑一夏」
アナウンスが流れ、俺はピットに戻った。
一方もう一つのピットに戻ったセシリアは・・・
「(彼は他の男とは、違うのですね・・・。)」
何か思う事があるようだ。
しかし、この後彼女は鬼5人に粛清せれたのだ。
ISを使わず、生身で打ちのめされたセシリアは思った。
「(私は、いったい何を粋がっていたのでしょう。知らず間に龍の逆鱗に触れ、そしてこのように打ちのめされているのですね・・・。)」
今までの行動を反省し、これからは謙虚に生きようと誓ったのだ。
本当なら祝勝会まで行くはずだったのに・・・
千冬さん暴走、箒の身勝手、セシリアへの粛清、色々やってたらこんなになっちゃいました・・・。
次回は祝勝会と反省したセシリア、そして悪友鈴登場予定、お楽しみに。
p.s.
鍛冶様・boom様
ご指摘感謝です。
別のパソでやってたので、変換ミスりました。
コクトー様
コメント感謝です。
セシリアは一応頑張りましたが、一夏には敵わず・・・箒はさらに暴走させます。
夜光華様
コメント感謝です。
ご期待に沿えるように頑張ります。
A・K様
過ちは償わなきゃいけませんので粛清しました。
次回も頑張ります。
マサシーニ様
期待に応えられるか分かりませんが、検討だけはしてみます。
baruraito様
原作では指摘されてませんが、千冬に指摘されてなお態度を改めないという傲慢度増量で暴走している感じにしました。
和狼様
コメント感謝です。
今回さらにチート感のある技を披露しました。
不知火零式様
自分も一期の初めの方は箒好きだったんですけどね・・・あの性格はチョッと。
鈴はヒロインではなく友人として一夏に接しますのでご安心を。
arcgun様
コメント感謝です。
暴走する千冬をこれからも応援してあげてください。
ダンプ様
コメント感謝です。
騒音ですね・・・よく耐えた。
7373様
改心はしましたが、楯無達に粛清されたため、必要以上に一夏に近づこうとはしません。
シャルは・・・お楽しみに。
抹茶狸様
コメント感謝です。
優柔不断な面もチョッとありますが、原作よりは遥かにマシです。
ヒロインに須差之男まで入ってるとは・・・。
セシリア粛清のシーンは次回チョッと詳しく書きます。