もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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台風ですね……皆さん、川や海などを見に行かないでくださいね、危険ですから。


無欲の勝利

 皆がお風呂に入ってる間、私は一人でベッドに横たわっていた。ナターシャ先生から聞いた話が、あまりにも生々しくて耐えられなかったのだ。

 

「(あんな話を聞かされたら、普通こうなるよ……)」

 

 

 自分は普通の反応だと思ってたのだが、お姉ちゃんや本音は特に気にしないで聞いていたのを見ると、自分がおかしいのではないかと思ってしまうのだ。

 

「(虚さんもマドカも平気そうだったし、もしかして私がおかしいのかな?)」

 

 

 自分が普通だと思ってたけど、他の人は具合も悪くなって無いし、もしかして私が虚弱なだけなのかな……そうだとしたら一夏や虚さんには悪い事をしちゃったな……

 

「(あんな話を聞いただけで具合が悪くなるのは、きっと私が悪いんだ……)」

 

 

 普段からそう言った話はしないから分からなかったけど、お姉ちゃんたちは楽しそうに聞いてたし、あれが普通なんだろうな……

 

「(一夏もああ言った話には弱いみたいだし、やっぱり私が耐性低いだけだね)」

 

 

 一夏は周りの男子と比べてもかなり耐性が低いって言ってたし、それに当てはめると私の体勢が低いだけで、皆は普通なのだろう。

 

「(今頃は皆で一夏の身体とか洗ってるのかな……)」

 

 

 せっかく降って涌いたチャンスだったのに、こんな事でチャンスをフイにしてしまったのだ……

 

「(明後日は一夏と二人きりでデートだから我慢出来たけど、本当なら無理してでも一緒に入りたかったな…でもそんな事すれば一夏と虚さんに余計心配させちゃうし……)」

 

 

 普段からお姉ちゃんや本音の事で心労が絶えない二人に、これ以上迷惑を掛けるのは良く無いだろうし、それに一夏はクラスでも問題があるようだからね。

 

「(オルコットさんや篠ノ乃さんが一夏に詰め寄ったらしいし、デュノアさんは何処かに閉じ込められたって聞いたし……一夏の周りは忙しいからね)」

 

 

 最近では鷹月さんが一夏のフォローをしてくれてるみたいだけど、それ以上にマドカや須佐乃男が本音と一緒に暴走してたり、相川さんや夜竹さんが授業中に山田先生をからかって脱線させたりと問題が起こっているらしいのだ。

 そう言う問題を解決するのは、担任である織斑先生の仕事なんだけど、一夏に怒られて何処かで反省中らしいので今は不在なのだ。

 織斑先生が不在なのを良い事に、1年1組は今無法地帯になりつつあるのだとか……それを一夏が抑えているのだから、これ以上心労を与える訳には行かないのだ。

 

「(同じクラス代表でも、私のクラスは平和で良かったな……もし1組のクラス代表だったら、今頃胃に穴が開いてたかもしれないもんね……)」

 

 

 自分の意見を言うのが苦手な私では、オルコットさんや篠ノ乃さんを抑える自信など無いし、授業中に私語をしてる人を注意するのも出来なかっただろうからね……

 

「(自分で思ってて情けないな……)」

 

 

 普段から周りと比べてない所為か、うちのクラスはもの凄く恵まれてるんだと初めて思った。

 これからはもう少し一夏に迷惑をかけないようにしよう。そう思いながら寝返りを打つと、楽しそうな声が聞こえてきた。

 

『こら須佐乃男! まだ流してないんだから暴れるな!』

 

『だって我慢出来ませんよ!』

 

『本音もまだだからな!』

 

『早く交ざりたいよ~!』

 

「(何をしてるんだろう……)」

 

 

 一夏が大変そうなのは何となく伝わってきたが、須佐乃男と本音は何を我慢してるんだろう……またお姉ちゃんが泡祭りでもしてるのかな?

 

『これがこの部屋の普通なの?』

 

『恥ずかしながら……』

 

『喰らえ! 水鉄砲!』

 

『なんの! タオルガード!』

 

『ええい! やかましい!』

 

「(一夏も大変だね……)」

 

 

 お姉ちゃんとマドカの楽しそうな声に交ざろうと本音と須佐乃男が暴れているのを見て、ナターシャ先生が驚いて虚さんが呆れているのか……そして一夏が注意すると言う何時もの流れが、見えなくても簡単に想像出来た。

 

「(それにしてもお姉ちゃん、タオルガードって……)」

 

 

 自分の姉の行動があまりにも幼稚なので、思わず苦笑いを浮かべてしまった。慌てて表情を消したが、皆はお風呂場に居るんだから慌てる必要は無かったのだと気付いた。

 

「(一人で慌てて…恥ずかしい……)」

 

 

 人知れず顔を赤らめて、私は布団を頭まで被った。別に誰も見てないのに急に恥ずかしくなったからだ。

 

「(もしお姉ちゃんに知られたら、何て言われるかな……)」

 

 

 自分も知らぬ間にあんな事を言ってるのかも知れない……そう思うとますます恥ずかしさが増してきていたたまれなくなった。

 

「(これからは自分の言動は気をつけよう…自分の知らないところで恥を掻いているかもしれないからね……)」

 

 

 このメンバー以外との交友はそんなに無いけども、これからは注意して生活しようと決心した。だってあんなにお姉ちゃんが幼稚な事を言うなんて思って無かったから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風呂場で須佐乃男と本音の頭を洗っていたら、急に刀奈がくしゃみをした。

 

「ちゃんと温まらないからそうなるんだ」

 

「違うよ! きっと誰かが噂してるんだよ!」

 

「御託はいいからちゃんと温まれ! マドカもそんな格好で暴れるな!」

 

「「は~い」」

 

 

 イマイチ理解してるのか判断に困る返事をされたが、大人しく湯船に浸かったと言う事は分かってくれたのだろう。

 

「ほら、本音も須佐乃男も、流すから大人しくしてろよ? 目に入ったって文句言っても聞かないからな」

 

 

 髪の手入れを終えて、最後に洗い流す為にシャワーを手に取り二人を大人しく座らせる。

 

「おりむ~、何だかお母さんみたいだよ~?」

 

「何度も言ってるが、俺は男だからな」

 

「分かってるよ~。だって尻尾があるもんね~」

 

「女の子がそんな事言うな! はしたない……」

 

「全くですよ……本音、お父様が聞いたら何て言うかしらね?」

 

「大丈夫だよ~。お父様も分かってくれるって!」

 

 

 何の根拠があるのだろう……本音の無邪気な返事に、俺も虚もため息を吐きたくなる衝動に駆られたが、寸でのところで思いとどまった。

 それにしても虚と本音の父親か……何回かは顔を合わせたことはあるのだが、とても誠実で優しそうな人だったな。その誠実さは虚に、優しさは本音に遺伝したのだろうが、もう少し本音にも誠実さを遺伝してほしかった……自分で調節出来るものでは無いのだが。

 

「一夏様、早いところお願いします」

 

「ん? あぁ分かった」

 

 

 二人の髪を綺麗に洗い流して背中を軽く叩く。我慢してた分、動きたかったのだろう、その合図と同時に二人は湯船に駆け込んだ。

 

「飛び込むな! 危ないだろ!」

 

「今度はお父さんみたいだ~」

 

「一夏様は母親でもあり父親でもあるんですね~」

 

「お兄ちゃんは忙しいんだ~!」

 

 

 マドカの言ってる意味が分からない……確かに忙しいと思うが、今の流れでその話題にはならないじゃ無いのか?

 

「マドカちゃん、それって如何言う意味?」

 

 

 如何やら刀奈も意味が分からなかったようで、マドカに聞いている……どうせろくな事じゃ無いのだろうが、一応俺も気になったので耳を欹てた。

 

「だって母親の仕事と父親の仕事を両方こなさなければいけないんでしょ? 一人で出来る量じゃ無いと思うんだけど」

 

「確かに……」

 

 

 世の中には一人で全てこなしてる男性も女性も沢山居ると思うんだが……だが母親と父親と表現されてる以上、二人家族以上なのだろうから、それなりに仕事量も多いだろう……主に母親側だが。

 

「そう思うなら少しは手伝ってあげたら?」

 

「ナターシャ先生はまだ分かってないみたいですね」

 

「何がよ?」

 

 

 ナターシャの指摘に、刀奈が笑いながら否定する。歳はナターシャの方が上だが、俺と一緒に居るのは刀奈の方が長いからな。先輩気分なのだろう。

 

「一夏君を手伝おうとしても、己の未熟さを痛感するだけで終わっちゃうんですよ」

 

「そうですね……私なんて何時まで経っても一夏さんの邪魔しかしてないです……」

 

「私だってそれなりに自信はあったのに、おりむ~と比べちゃうとね~……」

 

「私も人並みには出来るんですが、一夏様を手伝おうなんておこがましい事はしませんよ」

 

「お兄ちゃんの手伝いをする事は、諦めた方が良いって皆から言われたから……」

 

「そんなに凄いの?」

 

 

 この場に居る皆が自信を喪失した風に言うから、ナターシャが若干引き気味な目で俺の事を見てきてるじゃないか……彼女にそんな目で見られたらさすがに悲しいぞ。

 

「今度ゆっくりと見ると良いですよ。そうしたら私たちが手伝わない理由が分かりますから」

 

「一夏様の手際を見たら、自分なんて……って絶対に思いますから」

 

「おりむ~の動きを見たら、もっと頑張らなきゃ! って思うよ~」

 

「何時かはお兄ちゃんと一緒に料理したいな~!」

 

「私はその前に人並みに料理が出来るようになりたいです……」

 

「一夏君って、戦闘技能や知識量が豊富なだけでじゃ無くって、家事全般も相当なんだね」

 

 

 呆れから尊敬の眼差しに変わったナターシャだが、頼むからジッと見ないでくれ……洗いにくいだろ。

 風呂場でジッと見られるとかなり恥ずかしいので、俺はとっとと全身を洗いそのまま脱衣所に向かおうとした……

 

「一夏君、まだ出ちゃ駄目だからね?」

 

「そうそう。おりむ~も温まらなきゃ駄目だよ~?」

 

「そうですよ一夏様。もう10月に近づいてるんですから、しっかりと温まらなければ駄目ですよ」

 

「ほら、お兄ちゃんも入って入って!」

 

「い、一夏さんも一緒が良いです」

 

「このお風呂って一夏君のために作られたんでしょ? その本人が入らなきゃお風呂も可哀想だよ」

 

 

 刀奈と本音に腕を掴まれ、他の彼女と義妹に説得され、俺は諦めて湯船に浸かる事にした。いくら大きめに作られてるからと言っても、七人で入ればそれなりに狭く感じるのだ。

 

「もっとくっつけば大丈夫だよね?」

 

「ぎゅ~!」

 

「本音様のおっぱいが潰れてます!?」

 

「あんなにクッション性があるんだ……ちょっと羨ましいな~」

 

「何時か私だって……」

 

「一夏君、もう少しコッチに来て?」

 

 

 それぞれがそれぞれに近づいてくるので、どっちにしろ狭く感じるのだが……思いっきり向こうとかスペース余ってるし……

 

「もう出るから。虚、後で本音と須佐乃男の髪の毛を乾かしてやってくれ。くれぐれもバスタオルで強めにこするなんて事はしないように」

 

「大丈夫ですよ。ちゃんと見張ってますから」

 

 

 後の事を虚に任せて、俺はいち早くこの場所から退散を決め込む事にした。こうやってくっつかれるのは嫌では無いが、さすがにこれほど大勢にくっつかれれば逃げたくもなるだろう……俺だって一応男なんだが、その事を忘れてるんじゃ無いのか? さっきも母親とか言われたし……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はしゃぎ声を聞きながら、私はベッドの中でアニメを見ていた。誰も居ないのでイヤホンをする必要も無いし、大きなテレビで好きなアニメを見ることが出来るのだ。

 

「普段は夜中にコッソリと見てるから、こうやって堂々と見れるのは久しぶりだな」

 

 

 別にアニメを見ていても誰も文句は言わないけど、やっぱり男の子が好きそうなアニメを私が喜んで見てるって言うのは、何だか恥ずかしいのだ。

 

「須佐乃男やマドカは一緒に見てくれるけど、お姉ちゃんや本音は興味無さそうだしね」

 

 

 無理矢理付き合ってもらっても嬉しくは無いし、向こうもその事は分かってるだろうから、私がアニメを見てる時にはそっと移動していくのだ。

 

「それにしても、向こうは楽しそうだな……」

 

 

 主にはしゃいでいるのはお姉ちゃんとマドカのようだが、本音と須佐乃男もすぐに加わるだろう。何時もその四人がはしゃいで、私と虚さんが呆れながらも巻き込まれるのがパターン化してるから、どうせ今日もそうなるだろうな……巻き込まれるのが私じゃ無くてナターシャ先生に変わるけどね。

 

「一夏も大変だなぁ……」

 

 

 あの中で唯一あのノリについていけないのは一夏だろう。お姉ちゃんや本音、マドカや須佐乃男のノリは、一夏には理解出来ないかもしれないからね。

 

「一夏って、やっぱりヒーローみたいだな……」

 

 

 ヒロインのピンチに颯爽と現れて問題を解決してしまう。自分たちがヒロインか如何かはさておくとしても、この条件に一夏は当てはまるのだ。

 

「お姉ちゃんや虚さんはかなり一夏に助けられてるみたいだし、本音や須佐乃男、マドカもこの前のテストで一夏に助けられてるし、私だってさっきみたいに介抱してもらってるしね」

 

 

 私だけ何か違うような気もするけど、一夏は私たちのピンチを悉く救ってくれているのだ。アニメのようにご都合主義では無く、実際に一夏は私たちのピンチを察知してくれて、そして救ってくれてるのだ。

 

「でもやっぱり、一人で見てても面白くないな……」

 

 

 普段は皆が寝てから布団の中で見てるからそうでもないけど、こうやって堂々と見てる時に一人はちょっと寂しいな……でも、皆はお風呂だし、今から友達呼んでも来てくれないだろうし……

 

「しょうがない、止めよう」

 

 

 一人で見ても楽しくないので、見るのを止めようとした時、隣に誰かが居るのに気付いた。

 

「何だ、止めるのか?」

 

「い、一夏!?」

 

「如何かしたか?」

 

「い、何時の間に!?」

 

「そうだな……『一人で見ても面白くない』辺りからだが」

 

「そ、そうなんだ……」

 

 

 それより前の事を聞かれてないのなら良かった。結構恥ずかしい事を独り言で言ってたし、他の誰かに聞かれるのは良いけど、一夏には聞かれたく無かったし。

 

「一夏、お風呂は?」

 

「騒がしいから出てきた。後の事は虚に任せたし、俺は居なくても大丈夫だろ」

 

「お姉ちゃんとかが文句言いそうだけどね」

 

 

 せっかく一夏と一緒にお風呂に入れたのに、その一夏がさっさと出てしまったら意味が無くなってしまうからね。

 

「明日は放課後に残れない分、朝に仕事があるんだから、刀奈もそんなにはしゃがないだろう」

 

「………」

 

「ん? 如何かしたか?」

 

 

 私が無言で一夏の事を見ていたら、その視線に気付いた一夏が不思議そうに私を見ている。だけどその目は私がしたいよ……

 

「一夏がお姉ちゃんや虚さんの事を呼び捨てにしてるのって、やっぱり違和感がハンパ無いよ……」

 

「実は俺もなんだが、だが約束してしまった以上呼び捨てにしなきゃだし、とりあえずは部屋の中ではそうしようと決めたんだ」

 

「本人が居ないんなら気にしなくて良いと思うけど?」

 

「油断してると絶対さん付けしちゃうからな。そうなると二人に何されるか分からない」

 

「いきなり抱きついてキスとかしそうだもんね。特にお姉ちゃんが」

 

 

 その事を想像したのだろう、一夏が困ったように頭を掻いたのは……

 

「兎に角この部屋では二人の事は呼び捨てにしようと思ってな。そのうち外でも呼び捨てにしろとか言われそうだが、今のところは無理だから」

 

「ナターシャ先生や碧さんも呼び捨てにするの?」

 

「……とりあえずナターシャはしてるが、碧さんは如何だろう……明日屋敷に着いたら聞いてみる」

 

「多分答えは一夏の想像通りだと思うよ」

 

「……だよな」

 

 

 一夏は疲れたようにその場に座り込み、困ったように頭を掻いた……首を振るか頭を掻くかする事でため息を堪えているのだろう。

 

「今日は色々あって疲れた。もう寝る」

 

「だって誰かと一緒に寝るんじゃないの?」

 

 

 ナターシャ先生が一夏のベッドを使う事になってるから、一夏は誰かと一緒に寝なければいけないのだ……一夏自身は床でもソファーでも気にしないって言ってるんだけど、皆がそれを許さなかったのだ。

 

「なら簪と寝るか」

 

「え……」

 

 

 何を言われたのか一瞬理解出来なかった。だって今言った事があまりにも衝撃的過ぎたのだから……

 

「一緒に風呂に入れなかったからな。これで平等だろ」

 

「そ、そうだけど……」

 

 

 勝手に決めて良いのかな……嬉しいけど後で問題になるような事のような気もするんだけど……

 

「嫌なのか? それなら仕方ないが……」

 

「嫌な訳無い! でも、本当に良いの?」

 

「俺が頼んだんだが……」

 

「そ、そうだよね……」

 

 

 私が言い出した事では無く、一夏が言ってくれたんだから、私が遠慮する必要は無いんだよね。それなら思う存分一夏と一緒に寝よう!

 

「じゃあ、入って?」

 

「二人だと狭くないか?」

 

「大丈夫。一夏にくっついて寝るから」

 

「……ま、それで良いなら」

 

 

 そう言って一夏は私のベッドに入り、私の事を抱きしめてくれた。一夏に抱きしめられて緊張した私だったが、急に睡魔に襲われてそのまま夢の世界に旅立ってしまった。如何やらお風呂から出てきたお姉ちゃんたちが私の事を起こそうとしたそうだけど、全く起きる気配すらなかったので諦めたとか……一夏も私が寝てすぐに寝たらしく、お姉ちゃんたちが起こそうとした事は何となくしか知らなかったらしい……

 一夏に抱きついて寝たおかげで、翌朝はすっきりとした目覚めを迎える事が出来たけど、その所為で生徒会の仕事を手伝わされる破目になってしまったのだ……それでも一夏が丁寧に教えてくれたおかげで、本音よりも多くの書類を片付ける事が出来たのだ。

 

「本音、もう少し頑張ったら?」

 

「かんちゃんまでそんなこと言う~!」

 

 

 いやだって、本音は正式な生徒会役員なのだから、言われても仕方ないじゃない……泣き言を言っている本音はさておいて、私たちは終わらせた書類を纏めて部屋に戻る事にした。先に戻っている一夏が、美味しい朝ごはんを作って待っているだろうから、私は浮かれ気味部屋に向かうのだった。




簪の一人勝ちみたいになってしまいました……

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